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横山晃久氏インタビュー

横山 晃久 2016/08/05 聞き手:小井戸 恵子
於:自立生活センターHANDS世田谷事務所(東京)

病者障害者運動史研究

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last update: 20200308


■2016/08/05 HANDS世田谷にて 1時間16分

小井戸:さいきん、自分が思う事とやって行くべきこととギャップがあるような気がしているんです。推進会議が終わって骨格提言も出来て差別解消法もできたので、いい方向に向かっているんじゃないかと聞きますけれども、当事者の声が拾われて発信できましたという、すべて良い面だけではないように思って。そういった運動だけではなくて、違う運動っていうか、違う声もあるんじゃないかと思うのです。DPIにつながる人やJILだけではなくて違う運動、例えば障害連や、横山さんのところや、青い芝の人たちからするとどういった視点をもっているのかなということが気になっています。

横山:ぶっちゃけね小井戸さんに話しちゃうけれども、おれいま全国的に微妙な立場にいるのよ。

小井戸:微妙な立場。なんでですか?

横山:だってCPで元気なのは僕だけじゃない。動き回っているのは。昔、全国青い芝の**さんっていう人がいるけれどもそろそろね痴呆が入っているんだね。僕はもともと脳性麻痺だからね、青い芝の教えというのがあって、僕はCPでいる時は自由があるわけ。日本の障害者運動をつくってきたのは青い芝だからね。その脳性麻痺がいることはいるんだけれども、全国組織ね。DPIもいてJILもいて、だけどその中でCPは僕一人なのよ。

小井戸:委員会みたいな中でですか?

横山:そう。そのうち会議にずっと出ているのは僕だけなのね。

小井戸:(今日の横山さんは言葉がうまく出てきていない。音源がとても聞き取りにくくなりそうだ。)

横山:なんかね僕は嫌なのね。だから去年から「一歩の会」っていうのをつくったの。脳性麻痺だけの会。

小井戸:たしか、前に伺ったときにおっしゃっていましたよね。別の何かをつくりたい、必要って。改めていま思うっておっしゃっていた。

横山:はい、はい。去年の夏にできてもすうすぐ1年経つのね。「一歩の会」をつくって正解だったと思うのね。 12(歳)から 72(歳)まで会員がいるんですよ。みんなCP。しかもね男女が一緒、 人数が。月々会員が増えているんだよ。今36名会員なんだけど、平均年齢が 35(歳)。

小井戸:若い。

横山:若いんだよね。だからね、みんなね月一回集まっているんだね。場所を変えて。 埼玉行ったり、町田行ったり、世田谷行ったり、もう場所はてんてんと探してるのね、会員がね、福島とか新潟とかいるからね。でもわざわざね月一回、新潟からきてくれているんだよ。今までやってきたことは映画会。サヨナラCPとか、友達 100 人できるかなとか。ぜんぶ障害者を扱った映画。それにみんなで感想を言い合って。2部では、差別とは何かとか、養護学校とは何かとかね。そういうふうにだんだんだんだん若い人たちと交わる中で、(この、話しにくそうな感じは、歯の治療をしたのかな。義歯が合わないのかな)もう一回、僕たちCPの運動を作ろうと。みんなね話したくてしょうがないんだよ。だから集まって来るわけよ。 一歩の会をつくるにあたってね、何でCPだけしか呼び掛けないのかと。

小井戸:言われましたか?どうゆう人?まわりから?

横山:仲間内から。世田谷のCPから。だから僕は、とにかく今、こういう段階で障害の垣根を超える組織がいっは゜いあると。大行動とか大フォーラムとかDPIとかね。

小井戸:障害の垣根を越えている。超えた組織と言われていますよね。

横山:はい、はい。だから僕はあえて、もう一回CP にこだわっていきたいと。 結果ね、どんどん会員が増えているんだね。しかも若い人だね。それだけCPがはじかれてきたんだよ。こんなこと言っちゃ悪いんだけど、僕はあえて、いろんなところで言っているんだけどさ、頚損・脊損あとはALSの人たちは生まれつきじゃないんだよね。健常者として生まれてきたんだね。そこが大いに違うところです。えへへへ(笑)。だから生まれつきな障害に僕はこだわっているんだね。頚損・脊損に言語障害あまりいないじゃん。僕ら集まると 言語障害ばかりだからね。

小井戸:それがみんな普通ですからね。

横山:はい、それが落ち着くんだよね。言語障害がいると。あとね、僕ねラブコールを送って来るわけ。

小井戸:どこから?どんな?

