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生命と、個人の尊厳を守りぬく 社会の実現のために

2016年8月5日 障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会

相模原市の障害者施設で入所者19人刺殺

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生命と、個人の尊厳を守りぬく 社会の実現のために
2016年8月5日 障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会


 7月26日未明、神奈川県相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で、入所者19人が殺害され、26人が重軽傷を負うという、残虐な事件が起きたことに、障害者、家族、関係者は筆舌に尽くせない衝撃を受けています。
 ことに、施設の元職員が犯行に及んだこと、さらに障害者の命と存在を真っ向から否定する言動がなされていることに対する驚愕と憤りは、言葉であらわすことができません。
 なによりも、尋常でない事件の被害者となって亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、負傷された方々の一日も早い回復を心より願うものです。

 事件の全貌が徐々に明らかにされるなか、なぜこのような事件が発生したのか、徹底した真相の解明が求められます。特に、容疑者が優生思想を持っての犯行といわれるなかで、その解明に当たっては、措置入院後の対策や警備強化にのみ矮小化されることのないよう、犯罪と障害を厳密に区分し、開かれた施設と警備の関係、施設の職員待遇や希薄な夜間の支援体制も含めた社会的背景等、総合的な検討が必要だと考えます。

 障害者施設の現場は、今回の事件に対し相当に心を痛め悲しんでおり、夜勤が怖いとの報告もされています。また、恒常的な人材不足の下で気持ちを奮い立たせて日々の支援に向き合っています。地域に開かれた施設づくりを願って積み上げてきたこれまでの努力が無になることにならないよう切望しています。

 この間、多くの公人による障害者、高齢者、女性、子ども等の人格を否定する発言が後を絶たず、厳しく問われることもなく、許容するような風潮を感じざるをえません。さらに、政府が進める施策についても、自立自助、自己責任が強調され、社会的に困難を抱える人々に対する偏見や差別、排除の社会的風潮が強まるなか、今回の事件が根っこのところで太くつながっていると考えるところです。

 生命と人間の尊厳を守ることは、政治と行政のもっとも根本的な責務であります。私たちは、今回の痛ましい事件を契機に、障害のある人もない人も、公的な保障のもとで、多様な生き方を認めあい、支えあい、学びあい、成長しあう社会の実現へ一層力を尽くすことを決意します。


*作成:桐原 尚之
UP:20160811 REV:
相模原市の障害者施設で入所者19人刺殺  ◇全文掲載
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