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「[トーク]女子文化としての『オリーブ』の位置づけ――消費・創造・フェミニズムの観点から」

[Talk] Positioning the Magazine "Olive" as/in Girls' Culture: From the Perspectives of Consumption, Creation and Feminism

村上 潔MURAKAMI Kiyoshi)[トークゲスト]
2018/11/11(Sun)15:00〜15:30
於:Cross Rhythm(クロスリズム)
《『オリーブ』閲覧室――乙女カルチャーを振り返る》内の企画

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last update: 20181114


【Index】 ■内容 ■引用 ■参考文献 ■実施報告

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■内容

【以下は、当日配布したハンドアウト(A4/2p.)に掲載した内容に、若干の加筆修正を加えたものです。実際のトーク時間は、15:20頃から、40分間でした。】

20181111「女子文化としての『オリーブ』の位置づけ」ハンドアウト

■1■ 性質・定義・位置づけ

●高度消費社会/物欲/競争/自立/啓蒙
 × [段階差はあるが共存]
●ナチュラル/エコロジー/エシカル/教養主義

◆リベラル・フェミニズム
 *表面的(キャッチフレーズなど)にはラディカル・フェミニズム的な装いが(ファッション的に)施されている
 *(恋愛/労働)市場での競争に批判的でありつつ否定はしない――消費が前提ゆえ
 *(エコロジーを扱っても)エコフェミニズム的な度合いは低い
×
◆第3波フェミニズム[文化政治|私的領域|個人主義|メディアを通じたクリエイティヴィティの発露とそれによる親密圏の構築|「女性」という一面的括りからの差異化]
 *時代的に80年代『オリーブ』はその前段階にあたるが雑誌の全体的性質としては親和性が認められる
 *第2波の運動のことは知り/認めつつそれは過去(親世代)のものという位置づけ[継承しながら同一化は拒否する]
 *個人的な趣向/センスとそれにもとづく女子同士の親密性を基軸とした自律的活動(シスターフッドを謳うことはないが読者投稿欄等を通じて共感/同志感情を醸成)
 *「差異」・「多様性」への意識:各人が「オリジナル」であることを重視・尊重
 *オリーブ「少女」[girl]としてのアイデンティティと主体性(価値創造)・自律性

■2■ 背景と方向性

▼(ポスト)均等法世代として
◇キャリアか専業主婦か――でもどちらにも寄らない/寄れない存在
◇男子には負けない!――が――男並みは目指さない
◇「私らしく」自己実現

▼労働/生活
◇クリエイティブ/カタカナ専門職/起業
◇〔現在では〕保育所増設運動(not共同保育)を担う層
◇〔現在では〕「#MeToo」的な運動に共感し支持する層

▼消費/生活
◇賢い消費者/エシカルな消費 *消費者「運動」とは無縁
◇「ていねいなくらし」/「生活者」として:「生活」全体をコーディネート
◇〔現在では〕「まちづくり」/コミュニティ活動を担う層

■3■ その先/外へ?

『クウネル』読者で/MUJI家具に囲まれた/クリエイティブに働く/意識の高い「大人女子」――が着地点?――ではないとしたら/だけでないとしたら……

◎DIY主義の/消費によらない生活実践とそれによる価値創造
◎オルタナティヴな家事・育児実践――家族規範への対抗
◎「女子」アイデンティティの(クィア的)再構築→拡張へ
◎住民運動/環境運動――自らの生活/活動拠点における「(再)開発」への対抗
◎都市→郊外→ローカルの(行き着いた)先で世界の「女性」たちとつながっていく

本当の意味での「『オリーブ』からの卒業」とは、メディア産業(含:マガジンハウス)・消費社会、そして資本主義社会と家父長制的システムを相対化し、問題化し、行動する立ち位置を獲得した時点なのでは。
そして、そこから草の根のフェミニズムへと一歩あゆみ出す……。
そんな展開は、勝手な期待にすぎないのかもしれない。
でもそれはたぶん、きっとどこかですでに起こっているはず。近くの誰かが実現しているはず。それを伝えるメディアは、もう自分で作るしかない。

