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「自己決定と法的能力」

長谷川 唯
 20160922 障害学国際セミナー 2016
於:立命館大学大阪いばらきキャンパス内コロキウム

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last update:20160917


◇障害者権利条約12条
★自分で自分の意思決定を行う権利の保障
・障害があることにより行為能力が制限されることを否定。
・一切の代理・代行を認めない。
・締約国は代理・代行制度を廃止した上で、支援された意思決定にパラダイムシフトしなければならない。
・障害の種類や程度に関わらず、すべての障害を持つ人が、生活のすべての側面において、他の人と完全に同じ法的能力を有することが認められ、法的能力を行使するための支援を受ける権利の保障。
★自己決定できない原因を障害者個人から社会へと帰属し直した。

◇TLS
・意識があるのに運動神経が阻害され眼球運動を含めて全身どこも動かせなくなり、自分から意思を発信することができなくなってしまう状態のこと。
・表示行為ができない。
・TLSは相手に意思を伝える手段を奪われるため、いくら意思が明確であろうとも、主体性が実質的に発揮されないことになる。
★そこでの支援は、使用可能な資源との相互作用によって方向づけられるため、資源の制約を受けることになる。

◇事前計画
・法的能力の行使における支援の重要な一形態
・あらかじめ、自らの意思と選好を示しておく。
・他者に希望を伝えられない状況にある場合は、これに従ってもらう。
★意思表示は、「自己決定できる / できない」を評価する装置として機能している。

動機→効果意思→表示意思→表示行為

障害のあるすべての人には、事前計画に参加する権利があり、他の者との平等を基礎として、その機会が与えられなければならない(para.17)

◇自己決定の限界
・TLSの人には過去の決定を変更する自己決定が用意されていない。
・事前に意思や選好を示しても、意思が変わった場合に、そのことを表明できない
・過去の自分の決定に拘束され、それから逃れることができない。

★事前計画は代理決定である
自分自身が無能力とされたときの決定が、過去の自分の決定(事前計画)によって無効化されることになる。
その場、その場で決定できないことが、他の者と不平等である。

まとめ
◇12条の議論では、支援された意思決定のパラダイムの有効性を主張するがあまりに、自己決定の優位性を示すにとどまり、TLSでみられるような自己決定の限界については目を向けられていなかった。
◇そのため、TLSのように自己決定では限界がある人に対しても、事前計画が採用され、他の者との不平等を形成してしまった。
◇事前計画は代理決定であり、これでは代理決定パラダイムから抜け出せない。
◇過去の自分の決定に縛られない自己決定のあり様について議論されなければならない。




*作成:長谷川 唯
UP:20160917 REV:
精神障害/精神医療 障害学国際セミナー 2016  ◇全文掲載
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