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「精神医療保健福祉を治安の道具とし 警察への密告を制度化する精神保健福祉法『改正案』成立阻止を求める 緊急声明」

「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム実行委員会 20170401.

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last update:20170919


精神医療保健福祉を治安の道具とし 警察への密告を制度化する精神保健福祉法「改正案」成立阻止を求める 緊急声明

骨格提言とは、2011 年8 月に障がい者制度改革推進会議のもとにおかれた総合福祉部会によってまとめられた文書です。総勢55 名の障がい者、家族、支援者団体からの構成員により、自立支援法を廃止しそれに代わる新たな障害者総合福祉法の骨組みをまとめたものです。
しかしこの骨格提言はいわば棚上げにされたまま、障害者福祉の分野では障害者を置き去りにしてさまざまな改悪が積み重ねられているのが実態です。
私たちはこの骨格提言の実現を求め毎年日比谷野外音楽堂で集会を開催してきました。昨年の相模原事件についても、本当に再発防止を考えるなら、骨格提言の着実な実行は必須です。そしてU 被告は完全責任能力を認められ起訴されています。彼が精神医療とかかわったのは非常に短期間であり、精神医療の対象であるか否かさえ疑わしいといわなければなりません。再発防止を考えるには一つには彼が施設労働者としてなぜ障害者を抹殺すべきという思想を育んだのか、施設で何があったのか、どういう教育をしていたのかなどなどが問われることこそ必要です。
ところが政府は相模原事件の再発防止のためとして精神保健福祉法「改正案」を国会に上程しました。
最大の問題点は措置入院制度の改悪強化です。
精神保健福祉法は建前とは言え患者の医療と保護を目的としているにも関わらず、公然と相模原事件の再発防止のためとして措置入院制度に手を付けなんと警察と精神医療保健福祉関係者の情報交換を制度化したのです。
これは精神医療保健福祉の根本的な大変換であり、治安の道具として精神医療保健福祉を活用していこうというものです。
法案のもとでは措置入院となった人に対して、本人抜きに本人の同意なしに退院後の支援計画を作ることを都道府県・政令指定都市に義務化し、さらにこうした計画を立てる個別ケースの調整会議の上部組織に警察も参加する「精神障害者地域協議会」を作るとしています。
この精神障害者地域協議会では、「今回の事件のように入院後に薬物使用が分かった場合の情報共有や、固い信念で犯罪を企てた場合への対応方法を話し合うなど連絡を密にする。」(朝日新聞2017 年2 月28 日 記事より引用)としています。つまり薬物使用や、犯罪を企てていると判明すると医療側は警察に密告することになるのです。そして個別の計画については無期限に転居先の自治体にまで情報提供するとされています。
一度でも措置入院になったら一生自分の個人情報を共有され続けるということになります。
これでは措置体験者は生活保護はじめ一切の医療や福祉を拒否しない限り、警察はじめ関係機関に追いかけられ監視され続けることになります。対象者は追い詰められ孤立し野垂れ死にを強いられかねません。
私たちは障害者権利条約と自立支援法違憲訴訟による国と原告の基本合意を元として作られた骨格提言を実現し、障害を持つものが権利として地域生活を確立することを目指してきた団体として、さらに精神障害者を追い詰める精神保健福祉法「改正案」上程に抗議するとともに、成立阻止に向け全力を上げて闘うことをここに宣言します。

「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム実行委員会
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*作成:伊東香純
UP:20170515 REV: 20170919
精神障害/精神医療:2017  ◇障害者と政策:2017  ◇介助・介護  ◇病者障害者運動史研究  ◇全文掲載
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