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【翻訳】ジン・ワークショップ・ガイド+リソース――あなたが自分でジン・ワークショップ・グループを始めるためのヒントとコツ

[Translation] Zine Workshop Guide + Resources: Tips and tricks on how you can start a zine workshop group yourself

村上 潔MURAKAMI Kiyoshi) 2017/04/18

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last update: 20230114

■出典(Source)

◆出典(Source):"Zine Workshop Guide + Resources: Tips and tricks on how you can start a zine workshop group yourself" [URL]http://www.grrrlzines.net/workshopguide.htm
◆作成者(Author):Grrrl Zines A-Go-Go (Grrrl Zines a Go-Go: a zine-making workshop group in San Diego, California)
◆掲載年月日不明(Publication date: n.d.)*2004年3月〜2006年の間と推定される
◆最終閲覧日:2017年4月18日(Last accessed: April 18, 2017)

■本文(Text)

●ヒントを得て!

たいていのワークショップは、最後に各参加者が1ページずつデザインしたコンピレーション・ジンを制作して終わる。その結果生まれる出版物は、世俗的なものから詩的なものまで全域にまたがるアイデアの集合として、一度きりのある瞬間を表現する。〔私たちの〕グループは、参加者たちがテキストと画像で感動的なページを創作していくのにつれて、こんにち誰にとってもまさにこの種のクリエイティブな活動が必要とされていることを確認しながら、不測の事態を予測することを学んできた。

◆〈Grrrl Zines A-Go-Go〉による「あなたが自分でジン・ワークショップ・グループを始めるためのヒントとコツ」

◇グループを形成しワークショップを運営する

あなたの街で志を同じくするジンスタを見つけること(口コミで、図書館で、生協で、本屋やレコード屋にあるジンで、ライブハウスで、そしてインターネットで)。交替でワークショップの準備を回せるように、十分な数のメンバーを集められればそれがベスト(私たちは1回のワークショップに最低2-3人は配置したい)。

ワークショップに必要な道具をまとめる。私たちがいつも持ってくるものは、タイプライター、はさみ(2つ以上)、スティックのり、ペン(ボールペンと「シャーピー」〔アメリカ製の油性マーカー〕)、白紙、ステープラー=ホッチキス(中とじ用ステープラーがベスト)。そしてさまざまな新聞・雑誌・クリップアート・文字の転写シール・装飾紙・糸(ひも)、その他ジンを作るのに使えるこまごました物が入ったスクラップ・ボックス。あなたは〔それらの〕寄付を求めたり、勤め先から物を「拝借する」ことができる。

ジン・ワークショップに興味をもっている組織を確認する。たとえば、ユースセンター・女性センター・LGBTセンター・フェミニスト団体・高校・ガールズクラブ(放課後プログラム)・フェスティバル〔の実行委員会〕・書店など。

ジン・ワークショップ開催に関するあなたのアイデアを、選択した会場で発表する。友人に質問することは、しばしば企画を始めるためのよい方法となる。会場が物資に関する何らかの補償・寄付をしてくれるか、写真式複写機もしくは自由に使えるコピー機を提供してくれるかどうかを確認する。

ワークショップに使う空間をアレンジする際には、十分な数の机と椅子があるか、それらは〔はさみやのりを使う〕切り貼りの作業に使用してよいのかを確認する。

ワークショップの時間枠を決める。私たちはたいてい、1.5〜2時間をワークショップそれ自体に割き、もう1時間をワークショップで作ったジンをコピーしてホチキスどめするための時間にとっている。

ワークショップを一般公開でやる(特定のグループのみに向けたものではない)場合、フライヤーを作って、コミュニティのなかで、また友人間で、広範に撒く。コミュニティのなかのアクティヴィストのメーリングリストやウェブサイトも活用する。参加者の数はおそらく20人以下に抑えたほうがいい。

◇ワークショップそれ自体

私たちはまず自己紹介をして、自分たちのジンの紹介をする。次にジンの定義、ジンの歴史、現在の「ジン・シーン」、自分たちのジンの制作とディストリビューションの経験、そして基本的なジンの作り方とディストリビューションの方法について話す。私たちはいつも、この資料を転載したリソース・ガイド(それ自体が1冊のジンになっている)を用意している。

私たちのワークショップの大部分は、参加者各人が1ページずつ寄稿するジンの制作から成る。私たちはダイジェスト・サイズのジンを作る。それは、レターサイズの紙を二つ折りにしたものだ(したがって各ページが幅4.25インチ〔=約10.8cm〕×高さ5.5インチ〔=約14.0cm〕となる〔*訳者注:これはA6サイズとほぼ同じ〕)。私たちは、あなたが参加者に、〔記入範囲の〕目安としてページの外周からおよそ2分の1インチ(=1.27cm)内側に境界線を引かせることを勧める。そうすると、コピーしたときに書(描)かれたもの〔の一部〕がカットされないから。

白黒コピーで印刷する場合、色調が厄介な場合もあることを指摘するのを忘れないように(たとえば、赤は黒くなってしまう)。そして、コピーされた状態のイメージメーキングを十分に促すこと。黒一色が大部分を占めるページは、コピーした際に紙詰まりを起こす傾向があるので、やめさせること。

それでは、DIYの時間だ! 時間の大半を参加者が自分の担当ページに取り組むために割り当てることが重要だ。一部の人たちは慣れるまでしばらく時間がかかるかもしれない。またある〔作業が早い〕人たちは〔その間に〕複数のバージョンに取り組むことができる。参加者たちが自分のページに取り組んでいる間、オーガナイザーは表紙と、自分たちのグループの宣伝ページ(それと、これからやるイベントの告知。これは、ページ数の帳尻をあわせる必要がある場合〔*訳者注:総ページ数は4の倍数にする場合が多い〕によい手段だ)と、寄稿者紹介ページを制作することができる。寄稿者たちが自分のページを提出する際に、寄稿者紹介ページにサインをしてもらう。そこでは自らが望むように名乗ることを許可するが、寄稿者があなたの/他のワークショップ参加者たちと引き続き連絡を取り合うことを望む場合は、メールアドレスを明記することを提案する。

