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ジン[Zine]についての簡潔な解説

A Brief Exposition of Zines

村上潔MURAKAMI Kiyoshi
2018/09/06−【第5稿(最新):2019/07/15】

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last update: 20190726

■第5稿(最新)

*2019年7月15日修正の草稿。

■ジン(Zine)
 まず、「ジン(Zine)」は「マガジン(Magazine)」の略語ではない。マガジンから派生した「ファンジン(Fanzine)」という言葉から独立して、「ジン」という言葉が生まれた。最も簡潔なジンの定義は、「有志による非営利・少部数の自主制作出版物」となる★01。ジンは、個人的でありかつ政治的であること、親密性と身体性をあわせもつことをその大きな特徴とし、DIY(Do It Yourself)カルチャーの一部として位置づけられる。
 現在のジン・カルチャーに特に強い影響を与えているのは、1970〜80年代のパンク・シーン、90年代初頭のライオット・ガール(Riot Grrrl)・ムーヴメントと第3波フェミニズムだが(ピープマイヤー、2011年)、60年代の各種社会運動、70年代の第2波フェミニズムもその発展に大きく寄与している★02。ジン・カルチャーは、本質的に反資本主義・反権威主義的姿勢を内包しており、アナキズムやラディカルな直接行動と親和性が高い★03。カウンターカルチャーとしてファシズム/家父長制/商業主義/能力主義への抵抗手段となる一方、障害者/マイノリティ/持たざる者の主体的表現手段となる★04。
 ジンの起源は一般には1920年代のアメリカのSFファンによるファンジンとされているが、その見解を白人男性優位主義とし、それ以前のアイダ・B・ウェルズに代表される黒人女性解放運動における自主刊行物の存在意義を強調する立場もある。これに象徴されるように、現在のジン・カルチャーでは、WOC(Women of Color)/移民/先住民/クィアといったマージナライズ(周縁化)された人々の存在を重視し、白人男性中心の歴史/価値観を「脱植民地化(Decolonize)」することが重要な課題とされている。またジン・フェスト等の会場では「セーファースペース・ポリシー(Safer Space Policy)」の徹底など、様々な差別・抑圧・排除の問題に対する具体的・実践的な社会正義(Social Justice)の取り組みが積極的に行なわれている。
 ジン・カルチャーの実践においては、ジンの制作にとどまらず、その流通・収集・保存・公開のシステムや、創造とシェアのためのアクセシブルなスペース(空間)も自律的に構築する(村上、2018年)。ローカルなコミュニティ単位の草の根の活動が国際的に連携し、交流・議論が重ねられ、その成果が共有されることで、ジン・カルチャーは日々成長を続けていく。

【注】
★01 以下に補足する。@「有志」:(機関誌/同人誌に見られる)掲載審査、掲載料、投稿ノルマ等は存在しない。固定的な組織を前提としない。A「非営利」:できる限り自力で、身近な資源を活用して、低予算で制作し、無償で譲渡/寄付、交換、もしくは極力安価で販売する。なお、ブランドやプロのアーティストが商品/作品のプロモーションのために華美な印刷物を大量に製作し、それをジンと称して頒布する行為は、批判の対象とされる。B「少部数」:一般的に一度に制作されるのは20〜30部ほどである。
★02 日本の例でいえば、戦後のサークル文化運動のなかで制作された「サークル誌」や、ウーマンリブ運動のなかで制作(・複製)され流通したパンフレットなどが、現在のジンの「先祖」に位置づく。
★03 一例として、アナーカ・フェミニズム(Anarcha-Feminism)の運動におけるジンの活用が挙げられる(村上、2019年)。
★04 ディスアビリティ・ジン、メンタルヘルス・ジンといったジャンルも確立しており、当事者たちの表現・交流手段となっている。

【文献】
◇アリスン・ピープマイヤー(野中モモ訳)『ガール・ジン――「フェミニズムする」少女たちの参加型メディア』太田出版、2011年〔原著:2009年〕。
◇村上潔「[連載]都市空間と自律的文化へのアプローチ――マンチェスター・ジン・シーン・レポート(全4回)」Webマガジン『AMeeT』、2018年。
◇村上潔「アナーカ・フェミニズム」『現代思想』47(6):170-173頁、2019年。

