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「第193回国会 114/140/173 精神保健福祉法の改正案の立法事実に関する質問主意書/再質問主意書/第三回質問主意書」

衆議院(中根康浩),2017/03/08→17→28→04/07,[外部サイト(114質問主意書)][外部サイト(140再質問主意書)][外部サイト(173第三回質問主意書)]

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last update: 20170417


◇中根康浩 2017/03/08 「精神保健福祉法の改正案の立法事実に関する質問主意書」
◇内閣総理大臣 2017/03/17 「衆議院議員中根康浩君提出精神保健福祉法の改正案の立法事実に関する質問に対する答弁書」
◇中根康浩 2017/03/17 「精神保健福祉法の改正案の立法事実に関する再質問主意書」
◇内閣総理大臣 2017/03/28 「衆議院議員中根康浩君提出精神保健福祉法の改正案の立法事実に関する再質問に対する答弁書」
◇中根康浩 2017/03/28 「精神保健福祉法の改正案の立法事実に関する第三回質問主意書」
◇内閣総理大臣 2017/04/07 「衆議院議員中根康浩君提出精神保健福祉法の改正案の立法事実に関する再質問に対する答弁書」


 
 
◆中根康浩 2017/03/08 「精神保健福祉法の改正案の立法事実に関する質問主意書」http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a193114.htm

平成二十九年三月八日提出
質問第一一四号

精神保健福祉法の改正案の立法事実に関する質問主意書

提出者 中根康浩

精神保健福祉法の改正案の立法事実に関する質問主意書

政府は、二月二十八日に精神保健福祉法の改正案を閣議決定した。
なぜ今、精神保健福祉法の改正が必要であるか。その立法事実を明らかにされたい。

右質問する。

 
 
◆内閣総理大臣 2017/03/17 「衆議院議員中根康浩君提出精神保健福祉法の改正案の立法事実に関する質問に対する答弁書」http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b193114.htm

平成二十九年三月十七日受領
答弁第一一四号

内閣衆質一九三第一一四号
平成二十九年三月十七日

内閣総理大臣 内閣総理大臣

衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員中根康浩君提出精神保健福祉法の改正案の立法事実に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

衆議院議員中根康浩君提出精神保健福祉法の改正案の立法事実に関する質問に対する答弁書

 平成二十八年七月の相模原市の障害者支援施設における事件及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号。以下「法」という。)第十八条第一項に規定する精神保健指定医(以下「指定医」という。)が不正にその指定を受けた事案の発生を受け、また、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律(平成二十五年法律第四十七号)附則第八条の規定を踏まえ、精神保健医療福祉に係る制度について検討を行った。その結果、現在の法については、法第二十九条第一項又は第二十九条の二第一項の規定により入院した者(以下「措置入院者等」という。)について退院後の医療等の援助が不十分であること、法第三十三条第一項又は第三項の規定による入院措置(以下「医療保護入院」という。)に関し精神障害者の家族等から同意又は不同意の意思表示が行われないような場合について精神障害者の医療へのアクセスが阻害される可能性があること、指定医の指定の申請をしようとする者に対して指導を行う者の役割の重要性が十分認識されていないこと等の課題があると考えられた。
 これらの課題については、平成二十八年八月に厚生労働省において参集を求めた相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム及び同年一月に同省において参集を求めたこれからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会においても、指摘されているところである。
 これらの課題を踏まえ、措置入院者等の退院後の医療等の援助の強化、医療保護入院に必要な手続、指定医の指定制度等の見直し等を内容とする精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案について本年二月二十八日に閣議決定し、今国会に提出したところである。

 
 
◆中根康浩 2017/03/17 「精神保健福祉法の改正案の立法事実に関する再質問主意書」http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a193140.htm

