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「国際障害者デー:障害者の権利と障害学国際セミナー」

張 恒豪 台北大学社会学系教授 [外部リンク:中文英文]
高 雅郁 立命館大学先端総合学術研究科博士後期課程院生

20171201
自由時報(Liberty Times Net)[台湾]
http://talk.ltn.com.tw/article/breakingnews/2270323

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last update: 20171230


(中文本文は2017年12月1日に台湾の自由時報(Liberty Times Net)下記のリンクに載せる
http://talk.ltn.com.tw/article/breakingnews/2270323
日訳者:高雅郁)


障害学会と国際障害者デーの縁起

1992年から、国連は障害者が社会に各方面で権利と福祉を発展のため、また、障害者が政治、社会、経済、や文化などの実況を認識させるため、毎年の12月3日に「国際障害者デー(International Day of Disabled Persons)」に採用された。台湾には2014年に、「国際障害者権利条約(Convention on Rights for Persons with Disabilities, CRPD)」を批准、国内法にされ、障害者の人権を実現するとの決意を宣言された。しかし、前日に法廷で父親が介護の負担が重いため、障害のある息子に殺した2016年の事件を審理した。障害者権利条約を批准した後、このような事件がまた起こされたことを、台湾で障害者の人権を実現できるまで、また長い努力の道があると分かった。

親が障害のある子どもを殺害の事件は台湾の特有事件ではない。1970年代に日本で母親が障害の子どもを殺した事件もあった。当時、多めの声は当事件の母親に同情し、親の会も刑罰を軽くなって欲しいと要求した。しかし、この事件で、日本史上初めて障害者の当事者団体―青い芝の会―が抗議行動をして、その謀殺行為に反対した。そして、「われらは愛と正義を否定する」との宣言を発表した。それは、「愛」という理由で障害者を殺したことに反対した。また、障害者を殺した親に同情するという正義にも反対した。今年台湾で初回の障害者権利条約国際審査会議の委員長の長瀬修氏の観点によると、その宣言は、日本の障害学の起点に促成したとは言える。

立命館大学で勤め、そして現在日本障害学会の会長の立岩真也教授は、その宣言の影響を受けされ、1995年に『生の技法――家と施設を出て暮らす障害者の社会学』という本を出版した。その後、2007年に立命館大学で「生存学センター」を成立し、障害研究が関心事になっている。「障害学・障害研究」という言葉は日本で最初に出たのは、日本で一人目の視覚障害の社会学者、現在静岡大学で勤務、そして国連の障害者権利委員会日本代表としての石川准氏及び長瀬修氏が1999年に共同編集した本『障害学への招待――社会、文化、ディスアビリティ』のなかで紹介された。その後、東京と大阪で研修会やセミナーを行い、2003年に障害学会を成立した。初任の会長は石川准氏、事務局長は当時東京大学で勤めていた長瀬修氏が担当した。現在、日本の障害学会は500名以上の会員が加入し、毎年年会を行い、そして、障害学研究の学会誌も出版する。韓国も日本の影響を受けされて、障害学会を成立して、定期的に集まっている。


「障害研究」とは何?

「障害研究」というのは、この2、30年に新興の研究領域である。ジェンダー研究、人種・民族研究やLGBT研究などの圧迫された対象者にの研究と類似な学術的な政治立場がある。「障害研究」が強調するのは、障害は人生の一生に連続経験の一部分であり、人類全体(障害がある人と障害がない人と共に)にとって重要な共同経験である。「障害研究」の主張は社会、政治、経済に重大な影響があって、過去に医療的、個人的な損傷を強調するアプローチに挑戦したが、医療的な貢献は否定しない。