◆【メモ】盛り込めなかった内容
◇ジン・カルチャーは純然たるアマチュア文化であるため、プロが自らの高度な専門的技術を駆使して制作した作品をジンと称して(高額で)販売することや、プロのアーティストになる(=仕事を得る)ための(売り込みの)道具としてジンという形態を利用することは、批判の対象となりえる(前者であれば「アート・ブック/アーティスト・ブック」、後者であれば「ポートフォリオ」と称するべきである)。
◇アメリカ・イギリスでは、ジンは公立図書館・大学図書館における専門的アーカイヴィングの対象となっている。それに従事する図書館員たちは、定期的に会合をもち、よりよい(合理的かつ倫理的な)アーカイヴィングのありかたを共同で検討し、その成果を広く共有している。

第4稿

*2019年5月13日修正の草稿。字数は1120字。

■ジン(Zine)
まず、「ジン[Zine]」は「マガジン[Magazine]」の略語ではない。マガジンから派生した「ファンジン[Fanzine]」という言葉から独立して、「ジン」という言葉が生まれた。最も簡潔なジンの定義は、「有志による非営利・少部数の自主制作出版物」となる。ジンは、個人的でありかつ政治的であること、親密性と身体性をあわせもつことをその大きな特徴とし、DIY(Do It Yourself)カルチャーの一部として位置づけられる。現在のジン・カルチャーに特に強い影響を与えているのは、1970〜80年代のパンク・シーン、90年代初頭のライオット・ガール[Riot Grrrl]・ムーヴメントと第3波フェミニズムだが、60年代の各種社会運動、70年代の第2波フェミニズムもその発展に大きく寄与している。ジン・カルチャーは、本質的に反資本主義・反権威主義的姿勢を内包しており、アナキズムやラディカルな直接行動と親和性が高い。カウンターカルチャーとしてファシズム/家父長制/商業主義/能力主義への抵抗手段となる一方、障害者/マイノリティ/持たざる者たちの主体的表現手段となる。ジンの起源は一般には1920年代のアメリカのSFファンによるファンジンとされているが、その見解を白人男性優位主義とし、それ以前のアイダ・B・ウェルズに代表される黒人女性解放運動における自主刊行物の存在意義を強調する立場もある。これに象徴されるように、現在のジン・カルチャーでは、POC(People of Color=有色人種)/女性/クィアといったマージナライズされた人々の存在を重視し、白人男性中心の歴史/価値観を「脱植民地化(Decolonize)」することが重要な課題とされている。またジン・フェストの会場では「セーファースペース・ポリシー[Safer Space Policy]」の徹底など、様々な差別・抑圧の問題に対する具体的な社会正義の取り組みが積極的に行なわれている。ジン・カルチャーの実践においては、ジンの制作にとどまらず、その流通・収集・保存・公開のシステムや、創造とシェアのためのアクセシブルなスペースも自律的に構築する。ローカルなコミュニティ単位の草の根の活動が国際的につながり、交流・議論が重ねられ、その成果が共有されることで、ジン・カルチャーは成長を続けていく。
【参考文献】
◇アリスン・ピープマイヤー(野中モモ訳)『ガール・ジン――「フェミニズムする」少女たちの参加型メディア』太田出版/2011年
◇村上潔「[連載]都市空間と自律的文化へのアプローチ――マンチェスター・ジン・シーン・レポート(全4回)」Webマガジン『AMeeT』/2018年

【注記:お読みいただいたかたへ】挙げている参考文献は最低限のものです。本文の内容の多くは、それ以外の(主に海外の)ソースから得られる知見です。

◆【メモ】盛り込めなかった内容
‐ アマチュア文化[Amateur Culture]であること――専門性を活用しないこと[Do not utilize your expertise.]/プロを目指すための道具にしないこと[Do not utilize zines as a tool for becoming a professional.]

第3稿

*2018年9月7日修正の草稿。字数は1120字。

[…]

◆【メモ】盛り込めなかった要素
‐ 戦後日本のサークル誌/サークル文化運動

第2稿

*2018年9月6日修正の草稿。字数は1120字。

[…]

第1稿

*2018年9月6日作成の草稿。字数は1120字。

[…]

◆【メモ】盛り込めなかった要素(→第2稿に反映)
‐ 親密性・身体性をあわせもつ
‐ カウンターカルチャーとしての側面
‐ ファシズム/家父長制/商業主義/能力主義に抵抗する手段
‐ ディスアビリティ/メンタルヘルス――自身を肯定する/他者へと開く
‐ 持たざる者の武器

