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相模原事件検証チーム最終報告書への緊急声明

2016年12月8日 全国「精神病」者集団

相模原市の障害者施設で入所者19人刺殺

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 このたび、相模原の障害者施設で発生した連続殺人事件で亡くなられた方に心からご冥福をお祈りするとともに、被害に合われた方々が1日も早く回復されることを願っております。
 2016年12月8日、「相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム」(以下、検討リーム)は、「報告書〜再発防止の提言〜」(以下、最終報告)をとりまとめました。最終報告では、容疑者に対する措置入院の解除、退院後の監視が不十分であったかのようなかたちで課題が整理され、再発防止の方策として、すべての措置入院者に対して退院後の計画を都道府県が作成することが掲げられています。また、退院後は保健所設置自治体が退院支援を調整することとされています。
 最終報告は、容疑者の大麻使用・入院費歴が精神保健上の問題があったことと因果的であるかのように目されていますが、現時点では犯罪行為が疾病によるものかは不明とされています。もし、鑑定留置の結果、犯罪行為が疾病と無関係なのであれば、精神医療では再発防止できないことになり、なんのための退院後のフォローアップかもわからなくなります。現在も措置入院は、社会防衛的に運用されることがあり、多くの精神障害者にとってトラウマ経験となっています。そのため、精神障害と社会防衛を結びつけた政策になることを多くの精神障害者が不安に思っています。最終報告に示された退院後のフォローアップは、再入院の防止、地域移行・地域定着を目的としたものというより、事件の再発防止を掲げている点で社会防衛を目的としたものです。このような目的は、精神障害者を他害に向かわないために地域において監視する方向に秩序化されるのではないかと深刻に憂慮しています。
 私たちは、最終報告で示されたような事件の再発防止を目的とした退院後のフォローアップを断固として反対します。

*作成:桐原 尚之
UP:20161229 REV:
全国「精神病」者集団  ◇相模原市の障害者施設で入所者19人刺殺  ◇全文掲載
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