HOME > 全文掲載 >

「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会報告書」

厚生労働省, 20170208, http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000152029.html
.
[報告書(pdf)][報告書・概要(pdf)][参考資料]

Tweet
last update:20170318



報告書
平成29 年2月8日
これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会

目次
T はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
U 総論(基本的な問題意識) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
V 新たな地域精神保健医療体制のあり方について ・・・・・・・・・・7
1 精神障害者を地域で支える医療のあり方について
2 多様な精神疾患等に対応できる医療体制のあり方について
3 精神病床のさらなる機能分化について
W 医療保護入院制度について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
1 入院の必要性について
2 同意のあり方について
3 入院の必要性・妥当性の審査について
4 移送を含む医療へのアクセスを確保するための手段について
5 入院中の患者の意思決定支援等について
X 措置入院制度に係る医療等の充実について ・・・・・・・・・・・・26
1 措置入院に係る手続及び関係機関等の協力の推進について
2 措置入院中の診療内容の充実について
3 措置入院者の退院後の医療等の継続支援について
Y 精神保健指定医の指定等のあり方について ・・・・・・・・・・・・36
Z おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39
(参考)
開催経緯 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41
構成員名簿 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44

T はじめに
○ わが国の地域精神保健医療については、平成16 年9月に策定した「精神保健医療福祉の改革ビジョン」(以下、「改革ビジョン」という。)において「入院医療中心から地域生活中心」という理念を明確にし、様々な施策を行ってきた。この間、長期入院患者の年齢階級別の入院受療率は、保健・医療・福祉の関係者の努力も相まって低下傾向にある。精神疾患は全ての人にとって身近な病気であり、精神障害の有無や程度にかかわらず、誰もが安心して自分らしく暮らすことができるような地域づくりを進める必要がある。このため、あるべき地域精神保健医療福祉体制を見据えた新たな中長期の目標を設定し、計画的に施策を展開する必要がある。
○ また、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)について、平成26 年4月に施行された改正法の附則では、施行後3年を目途として医療保護入院における移送及び入院の手続の在り方等について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとされている。
【附則第8条における見直し事項】
・ 医療保護入院における移送及び入院の手続の在り方
・ 医療保護入院者の退院による地域における生活への移行を促進するための措置の在り方
・ 精神科病院に係る入院中の処遇、退院等に関する精神障害者の意思決定及び意思の表明についての支援の在り方
○ 一方、平成28 年7月に発生した相模原市の障害者支援施設における殺傷事件を踏まえ、事件の検証や再発防止を目的として政府に設置された「相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム」においてとりまとめられた「報告書」(平成28 年12 月)において、措置入院後の継続的な患者支援のあり方等が課題とされた。
○ さらに、平成27 年4月の聖マリアンナ医科大学における精神保健指定医(以下、「指定医」という。)の指定取消処分や、この処分を踏まえた厚生労働省における追加調査の結果として平成28 年10 月に行われた指定医の指定取消処分において、必要な実務経験等を適切に確認できる指定医の指定等のあり方が課題となった。
○ 本検討会は、平成28 年1月に設置され、改正精神保健福祉法の附則に盛り込まれている、医療保護入院における移送及び入院の手続のあり方、医療保護入院者の退院促進措置のあり方、精神科病院に係る入院中の処遇、退院等に関する精神障害者の意思決定等の支援のあり方に加え、「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策の今後の方向性」(平成26 年7月)を踏まえた精神科医療のあり方の更なる検討を行ってきた。これに加え、その後に発生した事件によって明らかになった課題への対応など、現在の精神保健医療福祉に係る様々な課題を検討してきた。その過程において、関係団体からのヒアリングを行うとともに、検討会及び分科会における計17 回にわたる施策全般の見直しに向けた検討を行い、今後の取組について本報告書として取りまとめた。
○ 厚生労働省は今後、本報告書に基づき、関係法律の改正や平成30 年度からの次期医療計画・障害福祉計画・介護保険事業(支援)計画の策定に向けて、次期診療報酬改定・障害報酬改定等の必要な財政的方策も含め、具体的な改正内容について検討を進め、その実現を図るべきである。

U 総論(基本的な問題意識)
本とりまとめは、以下のような問題意識に基づいて整理したものである。
@ 「入院医療中心から地域生活中心」という政策理念に基づく施策をより強力に推進するための新たな政策理念の明確化
・ 改革ビジョンに示された「入院医療中心から地域生活中心」という政策理念を基軸としながら、精神障害者の一層の地域移行を地域において具体的な政策手段により実現していくことが必要である。
・ そのためには、都道府県や市町村が定める医療計画、障害福祉計画及び介護保険事業(支援)計画において、同一の考え方を基軸とし、共通のアウトカム指標によって政策を推進していくことを目指すべきである。
・ このため、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」という考え方を新たに基軸としつつ、これまでに展開されてきた地域の実情を踏まえた好事例やモデル事業等による成果を踏まえ、精神障害者が地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることができるような方策を検討するべきである。
A 医療保護入院制度の運用をより適正化するための取組の具体化
・ 医療保護入院については、精神疾患を抱える患者の医療へのアクセスを確保するための手段としての側面と、本人の同意に基づかない入院であるという側面がそれぞれ存在し、その運用に当たって適正な手続を確保する必要性が常に問われている。
・ 精神保健福祉法の平成25 年改正において保護者制度が廃止されたことに伴い、保護者同意に替わるものとして家族等同意が設けられた。入院に当たっての適正な手続を一層確保するためには、家族等同意の適正な運用を図るための仕組みを検討することが必要である。
・ また、既に設けられている入院の必要性を審査するプロセスを一層機能させることが重要である。
・ 医療保護入院者の退院促進を図る観点からは、精神保健福祉法の平成25年改正において、退院促進措置が新たに導入されたところである。
・ 入院中の患者の権利擁護については、意思に基づかない入院を行っている患者の権利擁護を一層図るための取組について、検討が必要である。
B 措置入院から退院した患者の継続的な支援プロセスの明確化
・ 医療の役割は患者の治療、健康維持推進を図るものであり、犯罪の発生防止ではないことを十分に踏まえ、措置入院から退院した患者に対する医療の充実を図ることが重要である。
・ 精神保健福祉法においては、患者の退院後の地域生活の支援について、第47 条において本人及び家族等からの相談に応じ、指導するという一般的な義務規定が存在するが、入院制度に対応した個別具体的な支援プロセスについては、必ずしも明確化されていない。
・ 措置入院後に地域生活へ移行した際、必要な医療等による支援が途切れ、症状が再発することにより、地域で生活することが困難になることを防ぐ必要がある。このため、地域保健によるアプローチを通じて、患者への生活支援や患者を取り巻く家族等への支援を具体化していくことが必要である。
C 指定医制度の適正な運営のための取組の具体化
・ 指定医は、精神保健福祉法により定められた医療保護入院等の入院や一定の行動制限に関する要否の判断に当たって、人権に配慮された制度運営を確保するという観点から適切な判断を行うことが求められるなど、制度の根幹を担うものであり、その指定が適正に行われることが何よりも重要である。
・ このため、指定医には患者の人権に十分に配慮した医療を行うに当たって必要な資質を備えていることが求められており、こうした資質を備えるに必要な実務経験の有無を確実に確認できる仕組みを検討するとともに、指定や更新に当たって求める経験の内容等について検討する必要がある。
・ また、指定医を指導・養成する上での関係者の役割を明確化することが併せて必要である。上記のような問題意識に基づき、以下に示す各施策の方向性に則り、精神障害者に対する適切な医療の提供や、地域生活の推進に向けた具体的な取組を一層強化するべきである。

