HOME > 全文掲載 >

〈Morning Zine Circle〉の紹介

Introduction of Morning Zine Circle

村上 潔MURAKAMI Kiyoshi
20191001(October 1, 2019)

Tweet
last update: 20201004

■解説

以下に掲載する内容は、あるジンに関する書籍の編集者のかたから依頼されたアンケートに対する回答(2019年10月1日返送)になります。村上潔が代表して〈Morning Zine Circle〉について紹介しています。書籍にそのまま掲載されるものではないので、(一部修正のうえ)資料としてこちらに掲載することにしました。【ページ作成日:2020年2月13日/修正の反映:2020年2月14日】

■全文

[質問]活動の内容、趣旨や目指すところがあれば教えてください

◆活動開始前に作成した告知の趣旨文(一部修正)
「Zineとは何か、Zineカルチャーの背景と意義、Zineカルチャーにまつわるさまざまな文化・思想・実践、といったことに関する知識を共有し、ともに何かを(できれば自分たちのZineを)うみだすことを目指す場です。キーワードは、パンク/DIY/フェミニズム/クィア/アクティヴィズム……。参加者が事前に用意するもの/ことは特にありません。途中参加・退出可です。Zineを作った/読んだことがなくても、お気軽にどうぞ。」
◆活動内容
◇世界のジン・シーンに関する情報の共有(村上が提供)
◇ジン・カルチャーに関する英語文献(ネット上の記事など)の共同購読
◇ジン・カルチャーに関連する文化/思想/運動/イベントの情報の共有
◇〈Cafe Phalam Zine Library〉【画像1】の管理・運営
◇《NIJO Zine Fest》の企画・運営(#01:2017年10月28日/#02:2018年12月1日/#03:2019年11月9日)
◇サークル紹介ジンやコンピレーション・ジンの制作(下記参照)
◇参加者各人が作ったジンや書いたものの譲渡/交換
◇子育ての悩み/家庭生活における不満/おすすめの助産師さん・マッサージ師さんの情報などの共有
◇子どもを遊ばせる
◇みんなでお茶やコーヒーを飲んで癒される
◆活動において重視している要素
◇フェミニズム(エコフェミニズム/アナーカ・フェミニズム)
◇フード・アクティヴィズム
◇セーファー・スペース
◇アクセシビリティ
◇DIY精神
◇アマチュアリズム(反能力主義)
◇コミュニティ活動
◇ケア
◇マザリング[Mothering]
◇クィア性
◇本/印刷物への愛着
◇リーディング(「読む」こと)
◇古本文化
◇アンダーグラウンド/オルタナティヴ文化

[質問]主催者(主催団体)の簡単なプロフィールを教えて下さい

◆主催者(2名)
◇村上潔(むらかみ・きよし)
立命館大学衣笠総合研究機構(生存学研究所)客員研究員、神戸市外国語大学非常勤講師、滋賀県立大学人間文化学部非常勤講師、立命館大学産業社会学部非常勤講師、立命館大学大学院先端総合学術研究科非常勤講師。現代女性思想・運動史研究。著書に『主婦と労働のもつれ――その争点と運動』(洛北出版/2012年)など。2016年頃からジン・カルチャーに関する執筆・翻訳・講義・講演・調査などの活動を行なっている。
Webページ:http://www.arsvi.com/w/mk02.htm
◇余座潤美(よざ・ひろみ)
〈Cafe Phalam[カフェパラン]〉オーナー。現在2児の母でもある。仕事・育児の両面における女性差別に悩まされるなか、少しでも自己表現の場をもちたい、という切実な願いからサークルの立ち上げを発案。日常の様々な場でのDIY/フェミニズム実践の可能性を日々模索している。
◆詳しくは以下の(MZCを取材した『京都新聞』の)記事2点を参照
◇行司千絵(記者) 2016/10/12 「自身の思いつづる「ZINE」――歴史的背景や意義探る:中京で14日」『京都新聞』朝刊23〔地域〕面
◇行司千絵(記者) 2017/10/21 「顔見える相手と思い交換――市民がつづる小冊子「ジン」 28日に中京で展示:海外でイベント盛ん、京でも」『京都新聞』朝刊17〔暮らし〕面

[質問]いつからはじめて、どれくらいのペースで開催していますか?

初回は2016年10月14日。基本的には、毎月第2金曜日朝10:00〜11:00に開催。不定期に、夜開催や、曜日/週をずらして開催する場合もある。2019年10月11日で37回を数える。活動記録はサークルのWebページ(http://www.arsvi.com/d/2016mzc.htm/)を参照。

[質問]どんなところで開催していますか?

〈Cafe Phalam[カフェパラン]〉(京都市中京区。JR/地下鉄二条駅前)。ダイレクトフェアトレードのスペシャルティコーヒーカフェ。安全かつ公正な流通の食材を使い、シンプルながら本格的なフード/ドリンクを提供している。ヴィーガン対応(海外からのヴィーガンのお客さんも多い)。全面バリアフリー(トイレはもちろん手洗い場の水道の取っ手まで。車いすユーザーからの信頼も厚い。トイレには木製の介助用ベッドも)。京都周辺の、環境運動/食の安全を求める運動/反戦運動/クィア・ムーヴメント/クラフト活動/子育てに関する取り組みに関係する人々も多く利用している。映画関係者の来店も多い。不定期に音楽イベント《Kyoto SWEET MUSIC CAFE》を開催している。

[質問]参加費・運営費はどんなシステムになっていますか?