平成二十九年三月十七日提出
質問第一四〇号

精神保健福祉法の改正案の立法事実に関する再質問主意書

提出者  中根康浩

精神保健福祉法の改正案の立法事実に関する再質問主意書

平成二十九年三月八日提出の質問第一一四号に対する三月十七日の答弁書について以下の通り再質問する。

一 相模原市の障害者支援施設で発生した殺傷事件の再発防止を精神保健福祉法改正等の提案理由としているが、事件の被疑者については起訴前の鑑定結果で完全責任能力が認められ検察は二月二十四日に被疑者を起訴したことから鑑みて、犯罪の主要因は精神疾患や精神医療歴にあると断定することはできないと考える。ゆえに、相模原事件を精神保健福祉法改正の理由とするのは妥当ではないと考える。政府の見解を示されたい。

二 相模原事件から学ぶべきは社会にはびこる差別、いじめ、排外主義などを黙認しないことで、それが相模原事件のような悲惨な事件の再発防止となると考える。従って、被疑者が殺害の実行に至るほどの強い差別思想や優生思想をなぜもつようになったかの解明がなされることが最重要と考える。政府の見解を示されたい。

三 精神障害のある人を含めて障害のある人々への支援は地域包括ケアシステムで一体的に行われることが、かねてから求められている。今回の精神保健福祉法の改正案で提案されている措置入院患者の退院後に限定した特別な制度ともいえる。
 「精神障害者支援地域協議会」や「退院後支援計画」は従来から求められていた地域包括ケアとどのような関係になるか。また、このような特別な支援計画をつくることは地域移行の促進ということより、むしろ行政による犯罪抑止のための継続的な管理、監視的性格の強いものになり、人権が侵害されるおそれが生じると考える。政府の見解を示されたい。

四 「退院後支援計画」は、措置入院患者の入院中から作成されるとされているが、この計画の作成に時間を要することを理由に入院が引きのばされることにはならないか。
 また、この計画作成に本人の意思が反映されないのは不適切ではないか。計画には、支援終了が書き込まれなければ永久に監視が続くことになってしまいかねないが、これらのことに対する政府の見解を示されたい。

五 医療保護入院の決定に際しては、本法案改正にあたり、患者本人の権利擁護の観点からすれば「家族等の同意」が廃止されるべきではないか。

右質問する。

 
 
◆内閣総理大臣 2017/03/28 「衆議院議員中根康浩君提出精神保健福祉法の改正案の立法事実に関する再質問に対する答弁書」http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b193140.htm

平成二十九年三月二十八日受領
答弁第一四〇号

内閣衆質一九三第一四〇号
平成二十九年三月二十八日

内閣総理大臣 内閣総理大臣

衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員中根康浩君提出精神保健福祉法の改正案の立法事実に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。

衆議院議員中根康浩君提出精神保健福祉法の改正案の立法事実に関する再質問に対する答弁書

一及び二について

 平成二十八年七月の相模原市の障害者支援施設における事件を受け、同年八月に厚生労働省において参集を求めた相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チームにおける事件の検証等を行うこと等により、精神保健医療福祉に係る制度について検討を行った。その結果、被告人は精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号。以下「法」という。)第二十九条第一項の規定による入院(以下「措置入院」という。)から退院した後、必要な医療その他の援助を十分受けられておらず、現在の法については、措置入院又は法第二十九条の二第一項の規定による入院(以下「緊急措置入院」という。)をした者(以下「措置入院者等」という。)が退院後の医療その他の援助を確実に受けられる仕組みがない等の課題があり、こうした援助の強化等を行うことが今回のような事件を再び生まないことにもつながる点で極めて重要と考えている。
 現在、国会に提出している精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案(以下「改正法案」という。)については、先の答弁書(平成二十九年三月十七日内閣衆質一九三第一一四号)でお答えしたとおり、こうした現在の法の課題を踏まえ、措置入院者等の退院後の医療その他の援助の強化等を通じ、措置入院者等の社会復帰の促進等を図るため提出したものである。なお、政府としては、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指していく考えである。

