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「緊急アピール」

病棟転換型居住系施設について考える会, 20170417.

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last update:20170514


緊急アピール

病棟転換型居住系施設について考える会

現在開会されている参議院厚生労働委員会において厚生労働省は、法案の趣旨説明文の「相模原市の障害者支援施設の事件では、犯罪予告通り実施され、多くの被害を出す惨事となった。二度と同様の事件が発生しないよう、以下のポイントに留意して法整備を行う」などと書かれた部分を削除し差し替えようとしたが、委員の反発にあい「追加資料」として配付するという事態が起きた。
趣旨説明に基づき法案の審議が行われる中、一方的に法案の趣旨を変更しようとするなど有り得ないことであり、我々としてもこれに断じて抗議する。
そもそも、この、「二度と同様の事件が発生しないよう、以下のポイントに留意して法整備を行う」とあるのは、今回の法改正が犯罪の防止を目的に行うことを宣言したものであり、精神保健福祉法の目的にもなく、我々としても強く反対してきた。「趣旨」とは、「事を行うにあたっての、もとにある考えや主なねらい」(大辞泉)のことである。その趣旨が変わる或いはなくなるのであれば、法案自体を変えるか提出を取りやめなければならないはずである。
また、趣旨説明文にある、個別ケース検討会議の本人、家族の参加についての「必要に応じて」の言葉も削除を行っている。これについても我々は、法案が本人、家族軽視のものとして強く反対してきた。反対がなければ当然のことができない国の姿勢は厳しく問われなければならない。
本年1 月20 日の施政方針演説で安倍首相は、「昨年7 月、障害者施設で何の罪もない多くの方々の命が奪われました。決してあってはならない事件であり、断じて許せません。精神保健福祉法を改正し、措置入院患者に対して退院後も支援を継続する仕組みを設けるなど、再発防止対策をしっかりと講じてまいります」と述べている。今回のような事態が国会で発生する源には、根拠なく相模原事件と精神障害を結びつけ、精神保健福祉法で犯罪の再発防止を行おうという誤った国の姿勢がある。このような姿勢に対して明確な謝罪を求める。
我々は、国がこのような姿勢そのものを改め、法案を白紙撤回し法案審議をゼロからやり直すことを強く求めるものである。
以上

病棟転換型居住系施設について考える会
≪連絡先≫ 長谷川利夫(杏林大学 保健学部作業療法学科 教授)
〔携帯電話〕090-4616-5521
http://blog.goo.ne.jp/tenkansisetu
E-mail:hasegawat@ks.kyorin-u.ac.jp


*作成:伊東香純
UP:20170514 REV:
精神障害/精神医療:2017  ◇障害者と政策:2017  ◇介助・介護  ◇病者障害者運動史研究   全文掲載
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