「障害研究」特に強調するのは、環境と社会が作った障壁であり、多領域の参与に促進の希望である。過去30年に、欧米で障害学の研究センターがあり、そして、大学部、修士、博士の学位もある。例えば、北米に1986年から「障害研究学会(Society for Disability Studies)」があり、「障害研究誌(Disability Studies Quarterly)」も出版された。なお、イギリスの障害学者オリバー(Oliver)とバルトン(Barton)は1986年に「ディスアビリティー、ハンディキャップ、及び社会(Disability, Handicap and Society)」のジャーナルを出版し、1993年に「障害と社会(Disability and Society)」に改名、現代に当領域の最も重要なジャーナルと認める。また、イギリスのリーズ大学(Leeds University)は1992年に障害研究ユニットを成立して、1999年に「障害研究センター(Centre for Disability Studies, CDS)」に改名した。米国のハワイ大学研究センターは30年前から「太平洋地域国際障害と多様性コンファレンス(Pacific Rim International Conference on Disability and Diversity)」を主催し、「国際障害研究評論(Review on Disability Studies: An International Journal)」というジャーナルも出版する。北欧も1997年から「北欧障害研究ネットワーク(Nordic Disability Studies Network, NNDR)」があって、「スカンジナビア障害研究ジャーナル(Scandinavian Journal of Disability Research, SJDR)」を出版する。

欧米と比べると、アジアの発展は相対的に遅い。「障害学国際セミナー(East Asia Disability Studies Forum)」の縁起は2009年から日本立命館大学の生存学センターと韓国障害学フォーラムとの連携関係で始まった。次年から毎年11月ごろ日本の立命館大学にて、また韓国のソウルにて交替に「日韓障害学フォーラム」を行った。2014年に中国が加入してから、「障害学国際セミナー」に変更した。台湾は2016年から参加し始まった。この数年間のテーマは下記の表のようである。


年度 テーマ 主催地
2010年 障害アイデンティティと差異の政治学 韓国、ソウル
2011年 被災した障害者の避難をめぐる困難について 日本、京都
2012年 差別禁止法 韓国、ソウル
2013年 差別禁止――どこまで/どのように可能か/妥当か? 日本、京都
2014年 障害と治療 韓国、ソウル
2015年 社会サービスと障害者の権益保護 中国、北京
2016年 法的能力(障害者権利条約第12条)と成年後見制度 日本、大阪
2017年 近代化、脱近代化と障害学 韓国、牙山市

現在は日本の立命館大学「生存学センター」[外部リンク]、韓国の「障害学フォーラム」、中国の武漢大学「公益及び発展法研究センター」、及び台湾の「障害研究学会準備会」と共に交替で行う。


バリアフリーとアクセシビリティを配慮する障害研究会議

筆者は2016年から上記の「障害学国際セミナー」に参加し始まった。この会議は一般的な学術会議とは違うのは、障害当事者の参与が重視する。2016年に日本の会場で手話通訳と文字通訳が同時に用意した。(残念なことは、今年韓国の主催側は予算が不足のため、手話通訳と文字通訳は用意しなかった。) また、会場のバリアフリーとアクセシビリティのこともなるべく配慮した。たくさんの障害当事者が会議に参加、発表、そしてコーディネーターやコメンテーターも担当した。このフォーラムの主題は、過去に障害者は福祉サービスの利用者のロジックを転換して、障害者の主体性と社会参与及び障害の社会共同性に強調する。同時に、学者及び英語が話せる方々に限らなく、現地の方々が多く参加できるため、日本語、韓国語、中国語の3つの言葉の同時通訳を提供し、対話の促進を目指す。印象が深いのは、今年韓国牙山市で開催した会議には、日本から74歳のALS(筋萎縮性側索硬化症)の方が参加した。彼は5人の介助者が必要で、命をかけて韓国まで行ったとは言える。彼は人工呼吸器をつけているALSの患者も、命を輝ける権利があることを見せるため、これから12月上旬にもう一度海外渡航、米国のポストンへALSの会議に参加する予定。

障害研究の会議に、障害当事者の参与は貴重な役割がある。主催側もなるべく会場のバリアフリーとサポートを配慮した。これから、台湾で国際会議を主催するときも障害者の様々なニーズが配慮できるように願いたい。


