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横山晃久氏インタビュー

横山 晃久 2017/09/01 聞き手:小井戸 恵子
於:自立生活センターHANDZ世田谷事務所(東京)

病者障害者運動史研究

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last update: 20200308


■2017/09/01 HANDS世田谷にて 58分

横山:いつでもそれ(メッセンジャー)で電話つながるから電話すればいいよ。僕から良い情報。一個はね、先週の火曜いや今週の火曜日か。久しぶりに要求者組合系の東京都交渉に出たんだよ。

小井戸:22日にあるって言ってた?

横山:そうそう全都在障会。15年ぶりに出たわけ俺。相変わらずね、三井絹子の旦那とかさ木村英子の旦那とかさ旦那ばっかりくっちゃべっていてさ障害者おとなしいんだよ。ぜんぜん体質は変わんない体質は。

小井戸:本人も来てるんでしょ?

横山:来てるよ。いきさつがあってね俺と要求者組合の。

小井戸:前にも、そんなようなこと教えてもらったことがある。

横山:そう、それでね俺ね、JILはへなちょこ障害者ばっかりつくっていると言われたわけね。それで僕は組合とは関わってなかったわけ。

小井戸:横山さんがそこに15年振りに行ったっていうのは、このあいだ「一歩の会」の書き込み見たんですけれど。一歩の会で要求者組合と障害連とDPIに加入したいと思うけれども、みたいな。

横山:はい、そうそう。

小井戸:あらためて、そこに関わって行こうと思うのはなんで?

横山:僕ね、拘っているのは自分の障害なんだよね。CPがこの頃すっごく蔑ろにされてるんだよね。で、どんな会議行ってもさCP少ない。ま、こんなこと言うのは??(聞き取れない)だけど、日本の障害者運動つくってきたのはCPなんだね。で、青い芝なんだね。 ところがいま青い芝の一期生がどんどんどんどん倒れて行っているわけね。それで金子さん、知ってるでしょ。

小井戸:はい。

横山:――― だからそんな感じでさ青い芝の一期生たちがみんなさ特養とか入っちゃってさ。俺すっごくさ危惧してるのは、日本の障害者運動終わっちゃうよって。このままでいくと。だって差別っていうかさ、差別とはなんなのかを語れないんだもん。それにさ、僕たちは生まれつきじゃん。どうしても生まれつきの障害者と中途でなった障害者の差別観が全然違うんだよね。僕らは生まれつき差別を受けて来たわけだ。頚損・脊損の人たちに優生思想の話をしても分かんないんだよ、ピンと来ない。

小井戸:あの...、そのことと関連するかどうか分からないんだけど。AさんがDPIの女性の代表でいたじゃないですかけっこう長い間。いまは視覚障害者の人になったって。さっきAさんと話していて、代表を降りたその理由が「内容が難しくなった」って言ったんです。会議の内容とか。

横山:だから要は、専門的になって来たってことね当事者が。

小井戸:専門的ね〜。それって、先天性の障害とかで養護学校にいたりとか、そうゆう生活を送っていたことと関係します?

横山:関係する、関係する。僕なんかいつでもさ、脊損・頚損の連中はね半分健常者だって言ってるからね。俺たちは生まれつきだから。それにCPだけなんだよね、いまんところ言語障害あるのは。だからものすっごい言語障害ってところで拘っているよ一歩の会は。一歩の会のメンバー増えてるんだもん。最近は16の男の子とかね、22の男の子が入って来てるんだよCPの子が。必ずね僕らが守ってるのは、会議の場に出る人は、必ず一言なんか言えと。自己主張しろと。みんなね、言いたくてしょうがないわけ。でもねほら時間がかかるんだよ言語障害って。

小井戸:でも、それ普通じゃないですか。っていうか私の中では普通だけど。

横山:そう、でも頚損・脊損には分かんないわけ。だからこのまま行くと、ほんとに日本の障害者運動終わっちゃうんだよね。

小井戸:終わらせないためにも一歩の会を作って行くって言っていたじゃないですか。青い芝の活動が大変になって来ちゃったので一歩の会でって。

横山:一歩の会できてまだ2年なのね。だけど2年で60人くらい集まっているわ けよね。だから僕はね、CP連合を作りたいなと思ってるわけ。それか障害連とかね一歩の会とか、あと要求者組合のメンバーを軸にして第2 の青い芝を作ろうかなと思っているわけ。ほんと、やばいよこのままで行ったら、ほんとに。

小井戸:そうゆうことを伝えて行ける人はなかなかいないでしょ。さっき亡くなっているって言ったけど。一歩の会にしても、横山さんがこれからやって行こうって思っている事を伝えて行く。以前に、一歩の会みたいなものを作るって言っていて1年くらい経ったらもう作られて、すごいなって思ったけれど。それを続けてやって行くために。運動する人は他にもいるからって言われるけどなかなか。次を育てるみたいなことは...?