三について

 改正法案においては、措置都道府県(改正法案による改正後の法第四十七条の二第一項に規定する措置都道府県をいう。以下同じ。)に対し、措置入院者等について、必要に応じて関係都道府県等(同項に規定する関係都道府県等をいう。以下同じ。)と共同して、原則として退院後の医療その他の援助の関係者をもって構成する精神障害者支援地域協議会における協議をした上で、退院後支援計画(同項に規定する退院後支援計画をいう。以下同じ。)を作成することを義務付けるとともに、退院後支援計画を作成した措置都道府県又は関係都道府県等に対し、退院後支援計画に基づく相談指導等を行うことを義務付けている。この退院後支援計画は、措置入院者等が、その社会復帰の促進及び自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な医療その他の援助を適切かつ円滑に受けることができるよう、措置都道府県及び関係都道府県等を中心に、措置入院者等の退院後の医療その他の援助に関わる地域の関係者が協力して対応することができるようにするための仕組みである。これは、地域包括ケアシステムの考え方に沿った対応であり、行政による犯罪抑止のための継続的な管理や監視を目的とするものではない。なお、改正法案の成立後、こうした制度の趣旨に沿って改正法案が運用されるよう、精神障害者支援地域協議会を組織することとしている保健所を設置する地方公共団体に周知していく予定である。

四について

 退院後支援計画は、原則として、措置入院をした者についてはその入院中に作成することとしているが、緊急措置入院をした者又は措置入院をした者について入院期間が短い場合その他やむを得ない理由がある場合については、その退院後速やかに作成するものとしており、退院後支援計画の作成に時間を要することを理由として入院期間が長くなるようなことがない仕組みとしている。
 また、退院後支援計画の作成に当たっては、精神障害者支援地域協議会において、可能な限り患者本人及びその家族(以下「患者本人等」という。)から意見を伺い、退院後支援計画の内容について、患者本人等の意向を踏まえるよう努めるべきことを保健所を設置する地方公共団体に周知していく予定である。
 退院後支援計画に基づく医療その他の援助を行う期間については、改正法案において、退院後支援計画の記載事項とすることとしている。具体的には、措置入院者等が退院後にその社会復帰の促進及び自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な医療その他の援助を受けることができるよう、患者の病状等に応じた期間が設定されることを想定している。

五について

 法第三十三条第一項又は第三項の規定による入院(以下「医療保護入院」という。)については、実施に当たり法第十八条第一項に規定する精神保健指定医による医学的な判断に加えて、本人の利益を勘案できる者による入院の必要性の判断を行うことが、本人の権利擁護を適切に行う観点から必要と考えられる。このため、法では、原則として、本人についての情報をより多く把握していることが期待できる法第三十三条第二項に規定する家族等が、医療保護入院の同意を行うことが要件とされており、改正法案においてこの要件を廃止することは適当でないと考えている。

 
 
◆中根康浩 2017/03/28 「精神保健福祉法の改正案の立法事実に関する第三回質問主意書」http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a193173.htm

平成二十九年三月二十八日提出
質問第一七三号

精神保健福祉法の改正案の立法事実に関する第三回質問主意書

提出者  中根康浩

精神保健福祉法の改正案の立法事実に関する第三回質問主意書

平成二十九年三月十七日提出の質問第一四〇号に対する三月二十八日の答弁書について以下の通り質問する。

一 相模原市の障害者支援施設における事件は、事件の検証及び再発防止策検討チームにおける検討の結果、措置入院者等への退院後の医療その他の援助を強化することが再発防止に極めて重要であると答弁している。
 この答弁では、事件被告の「障害者は不幸だから抹殺が最善の救済方」という趣旨の発言にみられるような、いわゆる「優生思想」の根絶にとっても今回の精神保健福祉法改正が有効であるということを含意するものか。政府の見解を示されたい。