「自己決定」と障害者の法的能力の討論

討論議題について、障害学は過去にアジアでまだ討論されていない、そしてたとえ思った議題を深く討論する。2016年の主題は「法的能力」。その議題の主な紛議は従来に知的障害者は認知能力が不足だと思われるため、後見人や補佐人が知的障害の当事者の最大利益を考えて代理決定することが必要とのこと。でも、国際障害者権利条約12条は成年後見制度を廃除、代わりに、障害当事者の自己決定を支持してあげる制度を作ろうとの概念がある。しかし、現在日本、韓国、及び台湾は、基本的には成年後見制度の廃除に質疑を持ち、また成年後見制度を継続推進している。「自己決定」は実際に非常に複雑であり、各決定は当時個人及び社会の状況と関係に関わる。障害研究の観点から見ると、人間は決定当時の社会条件により、個人のソーシャルネットワークの関係人の意見を参考し、有限な選択肢から「自分」で決める。言い換えると、全ての決定は「社会的」、そして「制限された」決定である。

人間はどんな理由があっても、自己決定の権利を奪われないはずだ。決定は同時にコミュニケーション(当事者の意思を本当に理解してもらうかどうか)と当事者は決める能力に関わる。もし決定の社会性を考えるなら、「関係性の自主性(relational autonomy)」と「社交的なサポート(community social support)」の二つ概念は、個人の自主性は社会関係に存在することを強調する。ですので、知的障害者は生活の中に関わる人々からサポートをもらい、その当事者の決定を集団的に支援するとの解明がある。しかし、このような理念は実際にどうやって実現するか、極大な挑戦である。

今年韓国牙山市で行った障害学セミナーの主題は「近代化、脱近代化と障害」。現代主義が強調する同一性、規制化の身体は脱近代の差異と多元な社会で、障害者は人類差異の挑戦と制限は何かを討論した。また、脱近代化の消費文化の社会で、障害の再現はどんな役割があるか?科技と障害の相互関係は何か?新興な科技の発展は障害の定義と障害者の社会参与に可能な影響は何か?なども討論した。障害者が参与しない場合は、科技中心主義の科技物は不器用になり、更に使えないだろう。最後に、参加者は東アジア障害研究の未来、挑戦及び制限を注目した。特に西方の理論を引用した過程に、現地の経験はどうやって累積、対話するか、更に本土の理論の発展を促進することを討論した。


東アジアの挑戦

東アジアの脈絡によって、ある議題は特に討論の必要があると思う。例えば、個人権利と家庭関係の錯綜。東アジアで成年の障害者、特に知的障害者は家族の責任だと思われ、家族も成年の知的障害者を独立な主体だとは思わない。知的障害者は法的に成年後見をされていなくでも、「親」が「ガーディアン」になるのは当然なことだと思われる。親の責任と代理決定は一緒に考えされる。近年に、家庭形態の変遷、支援体制及び法律規範の変更、親と成年知的障害者の潜在な権利紛争は徐々に浮かんでいく。個人主義を予想された法律構造の下に、関係性の自主性及び社交的なサポートは如何に実現するか?どうやって家族の支持を適切に含まれるけど、家族の責任に押させないよう、更に家庭主義と個人自主の論争を避けるのは、現在の台湾はまだ深く綿密な考えや討論をしていない、そして、脱近代化の脈絡や挑戦にもまだ入っていないだろう。

来年台湾にて「障害学国際セミナー」を主催する。「障害学・障害研究」の定位、意義、及び影響力はもう一歩推進しなければならない。12月3日の国際障害者デーのきっかけで、台湾社会に提示したいことは、「障害学・障害研究」というのは、独特な立場と観点があり、障害に関わる全ての研究は障害研究とは言えない。障害者権利条約を実現するため、台湾政府と社会は従来のように慈善的や医療的な観点に留まっていることはいけない。そして、個別の障害当事者の唱導とアドボカシーの仕方も変わらなければならない。東アジアの経験と連携しながら、「障害学・障害研究」の視野と研究を進めることは障害者の人権を実現するために不可欠の一環だろうと思う。



*作成:小川 浩史 翻訳:高 雅郁
UP: 20171228 REV: 20171230
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