HOME > 全文掲載 >

「『障碍者総合支援法』改定法案の中身とは」

古賀 典夫 2016/03/** 

Tweet
last update: 20160418


◇’障碍者総合支援法’改定法案の中身とは

 3月1日に国会に上程された法案の正式名称は、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律」という名前です。ここからもわかるように、総合支援法はもちろん、児童福祉法の中の「障害児」にかかわる部分を変えるための法案です。

 法案全体を見て思うことは、’障害福祉サービス事業’と「障害児」に関する事業の事業所総数を増やさないようにするための方策がとられている、ということだと思います。
 「骨格提言」は完全に無視されていて、施設や精神科病院の隔離体制も全く変わらないことが明白だと思います。
 あたかも、福祉を充実させる法案のようにも読めるのですが、閣議決定されたときの資料も合わせて読むと、いろいろな問題が出てきます。
 以下、その内容を紹介します。

★法律の施行日を2018年4月1日にしている

 昨年12月に出された’社会保障審議会・障害者部会’の報告書も、この時までを対象としています。
 2018年3月31日は、利用者の負担を軽減している経過措置の期限の日です。
 また、新たな報酬改定が2018年4月には行われます。
 この期間にわたって、政令や省令を変えていくことを狙っていると思います。財務省は、総合支援法における「障害者」への家事援助の見直しについて、介護保険での動向と関連させることを述べていました。介護保険法の改悪を、来年の通常国会で行うことを狙っています。この介護保険法改悪によって、要介護1・2の人を、直接の介護保険サービスの給付対象から外して、家事援助(介護保険では’生活援助’)や住宅改修、福祉用具を自費購入(一部自治体の補助)というあり方に変えようとしています。
 こうした動きを受けて、2018年4月の新たな総合支援法の施行を行おうとしているのです。

★’障害福祉サービス’のメニューの増加、しかしそれは、総量規制のため

 政府の義務的経費で運用される’障害福祉サービス’(第五条関係)に、やはり、就労定着支援、自立生活援助」を新設することになっています。
 また、この二つは、第二十八条で、「訓練等給付」に位置づけられています。そして、使える期間も限定的です。

●就労定着支援について

  「15 この法律において「就労定着支援」とは、就労に向けた支援として厚生労働省令で定めるものを受けて通常の事業所に新たに雇用された障害者につき、厚生労働省令で定める期間にわたり、当該事業所での就労の継続を図るために必要な当該事業所の事業主、障害福祉サービス事業を行う者、医療機関その他の者との連絡調整その他の厚生労働省令で定める便宜を供与することをいう。」

 3月1日に閣議決定する際に厚労省から配られた資料(以下、閣議決定資料)では、次のように記載されています。
--------
対象者
○就労移行支援等の利用を経て一般就労へ移行した障害者で、就労に伴う環境変化により生活面の課題が生じている者

支援内容
○障害者との相談を通じて生活面の課題を把握するとともに、企業や関係機関等との連絡調整やそれに伴う課題解決に向けて必要となる支援を実施。
○具体的には企業・自宅等への訪問や障害者の来所により、生活リズム、家計や体調の管理などに関する課題解決に向けて、必要な連絡調整や指導・助言の支援を実施。
-----------

 実際に、厚労省が発表しようとはしませんが、「障害者」の職場定着率は非常に厳しい状況にあるのだろうと思いますし、就労至上主義の政策を推し進める政府としても、この点には力を入れようとすることもわかります。何しろ、福祉を利用する者を、就労させることで減らそうとしているのですから。
 しかし、不安定雇用労働者が4割を超えるような職場にしてしまったことそのものが、ますます「障害者」の職場定着率を引き下げているのであり、「障害者」の制度だけ、しかも期限を切って、訓練として行うような制度を作ってみても、職場定着率はそれほど向上しないでしょう。
 「知的障碍者」から聞く話では、職場で新設にしてくれるひとがいた間は働けたが、その人が職場を去ってしまったら、働けなくなってしまった、という話です。

 ところで、この’就労定着支援’と雇用促進法における’就業・生活支援センター’との役割分担はどのようになっているのでしょうか。このセンターの業務として、いろいろな関係者との連絡や「職業生活における自立を図るために必要な業務」ということが記載されているのですが。
 また、就労移行支援を拡充することで、こうした役割は担える、との意見も聞きます。

