障害者基本法が2011年に改正され、障害者自立支援法が障害者総合支援法に変わり障害者虐待防止法、障害者差別解消法と改正障害者雇用促進法が出来ました。これらは2008年に発効した障害者権利条約を批准するために行なわれ、日本は選択議定書を除き2014年に障害者権利条約を批准しました。「骨格提言」とは、権利条約批准のために政府に造られた障害者制度改革推進会議の総合福祉部会がまとめた文書です。本来この骨格提言を受けて自立支援法は廃止されて新しい法律が出来るはずでした。
しかし骨格提言の多くは無視されて名前が総合支援法と変わったのです。これは障害者自立支援法によって、「応益負担」、すなわち必要とする支援の量に応じた負担を強いられることになった障害者たちが、食事や排泄、移動といった当たり前の行為の援助に過大な負担を課すことは、それ自体障害者に対する差別であり、憲法に保障された基本的人権を侵すものだとして争われた裁判の和解として政府と交わされた「基本合意」に反することでした。
私達は、昨年7月、相模原津久井やまゆり園で起きた差別的憎悪犯罪(ヘイトクライム)を忘れません。この犯罪は生産を重視する適者生存と勝者総取りの野蛮な思想、役に立たない命の否定に行き着く優生思想に基づいて行なわれたのです。
それにも関わらず政府は、問題を措置入院のあり方に矮小化し、精神障害者の管理を強化することで対応しようとしています。また「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」で社会保障の削減と公的福祉の後退を進めようとしています。私たち医療や福祉を治安のために使うことに反対します。弱者の生は否定して良いとする優生思想に反対します。再分配を認めない社会保障の切り下げに反対します。
障害者基本法が改正されたときには批准していなかった障害者権利条約が国内的に効力を持ち法律の上に位置するようになった今、障害者基本法の中に条約をきちんと位置づけその完全履行を計らなければなりません。それは条約を受けて作られた「骨格提言」を完全実現することも意味します。私たちは棚上げされた骨格提言の実現を求めて毎年日比谷野外音楽堂で集会を開催してきました。今年は10月27日です。権利条約、基本合意、骨格提言の完全実現を求めます。
障害者権利条約の作成審議の最初から、私たち抜きに私たちのことを決めるな! ということで障害者は積極的に関与し、参加し、運動し、闘ってきました。
多くの先人の闘いにより獲得されてきたものを引き継ぎ、さらなる前進を目指して今年も10月27日に集会を持ちます。多くの賛同を求めています。