二 今回の精神保健福祉法改正案にある、都道府県等に設置が義務付けられる「精神障害者支援地域協議会」が作成する退院後の支援計画の中に、いわゆる優生思想を当事者から排除するプログラム等を盛り込むべきと考える。政府の見解を示されたい。

三 答弁書で、退院後支援計画は「行政による犯罪抑止のための継続的な管理や監視を目的とするものではない」としているが、そうであるなら、精神障害者支援地域協議会の代表者会議に警察は常時加わるべきではなく、必要に応じて連携することにとどめるべきと考える。政府の見解を示されたい。

四 答弁書において、退院後支援計画の作成に時間を要することを理由として入院期間が長くなるようなことがない仕組みとしていると答弁している。
 では、この退院後支援計画の計画期間には上限の設定はなされているか。本人の意向とは無関係に永続的に監視されるような誤解を生じさせないためにも一定の期限を設けるべきと考える。政府の見解を示されたい。

五 退院後支援計画期間中に、当事者が転居した場合には、移転元の自治体から移転先の自治体に支援計画の内容を通知することになっているこの自治体間での通知に際してはそこに過不足があってはならない。これを防止するため通知の内容を本人に知らせるべきだと考える。政府の見解を示されたい。

六 精神障害者支援地域協議会の代表者会議は措置入院の診察段階で他害のおそれが精神障害によるものか、判断が難しい場合で「確固たる信念を持って犯罪を企画する者」を協議の対象として、このグレーゾーンにある人を強制的に入院させ、退院後も監視することができることになる。これは予防拘禁につながると懸念する。政府の見解を示されたい。

七 答弁書で政府は、法改正の中身を地方公共団体に周知することを強調している。しかし、今回の改正内容は、自治体や国民に周知すればするほど精神障害者は犯罪を起こしやすいとの誤解や偏見、差別を助長する恐れが生じてしまいかねない。周知には、細心最大の配慮が必要と考える。政府の見解を示されたい。

右質問する。

 
 
◆内閣総理大臣 2017/04/07 「衆議院議員中根康浩君提出精神保健福祉法の改正案の立法事実に関する再質問に対する答弁書」http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b193173.htm

平成二十九年四月七日受領
答弁第一七三号

内閣衆質一九三第一七三号
平成二十九年四月七日

内閣総理大臣 安倍晋三

衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員中根康浩君提出精神保健福祉法の改正案の立法事実に関する第三回質問に対し、別紙答弁書を送付する。

衆議院議員中根康浩君提出精神保健福祉法の改正案の立法事実に関する第三回質問に対する答弁書

一について

 先の答弁書(平成二十九年三月二十八日内閣衆質一九三第一四〇号。以下「一四〇号答弁書」という。)一及び二についてでは、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号。以下「法」という。)を改正し、法第二十九条第一項の規定による入院(以下「措置入院」という。)又は法第二十九条の二第一項の規定による入院(以下「緊急措置入院」という。)をした者(以下「措置入院者等」という。)の退院後の医療その他の援助の強化等を行うことが、今回のような事件を再び生まないことにもつながる点で極めて重要と考えている旨をお答えしたものであり、現在、国会に提出している精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案(以下「改正法案」という。)は、御指摘のような「いわゆる「優生思想」の根絶にとっても今回の精神保健福祉法改正が有効である」という考えで提出したものではない。なお、先の答弁書(平成二十九年三月二十八日内閣衆質一九三第一三一号。以下「一三一号答弁書」という。)四についてでお答えしているとおり、政府としては、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会(以下「共生社会」という。)の実現を目指していく考えである。