横山:あのね、要求者組合。ほら、新田が死んだでしょう、中心を失っちゃったから新田に代わる人が欲しいと。一時、多摩市の**が候補に挙がったわけ。ところが**が逃げちゃったの。それで俺に

小井戸:白羽の矢が

横山:そう白羽の矢が立ったわけね。でも僕はねぇ、はっきり言ってぇ、昔の要求者組合じゃないんだよね。

小井戸:なんだか、みんな、ほかのところも、 昔はこうじゃなかったって聞きます。変わってきていますか?

横山:はい、はい。僕が育ったのはね要求者組合なのよ。組合の影響が強いわけ。僕が育てられたのは新田、それから三井絹子、それか ら猪野千代子、その3人に僕は育てられたようなもんだからね。うん(大きくうなずいている)。 僕は新田に育てられたんで、その時から公的介助保障のことをやってきたわけ。僕、自分で言うのもなんだけれど、僕はズレていないと思ってるわけ、運動が。僕はずっと介助保障一本でやってきたわけ。介助保障っていうのは僕にとって、いろんな障害者運動あるけれども一番大事なのは介助保障なのね。僕らの命だから命。生活だから。命そのものだからね。今の要求者組合は、委員長が三井絹子なのね、国立のかたつむりの会をやっているのね。その事務局長が木村栄子って言ってたま市でやっているわけ。で、大きく変わったのはね、かたつむりの会の「つばさ」。 つばさっていうのも木村英子なんだけれども。大きく2つはいま知的障害者の在宅保障をやっているわけです。知的障害者の在宅保障ってことはグループホームも入ってくるわけね。おもにその知的保障の関係の運動が8割9割だな要求者組合って言ってもね。

小井戸:変わってきているんですね。

横山:だから僕らみたいに、ちゃんと判断ができてモノ言えるCPがいま減ってるということになってるわけ。絶滅危惧種なの。絶滅危惧種だから余計に若手が育たないっていうのがあるわけ。だからたぶん要求者組合も知的に舵を取ったと思う。僕はラブコールを今は断ってます、今はね。僕は昔のことは水に流したいんだけど。でもね今から16年くらい前かな...、僕が一人でつるし上げを食らったの。あ、ちがう22 年前か。その時に要求者組合と介助保障 協議会っていうのがあったわけ。おれが介助保障協議会の代表だったわけ。修、高橋修が、横山いっしょにやろうって言ったからさ。で、介助保障協議会つくったんだよね。もともとは俺も修も要求者組合のメンバーだった。要求者組合から分かれて協議会を作ったのね。 むこうにとっては面白くないわけよ。で、おれは騙されてね、22年くらい前にね。俺はてっきり修といっしょに行くかと思ったわけ。行ったら、僕一人で。むこうズラーッといるわけよ要求者組合のメンバーが。むこうの言い分は、「何でJILに入っているのか」と。

小井戸:なんでJILに入っているのか?

横山:JILはへなちょこ障害者ばっかりつくってると。それは一部あたっているからしょうがないな。ガハハハ(大爆笑)。だからJIL はつぶすようにと言われたんだね、むこうにね。それはさすがにそんなこと言われる筋合いあるのかと。

小井戸:JIL ができて間もないくらですよね?

横山:はい、はい。怖 かったよ〜。1対25ぐらいだったからね。そうゆうハチャメチャなことがあったけれど も、僕はそうゆう過去のことはあんまりぶり返しちゃいけないって言うかさ、水に流したんだけれども。それにしても、いまの要求者組合はほとんど時代遅れだな〜って気がするわけ。なにかっていうとね、いま、???? (聞き取れない)っていうのがあるわけ。

小井戸:なになに?全なに?

横山:全、東京都の都、在宅障害者、「全都在障会」。在宅障害者の会それを新田がつくったわけね。その全都在障会で今なにを要求しているかというと、分かることは分かるんだけれど、時代遅れのことを要求しているわけ。

小井戸:どんなこと?

横山:推薦登録だとか。事業者と同じで自分たちで介助者をヘルパーを推薦してそれを行政が認めろと。

小井戸:パーソナルアシスタント?

