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「『台湾身心障礙者自立生活連盟』は、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大防止に関して、政府に措置を要請します」(和訳)

台湾身心障礙者自立生活連盟 2020/03/29

訳:高 雅郁
校正:伊東 香純

[Chinese]

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last update: 20200421


■本文


台湾身心障礙者自立生活連盟は、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大防止のため、台湾各地の障害者の地域生活において、流行防止に当っての不便と困難についての情報を収集し、まとめました。その結果から以下の通り、政府に対して、障害者に関する流行防止及び災害対策のための配慮を要請します。



1.障害者、または日常生活介助・介護者(パーソナルアシスタント、家庭奉仕員、外国人介護労働者、家族など)の一方が隔離、検査、または感染確認された場合、感染拡大防止のために代わりの介助・介護者の確保を要請します。また、障害者と介助・介護者の健康と生命を守るため、介助・介護者が仕事をするときに、必要な予防用具(医療マスク、フェイスシールド、防護服、消毒アルコールなど)の確保と提供を要請します。


2.障害者の多くは貧困状態にあり、アルバイト、或いは路上でチューインガムや雑巾などの品物を売るといった収入不安定の人もいます。新型コロナウイルスの影響で、収入が減少し、生活は深刻な苦境に立たされています。政府は適切な経済的補償や救済措置をしてください。


3.多数の入所施設は外来者の訪問を拒否しています。入所している障害者と家族や友人とは直接連絡できないため、家族や友人が障害者の状況を把握できなくなってしまいます。施設が連絡できる措置を設置するように要請します。

 ※訳者注:感染拡大防止のため、2020年4月1日から、衛生福利部(厚生労働省に相当)により、入所施設(障害者施設、高齢者施設、児童及び青少年施設)は訪問拒否の措置を実施しています。


4.施設は集団感染(クラスター感染)が起きうるハイリスクの場所です。入所者とスタッフ両方の健康を守るため、各施設には予防措置の完備と感染確認された後の介護サービスを要請します。


5.感染防止のため、大型病院に通うことをなるべく回避するようにと政府がアナウンスしています。しかし、多くのクリニックはバリアフリーが欠如しているので、障害者は入りにくいです。行政機関に対し、クリニックのバリアフリーを完備するための具体的な計画と実現時期を素早く提出することを要請します。


6.各病院には普遍的に適切な移動手段や介助の補助具が欠如しています。また、一般病室と隔離病室にユニバーサルデザインの浴室が足りません。障害者が入院治療や隔離治療を受ける際に、介助・介護での困難が生じます。


7.多くの障害者の頭と顔のサイズは一般の人のサイズとは異なるため、成人サイズのマスクはかけにくいです。特別なニーズのある人が小さめのマスクも購入できるように要請します。

 ※訳者注:新型コロナウイルスの対応措置の一つは、台湾では2020年2月6日から、国民健康保険証と連動し、身分証番号(マイナンバー)の仮数部の奇数と偶数により購入曜日を分けて、全国の国民健康保険局と契約を結び薬局にてマスク配布を実名制で実施しています。大人サイズのマスクを週に2枚、12歳以下は小人サイズのマスクを週に2枚を購入できます。
 2020年2月20日から、12歳以下の国民健康保険証を持つ人は、週に4枚の小人サイズのマスク、或いは大人サイズのマスク週に2枚を買えます。2月22日から、13歳以下の国民健康保険証を持つ人は、週に4枚の小人サイズのマスク、或いは大人サイズのマスク週に2枚を買えます。3月5日から、週に大人サイズのマスクを3枚、小人サイズのマスクを週に5枚を購入できます。 3月12日からネットでマスク購入希望を登録して、抽選された人が規定の期間に代金を支払うと、コンビニエンスストアにてマスクを取得するシステムができました。
 3月19日から、小人サイズのマスクを購入できる条件は、16歳以下の国民健康保険証を持つ方に拡大されました。4月9日から身分証番号の奇数・偶数を問わずに、大人サイズのマスクを2週間に9枚、小人サイズのマスクを2週間に10枚を購入できるように更新しました。そして、海外にいる家族(二等親以内、台湾の国籍を持つ人のみ)に月に30枚のマスクを郵送できます。
 この実名制措置の変更の中で一時は、特別なニーズがある成人でも小人サイズのマスクを購入できましたが、現時点(2020年4月18日)には、年齢(16歳を基準)により異なるサイズを購入します。


8.政府から直接にマスクを配布される対象者は、一人暮らしの障害者に限らず、自らマスクを購入しにくい障害者も配布を受けられるよう対象者の拡大を要請します。例えば、外出困難の人や近所のマスクを購入できる薬局のバリアフリーが欠如している人、或いは、マスクを購入する薬局が遠すぎて行きにくい人です。また、マスクを購入するため、長期間並びにくい人などが、政府から直接にマスクを配布されるサービスを申請できるよう要請します。なお、障害者が精神や体力の弱い場合や不便の際に、薬局にて障害者証明を提示すれば、優先購入ができるように要請します。


