HOME

グージョン(Gudion Sigurdsson)さんへのインタビュー

於:ボストン

Tweet


 ※通訳:長瀬修
 ※暫定版です

立岩 じゃいいですか。はじめまして立岩と申します。川口〔有美子〕さんからグージョンさんのことは、よく話には聞いてます。グージョンさんはついこないだまで世界組織の長を務めてこられたということで、そのことに関係してお伺いしたいと思います。
 やはりALSの関係の国際組織というのは、やっぱり従来は医療の専門家、お医者さんであるとか研究者であるとか、そういう人が主に担ってきたと思いますけど、グージョンさん自身は現在の国際的な運動や組織のあり方についてどうお考えなのか、これからどういうふうにあるべきなのか、ということについて、お考えを伺えればと思います。

グージョン 世界各国から、世界各地からリーダーが必要です。わたしたちの運動というのは、底辺にあるんじゃなくて頂点、トップになければなりません。そして日本の運動、日本の協会も今、申し上げた世界の運動と同じ目的を持っているというふうに理解しています。ここ数日の動きですけど、アライアンスの中にALSの患者の人たちによるアドバイザリー・ボード、諮問機関を設けることが決定いしました。それは私たちにとって非常に大きな前進だと思います。その専門家、職業的専門家、世界の中でほんとうに大きなわたしたちにとっての前進だと思います。

立岩 それはどういうことについて、具体的にアドバイスというか、するってことまで決まっているんですか?それともそういうことは、これから考えていくんですか?

グージョン この機関は新しく設けられたもので、その形はどうなってくるか、これからまだ見なければなりませんけれども、私自身が希望しておりますのは、日本のみなさん、日本のみなさんのグループが、この諮問機関の中で大きな役割を果たしてくださることを希望しております。

立岩 今度新しくできたというのは、どういうプロセスがあって、そういうアドバイザリーの委員会ができたのか、その経緯をお聞かせください。

グージョン 昨年、ダブリンからの帰りの際に、わたしたちと日本の組織と一緒にアライアンスの中でこうした変化をもたらさなければならない。そういう提案をおこないました。ですから提案を受けて何か動きを作らなければならない、というふうに考えられたんだと思います。

立岩 そのことはアライアンスの中で概ね、役員というか中心的な人たちによって問題なく同意されたのでしょうか?その決定に至るまで、例えば慎重論であるとか反対、そういったものはなかったのでしょうか?

グージョン 最終的に理事会で決定されたわけです。そして私自身は反対の声があったようには聞いておりません。(承知をしておりません?)

立岩 今回も何人かのALSの本人の人たちは来られているわけですけど、なかなか我々がここに来るのも大変なことはありました。もちろん交通の問題がありますし、これは去年会議に出た岡部〔宏生〕さんも言っていたと思いますし、参加の費用の問題もあると思いますけど。そうした点も含めてALS本人の人たちがこういった会議に参加しやすくする方策というか、そういったものはお考えでしょうか?

グージョン そのために私自身が闘ってまいりました。たとえば通訳へのコストを、またALS患者一名は、登録料なしで参加できるように、支援者とともに参加できるようにいうことを主張してまいりました。もちろん、一名だけでは足りなくて、足りない方は実際いらっしゃるわけです。ただ残念ながらアライアンス側からの対応、反応としてはあまり芳しくなくて、ALSの人をもっともっと参加させようという動きはまだまだ鈍いのが現状です。登録料につきましては、高いんですけれどもALSの人の場合は割引もあります。

立岩 本人の人が今の高いお金を全額払うかどうかは別としても、払うというのはわかる気がしますが、その介助をする人についても費用がかかるというのは、もっと工夫できるのではないか。介助者については費用はかからないようにするというのが、よいのではないかと思うのですが、それはいかがでしょうか?

グージョン もちろんPAの登録料なしにということで、私も主張してきましたけれども、アライアンス側からの見解といいますか、PAも払ってもらうというのは、昼食等の食費の部分だというふうに言われます。それに対しても私たちは提供される食べ物を、食べない人もけっこう多くいるわけですね。ですからPAの登録料の問題というものは、引き続き話し合わなければならない課題だと認識しております。

立岩 こういった組織が医学的研究、治療法の原因の究明、治療法の開発の方に力を注ぐ、それは大変よくわかることだと、一方でよくわかることだと思いますが、それはそれとしてそれ以外にこういった国際組織が目指す目標といいますか、というものとしてグージョンさんはどういうことが大切だとお考えでしょうか?

グージョン 治療法がみつかるまでのケアの問題が、非常に重要だと思います。私たちがきちんしたケアを入手して、自立した生活が送れるということが重要だというふうに思います。ただ現状では私の場合ですけど、アイスランド語を話しますので、こうした会議にアイスランドから参加しようという場合には、通訳者が必要になります。あと、さまざまな機材が必要です。現在はそういった通訳や機材の部分についても、私たち自身が負担をしなければならないということで、しないといけない。こうした会議への参加は制約されている。これもまた、重要な事項だと認識しております。しかしアライアンス側から言われましたのは、アライアンスとは個人の集まりではなくて、各国の協会の集合体である。そして主だった勉強会というのは、専門職が構成している団体であると言われてしまう。しかし私たちの場合ですけれども患者が主体になって運営を行っています。ですからアライアンス側から私たちへの支援が必要です。それがなければ私たちとしてアライアンスの中に留まって活動する、そういう理由も見出し続けていくというのは難しくなるかもしれません。そして私たちのお金というものを、アイスランドと日本の直接の交流と、そういったものに振り向ける。そういった可能性もあると思います。

立岩 先ほどケアの技術が確立するまではケアが大切だ、重要だというふうにおっしゃいました。その通りだと思います。ただ今日の午前中に、例えばオランダの方にお伺いしましたけれども、だいたい週に30時間くらいの制度的なケアしか得られていないと。これはもしかしたら日本は例外的かもしれなくて、割合・数は多くありませんが、時間的には多く出ているところがありますけれども、世界的にはまだ非常にそういった状況にはなってないと思います。そういった状況を患者というかALS本人たちがどういうふうに変えていくことができるのかなと思うのですが、それについてグージョンさん、何かお考えありますでしょうか? あるいはこういった国際組織が、何かできることってあるんだろうか?