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■引用

◆高橋律子 20130226 「雑誌『オリーブ』をめぐって――「雑誌の時代」と少女カルチャー」林央子・高橋瑞木・児島やよい・高橋律子・薮前知子『わたしを変える“アートとファッション”――クリエイティブの課外授業』PARCO出版,125-162
◆近代ナリコ 20130620 『女子と作文』本の雑誌社,222p.
◇文化系女子の女学生時代――『オリーブ』「読者からの手紙」/『オリーブ・クラブ』(pp.65-73)
◆山崎まどか 20141020 『オリーブ少女ライフ』河出書房新社,207p.
◆酒井順子 20141120 『オリーブの罠』講談社(講談社現代新書),261p.
◆米澤泉 20151205 『女子のチカラ』勁草書房,228p.
◇雑誌のチカラ――『Olive』というファッション遺産(pp.33-68)
◇美魔女のチカラ――ポスト「コスメの時代」の美をめぐる冒険(pp.69-104)
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■参考文献

日本語文献(著者五十音順)

◇上谷香陽 2012 「フェミニズムとガール・カルチャー(Girl Culture)――雑誌Sassyの語り方」『応用社会学研究』54: 185-199
◇上谷香陽 2013 「ガール・ジンからみる第三波フェミニズム――アリソン・ピープマイヤー著『ガール・ジン』を読む」『文教大学国際学部紀要』24-1: 1-16
◇大野左紀子 20100316 「オリーブ少女と森ガール、または「思想」(トンガリ)から「生活」(まったり)へ」Ohnoblog 2(http://d.hatena.ne.jp/ohnosakiko/20100316/1314416211
◇金沢21世紀美術館(高橋律子編) 2012 『「Olive 1982-2003――雑誌『オリーブ』のクリエイティビティ」展記録集』金沢21世紀美術館 cf. 企画展ページ
◇菊田琢也 2013 「雑誌『オリーブ』にみる少女像の形成と共有――読者投稿ページの分析を中心に」『文化学園大学紀要:服装学・造形学研究』44: 75-84
◇菊田琢也 2014 「消費社会と雑貨――1980年代、雑誌『オリーブ』の分析を通じて」『文化学園大学紀要:服装学・造形学研究』45: 37-45
◇近代ナリコ 2013 『女子と作文』本の雑誌社
◇酒井順子 2014 『オリーブの罠』講談社(講談社現代新書)
◇酒井順子 20141210 「「非モテ」や「自分らしさ」を受け入れてくれた雑誌『オリーブ』をいま振り返る――『オリーブの罠』著者・酒井順子さんインタビュー」現代ビジネス(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/41382
◇城リユア 20131123 「オリーブ世代と90年代生まれが受容する、「Olive」の女子カルチャーの“あり方”」サイゾーウーマン(https://www.cyzowoman.com/2013/11/post_10435_1.html
◇助川幸逸郎 20141204 「小泉今日子とオリーブ少女と森ガール(上)」AERA dot.(https://dot.asahi.com/dot/2014120100051.html
◇助川幸逸郎 20141204 「小泉今日子とオリーブ少女と森ガール(中)」AERA dot.(https://dot.asahi.com/dot/2014120100052.html
◇助川幸逸郎 20141204 「小泉今日子とオリーブ少女と森ガール(下)」AERA dot.(https://dot.asahi.com/dot/2014120100054.html
◇助川幸逸郎 20141218 「[小泉今日子になる方法:第3回]小泉今日子とオリーブ少女と森ガール」AERA dot.(https://dot.asahi.com/column/koizumi/2014120500011.html
◇高橋律子 2013 「雑誌『オリーブ』をめぐって――「雑誌の時代」と少女カルチャー」林央子・高橋瑞木・児島やよい・高橋律子・薮前知子『わたしを変える“アートとファッション”――クリエイティブの課外授業』PARCO出版,125-162
◇田中東子 2012 『メディア文化とジェンダーの政治学――第三波フェミニズムの視点から』世界思想社
◇常見陽平 20150114 「女にも男にも売れる『オリーブの罠』の真実――女子の生き方今昔物語 酒井順子×西森路代」東洋経済オンライン(https://toyokeizai.net/articles/-/57749
◇電通報 20141226 「「オリーブ少女」がひもとくカワイイ文化」ウェブ電通報(https://dentsu-ho.com/articles/2053
◇BOOKSTAND 20141104 「元オリーブ少女が語る「10代の自分」」AERA dot.(https://dot.asahi.com/webdoku/2014110400002.html
◇BOOKSTAND 20150519 「主体性のある女の子の生き様に強く惹かれる――アノヒトの読書遍歴:山内マリコさん(後編)」AERA dot.(https://dot.asahi.com/webdoku/2015051900042.html
◇本橋康治 20120628 「Olive 1982-2003 雑誌『オリーブ』のクリエイティビティ」ACROSS(http://www.web-across.com/todays/cnsa9a000008yduc.html
◇山崎まどか 2014 『オリーブ少女ライフ』河出書房新社
◇米澤泉 2015 『女子のチカラ』勁草書房
◇米澤泉 20180428 「いま、女子は「ていねいなくらし」を求めていることに気づいてますか――服はもうファッションではない?」現代ビジネス(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/55394