V 新たな地域精神保健医療体制のあり方について
1 精神障害者を地域で支える医療のあり方について
(現状・課題)
○ 長期入院精神障害者の地域移行を進めるにあたっては、精神科病院や地域援助事業者による努力だけでは限界があり、自治体を中心とした地域精神保健医療福祉の一体的な取組の推進に加えて、地域住民の協力を得ながら、差別や偏見のない、あらゆる人が共生できる包摂的(インクルーシブ)な社会を構築していく必要がある。
○ 長期入院精神障害者をはじめとする中重度の精神障害者の地域生活を支えていくためには、本人の意思の尊重と、ICF の基本的考え方(※)を踏まえながら、多職種協働による包括的支援マネジメントを機能させていく必要がある。
※ICF(国際生活機能分類 WHO 2001 年:International Classification of Functioning,Disability and Health)では、人が生きていくための機能全体を「生活機能」としてとらえる。「生活機能」は、@体の働きや精神の働きである「心身機能」、AADL・家事・職業能力や屋外歩行といった生活行為全般である「活動」、B家庭や社会生活で役割を果たすことである「参加」の3つの要素から構成される。包括的支援マネジメントにおいては、それぞれの要素を評価し、それぞれの要素にバランスよく働きかけることが重要である。
○ また、中重度の精神障害者への地域生活支援だけでなく、未治療者や医療中断者への早期支援も充実していくためには、多職種・多施設間連携を推進していくことが重要であり、多職種を雇用し地域に根ざした活動をしている精神科医療機関を拡充していく必要がある。
(対応の方向性)
○ 精神障害者が、地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることができるよう、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築を目指すことを理念として明確にすべきである。また、医療と福祉等の様々な関係者が情報共有や連携を行う体制を構築できるように、障害保健福祉圏域ごとに都道府県・保健所・市町村等の重層的な役割分担・協働を推進するべきである。【参考資料2〜5ページ目を参照】
○ 精神障害者に対する包括的支援マネジメントの運用の実態を分析しながら、多職種で効果的かつ効率的に活用できる包括的支援マネジメント手法を開発する研究を推し進めるべきである。この際、精神科医療機関と事業者との連
携のあり方についても検討すべきである。
○ 多職種で、デイケア、訪問看護、アウトリーチ等を実践している精神科医療機関の実態を分析しながら、効果的かつ効率的な地域精神保健医療を提供し、かつ地域に根ざした活動をしている精神科医療機関を拡充する方策を検討すべきである。この際、精神科医療機関と自治体との連携のあり方についても検討すべきである。

2 多様な精神疾患等に対応できる医療体制のあり方について
(現状・課題)
○ 平成25 年度からの第6次医療計画において、新たに精神疾患が追加され、5疾病5事業として精神科医療連携体制の構築が進められてきている。平成30 年度からは、医療計画、障害福祉計画、介護保険事業(支援)計画の3計画が新たに開始することから、それぞれの計画が連動するように、同一の理念を共有する必要がある。
○ また、それぞれの計画が連動するように、圏域の捉え方、圏域における関係機関間の連携推進の在り方について、基本的方向性を明確にする必要がある。
○ 平成30 年度からの第7次医療計画には、改正精神保健福祉法に基づく「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針」(平成26 年3月)(以下、「指針」という。)に位置づけられている、 @児童・思春期精神疾患、A老年期精神障害等、B自殺対策、C依存症、Dてんかん、E高次脳機能障害、F摂食障害に対応できるように記載する必要がある。
(対応の方向性)
○ 医療計画、障害福祉計画、介護保険事業(支援)計画において、精神障害者が、地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることができるよう、医療、障害福祉・介護、社会参加、住まい、地域の助け合い、教育が包括的に確保された地域包括ケアシステムの構築を目指すことを理念として明確にすべきである。
○ 精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に向けて、障害福祉計画に基づき、障害保健福祉圏域ごとの保健・医療・福祉関係者による協議の場を通じて、精神科医療機関、その他の医療機関、地域援助事業者、市町村などとの重層的な連携による支援体制を構築すべきである。また、医療計画に基づき、精神医療圏ごとの医療関係者等による協議の場を通じて、圏域内の病院・病院間連携や病院・診療所間連携等の医療連携による支援体制を構築すべきである。第7次医療計画の策定の際には、患者本位の医療を実現していけるよう、各都道府県が設定する精神医療圏について、二次医療圏を基本としつつ、地域の実情を勘案して見直しを検討すべきである。
○ 多様な精神疾患等に対応できる医療提供体制の構築に向けて、指針を踏まえて、多様な精神疾患等ごとに医療機関の役割分担・連携を推進するとともに、患者本位の医療を実現していけるよう、医療計画に基づき、都道府県ごとの医療関係者等による協議の場を通じて、各医療機関の医療機能を明確化すべきである。【参考資料6〜8ページ目を参照】

3 精神病床のさらなる機能分化について
(現状・課題)
○ 平成16 年に、精神保健福祉対策本部(本部長:厚生労働大臣)において改革ビジョンを決定し、「入院医療中心から地域生活中心へ」の政策理念を明確にした。精神保健医療福祉体系の再編の達成目標として、@平均残存率(1年未満群)24%以下、A退院率(1年以上群)29%以上を掲げ、この目標の達成により、10 年間で約7万床相当の精神病床数の減少が促されるとした。精神病床数(入院患者数)の変化をみると、平成14 年の35.6 万床(33.2 万人)から、平成26 年に33.8 万床(29.6 万人)へと、1.8 万床(3.6 万人)減少している。地域移行を進めるためには、あるべき地域精神保健医療福祉体制を見据えた新たな目標を設定し、計画的に取り組む必要がある。
○ 医療計画、障害福祉計画等における指標として、精神保健福祉資料(630調査)を用いて、入院後3か月時点の退院率、平均残存率(1年未満群)などの指標を活用しているが、現時点で入手可能な最新のデータは3年前(平成25 年度)のものとなっており、計画の進捗管理に課題がある。より速やかに地域の実態が分かるように、都道府県及び二次医療圏を集計単位とした指標の開発に取り組む必要がある。
※630 調査とは、精神科病院及び精神科診療所等を利用する患者の実態等を把握し、精神保健福祉施策推進のための資料を得ることを目的として、毎年6 月30 日付けで実施しているもの。
○ 厚生労働科学研究(平成24〜27 年度)において、1年以上の長期入院精神障害者(認知症を除く)の重症度を評価するための「重度かつ慢性」の基準案が策定された。当該基準案の取り扱いを検討する必要がある。
(対応の方向性)
○ 「重度かつ慢性」に関する研究班の実施した全国調査では、1年以上の長期入院精神障害者(認知症を除く)のうち6割以上が当該基準案に該当することが明らかとなった。これにより、1年以上の長期入院精神障害者(認知症を除く)の多くは、地域の精神保健医療福祉体制の基盤を整備することによって、入院から地域生活への移行が可能であると示唆された。このような研究成果等を踏まえつつ、平成32 年度末・平成37 年(2025 年)の精神病床における入院需要(患者数)及び、地域移行に伴う基盤整備量(利用者数)の目標を明確にした上で、計画的に基盤整備を推し進めるべきである。あわせて、医療計画における精神病床の基準病床の算定式との整合性を図るべきである。【参考資料9〜22 ページ目を参照】
○ より速やかに地域の実態を把握できるように、630 調査の改善を図るとともに、レセプト情報等データベース等を用いて、新たな指標を設定すべきである。【参考資料23〜26 ページ目を参照】
○ 厚生労働科学研究において策定された基準案を用いて、精神疾患の重症度を医学的に評価する基準の一つとして活用する。加えて、当該基準を満たす症状を軽快させる治療法の普及、当該基準を満たす症状を有していても地域生活を可能にする支援に関する実証研究、当該基準を満たす症状に至らないように精神科リハビリテーションをはじめとする予防的アプローチの充実など、地域生活につながるように当該基準を活用していくべきである。【参考資料27〜28 ページ目を参照】
○ また、当該基準を満たす症状を有する精神障害者に対しては、本人の状態に合わせて、多職種による質の高い入院医療を提供することが重要である。手厚い入院医療が提供されることにより、できる限り退院に結びつけていく必要があり、当該基準を満たすことを理由に地域移行に向けた取組の対象から外れることはあってはならない。あわせて退院後に、精神障害の程度にかかわらず自分らしく地域で暮らせるように、地域の精神保健医療福祉体制の機能強化を図るべきである。
○ なお、本検討会においては、「重度かつ慢性」の名称は、退院不可能な絶望的イメージを連想させるとの指摘や、医学的には通常使用されている表現であるとの指摘や、当該基準への疑義を指摘する意見もあったところである。より配慮された名称並びにより適切な基準となるよう、学会など様々な場において、引き続きの検討が必要である。