9.聾者、難聴者、聴覚障害者が即時に情報を把握できるように、薬局に掲示板を設置し、並ぶ人数の上限などの情報を掲示することを要請します。販売するマスクの枚数の情報を即時に把握できないと、無駄に並ぶことになり、感染リスクを高めるからです。


10.すべての障害者がATMの使用やネット経由での支払いができるわけではありません。また、クレジットカードを申請できない障害者もかなりいます。ネットでマスク購入希望を登録するためのアプリ「健保快易通APP」を使用する際のマスク取得の利便性を向上するため、マスクを取得するときの支払いに多様なルートを確保できるよう要請します。

 ※訳者注:4月22日から、コンビニエンスストアにてマスクの購入希望を登録して、登録証明書により、当コンビニエンスストアにて代金を支払えます。

11.新型コロナウイルスが発生している期間、障害者の生活に関する必要品が中断しないようにしてください。万が一障害者が隔離・検疫される際は、配食サービスを提供すると同時に、トイレットペーパーやドライフード、衛生や医療の必要な用品なども配給してください。

 ※訳者注:障害を問わず、居宅やホテルにて隔離・検疫される人に、各地方自治体によって、様々な予防用品と生活用品を用意して、隔離・検疫された者に届けています。


12.聾者が隔離されたら、誤解を回避するために、電話ではなく、防疫に関する者がビデオ通話や文字通訳などを通し対話することを要請します。

 ※訳者注:居宅隔離・検疫された人に、各市町村の防疫担当係(市長・町長・村長など)が隔離・検疫された人の健康状態を把握するため、常時、電話で連絡しています。


13.各県・市の地方自治体に対し、聾者がスカイプ(Skype)やライン(Line)を経由して“1999”の番号に電話をかけて、ビデオ通話や文字通訳などの方法で、新型コロナウイルスに関する情報を取得できるよう、広く宣伝することを要請します。また、フェイスブック(Facebook)の「疾病管制署 - 1922防疫達人」ページに伝言や情報の取得もできるインフォメーションを設置することを要請します。


14.障害者の情報権を確保するため、政府が公表する新型コロナウイルスに関する情報、また感染に関する記者会見でアナウンスされる情報は、文字でまとめ、また手話通訳とわかりやすい情報提供を要請します。例えば、毎日報道される関連ニュース、ウイルス予防の方法、手洗い方法、正確にマスクをかける・取る方法や、フェークニュースの見破りとフェークニュース拡散の懲罰、またはフェークニュースを見たときの対応方法などです。


15.新型コロナウイルスの発生期間、毎日様々なニュースや評論・談話番組などが流れています。そして、感染状況は常に変動していて、社会の緊張感が高まっています。そのため、精神障害者が心のストレスをためて、心身科(精神科)に通う人は普段より3割増えていきます。現在設置している感染通報のホットライン“1922”と国民精神的健康相談のホットライン“1925”以外に、「感染予防の安心のため」のホットラインを設置することを要請します。
 “1925”は通年「急診」のようなサービス、日常生活における緊急事件の処理や除去などを行っていて、既存の業務がとても重いです。このため、別の専用回線を設置し、精神障害者が新型コロナウイルスの影響による不安や恐怖、また無知や無力(helpless)の感覚による挫折や隔離による孤立感を減少するためです。


16.障害者は感染しやすく、重症になりやすい、ハイリスクの対象に含まれています。感染リスクを減らすために、ピアカウンセラーに関する研修や障害者が対象者になる就職訓練などの研修や訓練を、なるべく参加人数を減少し、オンライン実施や延期などの代わりのプランで行います。参加者やスタッフの健康と安全を確保するため、イベントや研修などを通常のとおりに行う必要がある場合は、参加者とスタッフはしっかり体温をはかり、環境の消毒、出入りのトリアージなどの予防措置をちゃんと実施します。


17.新型コロナウイルスに関する宣伝のビデオ、ウェブページ、アプリなどをすべて音声付きにするよう要請します。
 視覚障害者や盲人はテレビ経由で情報を取得します。このため、情報格差を減少させるため、宣伝ビデオの全過程を音声付きにする必要があります。例えば、現在、政府がテレビを経由して宣伝するビデオでは、第一幕の表題と最後の“1922”のところに音声がついていないです。また、「大型集会の注意事項」のビデオでは第17秒から第21秒までは、項目だけに音声ガイドが入っています。小さい字幕の説明には音声が付いていないです。なお、視覚障害者の専用パソコンやスマホが読み取れるよう、ウェブページやアプリを作成するとき、特別な効果や図像をたくさんつけないようにしてください。


原文:台灣身心障礙者自立生活聯盟:因應新冠病毒疫情升溫,政府應制定相關政策(2020年3月29日掲載)
外部リンク https://ciltw2018.blogspot.com/2020/03/blog-post.html

*日本語翻訳:高 雅郁(2020年4月18日)
*日本語校正:伊東 香純(2020年4月20日)


■関連サイト

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*作成:高 雅郁
UP: 20200421 
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