横山:そう、 それ。そうゆうことをやろうとしているわけ。それは良いんだけれども、それはさ、限りある。

小井戸:限りある?

横山:絶滅危惧種のようなね、僕たちのような、モノが言えてね、文句が言えてね、そうゆう人たちだけがその制度を使えるんであって、ほかのみんなはどうなのかということを僕は思うわけ。僕も昔に戻したいよ、ほんとは、いまの制度や仕組みはやりにくいと思っているから。これね、どう見るかなんだよね。他の障害者からみれば、「一歩の会」の若い連中と話をしてね、若い連中は昔のやり方わからないから昔のやり方説明して、今のやり方とどっちが良いと思う?って聞いたわけ。そしたら若い連中は、今のほうが良いって。楽だからね。僕のような昔の連中はさ、とりあえず介助を獲得するというのが自立の一歩だと闘ってきたからさ。それが悔しいけど、時代なんだよね。選択制にしてほしいというのがいまの若い障害者の要求なわけ。

小井戸:選択制ってどうゆう?

横山:今月は疲れているからコーディネーターお願いねって派遣事業所に。でも来月は頑張るからいいよと。

小井戸:いらないよと。

横山:そう。自分でコーディネートできるよと。いう選択制にしてほしいって。だから、なるほどな〜と思うわけ。ガハハハ(爆笑)。

小井戸:なるほどな〜と思う陰には、どうゆう思いがあるんでしょうね?

横山:アハハハハ(大爆笑)。でも、それが多くの障害者の考え方なら仕方ないんじゃないかな〜と思うわけ俺はね。そうに時代が変わって来てるんだよ、確かに。それを決めるのをどう見るか、どう広めていくか、運動的によ。だから、昔のやり方だったら若いメンバーみんな付いて来ないと思うよ。そうゆう現在のやり方で僕は「一歩の会」を中心にCPのメンバーをまとめあげて、大フォーラムとかDPIに持って行くとCPの声を。俺はね、新 自由主義との決別だと思うんだよ。健常者には僕はなれないし。僕はニセ障害者がこれからたぶん多くなると思う。相模原のこともそうだったと思うんだよ僕は。いまマスコミはクソみそ一緒に報道してるじゃない。あれは健常者なわけだ。大麻とか麻薬とかやっておかしくなったんだからさ。それとは別にしてほしいと思うわけ。 あの事件をいろんな角度で見方あると思うんだけど、僕が拘っているのはやっは゜り生まれつきの障害だからね。薬によって精神おかしくなるってことは別個にしてほしいなと思う。

小井戸:まわりがもっとね。

横山:そう、わかってないんだよね。

小井戸:薬だとかで精神的になってあのような事件起こすのは当たり前だろうってね。健常者がやったって言うんじゃちょっとだけど。自分たち健常者とちょっと違う人がやったんだってことでね。

横山:そう、そうゆう歪んだ見方が出来ちゃうわけね。だから僕はあぁゆうニセ障害者が多くなると思うんだよ、これから。だから、それなりの法律を作ればいいと思うんだよ。

小井戸:そこも含めて障害者っていう括りになっちゃうからね。

横山:みんなからした、同じ見方されちゃうんだよね、一緒でね。それともう一個、感じてることはね。最近ね、なんか、障害、障害って名前多すぎるね。

小井戸:どうゆう?

横山:昔はさ、この人変わってるね〜って、ひとことで済んだわけでしょ。今はさ発達障害とかさ。あれこそほんとに僕は差別的な言葉だと思うよ。発達障害なんておかしいよ。

小井戸:あのころは、「つくられた障害」って言われていたにもかかわらず、ですよね。

横山:そう、そう。昔は山下清とかさ、ちょっと変わってるね〜でよかったんだよね。映画監督だっているじゃないスピルバーグとかさ。あの人だって障害だもんね。だから差別用語も紙一重なんだよね今は。昔はオブラートに包んであったわけでしょ。それがさ、今は、変えることが。この人たちは違うんだと。時代がそうゆうのを作ったね。

小井戸:『世界』にも載っていましたけれど、レーガンの時代は福祉で太った女王ってことで、それはマクドナルドとかで太っちゃった黒人の人たちを指す隠語だったのが、トランプは口にはっきり出しているから隠語じゃなくなってきてるみたいですもんね。

横山:すごい住みにくい世の中になってきてると思うよ。俺このあいだニュース見てびっくりしたのはさ、夏の風物詩に風鈴があったわけだ。いまね、風鈴があまり作られてないんだって、うるさいって。あの音がうるさい なんて信じられないよね。世の中変わったな〜と思うよね。飴と鞭をものすごい使い分けているでしょ。

小井戸:どこが?