英語文献(著者アルファベット順)

◇Bae, Michelle S., 2011, "Interrogating Girl Power: Girlhood, Popular Media, and Postfeminism", Visual Arts Research 37-2 (Winter 2011): 28-40.
◇Currie, Dawn H.; Kelly, Deirdre M.; Pomerantz, Shauna, 2009, Girl Power: Girls Reinventing Girlhood, New York: Peter Lang Publishing Inc.
◇Harris, Anita, 2004, Future Girl: Young Women in the Twenty-First Century, New York: Routledge.
◇Hirsch, Afua, 2018, "As a 1990s Teenager, the World Gave Us Girl Power and Pornification", The Guardian, January 31, 2018, (https://www.theguardian.com/lifeandstyle/2018/jan/31/as-a-1990s-teenager-the-world-gave-us-girl-power-and-pornification).
◇Kearney, Mary Celeste, 1998, "Producing Girls: Rethinking the Study of Female Youth Culture", Sherrie A. Inness ed., Delinquents and Debutantes: Twentieth-Century American Girls' Cultures, New York: New York University Press, 285-310.
◇McRobbie, Angela, 2000, Feminism and Youth Culture [2nd Edition], Basingstoke: Palgrave Macmillan.
◇Mitchell, Claudia A.; Reid-Walsh, Jacqueline eds., 2008, Girl Culture: An Encyclopedia [Volume 1], London: Greenwood Press.
◇Williams, Zoe, 2015, "What the 90s Meant: In with Hedonism, Out with Believing in Something", The Guardian, September 8, 2015, (https://www.theguardian.com/news/2015/sep/08/nineties-90s-in-hedonism-out-with-believing-something).

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■実施報告

村上潔による実施報告

◆kiyoshi murakami(@travelinswallow)
昨日は温かな雰囲気の満員の会場でトークをさせていただきました。主催の@chaicurry さん、@cr_kyt さん、そして参加者のみなさんに感謝申し上げます。長時間の駆け足の展開でしたが、終了後、熱心なご質問や、楽しんでいただけた旨のお声がけを頂戴し、たいへん光栄でした。【記号:回転するハート】https://twitter.com/chaicurry/status/1061627029601173504
[2018年11月12日22:23 https://twitter.com/travelinswallow/status/1061972660047892480

主催者による開催報告

◆siratuti(@chaicurry)
そして、今日は女性史研究者の村上潔さん(@travelinswallow )のミニトークの日でした。オリーブが読者にどういった影響を与えてきたのかをわかりやすくまとめていただいて、とても面白かったです。ありがとうございました【絵文字:笑顔】【画像×2】
[2018年11月11日23:29 https://twitter.com/chaicurry/status/1061627029601173504
◆CROSS RHYTHM(@cr_kyt)
『オリーブ』閲覧室、3日間全6回終了しました。お越しくださった皆様、ご協力いただいた皆様、心からありがとうございました。
なお2日めの村上潔さん( @travelinswallow )によるトークは後日、文字起こしのうえ公開の予定です。どうぞ楽しみにお待ちくださいー【画像】
[2018年11月13日9:16 https://twitter.com/cr_kyt/status/1062136977015730176

参加者の反応



*作成:村上 潔MURAKAMI Kiyoshi
UP: 20181017 REV: 20181111, 12, 14
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