W 医療保護入院制度について
1 入院の必要性について
(現状・課題)
○ 精神保健福祉法では、自傷他害のおそれのある者を対象とする措置入院、本人の同意に基づく任意入院、医療及び保護のため入院の必要があって任意入院が行われる状態にない者を対象とする医療保護入院の3つの入院形態が設けられている。
○ 「入院制度に関する議論の整理」(平成24 年6月28 日 新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム(第3R)取りまとめ)(以下、「第3R取りまとめ」という。)では、「自らが病気であるという自覚を持てないときもある精神疾患では、入院して治療する必要がある場合に、本人に適切な治療を受けられるようにすることは、治療へのアクセスを保障する観点から重要」とし、措置入院、任意入院以外の入院制度として医療保護入院を維持することとした。
○ 指針では、「入院医療のみに頼らず精神障害者が地域で生活しながら医療を受けられるよう、精神障害者の急性増悪等への対応や外来医療の充実等を推進する」とし、「入院医療中心から地域生活中心」という考え方が示されている。
○ 衛生行政報告例によれば、新規医療保護入院件数は平成26 年度で169,799件であり、平成25 年改正法の施行前後を通じて増加傾向にある。一方で、医療保護入院患者数は、平成26 年6月30 日時点で131,924 人であり、法改正前の平成25 年6月30 日時点と比較して4,756 人減少している。医療保護入院患者数について年齢階級別に見ると、65 歳以上の患者の割合が増加している。
(対応の方向性)
○ 医療保護入院という非自発的入院の形態の必要性についてどのように考えるか。
・ 精神障害者に対する医療の提供については、できる限り入院治療に頼らない治療的な介入を行うことが原則であり、その上で、入院治療が必要な場合についても、できる限り本人の意思を尊重する形で任意入院を行うことが極めて重要である。
・ ただし、病気の自覚を持てない場合があり、症状の悪化により判断能力そのものが低下するという特性を持つ精神疾患については、自傷他害のおそれがある場合以外にも、入院治療へのアクセスを確保する仕組みが必要と考えられる。
・ その上で、医療保護入院は、指定医の判断により入院治療が必要とされる場合であって、任意入院につなげるよう最大限努力をしても本人の同意が得られない場合に選択される手段であるということを再度明確にするべきである。
・ こうした観点から、入院に当たって医師が考慮することが想定される要素(例:医療の介入によって病状の改善が期待される、入院以外の治療的介入手段がない等)を明確化し、医師がそれに基づいて入院が必要となる理由を本人や家族等に文書等により丁寧に説明することが求められる。説明の内容については、既に入院時に患者に対して交付されている入院診療計画書の内容等との関係性や医療機関の事務負担にも留意しながら検討する必要がある。

2 同意のあり方について
(現状・課題)
○ 現行制度は家族等(*)のうちのいずれかの者の同意を要件とする。
* 配偶者、親権者、扶養義務者、後見人又は保佐人。該当者がいない場合等は、市町村長が同意の判断を行う
○ 家族等同意は、本人の同意に基づかない入院を指定医の診断のみで行う仕組みは患者の権利擁護の観点から適当でない等の観点から、本人の身近に寄り添う家族が、医師からの十分な説明を受けた上で同意することを目的に、平成25 年改正により導入された。
○ 現行の市町村長同意は、同意を行い得る家族等がいない場合等に行うことができることとされており、本人を知り得る家族等が同意を行い、それが困難な場合には市町村において同意の要件に合致するか確認し、同意を行う制度となっている。
○ 自治体への調査結果によれば、改正法施行後の市町村同意の件数は施行前と比較して減少しているが、家族等同意による入院件数は旧法下の保護者同意による入院件数よりも多く、医療保護入院件数も増加している。
(対応の方向性)
○ 医療保護入院に医師以外の者の同意を求める必要性についてどのように考えるか。
・ 医療保護入院の場合は、入院の必要性について、医師による医学的な判断だけでなく、本人の利益を勘案できる者によるチェックが必要と考えられる。
・ なお、医師以外の者の同意を求めず、医療保護入院を行う医療機関以外の指定医の診察を要件とすることも考え得るが、指定医の確保が難しい現状においては、医療アクセスが阻害されるおそれがある等の課題がある。
○ 同意者に求められる機能・役割はどのようなものか。
・ 現在の家族等同意の機能は、入院することを本人に代わって同意することではなく、
@ 医師の判断の合理性(説明に対する納得性)
A 入院治療が本人の利益に資するかについて、本人の利益を勘案できる者の視点で判断する点にあると整理できる。
※ 制度上、医療保護入院の要件としての同意は、上記のような機能を果たすのみであり、同意を行った者が当該入院により発生する債権・債務の当事者となることはない(結果としていずれの同意も同一の者が行うことが多いと考えられるが、法律上は異なる同意であると考えられる)。
・ @については、現在の家族等同意では、家族等に医学的な専門知識まで必ずしも求めてはおらず、医師が家族等に対し、理解しやすいよう丁寧に病状や入院治療の必要性等を説明した上で、家族等が医師の説明に納得して判断できれば足りると考えられる。
・ Aについては、家族等には、本人についての情報をより多く把握していることが期待されていると考えられる。
○ 同意者に求められる機能・役割に鑑み、現在の「家族等同意」についてどのように考えるか。
・ 市町村長同意も含め、現場において何らかの同意を得るのにあまりに時間を要する制度では、医療へのアクセスを阻害する可能性があるため、現在実務上困難となっているような、同意の対象となる家族等と連絡が取れない場合等の取扱いを整理するべきである。
・ 本人と家族の利益が相反する場合や本人と家族が疎遠な場合等について、必ずしも家族の関与を前提としない仕組みについてどのように考えるか。例えば、本人との関係が疎遠であること等を理由に、家族等から意思表示が行われないような場合について、市町村長同意を行えるよう検討することが適当である。
・ 家族等同意をその趣旨に則った運用とする観点から、家族等がどのような観点から同意することを求められているかを明確にし、同意を行う際に医療機関側からその旨を伝えることとすることが適当である。(例:医師の説明の内容や、従前の本人の意向を踏まえ、入院医療を行うことが病状の改善等の本人の利益に資するかという観点から同意を行うこと 等)また、本人が示している意向やその理由について、家族等に適切に伝え、同意の判断を行う際の考慮要素として明示することが考えられる。
・ 市町村長同意についても、市町村長の判断やその後の状況の把握等の対応に資するよう、同意を行う際にどのような手続が求められるかについて、国において実務的な対応を明確化することが適当である。
・ 家族等以外の者が同意者となることについて、家族の負担を軽減する観点からは、同意を行う者を家族等以外とすることも課題として考えられるが、家族等が同意者となっている趣旨や実務的な対応可能性を踏まえると、現状でどのような者が同意を行うべき者に当たるかについて直ちに整理することは困難と考えられる。

