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「『これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会』への緊急要望」

日本精神神経学会, 20160601, [pdf]

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last update:20170324


「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」への緊急要望

平成28年6月1日
日本精神神経学会理事長武田雅俊

 日本精神神経学会(以下、本学会)は精神科医療に関する基幹学会として、平成29年を目途とされている精神保健福祉法の見直しに向けての包括的かつ網羅的な見解をまとめ、平成28年3月29日に公表しました。
 本学会はこれまで一貫して保護者制度の廃止を求めてきましたが、平成25年の前回法改正で長年の懸案だった保護者制度廃止が実現しました。しかし、上記の本学会見解で示したように、医療保護入院決定における家族等同意は残され、あたかも家族の同意によって強制力の発動が可能であるかのような曖昧さが残されてしまいました。このため現在でも、強制入院である医療保護入院決定における責任の所在が曖昧なままとなっています。
 厚生労働省では今年1月から「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」を開催し、精神保健福祉法の次期改正および今後の精神科医療のあり方についての議論を開始しました。この検討会は2つの分科会に分かれて議論が進められていますが、「医療保護入院等のあり方分科会」のテーマとして、@医療保護入院における移送及び入院の手続き等の在り方、A医療保護入院者の退院を促進するための措置の在り方、B入院中の処遇、退院等に関する精神障害者の意思決定及び意思の表明の支援の在り方、の3点があげられています。
 この3点はいずれも重要な課題なのですが、本学会は、前述した家族等同意の廃止と医療保護入院の決定主体の明確化の問題が取り上げられていないことに危惧を抱いています。家族等同意に関しては、@の「医療保護入院における移送及び入院の手続き等の在り方」の中で検討される可能性がありますが、前回の法改正以降、市町村長同意の発動しにくさが現場の当面の問題とされていることから、市町村長同意と家族等同意に関する手続き等の見直しに論点が絞られてしまうのでないかと危惧しております。
 医療保護入院という制度は、措置入院と同様に、当事者自身の意思によらない強制入院制度です。強制入院の根拠は通常ポリスパワーまたはパレンスパトリエに求められますが、そのいずれにおいてもこの強制力を執行する者は、私人ではありえません。前回の法改正における衆参両院の附帯決議では、非自発的入院における国および地方自治体の責任について検討するように求めています。
 「医療保護入院等のあり方分科会」におきましては、人権擁護の観点から医療保護入院における国及び自治体の責任の明確化を次期法改正の最重要課題とし,その上で医療保護入院における家族等同意の廃止を検討していただくように要望します。
 以上


*作成:伊東香純
UP:20170324 REV:
精神障害/精神医療:2017  ◇障害者と政策:2017  ◇介助・介護  ◇病者障害者運動史研究   全文掲載
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