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「要望書」(福島瑞穂あて)

母体保護法下の不妊手術・中絶被害者と歩む会 20200311.

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last update: 20200811


■本文


2020年3月11日
社会民主党 福島瑞穂さま

母体保護法下の不妊手術・中絶被害者と歩む会



要望書

平素より、旧優生保護法下での強制不妊手術被害者の人権回復にご尽力いただきありがとうございます。私たちは、法律家、研究者、障害者団体関係者などで構成された、母体保護法下における不妊手術・中絶被害について当事者と共に明らかにする取り組みをおこなっている市民団体です。

1996年に優生条項は廃止され母体保護法に改正されましたが、旧優生保護法および優生政策が社会の隅々に根付かせた優生思想はその後も存続し、改定後も精神障害者や知的障害者らに対して、本人の意思に反して、あるいは、拒否することが困難な状況のもとで不妊手術や妊娠中絶が行われていることが明らかになっています。私たちの会の会員である片方司さんは、精神病院入院中の2003年に、「パイプカットしなければ、一生退院できない」と言われ、不本意な不妊手術を受けました。また、同じく会員の米田恵子さんも、2015年に帝王切開で出産した際に、本人の同意のないまま不妊手術を受けさせられました。

さて、2019年4月24日に「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」が成立し施行されました。同法には、「国は、疾病や障害を理由として生殖を不能にする手術又は放射線の照射を強いられるような事態を二度と繰り返すことのないよう、全ての国民が疾病や障害の有無によって分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資する観点から、旧優生保護法に基づく優生手術等に関する調査その他の措置を講ずるものとすること。」との調査の規定があります。

同法の運用が障害者の権利に関する条約(以下、障害者権利条約)の趣旨を鑑みたものとなるように下記のとおり意見を申し上げます。



1)優生保護法が人々に与えた差別、偏見が母体保護法下においても延々と続いてきたことに係る実態の把握をしてください(駐1)。

2)優生保護法が人々に与えた差別、偏見の除去に向けた母体保護法下における国及び地方公共団体の取り組みに係る実態の把握をしてください。
以 上


註1 質問の例;障害を理由に性行為を制止されたことがあるか。障害を理由に妊娠をあきらめるように促されたことはあるか。障害を理由に出産をあきらめるように促されたことはあるか。障害を理由に生殖能力を奪う手術をすすめられたことはあるか。実際に手術は施されたか。任意か強制か。術式はなにか。



〒164-0011 東京都中野区中央2-39-3
全国「精神病」者集団内
TEL 080-6004-6848
E-mail scp_kirihara@arsvivendi.comyahoo.co.jp
担当:桐原長谷川


■原文ファイル

◇母体保護法下の不妊手術・中絶被害者と歩む会 20200311 「要望書」(社会民主党 福島瑞穂 宛) [PDF]




*作成:岩ア 弘泰
UP: 20200811 REV:
優生 2020(日本) 全文掲載
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