横山:小井戸さんがおっしゃったようにさ、法律で人権とか言っておきながら、制度的には生活保護もどんどん削られてきてさ。そうゆうやり方を見て何も感じないんじゃ意味ないんだよ、運動やって行くなかではね。6月だったかねな厚生省と交渉やったんだよね。ほんとに頭きちゃったんだけど、あいつら話しなんないね。

小井戸:なんについてやられたんですか?交渉は。

横山:あのー。ん〜、配慮、 配慮、、、

小井戸:配慮、合理的配慮?

横山:そう、合理的配慮はどう見るかとかね、差別の事例とかやったわけ。僕なんかはね骨格提言とかさ、あれ、せっかくまとめたんだからさ。当時の内閣府が、あれは守りますと言ったでしょと。あなた方、骨格提言いえますかと。だれひとり言えなかったんだよ担当者がよ。俺キレたよ。まして「求める会」っていうか、裁判の和解あったでしょ、あれもぜんぜん答えられなかった。

小井戸:塩崎もぜんぜん基本合意を読んでいないそうですよね。

横山:そうね。まるっきり大蔵省、財務省の言いなりですね。昔の厚労省どこ行っちゃったのってことを感じたね。

小井戸:横山さんのほうから骨格提言とか出てきていますけれども、修士で制度・政策までやろうと思ったけれど書ききらなかったんで博士課程でそういったことをやろうと思っていたんです。ほんとは制度推進会議が厚労省とやっていたようなものをぜんぶ一次資料として読み込んで、どこに問題があるかとか、足りなかったこととか。佐藤さんがそのあとに本を書いているからそういった問題だとか。あとは岡部さんとかも、決まる前にどうゆうことをやりたかったとか書いてあったんで。表にあまり出てきていない、そうゆうことも含めて勉強して書こうとは思っていたんですけれども幅が広いから書けないんじゃないかと。

横山:アハハ、一生終わっちゃうよねえ(笑)。あのね、分かっている事務方はほとんどいない、飛ばされて。だから当時の本当に生き証人は当事者くらいだね。

小井戸:尾上さんも難しい立場になっていていたとか、まえに。

横山:あの〜、聞いたことあります?こうゆう話。尾上さんが内閣府でがんばってたんだけど、尾上さん***されてたの。尾上さんを窓際、一般的に言う窓際に追いやって尾上さんがいない所でなんでも内閣府が決めてたんだよ。あの尾上さんでさえもよ、そうゆう扱いをされたわけ。

小井戸:それで、まえに、尾上さんに、裏を聞きたいって言ったとき、いっは゜いあるから後でねって言ったのか〜。******。

横山:はいはい、あのね、僕の知り合いはどっちかって言うとみんな反対側の人たちだからね。日本で初めてだったわけでしょ、障害者がまとまって。いろんな障害の分野から出てやっとまとまったわけでしょ。あれだって大変だったわけね、東さんとか尾上さんとか、あと弁護士の藤岡さんも。ものすごい大変だったわけ。出た釘は打たれちゃうっていうか。でもそれを結束できたのは、東さんとか尾上さんの力なんだよね。絶対的??(聞き取れない)な要求を先ずはしようよと。あのね、俺は東さんと尾上さんに言ったんだけど、俺はずっと身体障害者だから、身体障害者の8割くらいは要求は通ってきたいままでね。それに比べると精神や知的がものすごい遅れていると。身体が8〜9(割)だったら、2〜1(割)程度あの人たち未だ。せっかく三障害一緒なったんだから身体の要求はできるだけ抑えて、その分、知的・精神のをって。

小井戸:えー、いまゾ〜ッとしちゃった。

横山:さすが横山、良いこと言うねって言われたわけよ。

小井戸:それは、どうゆうときに伝えたんですか?

