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レビュー:『夏の娘たち〜ひめごと〜』

村上 潔 2017/09/29

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last update: 20170929


◇kiyoshi murakami(@travelinswallow)
『夏の娘たち〜ひめごと〜』:小さな山間集落共同体の濃密な人間/性関係を描いた作品だが、何より驚くのは、閉塞感や陰湿さを感じさせないこと。文章で説明したら陰惨さを免れえない設定も、からっとした、さらにいえば瑞々しささえ湛えた描写で描き切る。シュールでもブラックユーモアでもない。>続
[2017年9月29日21:33 https://twitter.com/travelinswallow/status/913743512474025985]

◇kiyoshi murakami(@travelinswallow)
『夏の娘たち〜ひめごと〜』:続>それを可能にしているのは、まずは(それ自体は何の特徴もない)山と川の存在と、古い旅館の空間。そしてたびたび出てくる「道」。物語を動かすのは(物語上の過去・現在いずれにおいても)「外」から戻ってきた人間たち。その移動/出入りこそが共同体を動かす。>続
[2017年9月29日21:38 https://twitter.com/travelinswallow/status/913744867242549249]

◇kiyoshi murakami(@travelinswallow)
『夏の娘たち〜ひめごと〜』:続>この物語は、前近代的な共同体の性質をポジティブにもネガティブにもモデル化してもいない。道を通って人が出入りし、関係を取り結び、世代が再生産される。ただそれだけの現象を、現在のとある山村を舞台に示してみせた。とはいえそれはドライな切り口ではない。>続
[2017年9月29日21:44 https://twitter.com/travelinswallow/status/913746423924924417]
*訂正:「モデル化してもいない」→「モデル化していない」

◇kiyoshi murakami(@travelinswallow)
『夏の娘たち〜ひめごと〜』:続>カメラが(「道」の移動には欠かせない)道祖神を象徴的に捉える目線には、なにがしかのヒューマニティを感じるし、人物一人一人の泣き笑いの様態は、いずれも短い時間だがしっかりと見据える。個の感情を軽視しているのではない。空間と人間にいつも寄り添っている。
[2017年9月29日21:49 https://twitter.com/travelinswallow/status/913747513617690624]

◇kiyoshi murakami(@travelinswallow)
『夏の娘たち〜ひめごと〜』:続>補足すれば、いうまでもなく道祖神は子孫繁栄の象徴でもある。この物語で描かれる(前近代的)性の共同性は、「性」と「産」、つまり特に女性の身体と性規範をつねにコントロールする近代国家のシステムに対置される。別のシステムの可能性の提示、という意味はある。
[2017年9月29日22:09 https://twitter.com/travelinswallow/status/913752504923328513]

◇kiyoshi murakami(@travelinswallow)
『夏の娘たち〜ひめごと〜』:続>もちろん実際には、いま現在どんな過疎地域に行ったところで、そのような性の共同性は存在していないだろう。ただこの物語をたんなる突飛な話に貶めていないのは、やはり実際にある山と川が織りなす空間の力によるのだと思う。それは人とともに生きてきたものだから。
[2017年9月29日22:15 https://twitter.com/travelinswallow/status/913754148792786945]

◇kiyoshi murakami(@travelinswallow)
『夏の娘たち〜ひめごと〜』:続>ここにこそまさに、堀監督が天竜区でのドキュメンタリー制作で培った方法論が「生きている」のではないだろうか。それはたんなる技法の問題ではなく、物語の表現を豊かにし、説得力をもたせるための必然的な選択として。まさに「自然に」あるべき、映画の方法として。
[2017年9月29日22:26 https://twitter.com/travelinswallow/status/913756828009324545]


■『夏の娘たち〜ひめごと〜』
 (2017/75分/HD[ブルーレイ上映]/R-15)
 監督:堀禎一
 http://kobe-eiga.net/program/2017/10/3249/


*作成:村上 潔
UP: 20170929 REV:
全文掲載
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