●「自立生活援助」

 「16 この法律において「自立生活援助」とは、施設入所支援又は共同生活援助を受けていた障害者その他の厚生労働省令で定める障害者が居宅における自立した日常生活を営む上での各般の問題につき、厚生労働省令で定める期間にわたり、定期的な巡回訪問により、又は随時通報を受け、当該障害者からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言その他の厚生労働省令で定める援助を行うことをいう。」

 閣議決定資料によれば、次のように書かれています。
-----------
対象者
○障害者支援施設やグループホーム等を利用していた障害者で一人暮らしを希望する者等

支援内容
○定期的に利用者の居宅を訪問し、
・食事、洗濯、掃除などに課題はないか
・公共料金や家賃に滞納はないか
・体調に変化はないか、通院しているか
・地域住民との関係は良好か
などについて確認を行い、必要な助言や医療機関等との連絡調整を行う。

○定期的な訪問だけではなく、利用者からの相談・要請があった際は、訪問、電話、メール等による随時の対応も行う。
-----------

 この新制度も、この機能だけから考えると、’地域定着支援事業’でできるはずです。

 他の制度、例えば家事援助なども充実させながら、随時相談に応じて訪問もする事業が行われ、地域でのアパートでの生活が行われるのは良いことだと思います。
 しかし、思い出していただきたいのは、’社会保障審議会・障害者部会’の報告書の中で、充実させる部分がある場合には、別のものを削減しないとできない、という内容の記載があることです。
 なぜ、地域で一人暮らしを希望する「障害者」でなくて、「施設入所支援又は共同生活援助を受けていた障害者・・・」と記載されているのでしょうか。国会議員向けに配られていた「法案概要」という文章では、「共同生活援助を利用していた者等」とされていました。
 障害者部会報告書では、グループホーム(法律では、共同生活援助)の対象者から軽度の支援区分の人を外していく記述が見受けられます。そのために作られる「自立生活援助」だとすると、これは、グループホームを増やさないために行う政策です。
 また、障害者部会報告書には、この「自立生活援助」に当たるものを記述した上で、「当該サービスの内容を踏まえつつ、他のサービスの利用の在り方についても整理を行うべきである」と記載されています。このことがグループホームの在り方を指すのか、家事援助の在り方を指しているのか、その両方かなど明確ではありませんが、財務省は、家事援助を、政府の裁量的経費で運用される’地域生活支援事業’に移せ、と言ってきています。
 家事援助の時間が削減されるようなことになれば、この制度を使ってアパートなどで暮らす人は、かなり厳しい状況になってしまうことになるでしょう。
 グループホームの対象者や家事援助をどのように位置付けるかについては、省令を改編すれば、どうにでもできるのです。これが総合支援法の恐ろしいところなのですが。


★’放課後等デイサービス’の総量規制を狙う

 総合支援法においては、自立支援法の時から、「特定障害福祉サービス」という記載が行われています。これは、’就労継続支援’や’生活介護’がこれに当たります。
 これらの事業は、自治体が作る障害福祉計画の必要量からして多すぎると判断されれば、新たにこうした事業を始めようという申請があっても、都道府県知事は認めないようにする、というものです。私の知る限り、これによって、申請が拒否された、という話は知りませんが。
 「障害児」の福祉を規定している児童福祉法の中にはこれまで、こうした事業を規定する条文はありませんでした。
 しかし、今回の法案には、「特定障害児通所支援」という概念が規定されています。また、これまでやはりなかった「障害児福祉計画」を自治体が作るように規定しています。大人の障害福祉計画とこの「障害児福祉計画」を一体的に進めることも書き込まれています。
 そして、都道府県の障害児福祉計画による必要量を超える場合などを想定して、「特定障害児通所支援」にかかわる事業について、事業を始めようとする申請があっても、都道府県知事は認めないことができるようにしました。
 この「特定障害児通所支援事業」に当たるものは、今度の法案では、「放課後等デイサービスその他の厚生労働省令で定める障害児通所支援」であると記載されています。
 障害者部会報告書でも、自動デイが急増してきたことが述べられていました。こうした状況に対応して作られたものであると思われます。

 しかし、事業所の増加は、それだけの需要があるので、増加してきたはずです。
 2000年の社会福祉法の改定で、措置制度から契約制度に移行することが規定されたわけですが、契約制の良さは、選択できる、というところにあると宣伝されていたはずです。選択できる数の事業所がなければならないはずなので、本来総量規制はおかしいのです。