横山:それはね今から7年くらい前。

小井戸:じゃあ会議が始まる前。

横山:そう、 始まる前に東さんに。だから...、なんて言うのかな〜、僕はチャンスだと思ったわけね、あれが。それと、あともう一個は、難病をどう見るかということなんだよね。難病の当事者も障害と思っていなかったわけね治ると思ってたわけ。僕が言うのは、障害は治んないよと。病気は治るけどね。それがずっと尾を引いてるんだよねじつは。僕は森永ヒ素ミルクの患者さんと多く話し合って来たからね若いときに。森永ヒ素ミルクとか、イタイイタイ病とかっていうのは原因が限られているわけだ。原因が限られているから相手にし易いんだよね。森永を訴えればいいとかさ、窒素を訴えればいい。 じゃあ僕ら、どこに訴えるの?ってね。僕ら、国しかないんだよ訴えるところは。僕は若いときは、そうゆう??を(聞き取れない)ずっと送ってきたわけ。だから、せっかく三障害一緒なったんだから身体が引っ張って行くしかないよねって。

小井戸:東さんと尾上さんに言った。

横山:うん。いま国は厚労、国土交通、文科、いっは゜いいろんなのがあってDPIはそれを担当を決めてやっているね。一番抵抗あるのはやっは゜り文科省。一番抵抗してるまだ。一番すんなり通ったのが国土交通。裏側になるのは国土交通は20年のパラリンピックを見据えてる。そんなの教育のほうは関係が無いじゃない。だから一番やりにくいんだって文科が。あともう一個あるのはね、各地に権利条約委員会とかをつくろうっていう動きがあるでしょ。

小井戸:条例?

横山:あ、はい条例だね。それとあと...、あれ...名前が出てこないな。僕もメンバーになっているんだけれども世田谷区の。

小井戸:世田谷区の?あ、自立支援協議会?私もやっていましたけれど。自立支援協議会が機能している所と、まったく機能していなくてあれは意味がないって言った人もいるですよ。その地域の差も大きんですけども。

横山:俺も、もうメンバー入って6年経つんだけど、いっこうに変わらない。金の無駄遣いだと思う。

小井戸:あれは、しっかり動けばしっかりしたものに期待されていたわけですよね。それこそ三障害一緒ですよね、あれは。

横山:思うんだけど、あれはアリバイ作りに使われているなと。

小井戸:三障害という。

横山:そう。

小井戸:すみません途中で。今の段階で自立支援協議会のある場所だけを全国的に調査した論文を書いた人がいるんです。全国あまりなかったらしく、返ってきたのが半分くらいだったかな、それは読んだことがあるんですよね。それで当事者がどのくらい入っているかをみてみたら、身体の人は本人が入っていても知的や精神の人は家族が入っているとかっていうのがほとんどだったっていう調査はやった人がいるんですね。修士のときに見たんです。制度的なことをやろうかなと思ったときに調べた事だったんですけれども。

横山:あ、そう。自立支援協議会から入って行けば情報はつかみやすいね。あれ、公開だから。世田谷の自立支援協議会は僕ともう一人、身体二人なんだよ当事者が入っているのは。60人で構成しているんだよ。

小井戸:けっこう人数が多いですね。世田谷だからですね。

横山:60人が本会の構成メンバーなわけね。本会を年3回やるのね。そこに部会があるわけでしょ。

小井戸:はい。

横山:俺は二部会入ってるの。地域移行部会と虐待部会。地域移行部会は僕が5年前につくらせたんだよ。もともと世田谷っていうのは精神の活動が強かったんだね。松沢医院があるからね、東京都でいちばん古い精神病院。でもね地域移行部会はほとんどが支援者。本人が入ってないです。あと虐待防止部会にはね、メンバーがすごいんだよね。消防署長、警察署長。

小井戸:自立支援協議会の虐待部会に?

横山:そう、考えられないでしょ。

小井戸:でもそれを委嘱、頼むのは市、あ、区ですもんね。

横山: それと相談支援事業所、当事者がほとんど入ってないね。だからそういう面からも切り崩したほうがおもしろいね。********。

小井戸:そうですね。DPIとかJILっていう運動の視点じゃなく例えば横山さんとかの...、 反対側って言いましたっけ?そういう人たちの動きから骨格提言とか推進会議のお話を伺うっていうのはどうですかね?