3 入院の必要性・妥当性の審査について
(現状・課題)
○ 現在、入院に当たっての家族等同意、入院後の病院内における退院促進措置、精神医療審査会における入院届や定期病状報告、退院請求等の審査という形で、入院の妥当性について確認するプロセスがそれぞれ制度上盛り込まれている。
○ 前回改正で導入された病院内における退院促進措置については、医療保護入院者退院支援委員会の開催や地域援助事業者との連携などが進められており、 退院支援委員会の開催が早期退院に結びついた事例があるとした医療機関は約30%である。また、地域援助事業者との連携は約60%で認められる。
○ 精神医療審査会における審査件数については、改正法施行による大きな影響は見られず、定例報告の審査件数は増加傾向にある。また、審査に要する期間について、退院請求等の受理から審査結果通知までは全国平均で30 日程度であり、都道府県別に見ると地域差(例えば定期病状報告では自治体別の平均処理日数が最長106.4 日となっている)が存在する。
○ 精神医療審査会の審査結果について、例えば退院請求では「入院又は処遇が不適当」との審査結果となる割合が4%程度である。また、定期病状報告において「入院継続不要」となる割合は0.1%未満である。
(対応の方向性)
(1)退院促進措置について
○ 現行の退院促進措置について、その実施状況等をどのように考えるか。
・ 退院後生活環境相談員の配置や業務の現状、地域援助事業者との連携の状況、退院支援委員会の実施状況、その効果などをモニタリングするため、実態把握を定期的に行うべきである。
○ 退院促進措置をさらに充実させるためにはどのような対応が必要か。
・ 退院促進措置の運用に当たっては、地域における医療や福祉の社会資源を有効に活用し、医療保護入院者が退院した後も継続的な支援が受けられる環境を構築することにより、早期の退院に結び付けるとともに、入院の長期化や症状の再発を防止するという視点が重要である。
・ 退院促進措置の地域援助事業者の範囲について、入院時から早期に関わりやすくする観点から、地域生活支援事業において障害者相談支援事業を実施する市町村又は市町村が委託した相談支援事業者も含めることが適当である。
・ 現在、退院支援委員会を開催する対象となっている患者であって、1年以上の入院となった者についても退院支援委員会を開催することについて、一定の期間ごとに定期的に開催されるよう検討することが適当である。その際、医療機関における実務的な負担にも留意するべきである。また、委員会に医療保護入院者本人が出席することについて、出席が困難な特段の事情がなければ出席を求めることが適当である。
・ なお、医療保護入院から任意入院に移行した場合にも、必要に応じて退院支援委員会を開催するよう努めるべきである。
(2)精神医療審査会について
○ 精神医療審査会の審査のあり方についてどのように考えるか。
・ 精神医療審査会の審査の内容や審査の期間について、審査期間等の地域差を平準化し、審査の迅速化を図るため、各自治体における運営の実態を把握するとともに、平均処理日数の共有や好取組の紹介などの取組が必要である。
・ 一部の自治体において、定足数に満たない審査会による決定など、過去に不適正な運営が行われたことが確認されており、審査会の運営に当たって適正な手続を確保するための取組について検討する必要がある。
・ 患者の権利擁護の観点からは、特に、最初の入院届の審査に当たって、迅速にチェック機能が働くようにするため、法定の提出期間(10 日)の遵守を改めて促進するとともに、提出期間に関わらず、早期の提出を行えるよう、実務的な対応について検討することが適当である。また、予備委員の積極的な活用の周知などを行うべきである。審査の迅速性を更に高める観点からは、委員の審査会出席に当たっての負担を軽減する取組について検討することが考えられる。
・ 精神医療審査会の委員の確保が促進されるよう、指定医制度の見直しと合わせて検討するべきである。

4 移送を含む医療へのアクセスを確保するための手段について
(現状・課題)
○ 現行制度では、医療保護入院に係る移送は、指定医の診察の結果、精神障害者であり、かつ、直ちに入院させなければその者の医療及び保護を図る上で著しく支障がある者については、家族等(*)の同意があれば、本人の同意がなくても応急入院指定病院に移送することができることとされており、その運用件数は地域によって違いがある。
* 配偶者、親権者、扶養義務者、後見人又は保佐人。該当者がいない場合等は、市町村長が同意の判断を行う。
○ 自治体アンケートによれば、家族等の依頼により保健所において診療支援計画を作成して家庭訪問を検討したもののうち、約4割が受診勧奨に、約3割が実際の受診に結びついているとの結果が出ている。
(対応の方向性)
○ 移送を含む医療へのアクセスを確保するための手段について、どのように考えるか。
・ 精神科医療においても、まずは病状の理解に基づく任意の受療が前提であり、本人に対する行動制限を伴う移送のような手続は、医療アクセスの最終手段として位置づけられるものと考えられる。その上で、未治療や受療中断の状態にあるが、医療を必要とする場合について、どのような形で医療へのアクセスを図るかという観点から検討することが適当である。
・ 医療へのアクセスのあり方として、当初から入院に結びつけることなく、@医療導入を検討するための訪問を行い、A必要に応じて医師による診断に結びつけた上で、B診断に応じて必要な医療導入を図る、という全体の流れが考えられる。
・ @の医療導入を検討するための訪問は、保健所を中心に、都道府県が実施する地域生活支援事業の精神障害者地域生活支援広域調整等事業の活用や、福祉を担う市町村と保健所の連携など、行政による対応が考えられる(保健的アウトリーチ)。
・ 保健的アウトリーチを行うに当たって、重症化予防を意識するとともに、家族支援をより積極的に行えるよう、支援の内容について検討するべきである。
・ 地域において医療アクセスの確保について検討するに当たって、どのような場合にどのようなアクセスの手段(アウトリーチによる受診勧奨、移送等)を用いるべきか、患者の状態等に応じた一般的な対応のあり方の研究を進めるべきである。
・ 地域の実情に応じて医療へのアクセスを確保する体制づくりについては、地域の保健・医療・福祉等の関係者による協議の場を中心に「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」を構築する中で、地域の実情に合わせた取組について検討するべきである。
・ 医療へのアクセスを図る中で、指定医による診察の結果、緊急性が高い場合に移送の手続きによる対応を検討するべきではないか。この点、どのような場合を緊急性が高いと考え、移送を実施するかをより明確化する必要がある。
・ 医療保護入院に係る移送の事前調査も含め、診断がついていない段階で行政に強制的な調査権限を付与すべきかどうかについては、権利擁護の観点から特に慎重に検討するべきである。