横山:俺なんかさ、いつの間にか気が付いたらさ、俺しかいな いんだよね。CPでこんだけ精力的に動いてるの。だからほんとに、俺みたいなやつをたくさんたくさん作んないと。いま、だから若手をどんどん鍛えなおしてるわけ。

小井戸:最初に言われた、時代が時代なだけになかなか難しいけど?

横山:そうね〜(深いため息)。

小井戸:でも育てなきゃならない。

横山:だからね〜、なにが優生思想なのか、なにが差別なのかっていうことね。で、なにが合理的配慮なのかっていうことだよね。昔の青い芝だったら??(聞き取れない)

小井戸:何がある?

横山:でんしゃにのるいた、あるでしょ。

小井戸:あ、電車に乗る板ね。

横山:昔の青い芝だったら、あれが差別だって言うわけよ。

小井戸:そうなの?なんで?

横山:だから、人とは違うから。板なんか必要ねえと。4人くらいで運べばいいだろうっていうのが昔の青芝。今の若い人は、あの板が合理的配慮なんだよ。だからその違いなのね。僕だってね最初はね、今から...まだ新しいんだよ...4年前、一歩の会を作る前、全国青い芝の会議に出たわけ。長老が居てさ「エレべーターは差別だ」と。なんでかって言うと、エレべーターはどんどん使いにくくなっていると。

小井戸:いろんな人が使っているから?使えるようになったから?

横山:そう。いや、いや、それもそうなんだし、無人化。エレべーターを付けることによって駅が無人化になってる。エレべーターだけで対応できない人はどうするの?と。俺、考えさせられて、なるほどな〜って思ったわけ。

小井戸:エレべーターを付けろっていう運動をして来たんだよね?

横山:そう、僕らはね。だからほんとに、差別の真髄をついてるなって思ったけどね、そん時は。だけどいま、みんなエレべーター使ってんじゃんかよーって。じゃあ、おまえらエレべーター使わねーのかよーって、ガハハハ(大爆笑)。

小井戸:思っちゃう?

横山:うん。ま、そうゆう、ほんとに障害者運動??(34分50秒あたり聞き取れない)の奴をつくんないともう負けちゃうね。だからそのために僕は一歩の会の枠を超えて...まあCPは拘っているけど...会員はCPで...一歩の会の枠を超えて、障害連とかね、要求者組合のメンバーのCPの連中を集めて厚生省交渉とかやって行きたいなと思ってるわけ。

小井戸:すごいですよね。そうに思って進んでいるってことが。

横山:あのね実はこのあいだね、恵子さんが来れなかったんだけど、東京都交渉あったじゃない。あの3日前に木村栄子から俺の所にラブコールがあって、「横山さん出てきてほしい」と。「横山さんが来ないと交渉はじまんないのよ」と。みんなおとなしいからさ。俺とCPが行ったわけ、その交渉にね。「一歩の会」で1 人、その交渉に行ったわけ。僕もそうなんだけど、全都在障会のメンバーは全身性重度脳性マヒ者介護人派遣事業を復活しろという一本の要求があるわけよ。ところがさ東京都はさ、のらりくらりで。

小井戸:いまは?

横山:家族支援だけ。親が大変な時にって冠婚葬祭とかの。

小井戸:レスパイト?

横山:それ、それ。月に12回だけ。2004年かな大きな流れがあったわけね。それまでは全都在障会で年に多い時で6回くらい交渉やって。84年にね4回だったわけ4 回。それだんだん交渉やって4回から8回なって、8回から10回なってということで。まだその時に新田がいたから、新田と俺なんかは、目標は24時間365日で東京都単独のね事業を作らせようということで、やっと出来たわけ。ところが2003年に、東京都はハシゴを外したわけ。なぜかって言ったら、「国が補完する制度がある」と。そのとき東京都は年間16億円かな、全身性介護人派遣事業、都の単独だからさ、国からの補助が無かったわけ。で、東京都は国の自立支援事業に目を付けたわけよ。で、「いま東京都は単独制度を作らない」と。恵子さんも分かっていると思うけど、いま都道府県の役割がほとんど無いわけね。国から直轄で市区町村なるわけ。昔はさ国があって都道府県があって、その下に市区町村があったわけ。そうゆう役割分担が在ったんだけど、いまはそうゆうの無いわけ。で、指導もできないって言うわけ。

小井戸:国としては?

横山:うん。東京都はさ、ご多分に漏れず単独事業を作らないという方針です。で、俺なんか吠えまくっちゃってさ。あとね、なにが差別なのか、なにが合理的配慮なのか、なにが介助者なのか

小井戸:ん?なにが介助者なのかっていうのはどうゆうこと?