★入院中の解除はどのように規定されたか

 総合支援法の第五条の3項に’重度訪問介護’に関する規定があるわけですが、それが以下のように変えられています。
 これまでは、’重度訪問介護’を行う場所については、居宅と外出で行われると記載されています。
 今回の法案では、居宅の後に「又はこれに相当する場所として厚生労働省令で定める場所」という言葉を書き込んでいます。
 ここに、入院中の病院が含まれるのかどうか、明確ではないのですが、省令でどのように記載するつもりなのか、はっきりさせる必要があります。

 閣議決定資料を読むと、いろいろと不安な点が浮かび上がってきます。
----------
訪問先拡大の対象者
○日常的に重度訪問介護を利用している最重度の障害者であって、医療機関に入院した者
※障害支援区分6の者を対象とする予定
------------

 支援区分4や5の人には、適用しないことを考えているようです。

----------
訪問先での支援内容
○利用者ごとに異なる特殊な介護方法(例:体位交換)について、医療従事者などに的確に伝達し、適切な対応につなげる。
○強い不安や恐怖等による混乱(パニック)を防ぐための本人に合った環境や生活習慣を医療従事者に伝達し、病室等の環境調整や対応の改善につなげる。
-----------

 入院先で、直接の解除を、ヘルパーが担うのかどうか、これではよくわかりません。医療従事者に伝えれば、それで終わりという感じがしてしまいますよね。

●病院での意思疎通支援や入院中の外出問題はどこへ

 障害者部会報告書では、「意思疎通支援事業が入院中においても引き続き適切に利用されるよう、周知を図るべきである」と記載されているのですが、法案の中には、それに当たるものはありません。意思疎通支援は、’地域生活支援事業’なので、自治体に任せた、ということなのでしょうか。
 また、同報告書では、入院中の外出について、’重度訪問介護’、行動援護、同行援護を使って外出できるようにすることが盛り込まれていました。’訪問介護’は省令しだいでそのことができるのかもしれませんが、同行援護や行動援護については、定義は変えられていませんので、障害者部会報告書が反映されているとは言えないのではないでしょうか。


★利用者や事業者への調査を強化するために、「指定事務受託法人」という規定を新設

 総合支援法では、第十一条の二として、「指定事務受託法人」を位置づけています。
 これは、市町村や都道府県の行政の側が選んだ利用者や事業者についての調査を、こうした法人に委託して行うために設定されたものです。介護保険制度では、すでに行われているとのことです。財務省が、もっと立ち入り指導を行え、と言っており、自治体の側は、自治体職員だけではそこまでできない、と言う中で、このような法人を使って調査や指導を行わせようとしているのです。
 どこを調査するかは、行政の側が行うようです。また、命令を発することや立ち入り検査は、行政が直接行うようです。
 閣議決定資料では以下のように記載されています。
---------
引き続き自治体が実施する項目
@ 立ち入り検査・命令・質問の対象者の選定 
A立入検査 
B報告・物件提示の命令

業務委託可能な項目
C質問や文書提出の依頼
----------- 

 これまで、報酬支払の事務を行政が委託してきた’国民健康保険団体連合会’に、支払い事務だけでなく、審査も行わせる、との規定も盛り込まれました。閣議決定資料では、以下のように記されています。
 「現在、国保連では、「支払」を行う際に、必要な「点検」も併せて行っているが、今後、点検項目の精緻化等を図ることにより、審査として効果的・効率的に実施できるようにすることを検討。」


 これらと同じ規定が児童福祉法にも盛り込まれています。
 このほか、事業所への管理が強められているようなのですが、今の段階では、私は分析できていません。

★補装具の貸与方式を、大人にも子供にも導入

 障害者部会の報告書では、貸与については、年々成長に伴い体が変化する子供の場合に導入したほうが良い、とする内容で書かれていました。しかし、法文を見ると、大人にも適用できる内容で書かれています。第七十六条です。
 この条文の中に、「(補装具の借受けにあっては、補装具の借受けによることが適当である場合として厚生労働省令で定める場合に限る。)」という言葉が書き込まれているのですが、大人か子ども化の区別はありません。

 閣議決定資料では、以下のように記載されています。
---------
具体的内容
貸与が適切と考えられる場合(例)、
○成長に伴って短期間での交換が必要となる障害児
○障害の進行により、短期間の利用が想定されるもの
○仮合わせ前の試用