5 入院中の患者の意思決定支援等について
(現状・課題)
○ 第3R取りまとめにおいて、いわゆる「代弁者」について提案されたが、どのような者が「代弁者」となるか、またその果たすべき役割が必ずしも明らかでなく、平成25 年精神保健福祉法改正の際、制度化が見送られた。
○ 「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策の今後の方向性」(平成26 年7月)においては、本人の意向に沿った地域移行支援に向けた取組みを徹底して行うこととされた。
○ 入院中の精神障害者の意思決定支援について、平成26 年度及び27 年度の障害者総合福祉推進事業において「入院に係る精神障害者の意思決定及び意思の表明に関するモデル事業」が実施され、精神障害者に対する「アドボケーターガイドライン」がまとめられている。
○ 知的障害や精神障害等で意思決定に困難を抱える障害者の支援について、「意思決定支援の在り方及び成年後見制度の利用促進の在り方に関する調査研究」(障害者総合福祉推進事業)の成果を踏まえ、障害福祉サービスを提供する事業者向けに、全障害者を対象とした「意思決定支援ガイドライン(仮称)」を今年度中に通知することとしている。
○ 判断能力が低下した者のために、契約等の法律行為の代理等を行う成年後見制度については、近年、その活用が進んでいる。
(対応の方向性)
○ 入院中の患者の意思決定支援等の権利擁護についてどのように考えるか。
・ 医療保護入院や措置入院は、疾患による判断能力の低下により、治療に結びつきにくい精神疾患のある患者について、本人の同意に基づかない入院により治療を行う制度であるが、こうした制度の特性上、医療機関以外の第三者による意思決定支援等の権利擁護を行うことを検討することが適当である。具体的には、障害者総合支援法に基づく地域生活支援事業において、このような役割を位置づけ、ピアサポーター等の地域の社会資源とも連携しながら取り組むことが考えられる。
・ できる限り自らに関わることは自らが行いたいという患者の意思を尊重する観点からは、すべての患者に意思決定支援等を行う者が選任されるようにすることまでは必要とせず、明確な拒否がなければ必要に応じて支援を行う者とすることが適当である。ただし、権利擁護は表示された意思と関わりなく行うべきという観点にも留意することが適当である。
・ 意思決定支援等の権利擁護については、過去に「代弁者」として提案された経緯もあるが、「代弁」の趣旨が明確でなく、また本来の権利擁護の趣旨を不明確にしている側面もある。このため、意思決定支援等を行う者の名称についても、必ずしも「代弁」という点に重点を置くのではなく、患者の入院中の意思決定支援等の権利擁護を一層進めるという役割を踏まえた呼称とすることが適当である。
・ なお、入院中の患者の財産的利益の保全等の権利擁護については、成年後見制度により対応することが考えられ、成年後見制度の利用促進に係る議論の中で検討することが適当である。
・ 退院後の患者が障害福祉サービス等を利用する場合の意思決定支援については、「意思決定支援ガイドライン(仮称)」に基づく事業者向け研修等により、適切に行われるよう取り組むべきである。
○ 意思決定支援等を行う者の必要性の有無を検討する上で、その機能についてどのように考えるか。
・ 意思決定支援等を行う者に想定される機能については、研究事業でまとめられた「アドボケーターガイドライン」や分科会の議論から、例えば以下のような機能を、医療保護入院を行う医療機関に所属しない外部の者が担うことが考えられるが、それぞれの機能について、概ね以下のように整理できる。
@ 患者に寄り添い、治療内容の理解等を促すとともに、患者の意思を引き出し、意思決定等を支援し、本人の同意があれば医療機関に意思を伝える機能
→ 病院職員が果たすべき機能であり、主な機能として位置づけることについては慎重に考えるべきである。ただし、意思決定支援等を行う者の活動の結果としてこうした機能を果たす可能性はあると考えられる。
A 退院に向けた意思決定等を支援し、退院促進を図る機能
→ 退院後生活環境相談員、地域援助事業者の機能と重複する部分があるが、患者本人が退院を希望する前から第三者が関与する意義も大きいことから、意思決定支援等を行う者が果たすべき機能とすることが適当である。
B 退院請求など入院者が持つ権利行使を支援する機能
→ 退院請求等については入院者本人が行使できることから、こうした権利行使を行えることを適切に伝えることを意思決定支援等を行う者の機能とすることが適当である。
C 入院の必要性や適切な医療が行われているかどうかを判断する機能
→ 入院の必要性等について外部の視点から審査する機能は、精神医療審査会や自治体による指導監査が果たすべき機能であり、意思決定支援等を行う者の機能として位置づけることについては慎重に考えるべきである。今後の課題として、このような機能を意思決定支援等を行う者に求める場合、必要となる専門性の内容やどのように専門性を習得させるか等が考えられる。

X 措置入院制度に係る医療等の充実について
1 措置入院に係る手続及び関係機関等の協力の推進について
(現状・課題)
○ 精神保健福祉法第23 条に基づく警察官通報が行われたもののうち、措置診察や措置入院につながった割合について、地方自治体ごとにばらつきが生じている。
○ 厚生労働省が行った調査によると、措置診察の必要性を判断する際に、精神保健福祉センターの指定医等に相談することを定めたマニュアルを作成している地方自治体は、調査した17 自治体のうち8自治体であった。また、措置入院の診察を行う指定医について、同一の医療機関に所属する者を選定しないこと等を求めた厚生労働省の通知に沿った指定医の選定を行っているのは、調査した11 自治体のうち2自治体であった。
○ このようなばらつきの背景には、措置診察や措置入院の判断に当たっての留意点や手続が明らかにされていないことがあると考えられる。
○ さらに、緊急措置診察や措置診察の時点で他害のおそれが精神障害によるものか判断が難しい事例(グレーゾーン事例)があることについて、都道府県又は政令指定都市(以下「都道府県等」という。)や警察などの関係者が共通認識を持つべきである。
(対応の方向性)
○ 措置入院に係る手続及び関係機関等の協力の推進についてどのように考えるか。
@ 措置診察等の判断に係る留意点の作成等について
・ 緊急措置診察や措置診察について、各都道府県等で適切な判断が行われるよう、精神保健福祉法の理念を踏まえ、国において適切に、指導・支援を行うことが必要である。
・ このため、警察官通報が行われたもののうち、措置診察や措置入院につながった割合にばらつきが生じていることの要因分析等を進める必要がある。そして、都道府県知事又は政令指定都市市長等における適切な判断の参考になるよう、判断に当たっての留意点や必要な手続を明確化するべきである。
・ このほか、措置入院時について、現在は行われていない精神医療審査会における入院の必要性の審査を行うこととすることが考えられる。また、医療保護入院について検討しているように、患者に対して入院の理由を都道府県等が文書により説明することについて、措置入院についても検討することが適当である。
A 都道府県等における協議の場の設置について
・ 措置入院の適切な運用が図られるためには、都道府県や市町村、警察、精神科医療関係者等の関係者の相互理解を推進する必要がある。
・ このため、精神障害者への相談指導業務を担う保健所設置自治体が設置主体となって、これらの関係者が地域で定期的に協議する場を設置することなどにより、その相互理解を図っていくことが必要である。協議の内容としては、主として、措置診察に至るまでの地域における対応方針等の精神障害者への適切な支援を行うために必要な体制等が考えられる。

2 措置入院中の診療内容の充実について
(現状・課題)
○ 措置入院は、指定医の診断により自傷や他害のおそれが認められ、入院治療以外の手段では対応が困難である場合について行われるが、その要因となる精神疾患については、統合失調症や気分障害のみならず、薬物使用に関連する精神障害、急性一過性精神病、パーソナリティ障害など様々なものが考えられる。また、発達障害や知的障害が影響しているケースも存在する。
○ また、こうした医療的な要因だけでなく、措置入院の背景には、生活環境や生育歴などの社会的要因も常に存在することから、こうした多様な背景に対応し、診断の実施や適切な治療方針の立案が求められる。
○ これに対し、主に統合失調症や気分障害を中心に対応してきた精神科救急の診療体制は、薬物使用に関連する精神障害をはじめとした多様な精神疾患への対応が不十分な環境であることも多い。
○ 例えば、薬物使用に関連する精神障害の診断がなされた場合、薬物使用に関連する精神障害について十分な診療経験を有する外部機関の医師の意見を聴くことや、より詳細な生活歴の把握、心理検査等の実施が患者の性格特性に応じた支援体制の構築に有効である。しかし、現状では薬物使用に関連する精神障害について十分な診療経験を有する医師にとっては当たり前であるこれらの治療方針等の知見が、措置入院に対応している一般的な精神科救急の現場に普及していないことが明らかとなった。
○ こうしたことの背景には、多様な精神疾患への対応が求められることが多い措置入院中の診療内容において留意すべき事項等について、明確になっていないことが挙げられる。
(対応の方向性)
○ 措置入院中の診療内容を充実することについてどのように考えるか。
・ 措置入院中の患者に対する適切な診断、治療や、措置解除後の患者に対する必要な医療等の支援が行われるようにするために、
ア 詳細な生活歴の把握や心理検査等の実施
イ 多職種のミーティングによる治療方針の決定
ウ 多様な疾患特性に対応した治療プログラム等の提供(例えば、薬物使用が疑われる場合、認知行動療法の考え方を取り入れた社会復帰に向けた治療プログラム等の提供)
エ 院内の多職種による退院後の医療等の支援ニーズに係るアセスメン
ト(以下「退院後支援ニーズアセスメント」という。)による退院後の治療方針の検討
オ 薬物使用に関連する精神障害が疑われる患者など、多様な疾患の特性に応じた対応等の措置入院中の診療に関わるガイドラインを作成するべきである。
・ 措置入院先病院において、こうしたガイドラインに沿った診療が広く行われるよう、ガイドラインの普及のための研修や診療報酬等による対応を検討し、体制面の強化等を図ることが必要である。
・ また、措置入院者に対して手厚い医療を提供できる体制を確保するため、違法薬物の使用等が関連する事例や、特性に応じた対応が必要なパーソナリティ障害等の存在が予想されるときは、十分に対応が可能な公的病院等の専門性の高い医療機関を措置入院先として積極的に活用すること等が考えられる。また、それを可能にするためにも、こうした医療機関を地域において確保していくことが必要である。