横山: 3月31日とか4月1日はパレードがあったわけでしょ。

小井戸:差別解消法?

横山:差別解消法の。あれ、DPIがパレード組んだわけ。俺なんかは「なに、くそ!」と思ったわけ。僕の気持ちとしては行きたくなかったんだよ。だけどDPIから横山、参加しろって。でも僕はインフルエンザに罹っちゃって行けなかったんだよ。でも参加したメンバーが、「すごい複雑だったんだよ」って言ってたね。気持ちが。

小井戸:なんで?それを手放しでは喜べていない部分がある?

横山:そう。なにがパレードなのかと。ここのメンバーも4人ぐらい参加したんだけれど複雑な想いだったよって言ってた。

小井戸:推進会議とか骨格提言とか話し合われたことが差別解消法になってきたわけですよね?

横山:権利条約から始まってね。

小井戸:その複雑な気持ちがあるっていうことは、自分たちの想いとは違う状況になってしまっているってことがあるのかな〜。そうゆう部分を聞いていくっていうのは、

横山:いいんじゃない、おもしろいと思うよ。客観的にね。ギャハハハ(急に大爆笑)。

小井戸:どうしたんですか(笑)。

横山:俺は、私感が入っちゃうからダメなんだよ、俺はね。どっちかっていうと僕はDPIもJILももう認めてないからね。個人的に言ったら今は「めざす会」だから、あの裁判のね。俺が驚いているのはさ、70年代の頃は労働運動、障害者運動、学生運動があって。障害者運動はなにかあったら固まって行こうなっていうのがあったわけ。ところが労働 運動は衰退してきて学生運動はなくなっちゃって、唯一残ったのが障害者運動。その障害者運動もどんどん切り込まれて行ってる、国に。さっきも言ったように、思うのは優生保護法ね、それから出生前診断、尊厳死、みんなかかわっているのはCPだけなのよ。この三つの問題をいくら脊損・頚損のあいだで言っても分からない。だからCPがもう一回まとまる必要があるわけ。障害者運動を立て直す役割をCPは持ってると思っているわけ。優生思想がドイツからって言われているけれどじつはアメリカなんだよね。新自由主義が優生思想なんだね。そこに、はやくみんな気が付いてほしいんだよね。小井戸さんにはぜひ各地の委員会の情報をまとめて、自立支援協議会の事情から差別とはなにか。

小井戸:そこから差別とはなにかにつなげる。

横山:そう。いろんな僕たちは差別とはなにかって言ってきたわけじゃん。ところが僕たちの手から離れて、みんなが差別をしちゃいけないよと言うようになってきたわけじゃん、一応ね、一応(笑)。

小井戸:世間的にと言うか社会的に。

横山:そう、だから、そこからまた逆にね

小井戸:改めて今。

横山:そう、どう捉えるか。客観的に小井戸さんは見ててほしいから。僕なんかは最前線にいるわけだ、どっちかっていうと。最前線は最前線の見方でしかないわけだよね。納得いくためには客観的な違う見方で最前線の人たちを支援する、カバーして行く。

小井戸:できるかな〜。

横山:できるできる。補佐してほしいわけ。お互いにね。それが無いと孤立になっちゃう。

小井戸:運動の人は運動の人、調査研究やっている人はその人で別々みたいな?

横山:そう。 どっかで一本の線でつなげてほしいんだよね。それがないと連帯っていう意味無いんだよね。

小井戸:時間が。また改めて。

横山:今度はね、尾上さんを呼んでも良いんじゃないの。

小井戸:またそんなこともお願いするかと思うんですけれども。今日はどうもありがとうございました。急にお時間頂いて。助かりました。

横山:協力したいんですよ、僕にできることなら。

小井戸:すごい助かります。申し訳ないくらい来ちゃいますけれどまた聞かせてください。お忙しい所すみません。帰ってまた自分の中で整理してみます。

横山:はい、お願いしますね。


*作成:小井戸 恵子小川 浩史
UP: 20200307 REV: 20200308
横山 晃久  ◇脳性麻痺/脳性マヒ/脳性まひ(Cerebral Palsy)  ◇自立生活センターHANDS世田谷  ◇小井戸 恵子  ◇病者障害者運動史研究  ◇生を辿り道を探る――身体×社会アーカイブの構築
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