グージョン アイスランドで私たちはずっと闘ってきています。それは自立生活を実現するための闘いです。私自身の場合ですけれども、政府の予算を使って、自分自身でヘルパーを雇用しています。これは日本でも同じだろうと思います。私たちは常にもっとたくさんの時間のケアを得るために、闘いを続けてきています。例えば週末の時間だったり、夜の時間を含めてです。アライアンスはそうした、より良いケアのために闘うというのを助けるということが、できるんじゃないかと思ってます。

立岩 現在の国際組織、今の形態の組織でそういったところに、積極的提言であるとか要求であるとかっていうのは可能だというふうにお考えですか?

グージョン もちろん答えはイエスです。ただしそれはこうした組織にそうした意欲があればという、「もしも」という前提になってしまいます。そして各国、各地そして一人一人の事情は非常に違いますから、そのそれぞれのニーズにあったケアを提供できるような、資金を準備するのは無理だと思います。私たちが弱くなっていくときに、非常にタイムリーな支援が必要になると考えますと、そういう体制を築くというのは難しいと思います。一番最初の国際的な組織として、どのような対応が必要かということにつきましては、どういうふうにそうした文章を書いていくのか、というのが肝心だと思います。

立岩 僕からはだいたい以上です。ありがとうございます。私たちは日本から来ているので、主に使う言葉も日本語になってくるんですけれども、これからできるだけ英語も使いながら我々としての情報の交換を特にアジアの人たち、それから世界の人たちとできるように主にウェブサイトを使って、お知らせしたり、我々が情報を得たりするという活動をこれからしていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

グージョン 私たち各国のALSの人たちの組織、協会が協力をしてアライアンスに対して協同の提案を文章の形でおこなっていくということが大事だと思います。

立岩 各国の協会が積極的に活動する。そして国際的なこの組織に訴えていくということ、おっしゃる通りだと思います。同時に私は例えば研究者ですけれども、いろんな立場の人がその今ある国際組織とは違う形のネットワークというものを持ってですね、情報交換したり、あるいは各国政府に訴えていくというような形が、別の形態のネットワークだったり組織であったり、そうしたところからも可能なのかもしれないと思っていますけれども。そういったことはグージョンさんお考えは、あるでしょうか?

グージョン アライアンスの中で、各地域ブロックごとのアライアンスというものがあります。アジア太平洋だったりヨーロッパだったり、南米の地域ブロックのアライアンスです。アライアンスの中で考えたときには、地域ブロックごとの動きというのが非常に重要だと思います。このアライアンス以外の枠組みというのを作るというのは、新たに作るというのは非常に時間、そして努力をたくさん要するものだと思います。それについてもみなさんと一緒に考えて取り組みたい気持ちはいつも持ってます。

立岩 この国際組織というのも歴史的経緯といったものがあって、簡単にいえばイギリス、そして北米、そういった所の専門家たちが中心となって動いて来たというのが歴史的な事実だと思います。そうした流れというものが地域別、いろんなヨーロッパや北米だけでない地域に活動の場が、広がっていくことによって、その組織全体、あるいは運動の全体というものがこれから変わっていく可能性があるというふうにお考えでしょうか? 今後の国際的な動きというものが今までのようなその、英国であるとか北米であるとかそういったこと中心の動きから、変わっていく可能性というのはおありだとお考えでしょうか?
 今までの活動がイギリスや北米が中心だったものが、その世界的な各地域でブロックができたりして、活動が世界に広がっていくことによって活動の形というか、方向というものが変わっていく可能性があるというふうに考えていますかっということです。

グージョン そういう変化が起こるということを願ってます。ただ今、私が非常に注目しておりますのは、先ほど申し上げたアドバイザリーグループです、諮問グループです。これがどういう影響力を持っていくのか、というのを来年くらいには、ある程度猶予期間といいますか、来年の間にどういう変化が起こるのか、起こらないのか。来年中に変化の兆しがない場合には新しい方向に踏み出すことを考えています。

立岩 ありがとうございました。私からは以上ですが、みなさんいかかですか?増田さんいかかですか?

グージョン みなさんこれから食事されますか?シンポジウムに参加されますか?みなさんに会えてよかったです。

(それぞれ英語でやりとり)

通訳者 何かメッセージはありますか?

グージョン その通りだと思います。アイスランドでも同じメッセージを出していきたいと思ってます。ありがとうございました。

立岩 ありがとうございました。今年は協会としてじゃなく増田〔英明〕さん個人として来たんですけれども、去年岡部さんがグージョンさんと、いろいろ患者が主体でいろいろ活動していうこうとお話しされたのが、今年アドバイザリー・ボードという形で実現したのかなと思うと、去年岡部さんがこの会議に来て、参加したということの意味があったのかなと思った次第です。今日はどうもありがとうございました。

■cf.


UP:20171215 REV:
安楽死・尊厳死:オランダ  ◇病者障害者運動史研究  ◇インタビュー 2017 at Boston 
TOP HOME (http://www.arsvi.com)