3 措置入院者の退院後の医療等の継続支援について
(現状・課題)
○ 厚生労働省が、措置入院者の退院後の支援のあり方について、都道府県等に行った調査によれば、退院後の医療等の支援について明文化したルールを設けている都道府県等は約1割に止まっている。また、明文化したルールを設けている場合であっても、措置入院者が退院後に他の地方自治体に帰住する場合、個人情報保護条例に違反するおそれがあるとし、当該他の地方自治体に対して退院後の支援に必要な情報を提供するルールとなっていない場合がある。
○ また、厚生労働省が、症状消退届の記載について、一部の都道府県等に行った調査によれば、措置解除後に直接通院となるケースでは、「訪問指導等に関する意見」と「障害福祉サービス等の活用に関する意見」のいずれについても、全体の2割程度は空欄であり、記載がある場合でも、全体の半分以上は「必要ない」との記載であった。症状消退届を作成する措置入院先病院において、退院後の支援のあり方について、十分に検討が行われていない実態がある。
○ これらについては、現在の精神保健福祉法のもと、措置入院者の退院後の医療等の支援について、支援内容の検討や、支援を行う際の責任主体や関係者の役割、地方自治体を越えて患者が移動した場合の対応等が明確になっていないことが原因と考えられる。
(対応の方向性)
○ 措置入院者の退院後の医療等の継続支援についてどのように考えるか。
・ 措置入院から退院した後の患者が、医療等の継続的な支援を受け、地域で必要な治療等が途切れることなく生活を送れるようにするためには、現在精神保健福祉法第47 条に基づいて行われている自治体における相談指導等の保健的な対応に加えて、個々の患者の状態に応じて調整された支援が必要と考えられる。
・ とりわけ、措置入院については措置症状がある時点では医療的な対応の必要性が高く、退院後についても、ある程度の期間は円滑に地域での生活に移行できるように、継続的に医療等の支援を受けられる環境を整える必要性が高いと考えられる。このため、従来からの地域における保健的な対応を強化し、措置入院中から措置解除後の各段階において、明確な責任主体を中心として、関係者による退院後の医療等の支援が進められていく仕組みを設けることが考えられる。
・ こうした取組について、措置入院以外の入院形態から退院した後の患者についても行われることが考えられるが、地域保健行政の人的資源も考慮し、まずは措置入院について検討することが適当である。
・ 具体的には、措置入院について以下のような仕組みを設けることが考えられる。