横山:要するに、ボランティアと介助の違いだよね。

小井戸:あ〜、なるほど。

横山:あいつらなんでもボランティア、ボランティアで済ませようとするからさ。そうゆうふうなことをね、前の課長だったらね、聞いたら答えられたと。あんたぜんぜん答えられねーじゃんか、あんた勉強不足だよって。僕たちが目指しているのはケアマネージャーじゃなくて、自分でコントロールできる云わば事業所派遣じゃないって。自分で介助者みつけてその介助者を育ててというやり方をみんなやって来たと、ここに居る連中は。だから東京都は僕たちに感謝するべきだと。なぜかって言うと、介助保障っていうのは人的補償と金銭的補償があって、人的補償は僕たちがやると。だから金銭的補償やれと。あんたたち俺たちに感謝すべきだろう、そんなことも分かんないのかと言うことで、じゃあ課長集めて係長も入ったとこで勉強会やろうぜって僕がひつっこく提案したわけ。むこうもなんとか合意したわけ。

小井戸:ほおー。じゃあ、これからもやるんですかね?

横山:やるやる。それが新田のやり方なのね。まあ、??(聞き取れない)に人数は少なくてもいいから、コアんなるメンバーを入れて、こちら側の味方の課長、部長つくって、それで動かして行こうというのが新田のやり方だったんだね。まだすごい長い闘いになると思うけどね。でもね〜、でもね〜、一歩の会の若いメンバーはね〜、「横山さんみたいにはなれない」とはなから決めているわけよ。自分でセルフコントロールするのは疲れちゃうと。一歩の会の若い連中と話をよくしてるんだけど、今月は自分でやるから来月はぜんぶ事業所にお任せと。 そうゆう選択制があればいいって。

小井戸:そう、おっしゃってましたよね。

横山:それが今の若い連中なんだね。俺たちはなんにも無い所から始めたからね。若い連中はさ、制度がある程度整ってきたとこでやってるから、そうゆう甘ちゃんなんだ。僕に言わせれば、甘ちゃん、甘ちゃん。そう、そう。でも、それも時代だかなーって思ってねー(大爆笑)。

小井戸:時代かー。

横山:昔だったら、ふざけるなー!って言いたいんだけどさ。

小井戸:いま言えない。じっと我慢の子。

横山:はい、はい、はい(爆笑)。でね、えーとね、じつはね9・27木曜日に要求者組合の厚労省交渉があってね、それは組合として厚労省だけでなく文科省も呼んだと。なぜかと言うと、介助者が少ないというのは文科省が原因だと。大学にそうゆうカリキュラム無いじゃないか、だからいっくら募集しても集まって来ないでしょと。そこんとこを文科省に言いたいと。いうことで、文科省交渉もやると。9・27が組合の厚生省交渉で、大フォーラムの厚生省交渉はその2日あとの29日。だから、あの〜...あれよ、パワー残しといてねー(笑)。俺、小井戸さんとはすごい良い関係でいたいし長続きしたいからね。

小井戸:ありがとうございます。お願いします。

横山:若者育成事業はぜんぜんダメ。だってCPが入ってないもん。

小井戸:育成事業に申し込んでくださいってMLに乗ったりしてるでしょ。そこに、スカイプでやっていくって。そうすると、いま言った言語障害あったり、テンポっていうか、それどうになって行くんだろうってちょっと思った。一歩の会の人たちはどうに考えているのかな?って思った。

横山: あのね、実はね、そこは金子さんと3年前から話を合いをしてるんだね。もう...、そうゆうね、まだまだイデオロギー闘争やってるんだよ。俺なんかバカバカしくて話んならないよ。まだ引きずってるんだよ党派を。ほんとにもういやだねー。僕は自分の目標に着々と進めているからね。みんなCPいやがってるんだよね、ほんとに、特にあの中西とかさ。

小井戸:でも、立候補すれば研修受けられるんでしょ?

横山:俺になってくれって言われてるんだけど。

小井戸:年齢がだいぶ違うよ。あ、教える講師のほう?

横山:そうそう。 だけどあの中だと全然違うから考えが...。金の力は怖いよ。

小井戸:急に話が...(笑)。なんで?

横山:いま日本の障害者運動で金持ちなのはねJILね。それからJDの中のきょうされん一番金持ちよ。一番金無いのはDPI だけどね。で、DPIの職員の二人分をJILで出してるわけよ。だからJIL には文句言えないんだよ、金出してるから。だから金の切れ目が縁の切れ目(笑)。要は第2のDPI作ればいいんだよ。CP が??(聞き取れない)するしかないんだよ。

小井戸:じゃあ、その作って行く経緯とかも、私がまた聞かせてもらって研究のテーマにしようかなー。それを生き甲斐にして治療に励むよ。

横山:あっ、そおー(爆笑)。じゃあ、僕も生き甲斐できたー!第2のDPI作ろうっと。

同席者全員 爆笑。

横山:僕の追っかけマンだからね。

小井戸:そうね、そんな感じになっちゃってるね。あ、4 時過ぎちゃった。 横山さん、またお願いします。

横山:はい、また電話待ってるよ。


*作成:小井戸 恵子小川 浩史
UP: 20200307 REV: 20200308
横山 晃久  ◇脳性麻痺/脳性マヒ/脳性まひ(Cerebral Palsy)  ◇自立生活センターHANDS世田谷  ◇小井戸 恵子  ◇病者障害者運動史研究  ◇生を辿り道を探る――身体×社会アーカイブの構築
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