HOME > 全文掲載 >

「意思伝達と自己決定の基礎――台湾における障害者権利条約分かりやすいバージョン作成について」

高 雅郁 2018/11/17〜18 障害学会第15回大会報告一覧,於:クリエイト浜松

Tweet
last update: 20181101

キーワード:情報保障、分かりやすい情報、知的障害者

報告要旨

情報通信技術の向上、情報アクセス媒材の流通やSNSを普及している時代で、誰でも情報の受信や発信しやすくなる。そして、グロバール化と多文化共生社会で、言語の多様性と情報のアクセスに関する問題を注目されている(打浪 2011、松尾ほか 2013)。そのうち、「情報弱者」といわれる外国人、高齢者、障害者などが社会参加のため、情報保障の課題を関心される(かどや 2016、陳ほか 2002、松尾ほか 2013)。しかし、様々な障害の中に、情報保障を注目されるのは、ほぼ視覚障害・弱視者や聴覚障害・ろう者・難聴者の情報アクセスの議題を中心となっている。「知的障害」とレッテルされた方々の情報保障やアクセスの諸問題は関心されていなかった。近年に東アジアで、特に障害者権利条約(CRPD)で情報保障や合理的配慮などを強調し、知的障害者の情報アクセスの課題が喚起された(あべ 2011、打浪 2011、2014、2016、2017、羽山 2017、尤ほか2017、林ほか 2018)。2017年11月、台湾独自で行った初回の障害者権利条約審査会議の総括所見で、5名の國際審査委員は特に、分かりやすい情報の欠如の問題を指摘した。  「社団法人中華民國智障者家長総會(知的障害者の親の会連合会、以下はPAPIDと略語)」は知的障害者本人の自立生活を目標として、2008年から本人活動全国ネットワークを主催した。活動で本人が意思伝達をサポートとセルフ・アドボカシーを推進の過程に、本人にとって、分かりやすい資料の欠如を気づいた。日本手をつなぐ育成会の出版物を参考し、2011年と2012年に、本人向けの「自立生活学習指南」を試作した。その後、欧州の分かりやすい情報製作ガイドライン「Information for All」を翻訳し、そしてガイドラインを従って、全国ネットワークで使う紙面資料を分かりやすい化に試していた。2014年12月、コンファレンスを開催、そのガイドラインを紹介する同時に、台湾で知的障害者の情報保障の「易讀(Easy Read)運動」を開始しようと誓った。  本稿はPAPIDの例として、「易讀(Easy Read)運動」の展開と諸課題を考察する。分かりやすい情報を製作の過程に、本人参与が要素一つである。本人が参与のプロセスで、主体性が徐々に見せられた。そして、知的障害者福祉団体・施設や博物館、地方自治体に影響を受けて、分かりやすい情報の提供も関心があった。しかし、分かりやすい情報が実際に製作の困難も明らかにした。


【参考文献】
あべやすし,2011,「言語という障害??知的障害者を排除するもの」『社会言語学』別冊I:
  61−78.
打浪(古賀)文子,2011,「知的障害者への情報ユニバーサルデザイン化向けた諸課題の整
  理」『社会言語学』別冊I:5−20.
打浪(古賀)文子,2014,「知的障害者への『わかりやすい』情報提供に関する検討―『ス
  テージ』の実践と調査を中心に」『社会言語科学』17(1):85−97.
打浪(古賀)文子,2016,「知的障害者の情報保障の実現に向けた課題整理」『社会言語学』
  別冊II:57−66.
打浪(古賀)文子・岩田一成・熊野正・後藤功雄・田中英輝・大塚裕子,2017,「知的障害
  者向け『わかりやすい』情報提供と外国人向け『やさしい日本語』の相違」『社会言語
  科学』20(1):29−41.
かどやひでのり,2016,「情報保障概念の再定義」『社会言語学』別冊II:67−71.
松尾慎・菊池哲佳・Morris,J.F.・松崎丈・打浪(古賀)文子・あべやすし・岩田一成・
  布尾勝一郎・高嶋由布子・岡典栄・手島利恵・森本郁代,2013,「社会参加のための情
  報保障と『わかりやすい日本語』―外国人、ろう者・難聴者、知的障害者への情報保
  障の個別課題と共通性」『社会言語学』16(1):22−38.
羽山慎亮,2017,「政府刊行物の『わかりやすい版』の言語的特徴―知的障害者が制度を理
  解するという観点にとる考察」『社会言語科学』20(1):146−160.
尤詒君・陳威勝・王方伶,2017,「從推動易讀(Easy Read)專案談國際身心障礙者權利公約在
  心智障礙福利機構之實踐」『社區發展季刊』157:279-285.
林惠芳・翁亞寧・高雅郁,2018,「我們的事,我們要參與―紀?支持智能挑戰者參與國際身心
  障礙者權利公約易讀化的?程」『社區發展季刊』162:161-168.
陳俊宏・?雅卿・劉佳淇,2002,「適合高齡者?讀之報紙文字及其版面編排設計研究」『商
  業設計學報』6:203−232.




*作成:安田 智博
UP: 20181101 REV:
障害学会第15回大会・2018 障害学会  ◇障害学  ◇『障害学研究』  ◇全文掲載
TOP HOME (http://www.arsvi.com)