<措置入院中・措置解除時の対応>
ア 措置を行った都道府県等が、措置入院者の「退院後支援計画」を作成
イ 都道府県等が、計画の作成に当たり、関係者と支援内容等の検討を行うための会議(以下「調整会議」という。)を開催
ウ 措置入院先病院は、退院後生活環境相談員を選任し、患者の退院に向けた支援を行う
エ 措置入院先病院は、患者の退院後の医療等の支援ニーズに係るアセスメントを行い、その結果を都道府県等に伝達
<措置入院者の退院後の対応>
患者の帰住先の都道府県や保健所設置市等(以下「保健所設置自治体」という。)が、関係者による支援の調整等を行うことにより、患者に必要な支援を継続的に確保
@ 措置入院中・措置解除時の対応について
○「退院後支援計画」の作成
(計画の内容と作成時期)
・ 措置入院者が退院後に切れ目なく必要な医療等の支援を受けられるようにするためには、措置入院中から、支援内容の検討や、退院後支援の関係機関の役割の確認、調整等が確実に行われるようにすることが必要と考えられる。
・ 具体的には、措置を行った都道府県等が、全ての措置入院者について、「退院後支援計画」を作成することが適当である。なお、退院後に措置を行った都道府県等とは別の保健所設置自治体に帰住する場合には、帰住先の保健所設置自治体と共同して作成を行うことが適当である。また、緊急措置入院後に措置入院とならずに退院する者についても、一時的ではあるが医療的な対応の必要性が高い状況になったことに鑑み、同様に「退院後支援計画」を作成することが適当と考えられる。
・ 退院後支援計画では、通院医療、精神保健福祉法に基づく相談指導、障害福祉サービス等の退院後の支援の内容や関係機関の役割、通院が中断した時点以降の対応等を定めることが考えられる。
・ 都道府県等は、原則として措置入院中から計画を作成することが適当である。ただし、入院期間が短い場合等は、退院後速やかに計画を作成することが適当である。
・ 退院後の支援を継続する期間については、全国的に適切な支援が行われるよう、国において一定の目安となる期間を示した上で、都道府県等において患者の状態等に応じて適切に設定されるべきである。
(措置解除後の状況に応じた計画の作成)
・ 措置解除後に通院となる者については、地域で生活を行うために十分な内容の計画にする観点から、都道府県等が計画を作成する際、都道府県等の常勤、非常勤、嘱託の精神科医や精神保健福祉センターの精神科医、障害保健福祉の専門家など、地域の社会資源等に係る知識を有する者の意見を聴くことが考えられる。
・ 措置解除後に医療保護入院や任意入院に移行する措置入院者についても、最終的に退院した場合は必要な支援がもれなく受けられるようにする観点から、措置を行った都道府県等が、措置入院中から退院後支援計画を作成することが考えられる。この場合には、引き続き入院医療の対象となることから、措置解除時の計画には、最終的な退院時に入院先の医療機関から措置を行った都道府県等に退院する旨を連絡すること等を記載することが考えられる。
・ 医療保護入院や任意入院に移行する措置入院者の退院後支援計画については、最終的な退院の際に、その時点での患者の状態に応じて、地域で生活を行う観点から適切に見直すべきである。計画を見直す責任主体については、すでに措置解除されていることや、患者の帰住先の地域の社会資源を把握していることに鑑み、原則として、帰住先の保健所設置自治体とすることが考えられる。
(措置解除を行う際の体制確保)
・ 都道府県等が措置解除の判断を自ら適切に行えるようにするため、とりわけ症状消退の事実に疑義がある場合には、精神科医療を専門とする医師の意見を聴くようにすることが考えられる。具体的には、都道府県等の常勤、非常勤、嘱託の精神科医や精神保健福祉センターの精神科医などの意見を聴けるような体制を確保することが望ましい。
○ 都道府県等による調整会議の開催について
・ 退院後支援計画の作成に当たっては、患者の帰住先にかかわらず、計画に基づく支援が確実に行われるようにするため、関係者が支援内容を相互に確認し合う仕組みを設ける必要がある。具体的には、都道府県等が、関係者とともに支援内容等について検討する調整会議を開催することが考えられる。
・ この調整会議の参加者としては、例えば次のような者が考えられる。
・ 都道府県等の職員
・ 措置入院者の帰住先の保健所設置自治体の職員
・ 措置入院先病院
・ 退院後の通院先医療機関
・ 退院後支援に関わる訪問看護ステーション
・ 入院前の通院先医療機関
・ 措置入院者の帰住先の市町村の職員
・ 相談支援事業者その他の障害福祉サービス事業者 等
・ 調整会議には、可能な限り、患者本人や家族の参加を促し、支援の内容について意見の反映を図るととともに、検討結果について丁寧な説明を行い、患者本人や家族の理解を得ることが必要である。
・ なお、患者の退院後の帰住先と措置入院先病院が離れている場合等には、調整会議への参加が難しい関係者がいることも想定されるため、出席に当たっての負担をインターネット環境等の活用等によって軽減する等、運用面での工夫をする必要がある。
○ 措置入院先病院における退院後生活環境相談員の選任
・ 措置入院者の退院後の医療等の支援内容の検討に当たって重要な役割を担う措置入院先病院において、退院に向けた医療・生活面等での支援を行える体制を設けることが必要である。具体的には、医療保護入院の場合と同様に、病院管理者が、精神保健福祉士等を退院後生活環境相談員として選任する仕組みを設けることが適当である。
○ 措置入院先病院による退院後支援ニーズアセスメントの実施
・ 適切な退院後の支援のためには、退院が近づいてきたときに入院患者の状態を把握することが極めて重要であり、それを退院後支援計画に反映させる仕組みを設けることが必要である。
・ このため、病院管理者が、全ての措置入院者について、退院後支援ニーズアセスメントを行い、その結果を踏まえ、病院管理者が、退院後支援計画に関する意見を、調整会議や症状消退届を通じて、都道府県等に確実に伝達する仕組みを設けることが必要である。
・ なお、退院後支援ニーズアセスメントの導入に当たっては、措置入院先病院において、都道府県等への伝達も含め、これが適切に行われるよう、アセスメントを行う多職種の資質向上を図るとともに、診療報酬等の対応を検討することが必要である。
A 退院後の対応
○ 保健所設置自治体による退院後支援全体の調整
・ 退院後の患者が、医療等の継続的な支援を確実に受けられるようにするためには、関係者による支援の調整など、患者に対する支援体制を確保する責任主体を明確にする必要がある。
・ この責任主体については、精神保健福祉法第47 条に基づいて相談指導の役割を担う帰住先の保健所設置自治体とすることが適当である。その保健所設置自治体が、退院後支援計画に沿って、関係者の調整を行い、患者に必要な支援を継続的に確保することが考えられる。この際、保健所設置自治体が退院後支援の調整等を適切に行えるよう、必要に応じて、精神保健福祉センターに対して助言等を求めることができる仕組みとすることが望ましい。
・ 帰住先の保健所設置自治体は、患者に必要な支援を継続的に確保するため、例えば、患者の通院が中断した場合に退院後支援計画に沿って受診勧奨を行うことや、患者の状況に応じて退院後支援計画の見直しを行うなどの対応をとることが考えられる。
・ この仕組みの実施に向けて、退院後支援全体の調整や、患者や家族に対する相談指導を適切に行えるよう、国の支援のもと、保健所や精神保健福祉センターの人員体制の充実や専門性の向上を図る必要がある。なお、従来から地域において退院後支援の調整に取り組んでいる地域の精神科医療機関等が存在する。保健所設置自治体による適切な関与を前提に、こうした医療機関等への委託などについて検討することが考えられる。
○ 患者が転出した場合の保健所設置自治体間の情報共有・ 患者に対して医療等の支援を継続的に行うためには、患者が他の保健所設置自治体の管轄区域に転出した場合であっても、転出先の保健所設置自治体との間で医療等の支援に必要な情報が共有され、切れ目なく支援を受けられるようになる仕組みを設けることが必要である。
・ 転出先の保健所設置自治体への情報提供に当たっては、患者に対して丁寧な説明を行い、患者の同意を得られるよう努める必要がある。ただし、継続的な医療等の支援が必要にもかかわらず、どうしても同意が得られない場合の情報提供については、各自治体の個人情報保護条例における目的外使用に関する規定の内容や解釈に差異があることから、児童虐待防止の例も参考に、自治体における運用面にも留意しながら、国における制度的な対応を検討する必要がある。

Y 精神保健指定医の指定等のあり方について
(現状・課題)
○ 患者の意思に関わらない入院医療や行動の一定の制限を行うことがある精神科医療に当たる医師については、患者の人権にも十分に配慮した医療を行うに当たって必要な資質を備えていることが求められる。このため、昭和62年の法改正により、厚生労働大臣が、一定の精神科実務経験を有し法律等に関する研修を終了した医師を、患者本人の意思によらない入院や行動制限の必要性の判定を行う指定医として指定する制度が創設された。
○ 指定医として必要な精神科医療の各分野にわたる実務経験を担保するため、精神科実務経験の内容を厚生労働大臣が定めている。このような実務経験の有無を確認するため、指定申請に当たってケースレポートの提出を求めている。
〇 指定医として必要な資質や能力がより担保されるようにするためには、新規指定・更新の要件を見直すことが考えられる。この際、「相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム報告書」の指摘を踏まえ、指定医研修会の研修内容に、「地域復帰後の医療等の継続的な支援の企画」や「薬物使用に関連する精神障害」に関する内容を加えるなど、指定医の専門性を高める方策の検討が必要である。
〇 さらに、指定医として必要な資質や能力を養成するためには、申請を行う医師の指導に当たる指導医の役割が重要であるが、現在、事務取扱要領においてその役割が位置づけられているだけで、指導医の役割の重要性が指定医に十分に認識されていない。
○ 先般の指定医の取消処分では、申請者自らの主体的な関わりのない症例のケースレポートが提出され、これに基づいて指定が行われた事例が多数明らかになった。このため、必要な実務経験の有無を確実に審査できる手法を導入するなど、適切な見直しを行う必要がある。
○ 不正申請が疑われる指定医の調査を行っている間に、複数の医師が指定医の辞退をして指定医ではなくなったことから、取消処分の対象とはならなかった。
〇 医師、歯科医師、薬剤師等では、行政処分対象者に対する再教育研修の仕組みが整備されているが、指定医制度には未整備である。
(対応の方向性)
〇 指定医として必要な資質や能力を担保するため、新規研修及び更新研修において、 「地域復帰後の医療等の継続的な支援の企画」や「薬物使用に関連する精神障害」に関する研修を実施するとともに、研修内容について、現行の座学中心による受動的な研修から、例えばグループワークを活用するなど、できる限り能動的な研修へと見直しを検討する必要がある。
〇 「地域復帰後の医療等の継続的な支援の企画」に関する知識・技術を習得するにあたっては、地域医療の実務経験が有効であることから、退院後の外来症例の経験を求めることが必要である。また、指定医としての業務を適切に行うことができるように、分野別の入院患者数の実態を踏まえつつ、経験すべき症例要件の見直しを検討する必要がある。
〇 指定医として必要な資質や能力が保持されるよう、指定医としての実務の経験(指定医業務、指定医であることを求められる精神医療審査会や精神科救急等への参画など)を更新要件に追加することが考えられる。更新要件を検討するにあたっては、指定医の活動実態を十分に把握した上で検討することが適当である。
〇 指定医を養成するに足りる知識・経験を有する者が指導医となることを明確にするために、指導医の役割及び一定の要件について、法令上の位置づけを明確にするべきである。指導医による指導の具体的内容についても検討することが適当である。
〇 指定医に求められる精神障害の診断又は治療に従事した経験の有無を確実に審査できるように、ケースレポートの記載内容を実践的に確認する観点から、口頭試問を導入することを検討することが適当である。また、ケースレポートに記載すべき内容についても検討することが適当である。
○ 指定医の取消処分を受けた医師と、取消処分を受ける前に指定医の辞退を申し出た者との均衡を考慮して、辞退の申出の日から一定の期間、再指定しないことを検討することが適当である。
〇 指定医の取消処分を受けた医師に対して再指定を認める場合には、医師、歯科医師、薬剤師等の他制度を参考に、再教育研修に関する制度を導入することを検討することが適当である。