二について

 改正法案においては、措置都道府県(改正法案による改正後の法(以下「新法」という。)第四十七条の二第一項に規定する措置都道府県をいう。以下同じ。)は、必要に応じて関係都道府県等(同項に規定する関係都道府県等をいう。以下同じ。)と共同して、原則として新法第五十一条の十一の二第一項の精神障害者支援地域協議会(以下「協議会」という。)における協議をした上で退院後支援計画(新法第四十七条の二第一項に規定する退院後支援計画をいう。以下同じ。)を作成することとしている。改正法案においては、退院後支援計画に、措置入院者等の退院後の医療その他の援助の内容等を記載することを義務付けており、その病状等に応じて、必要な援助の内容が記載されることとなる。お尋ねの「いわゆる優生思想を当事者から排除するプログラム等」の意味するところが必ずしも明らかではないが、退院後支援計画は、措置入院者等が、その社会復帰の促進等のために必要な保健医療サービス、福祉サービス等を円滑に受けることができるようにするものであるため、保健医療サービス、福祉サービス等に係るもの以外は盛り込むべき内容ではないと考えている。なお、政府としては、共生社会の実現を目指し、一三一号答弁書四についてでお答えした取組を着実に進めていくこととしている。

三について

 改正法案においては、協議会は、関係行政機関、診療に関する学識経験者の団体、障害者の自立及び社会参加の支援等に関する活動を行う民間の団体その他の関係団体並びに精神障害者の医療又は福祉に関連する職務に従事する者その他の関係者(以下「関係行政機関等」という。)により構成することとしている。また、その事務として、精神障害者の適切な医療その他の援助を行うために必要な体制に関して協議するとともに、退院後支援計画の作成に関する協議及び実施に係る連絡調整を行うこととしている。御指摘の「代表者会議」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に、協議会を意味するのであれば、警察も、法第二十三条の規定による通報を行う等精神障害者の適切な医療その他の援助を行うために必要な体制に関係を有し、関係行政機関等に含まれるものと考えている。一方、退院後支援計画の作成に関する協議及び実施に係る連絡調整の事務については、関係行政機関等のうち措置入院者等の退院後の医療その他の援助の関係者をもって構成する合議体で行うこととしており、原則として、警察は当該援助の関係者には含まれないものと考えている。

四について

 改正法案においては、医療その他の援助を行う期間については、一四〇号答弁書四についてでお答えしたとおり患者の病状等に応じた期間が設定されることを想定し、上限を設定していないが、改正法案の成立後、当該期間が適切に設定されるよう、一定の目安を措置都道府県又は関係都道府県等となることとなる保健所を設置する地方公共団体(以下「保健所設置団体」という。)に示す予定である。

五について

 退院後支援計画については、新法第四十七条の二第四項の規定において、その作成時にこれを措置入院者等に交付することを義務付けている。同条第六項の規定による通知については、措置入院者等にあらかじめ説明した上で行うよう保健所設置団体に周知する予定である。なお、当該通知を受けた保健所設置団体が、同条第七項の規定により退院後支援計画を作成したときは、同条第八項で準用する同条第四項の規定により、退院後支援計画を措置入院者等に交付することとなる。

六について

 措置入院又は緊急措置入院の対象となるのは、都道府県知事又は地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市の長が指定する精神保健指定医(新法第十八条第一項に規定する精神保健指定医をいう。)の診察の結果、その者が精神障害者であり、入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認められる等の要件が満たされた場合とされている。このため、この要件を満たさない者が措置入院又は緊急措置入院の対象となることはない。なお、措置入院又は緊急措置入院を行う権限を有するのは都道府県知事又は指定都市の長のみであり、協議会は措置入院又は緊急措置入院を行う権限を有していない。

七について

 一四〇号答弁書一及び二についてでお答えしたとおり、改正法案は、措置入院者等の社会復帰の促進等を図るため提出したものである。こうした改正法案の趣旨や内容の周知に当たっては、御指摘の誤解や偏見、差別が生じないよう配慮していきたい。


*作成:伊東香純
UP: 20170330 REV: 20170406, 08, 17
精神障害/精神医療:2017  ◇障害者と政策:2017  ◇介助・介護  ◇病者障害者運動史研究全文掲載
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