参加費は無料、ただし要1オーダー(会場の運営費補助のため、参加者に協力をお願いしている*)。非営利のコミュニティ活動という原則は常に周知徹底している。
*(これまでそうした事例はないが)もし払えない状況の参加希望者がいた場合は、参加者全員でお金を出しあって立て替えるような措置を想定している。なお、夜開催の場合はカフェ営業終了後になるため、オーダーの必要はなし。

[質問]参加者の方の作っているZINEを紹介してください(可能であれば写真も添付お願いいたします)

◇Morning Zine Circle 編 2017/10/28 『Morning Zine Circle Anthology Zine 2017』(A5/31p.)【画像2】
◇Morning Zine Circle 2018/04/13 『Morning Zine Circle』(A7/8p.)【画像3】
◇Morning Zine Circle 編 2018/12/01 『NIJO Zine Fest #02――働き・子育て・スペース』(A5/23p. *第2版:2019/02/08)【画像4】

[質問]ZINEの好きなところを教えてください

◆以下の要素を本質的に内包しており、ジンにまつわる活動においてそれらが自然に発露するところ。
◇フェミニズム
◇アナキズム
◇DIY精神
◇反差別
◇反資本主義
◇反能力主義
◇対抗運動/文化
◇身体性
◇親密性
◇ひとりでいることの価値
◇言語化できない感覚や感情
◇間違いや曖昧さやみっともなさを許容する懐の深さ
◇自律的空間構築
◇自治
◇相互扶助
◇贈与経済
◇ケア/再生産労働の評価
◇マージナライズされた人々の主体性

■参考

◇2020/07/22 [Panel]“Zine Libraries and Zine Librarianship”
 パネリスト:Rhonda Kauffman(Chair)・Kiyoshi Murakami・Marya Errin Jones・Ziba Perez Zehdar
 UTC 02:00〜03:00(日本時間=22日11:00〜12:00)/Zoomでの開催
 *〈Zine Librarians unConference〉の活動の一環として開催されたワンデーイベント《International Zine Library Day 2020》(7月21日UTC 20:00〜22日UTC 04:00)内の企画
◇Erdogan, Elif, 2020, "Against the Mainstream: Feminist Zines in Japan", Voice Up Japan, June 29, 2020, (https://voiceupjapan.org/2020/10/03/feminist-zine-japan/).
 *村上潔による《Morning Zine Circle》ならびに日本のフェミニスト・ジン・シーンに関するコメントを掲載
◇Morning Zine Circle ed. 20200520 『M.Z.C. Quaranzine』(Kyoto/Zine/A4/11p. [Total:12p.]/PDF/9.5MB)
◇Morning Zine Circle 編 20191109 『NIJO Zine Fest #03――D.I.Y.』Morning Zine Circle(Kyoto; Zine; A4変形; xxp.)*トレードもしくは300円
◇2019/11/09 《NIJO Zine Fest #03》 at Cafe Phalam
◇行司千絵(記者) 20191107 「市井の人がつづる、政治・性差別・子育て… 小冊子Zine[ジン]ご存知ですか――思い共有 ゆるやかなつながりへ」,『京都新聞』朝刊8〔暮らし〕面
 *村上潔を含む〈Morning Zine Circle〉のメンバー3名への取材記事。ジン・カルチャーの特質、〈Morning Zine Circle〉の活動とその意義、ならびに《NIJO Zine Fest #03》に関する紹介。
◇Murakami, Kiyoshi, 20190709, "Zines and Me: Q&A with Alex @fanzines".
◇Morning Zine Circle 編 20181201 『NIJO Zine Fest #02――働き・子育て・スペース』Morning Zine Circle(Kyoto; Zine; A5; 23p.)*トレードもしくは300円
◇2018/12/01 《NIJO Zine Fest #02》 at Cafe Phalam
◇Morning Zine Circle 編 20171028 『Morning Zine Circle Anthology Zine 2017』Morning Zine Circle(Kyoto; Zine; A5; 31p.)*トレードもしくは300円
◇2017/10/28 《NIJO Zine² Fest》 at Cafe Phalam
◇行司千絵(記者) 20171021 「顔見える相手と思い交換――市民がつづる小冊子「ジン」 28日に中京で展示:海外でイベント盛ん、京でも」,『京都新聞』朝刊17〔暮らし〕面
 *村上潔と余座潤美(〈カフェパラン〉オーナー)へのインタビューからなる《NIJO Zine² Fest》の事前取材記事
◇行司千絵(記者) 20161012 「自身の思いつづる「ZINE」――歴史的背景や意義探る:中京で14日」,『京都新聞』朝刊23〔地域〕面
 *《Morning Zine Circle》始動に際しての取材記事 cf. [記事への反応]
◇union.a 20140912 「マイノリティへのやさしさと、お洒落が共存するカフェ。「弱ってたときの自分が気軽に行ける店にしたいなって」。――カフェパラン オーナー 余座潤美」『ハンケイ500m』21: 6-7
《Morning Zine Circle》(2016/10/14−)
 毎月第2金曜日10:00〜11:00(変更あり) 於:Cafe Phalam[カフェパラン]
 (ファシリテーター:村上潔)


*作成:村上潔MURAKAMI Kiyoshi
UP: 20200213 REV: 20200214, 0311, 0629, 1004
全文掲載
TOP HOME (http://www.arsvi.com)