Z おわりに
○ 今回の検討結果を踏まえ、新たな施策については実施状況を適切に把握するとともに、残された課題については今後の制度の検討につなげていくことが適当である。具体的には以下のような点について取り組むことが適当である。
・ 本検討会において提案した「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の構築に向けての自治体を中心とした取組や、それによるアウトカムの状況を検証し、精神障害者が地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることができる環境の推進に向けた取組を引き続き進めること。地域包括ケアシステムの推進により、地域生活を支えるための医療を目指すこと
・ 地域包括ケアシステムの推進の前提として、精神疾患に関する基本的な情報の周知啓発など、精神障害者に対する差別や偏見の解消に向けて引き続き取り組むこと
・ 医療保護入院について、同意等の入院時の手続や、退院促進措置等の入院の必要性を審査する各手続の適正な運用により、入院治療が必要な者のみが入院し、早期に地域へ移行するよう取り組む観点から、今回見直す施策の実施状況について、施行後に着実に把握すること。また、医療保護入院者数やその疾患別の内訳の推移等について分析を進め、医療保護入院に係る実態について改めて検証すること
・ 医療保護入院における家族等同意のあり方について、今回の見直し後の制度の運用状況について着実に把握するとともに、家族負担を軽減すべきとの意見もあったことに鑑み、引き続き検討すること
・ 本人の同意に基づかない入院をしている患者に対する意思決定支援等の権利擁護のあり方については、意思決定支援等を行う者の果たすべき機能や求められる資質、権限等を含め、今後行われる施策の実施状況を踏まえながら、引き続き検討すること
・ 措置入院後の地域生活を支える医療等の充実に関し、退院後支援の期間のあり方、措置入院制度の適正な運用を確保するための取組、自治体の人員体制の充実などについて、保健医療福祉の現場における運用の状況を踏まえながら検討すること
・ 指定医の指定・更新要件の見直しや口頭試問等の今後行われる施策の実施状況を踏まえつつ、指定医に求める職務の内容や、申請医が実務を経験する施設のあり方等も含め、指定医制度の適正な運営に向けて必要な取組について検討すること
・ 保健所や精神保健福祉センター等の地域において精神保健医療福祉を支える機能の強化について検討すること

これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会
開催経緯
<これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会>
第1回 日時:2016 年1月7日
議題:これからの精神保健医療福祉のあり方について
第2回 日時:2016 年2月25 日
議題:関係団体のヒアリング
(公益社団法人日本精神科病院協会、精神保健福祉事業団体連絡会、公益社団法人全国精神保健福祉会連合会、全国「精神病」者集団)
第3回 日時:2016 年9月30 日
議題:
1)「相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止検討チーム」の中間とりまとめについて
2)新たな地域精神保健医療体制のあり方分科会における論点整理について
3)医療保護入院等のあり方分科会における論点整理について
第4回 日時:2016 年11 月11 日
議題:
1)新たな地域精神保健医療体制のあり方について
2)精神保健指定医について
3)医療保護入院等のあり方について
第5回 日時:2016 年12 月22 日
議題:
1)医療保護入院制度について
2)相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム報告書について
3)新たな地域精神保健医療体制のあり方について
第6回 日時:2017 年1月6日
議題:
1)医療保護入院制度のあり方について
2)措置入院に係る医療等の充実について
第7回 日時:2017 年1月27 日
議題
:1)精神保健指定医の指定等のあり方について
2)医療保護入院制度のあり方について
3)措置入院に係る医療等の充実について
4)とりまとめ素案について
第8回 日時:2017 年2月8日
議題:報告書案について
<医療保護入院等のあり方分科会>
第1回 日時:2016 年3月11 日
議題:医療保護入院等のあり方について
第2回 日時:2016 年4月28 日
議題:医療保護入院等のあり方について
第3回 日時:2016 年6月29 日
議題:医療保護入院等のあり方について
第4回 日時:2016 年7月21 日
議題:今後議論すべき論点について
<新たな精神保健医療体制のあり方分科会>
第1回 日時:2016 年3月29 日
議題:新たな地域精神保健医療体制のあり方について
第2回 日時:2016 年4月22 日
議題:有識者からのヒアリング
(川崎市健康福祉局障害保健福祉部担当部長 竹島正氏)
(帝京平成大学大学院 臨床心理学研究科長・教授 安西信雄氏)
第3回 日時:2016 年5月27 日
議題:関係団体からのヒアリング
(公益社団法人日本精神神経科診療所協会、一般社団法人日本精神科看護協会、一般社団法人日本作業療法士協会、公益社団法人日本精神保健福祉士協会)
第4回 日時:2016 年6月29 日
議題:
1)関係団体・有識者からのヒアリング
(公益社団法人日本医師会)
(産業医科大学医学部公衆衛生学教授 松田晋哉氏)
2)今後議論すべき論点について
第5回 日時:2016 年7月15 日
議題:今後議論すべき論点について

これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会 構成員
伊澤 雄一 精神保健福祉事業団体連絡会代表
伊藤 弘人 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター精神保健
研究所社会精神保健研究部長
岩上 洋一 特定非営利活動法人日本相談支援専門員協会理事
一般社団法人全国地域で暮らそうネットワーク代表理事
江藤 修 杵築市福祉推進課長
太田 匡彦 東京大学大学院法学政治学研究科教授
荻原 喜茂 一般社団法人日本作業療法士協会副会長
籠本 孝雄 公益社団法人全国自治体病院協議会常務理事
兼 精神科部会部会長
柏木 一惠 公益社団法人日本精神保健福祉士協会会長
河ア 建人 公益社団法人日本精神科病院協会副会長
神庭 重信 九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野教授
吉川 隆博 一般社団法人日本精神科看護協会業務執行理事
久保野恵美子 東北大学大学院法学研究科教授
佐竹 直子 一般社団法人日本総合病院精神医学会理事
澤田 優美子 日本社会事業大学大学院社会福祉学研究科博士後期課程
白川 教人 全国精神保健福祉センター長会会長
田川 精二 公益社団法人日本精神神経科診療所協会理事
近森 正幸 社会医療法人近森会近森病院理事長
千葉 潜 医療法人青仁会青南病院理事長
中板 育美 公益社団法人日本看護協会常任理事
長野 敏宏 特定非営利活動法人ハートin ハートなんぐん市場理事
中原 由美 全国保健所長会(福岡県糸島保健福祉事務所長)
野沢 和弘 毎日新聞論説委員
樋口 輝彦 前国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター理事長
平田 豊明 千葉県精神科医療センター病院長
広田 和子 精神医療サバイバー
藤原 俊之 佐賀県健康福祉部長
本條 義和 公益社団法人全国精神保健福祉会連合会理事長(みんなねっと)
松田 晋哉 産業医科大学医学部公衆衛生学教授
松本 純一 公益社団法人日本医師会常任理事
山本 輝之 成城大学法学部教授
(五十音順、敬称略)
(以上30 名)
◎…座長,○…座長代理




*作成:伊東香純
UP:20170318 REV:
精神障害/精神医療:2017  ◇障害者と政策:2017  ◇介助・介護  ◇病者障害者運動史研究   全文掲載
TOP HOME (http://www.arsvi.com)