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遺族への思い、詩に託し:追悼の輪、米国でも
熊谷 和夫 2016/08/13 『神奈川新聞』2016-8-13
7.26障害者殺傷事件
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相模原市緑区の障害者施設「津久井やまゆり園」の殺傷事件は海外にも大きなショックを与え、各国の障害者や家族、関係団体などから数多くの追悼メッセージが寄せられている。都内で開かれた追悼会に合わせ、国際育成会連盟理事・アジア太平洋地域代表の
長瀬修
さん(横浜市港南区)に届いた一つが、障害者の母親で米国教育省職員スー・スウェンソンさんからのメッセージと詩だ。長瀬さんは、同じ境遇にある家族の思いとして、遺族にぜひ伝えたいと話している。
スウェンソンさんの息子、チャーリーさんは、知的障害と筋ジストロフィの重度重複障害者。歩行困難で発話もなかったが、グループホームで暮らし、介助を受けながら外出や旅行も楽しんだ。しかし筋ジストロフィが進行し2013年、30歳の若さで亡くなった。
「津久井やまゆり園でのみな様の喪失に思いをはせる時、私たちの心は痛みでいっぱいです」
スウェンソンさんはこう語り、今回の事件で深い傷を負った障害者や家族、支援者らに呼び掛ける。
「心に留めていただきたいのは、みな様と同様に私どもも人類すべての尊厳と連帯精神がすべての国とコミュニティで実現することを求め、そのために取り組んでいることです。私たちは最重度の障害者と知的障害者のために特に取り組まなければなりません。最も弱い立場にいるから」
メッセージにはまた、長年にわたりチャーリーさんに寄り添い、互いに心を通わせて強い絆で結ばれていた介助者ナテ・ハイジュさんの詩が添えられていた。
「この詩がいくらかでも皆様の心の慰めになれば幸いです。ナテがチャーリーの葬儀で読んでくれた時に、私の慰めになったように」
(熊谷和夫)
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友だちのチャーリー(ナテ・ハイジュ著、長瀬修訳)
チャーリーは私の友だちだ:私はチャーリーの友だちだ
私はチャーリーを助ける:チャーリーは私が学ぶのを助ける
私はチャーリーが学ぶのを助ける:チャーリーは私が成長するのを助ける
私はチャーリーが成長するのを助ける:チャーリーは私が受容するのを助ける
チャーリーの大変さ:それは私の大変さ
チャーリーの弱さ:それは私に尊敬の念をいだかせる
私の尊敬の気持:それはチャーリーから私への信頼となる
チャーリーの信頼の気持:それは私の献身を引き出す
チャーリーはいてくれる:だから私は必要としてほしいと願う
私はチャーリーの秘密を守る:チャーリーは私の秘密を守る
それは二人の協定
チャーリーは自意識の塊じゃない:だから私はイライラしない
チャーリーはいつも刺激をほしがる:だから私は我慢強くなる
チャーリーが嫌な思いをしている:だから私は敏感になる
チャーリーが楽しそうじゃない:それは私の難問
チャーリーの存在:それは私を独りぼっちじゃなくする
チャーリーの忠実さ:それは私を忠実にする
そしてお互いに、ありがたく思う
チャーリーの脆さ:それは私の脆さを受容させてくれる
それは癒しをもたらす
チャーリーの人間らしさ:それは人と人とを結ぶ
チャーリーのぶれないところ:それは私に集中させる
チャーリーのほほ笑み:それは私のご褒美
チャーリーの喜び:それは私をやる気にする
チャーリーの幸せ:それは私に目的をくれる
チャーリーの大変さ:それは私を不安にする
それは私の試練
それは私を鍛える
そして私の信念を強める
導いている時:私は導かれている
助けている時:私は助けられている
教えている時:私は教えられている
チャーリーの笑い:そこには喜びがある
その喜び:そこには活力がある
その活力:そこには魂がある
その魂:そこには神の恵みがある
(長瀬修訳)
UP:20160813 REV:
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7.26障害者殺傷事件
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