■参考

◇Murakami, Kiyoshi, 20190709, "Me and Zines: Q&A with Alex @fanzines"
◇2019/05/26 「[Lecture & Workshop]セーファースペースとしてのジン・コミュニティをつくる」(ゲスト講師/ファシリテーター:村上潔)
 14:00〜17:00 於:ナゴヤ駅西 サンサロ*サロン
◇2018/12/06 「[Lecture & Workshop]ジン・カルチャーの世界を知ろう!」(ゲスト講師/ファシリテーター:村上潔)
 13:45〜15:45 於:立命館宇治中学校・高等学校
 *《WOWプログラム》(エクストラ授業)の一環で/中学1年生の有志12名(女子)を対象に開催
◇2018/09/22 《East Nine Zine Circle》第2回(ゲストファシリテーター:村上潔)
 14:00-16:00 於:Books×Coffee Sol. 【村上潔「アジアのジンシーンとつながること――に関する言及のメモ」】 【主催者による開催報告】
◇2018/07/28 《East Nine Zine Circle》第1回(ゲストファシリテーター:村上潔)
 13:00〜15:00 於:Books×Coffee Sol. 【チラシ画像】 【配布資料@】(→●PDF) 【配布資料A】(→●JPG) 【配布ジン】(→●PDF) 【作成ジン】(→●PDF) 【主催者による開催報告】
◇2018/06/26 「[講義]ジン・カルチャーとわたし――出会い・関わりとその周辺にあるもの」(ゲスト講師:村上潔)
 10:40〜12:10 滋賀県立大学人間文化学部2018年度前期科目「社会運動論」(担当:大野光明)第12回
◇Casio, Holly, 20170309, "The Economy of Zines", Cool Schmool.=20180620,村上潔訳「ジンの経済」arsvi.com
◇行司千絵(記者) 20171021 「顔見える相手と思い交換――市民がつづる小冊子「ジン」 28日に中京で展示:海外でイベント盛ん、京でも」,『京都新聞』朝刊17〔暮らし〕面
◇2017/05/20 「[Zine Talk]イギリスにおけるジン・フェスト/ジン・ライブラリー/ジン関連プロジェクトの概要」(トークゲスト:村上潔)
 16:00〜16:30 於:三島市民生涯学習センター 5F 手芸室
 *《Quiet Hills Zine Festival》内の企画
◇2017/04/23 「[Talk]ジンとフェミニズムの古くて新しい関係」(トークゲスト:村上潔)
 17:00〜19:00 於:art space tetra
 *《Garden #07 For Zine》内の企画
◇2017/04/13 「[Lecture]Zine制作ワークショップ運営にあたって注意すべきいくつかの事柄」(ゲスト講師:村上潔)
 13:10〜14:40 於:同志社大学今出川キャンパス クラーク記念館CL25教室
 *同志社大学経済学部山森亮ゼミ&〈Kyoto Basic Income Weekend 実行委員会〉合同企画
◇2017/01/29 「[Lecture & Workshop]アクティヴィズムとZINE――マージナルな立場からの発信とその共有」(ゲスト講師/ファシリテーター:村上潔)
 14:00〜16:00 於:京都YWCA
 *《丹後もちフェス2017》のワークショップ企画
◇2016/11/20 「[Lecture & Workshop]ZINEを通して学ぶこと・できること――思いをシェアする/運動を知る/文化をつくる」(ゲスト講師/ファシリテーター:村上潔)
 14:00〜17:00 於:ナゴヤ駅西 サンサロ*サロン
◇行司千絵(記者) 20161012 「自身の思いつづる「ZINE」――歴史的背景や意義探る:中京で14日」,『京都新聞』朝刊23〔地域〕面
◇神戸市外国語大学2016年度前期科目「ジェンダー論入門」“Grrrl/Queer/Feminist Zines”(担当:村上潔)
◇西山敦子(DIRTY)×村上潔 20160331 「ジンを「わたしたち」のものとして生かすために――フェミニスト・ジンへのアプローチとその潜在的可能性」(特集3:フェミニスト・ジンの現在),立命館大学生存学研究センター編『生存学 Vol.9』生活書院,196-226.
◇村上潔 20160331 「解題:いまフェミニスト・ジンについて考えること」(特集3:フェミニスト・ジンの現在),立命館大学生存学研究センター編『生存学 Vol.9』生活書院,188-194.
《Morning Zine Circle》(2016/10/14−)
 毎月第2金曜日10:00〜11:00(変更あり) 於:Cafe Phalam[カフェパラン]
 (ファシリテーター:村上潔)


*作成:村上潔MURAKAMI Kiyoshi
UP: 20180906 REV: 20180907, 20190513, 0603, 0714, 15, 26
全文掲載
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