平素より、旧優生保護法下での強制不妊手術被害者の人権回復にご尽力いただきありがとうございます。私たちは、法律家、研究者、障害者団体関係者などで構成された、母体保護法下における不妊手術・中絶被害について当事者と共に明らかにする取り組みをおこなっている市民団体です。
1996年に優生条項は廃止され母体保護法に改正されましたが、旧優生保護法および優生政策が社会の隅々に根付かせた優生思想はその後も存続し、改定後も精神障害者や知的障害者らに対して、本人の意思に反して、あるいは、拒否することが困難な状況のもとで不妊手術や妊娠中絶が行われていることが明らかになっています。私たちの会の会員である片方司さんは、精神病院入院中の2003年に、「パイプカットしなければ、一生退院できない」と言われ、不本意な不妊手術を受けました。また、同じく会員の米田恵子さんも、2015年に帝王切開で出産した際に、本人の同意のないまま不妊手術を受けさせられました。
さて、2019年4月24日に「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」が成立し施行されました。同法には、「国は、疾病や障害を理由として生殖を不能にする手術又は放射線の照射を強いられるような事態を二度と繰り返すことのないよう、全ての国民が疾病や障害の有無によって分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資する観点から、旧優生保護法に基づく優生手術等に関する調査その他の措置を講ずるものとすること。」との調査の規定があります。
同法の運用が障害者の権利に関する条約(以下、障害者権利条約)の趣旨を鑑みたものとなるように下記のとおり意見を申し上げます。