HOME > Archeive >

皆様へ

古込 和宏 2017/03/24

Tweet


 この度、私は36年もお世話になった病院から退院して、地域での独居を目指しております。地域を目指してから約2年経ちますが、これだけの時間が掛かっているのは私が重度の患者だからという理由も多分にあります。しかし私は、それだけの理由ではないような気がします。
 皆様の中には、重度の患者なら病院にいた方が安全なのでは? と思うかもしれません。こう思われる方がいても、これも自然な考えとも思います。しかし、もし、あなたが不治の病で余命わずかと宣告され、「残りの時間をどこで過ごすか」となったとき様々な選択肢があると思います。長年過ごした我が家で最期を迎えますか? それとも病院で最期を迎えますか?少しでも長く生きたい… でも残りの時間を我が家で家族と過ごしたい。それなら我が家と病院を往き来するという選択肢もあり、どの選択肢も尊重されるべきで、誰もその選択を侵すことはできないはずです。
 私は8歳から入院していますが、入院した当初、同世代の同じ筋ジストロフィー・デュシェンヌ型の病気の子供がたくさんいました。先輩も後輩も。皆、人生の最後を狭い個室で迎え、その死は家族と医療者そして親戚と、ごく限られた人しか知ることがなかったかもしれません。私も含め病気はいつか治ると信じ、たまに家に外泊で帰れるのが楽しみだった。そんな子供たちを何人見送うったか、もう私には数えることはできません。それは数えきれないからです。
 重い話になってしまいましたが、今日は「障害ある人に / と地域社会に / 大学に何ができるのか」という講演会と聞いております。そこで最後に皆様にお願いがあります。私たちは社会の中で限りなく透明に近い存在でもなければ、影のような存在でもありまうせん。確かに間違いなく、私はあなたの隣に存在していしているのです。どうか私たちに目を向けてください。それだけで十分です。それが私たちと皆様が近づける第一歩となることを私は信じているかです。私も皆様に少しでも近づけるよう信じる道を進みます。いつか皆様と街のどこかでお会いできる日を楽しみにします。
 最後に、この手紙を宛てる機会を私に与えてくれた、今日、会場に来た皆様と、そして立岩先生に感謝申し上げます。
                      2017年3月24日 古込和宏

◆立岩 真也 2017/03/24 「障害ある人に/と地域社会に/と大学は何ができるか」
 金沢大学地域創造学類講演会 於:近江町交流プラザ研修室2


UP:20160323 REV:
古込 和宏  ◇筋ジストロフィー  ◇病者障害者運動史研究  ◇自立生活センター  ◇自立生活/自立生活運動  ◇全国障害者介護保障協議会  ◇全文掲載 
TOP HOME (http://www.arsvi.com)