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「『出生前診断に関する検討会』設置に関する要望書」

8.11「みんなで話そう 新型出生前診断はだれのため?」東京集会実行委員会 2019/0/716

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last update: 20190722


2019年7月16日
厚生労働大臣 根本匠殿
厚生労働省こども家庭局母子保健課 担当者殿

8.11「みんなで話そう 新型出生前診断はだれのため?」東京集会実行委員会
DPI女性障害者ネットワークDNA問題研究会京都ダウン症児を育てる親の会
神経筋疾患ネットワーク、SOSHIREN女(わたし)のからだから
ゲノム問題検討会議、ハイリスクな女の会 Beyond、グループ生殖医療と差別
連絡先:〒556-0005 大阪市浪速区日本橋5-15-2-110 ここ・からサロン気付「グループ生殖医療と差別」
E-mail:kazuko-s@スパム対策white.plala.or.jp


「出生前診断に関する検討会」設置に関する要望書

新聞報道等によれば、貴省では、新型出生前診断(NIPT)の検査のあり方についての検討を行うために「検討会」を立ち上げ、議論を始めるとのことです。出生前診断実施にともなう社会的・倫理的問題についての幅広い論議もないまま、医療業界や検査業界の主導のもと、様々な出生前診断技術が広がろうとしている現状に大きな不安を感じざるをえません。私達は、この問題にどう向きあっていけばよいのかを熟慮し話し合うために、8月11日に「緊急シンポジウム 新型出生前診断はだれのため?」の開催を準備している団体の集まりです。

今回の「検討会」の立ち上げに際して、出生前診断をめぐる論議が充分尽くされるよう、以下の点について要望します。


T.検討会の委員について


U. 検討会の議事と議事録の公開、パブリックコメントの受け付けについて

検討会の開催に際しては、検討会および議事録の公開を求めます。また、パブリックコメントを受け付ける窓口を常に設け、検討会においては、寄せられた意見を公表し議事に反映させるなど、真摯に対応することを求めます。


V. 検討の範囲について

新聞報道等では、検討会での検討課題は「NIPTの実施のありかた」であると伝えられていますが、実施要件の検討等に限定せず、より根本的な議論を行うことを求めます。NIPT実施が女性(カップル)にもたらす葛藤や苦悩、障害者差別を助長し優生思想の強化を引き起こす懸念があること、NIPTが医療機関・検査会社の利潤の対象とされ出生前診断の商業化を進める可能性があること等、NIPTがはらむ倫理的・社会的問題について議論を深めるよう要望します。

また、NIPTのみならず、広く出生前診断のあり方について検討してください。出生前診断についての国による議論の場が設定されたのは20年ぶりであること、他の出生前診断技術にともなう様々な問題が既に起きていることを踏まえれば、超音波診断、母体血清マーカー検査、羊水診断、絨毛診断、着床前診断等についても議論を尽くすことを求めます。


W. 検討会の議論の基礎となる資料について

今後の出生前診断のありかたに向けてより有用な検討を行うためには、正確な現状把握が必須です。検討会での議論に先立って、出生前診断の現状についての詳細な実態調査を実施し公表することを求めます。特に、無認可施設でのNIPT実施状況について、できる限り実態を調査・把握して下さい。

また、『妊娠 あなたの妊娠と出生前検査の経験をおしえてください』(柘植あづみ・菅野摂子・石黒眞理著、洛北出版、2009年)、『出生前診断受ける受けない誰が決めるの? 遺伝相談の歴史に学ぶ』( 山中美智子・玉井真理子・坂井律子著、生活書院、2017年)、「妊娠と出生前検査の経験に関する調査研究会」による『妊娠と出生前検査の経験に関するアンケート調査 2013 集計結果報告』(2014年10月公表、2017年3月改訂版)および『妊娠と出生前検査の経験に関するインターネット調査2015 集計結果報告』(2017年3月公表)をはじめとして、聞き取りも含めた出生前診断の経験に関する詳細な研究も行われています。これらを、充分参考にすることを提案します。


X. ヒアリングの実施について

検討会での議論と並行して、より幅広い意見を取り入れるためにヒアリングを実施して下さい。その際、産婦人科医師ら専門家主導によってNIPTの実施拡大が図られようとしている現在、より深い議論を行うためには、これまでも出生前診断により慎重な対応を求めてきた市民の声を聴くことが重要です。

例えば、DNA問題研究会、京都ダウン症児を育てる親の会、SOSHIREN女(わたし)のからだから、DPI女性障害者ネットワーク、グループ生殖医療と差別、ゲノム問題検討会議、神経筋疾患ネットワーク、ハイリスクな女の会 Beyondなどの市民団体を招聘して下さい。


Y. 公開討論会の開催

検討会内部だけで議論するのではなく、複数回、各地で公開討論会(公開シンポジウム)等を行い、出生前診断についての問題点を共有し、広範な市民と議論を深めることを要望します。

以上


*作成:小川 浩史
UP: 20190722 REV:
出生前診断/Prenatal Testing DPI女性障害者ネットワーク  ◇DNA問題研究会  ◇京都ダウン症児を育てる親の会・トライアングル  ◇SOSHIREN 女(わたし)のからだから  ◇グループ生殖医療と差別  ◇全文掲載 
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