完成するとどうなるのかを明示するため、ページが提出されるのにあわせて、ジンのマスターコピーを組み立てていく。参加者はあなたに1枚の紙の半分を提出する。それをあなたは、折り目のついた実物大の1枚の紙の上にのり付けする。この作業の際、ページの順番を考慮すること。おもしろいやり方で寄稿物を並べるように努める。

ワークショップの終了前に、参加者に対して、今後のイベントについて知らせてほしいならばメーリングリストに参加するように言う。ワークショップに対するフィードバックを引き出すためにも、このメーリングリストの活用を検討すること。

あなたはすぐに利用できるコピー機を用意できないかもしれない。その場合は、ワークショップの参加者に〔完成した〕ジンを届ける手はずを整える必要があることを覚えておくように。

あなたのワークショップがカンファレンスやフェスティバルの一部である場合、その日の早い時間にワークショップの予定を入れるように努めること。そうすれば、参加者があとでジンを受け取る場所を手配することができる。あなたは郵送のための封筒を準備する必要があるかもしれない。その場合は、参加者かワークショップの支援組織のいずれかに郵便料金の負担を求めるのがよい。時にはうまいくいって、参加者があなたと一緒にコピー作業をしてくれたりする。そのときは、参加者はコピー技術を習得することができ、自分たちのジンをすぐに受け取ることができる。

画像の多いジンをコピーするときは、グレートーンの最高品質を出すために、コピー機の「写真」ボタンを選択する。

ジンのホチキスどめは、サドルステープラー(紙の中央に針が到達するよう設計されたもの)を使用するのが最も簡単。ふつうのホチキスを使用する場合は、新聞紙の山を作り、その上にジンを裏向きに(表紙を下に)して開き、ホチキスを開いてジンの背の筋にそってをホチキスを下に降ろす。それから手でホチキスの両端を折り畳む。

◆よし! ジンの準備は整った!

〈Grrrl Zines A-Go-Go〉は、2002年に結成された、ジンおよびアーティストブック制作のワークショップ・グループで、サンディエゴ一帯のコミュニティーセンター・非営利組織におけるワークショップのファシリテートを行なっている。特に、ジンおよびアーティストブックの制作を通じた十代の少女たちのエンパワーメントに重点を置いて活動している。

〈Grrrl Zines A-Go-Go〉――その名前は、ジンおよびアーティストブック制作のワークショップをオーガナイズする女性たちの小さなグループを表している。〈Grrrl Zines A-Go-Go〉はサンディエゴ一帯のコミュニティグループ・非営利組織と連携して、大人とティーンに向けたワークショップを実施している。

〈Grrrl Zines A-Go-Go〉は、たんにジンを作ることを促したいだけではない。私たちはまた、志を同じくする人々による他のグループが〔触発されて〕自分たちの地域でもワークショップの運営を始める気になってくれれば、と願っている。これらの種類のワークショップは、協力して資金を獲得する責任を分担する意思があり、自己表現への興味を進んで他者とシェアしたいと思う人が数人いさえすれば、容易に開催できる。

【以下省略(過去に〈Grrrl Zines A-Go-Go〉がファシリテートしたワークショップの例示)】

■訳者より

〈Grrrl Zines A-Go-Go〉の新しいウェブサイトは、
https://gzagg.wordpress.com/
です。
この翻訳の原文を含む内容を掲載したジン、"Let’s DIY: Tips and Tricks on Zine Making Workshops"(2006/2010)のPDFデータ(印刷物をスキャンしたもの)は、
https://gzagg.wordpress.com/zines/
からダウンロードできます。

■参考

◇村上潔 20220905− 「ジン[Zine(s)]――その世界の多様性と可能性(2)」(事項ページ)*随時更新
◇村上潔 20191216−20220831 「ジン[Zine(s)]――その世界の多様性と可能性」(事項ページ)
◇村上潔 20191107 「ジン[Zine]についての簡潔な解説【第7稿】」
◇村上潔 20180307 「[連載]都市空間と自律的文化へのアプローチ――マンチェスター・ジン・シーン・レポート(全4回)第2回:ワークショップ《メイク・スタッフ》が示す可能性」,Webマガジン『AMeeT』(一般財団法人ニッシャ印刷文化振興財団)2018年3月7日更新
◇村上潔 20171004 「Gina Murrell(@GinaMurrell1)のジン・ワークショップに関するツイート(2017/10/04)」
◇村上潔 20170703 「2017年7月の〈テート・ブリテン〉・〈ビショップスゲート・インスティテュート〉によるZineに関するワークショップ」
◇2017/04/13 「[Lecture]Zine制作ワークショップ運営にあたって注意すべきいくつかの事柄」(ゲスト講師:村上潔)
 13:10〜14:40 於:同志社大学今出川キャンパス クラーク記念館CL25教室
◇神戸市外国語大学2016年度前期科目《ジェンダー論入門》“Grrrl / Queer / Feminist Zines”(担当:村上潔)
◇MURAKAMI Kiyoshi, April 2016 - August 2016, "[Serial Publication] Notes on Grrrl / Queer / Feminist Zines"
《翻訳》:村上潔


*作成:村上 潔MURAKAMI Kiyoshi
UP: 20170418 REV: 20170420, 20230114
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