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「精神保健福祉法改正案に対する声明文」

NPO法人東京ダルク女性ハウス, 20170408.

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last update:20170416


2017 年4 月8日
精神保健福祉法改正案に対する声明文
NPO法人東京ダルク女性ハウス

 ダルクとは薬物依存症の回復施設です。約30 年の歴史があり全国におよそ60 か所存在します。その中の一つにダルク女性ハウスがあります。ダルク女性ハウスは薬物依存症の女性の為の回復施設です。立ちあがってから約25 年たちます。子どもがいる薬物依存症女性が多い為、母子プログラムも毎月一回、13 年行ってきました。そして薬物依存症女性の約80 パーセントが虐待や暴力から生き延びてきたサバイバーなのが特徴です。
 2016 年7 月26 日に神奈川県の障碍者施設『津久井やまゆり園』で19 名もの大量殺傷事件がおきました。政府はこの事件を受け2017 年2 月28 日に「精神保健福祉法改正案」を閣議決定しました。私たちは、精神保健福祉法改正案に対し強く反対します。その理由を以下に述べます。

1. 精神科病院と警察が連携すれば、依存症者は医療につながりにくくなる
 私たち薬物依存症は、警察から逃げて逃げて生活してきました。依存症は病気だと言われているのに治療できる場所が殆どありません。早く病院に繋がれば病気の進行が食い止められます。警察が病院と連携すれば、当然酷く悪化しても病院に行けません。今回の改正案は、病院からも逃げて逃げて生活するようになるものです。治療が遅れる者が増えれば治安は悪化し、困窮者や障碍者が増える事が予測されます。刑務所は薬物依存症を治療できません。病院も警察と連携したらどこに相談に行けば助かるのか全く解りません。

2. 問題の本質を隠ぺいしている
 大量殺傷事件が何故起きたのかを考えると、精神病が原因ではないと結果がでました。大量殺傷事件で考えると、大人数の施設であるのが原因の一つです。施設の在り方をよく検討するのが再発防止を考える上でとても重要だと思われます。障碍者に対し監視を強める精神保健福祉法改正案は人権侵害です。被害者も加害者も出さない安全な暮らしの為には、地域に根差した運営を広める考えが必要と思われます。

3. 子育てしながら安心して医療を受ける機会を奪う
 ダルク女性ハウスのメンバーは子育て中の母親が多くいます。病院が相談できる安全な場所でなくなると困ります。警察との連携があると思うと薬物への欲求があるとか、薬物を止めていても使いたい気持ちがある事など相談できなくなります。今回の法案は、子育て中の薬物依存症女性が治療へ繋がれる機会をなくします。安心して治療しながら子育て頑張れる病院が増える必要があります。病院と警察の連携は、親子分離を助長して家族関係を壊しかねません。

4. 薬物依存症という病気は、警察の監視では回復できない
 病院は治療する責任があります。病院に助けを求めてきた患者さんに対し、警察が入り込むのは治療になりません。本人たちはやっとの思いで病院に来るのです。薬物依存症の場合、治療が遅れれば死に至る病気です。一回目の病院で大事にされれば回復の可能性があります。一回目の病院で警察が連携しているのが解れば逃げてしまい二回目に会うときは棺桶かもしれません。監視のもとで良くなった薬物依存症の話は聞いた事がありません。病院が安心して治療してもらえ支えられて回復してきた話は沢山あります。監視は薬物依存症を悪化させ不信感を募られ、当事者にも社会的にも悪影響が出ます。当事者にとって助けにならない法案は、社会的な負担が更に増える心配があります。

 以上の理由から、精神保健福祉法改正案は薬物依存症の問題に悩む薬物依存症の当事者にとって、回復の妨げになる危険の多い法案です。犯罪防止を目指すのなら、治療を目指す必要があります。安心して病院に行ける事が大事であるため精神保健福祉法改正案に対し強く反対します。


*作成:伊東香純
UP:20170416 REV:
精神障害/精神医療:2017  ◇障害者と政策:2017  ◇介助・介護  ◇病者障害者運動史研究   全文掲載
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