※上記のような場合が想定されるが、今後、関係者の意見も踏まえて検討。
※身体への適合を図るための製作が必要なもの等については、貸与になじまないものと考
えられる。
-----------

 障害者部会の審議の中では、脊損連の大濱さんなどが、「貸与方式を持ち込まれると、一人一人に合わせて作る補装具制度が貸与方式に変えられてしまう」と指摘されていました。こうした危険性は、やはりはらんでいるのではないでしょうか。何しろ、介護保険制度では、貸与が一般的なようですから。
 

★介護保険料の減免はどのように行うのか

 ’高額障害福祉サービス費’の制度を拡大して行う規定となっています。確かに、この制度は償還払いの制度でした。
 総合支援法の第七十六条の二がこの規定に充てられているわけですが、条文の形から言うと、ここに一合と二号を付けました。
 一合は、’障害福祉サービス’の支給決定を受けている者を対象としている、ということを示しています。
 二号は、’障害福祉サービス’を65歳まで受けてきて、介護保険に完全に移って、今(2018年4月以降)は、総合支援法の支給決定は受けていない人も対象にすることを示しているとのことです。
 私が、とのこと、と言ってしまうのは、極めてこの条文が判りにくいからです。私は、厚労省に説明を聞く電話を入れて初めて判ったのであって、独力ではとてもそのようには理解できませんでした。条文本文と一合、二号の関係すらよくわからないのです。こういう日本語として理解できない条文を作ること自体を認めてはいけないと思うのですが。
   
 では、介護保険の利用料を支払って、どのくらいの金額が手元に戻ってくるのか。それは、政令で規定することになっています。「当該障害者の所得の状況及び障害の程度その他の事情を勘案して」、「家計に与える影響を考慮」などの言葉が書き込まれています。
 閣議決定資料では、次のように書かれています。
----------
具体的内容
○一定の高齢障害者に対し、一般高齢者との公平性を踏まえ、介護保険サービスの利用者負担を軽減(償還)できる仕組みを設ける。

【対象者】
・65歳に至るまで相当の長期間にわたり障害福祉サービスを受けていた障害者
・障害福祉サービスに相当する介護保険サービスを利用する場合
・一定程度以上の障害支援区分
・低所得者
(具体的な要件は、今後政令で定める。)
----------

  これではますます、償還払いされる金額は、少ないものになりそうですね。
 私に説明してくれた厚労省の職員は、「障害福祉部会でも議論があって、自民党や公明党の先生方からもいろいろ言われまして作った条文なのです」と語っていました。

 また、閣議決定資料では、「この他、障害福祉サービス事業所が介護保険事業所になりやすくする等の見直しを行い、介護保険サービスの円滑な利用を促進する。」とも書かれており、結局、「障害者」の介護保険への誘導であることは間違いありません。

★事業所の情報公開を進めるとのことで、第七節を新設

 第七節は「情報公表対象サービス等の利用に資する情報の報告及び公表」と題するもので、第七十六条の三の1条からなるものです。
 事業所が提供した情報が本当かどうか、都道府県知事は、必要と思えば調査ができることになっています。
 児童福祉法にも同じ規定が盛り込まれています。
 閣議決定資料では、以下のことが記載されています。
----------
障害福祉サービス等の施設・事業者が報告すべきまたは都道府県が調査すべき情報
■基本情報
 例 事業所等の所在地、従業員数、営業時間、事業所の事業内容等
■運営情報
 障害福祉サービス等に関する具体的な取組の状況
 (例)関係機関との連携、苦情対応の状況、安全管理等の取組状況など
■都道府県が必要と認める事項(任意)


都道府県が調査をする時
新規指定時、指定更新時、虚偽報告が疑われる場合などにおいて、調査を実施し、結果を公表に反映。

報告や調査の結果を都道府県はネット等で公表
------------


★「障害児」の制度に新設など

●「居宅訪問型児童発達支援」を新設

  次のように規定されています。

 「D この法律で、居宅訪問型児童発達支援とは、重度の障害の状態その他これに準ずるものとして厚生労働省令で定める状態にある障害児であつて、児童発達支援、医療型児童発達支援又は放課後等デイサービスを受けるために外出することが著しく困難なものにつき、当該障害児の居宅を訪問し、日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、生活能力の向上のために必要な訓練その他の厚生労働省令で定める便宜を供与することをいう。」

 閣議決定資料では、以下のように記述されています。
----------

対象者
○重症心身障害児などの重度の障害児等であって、児童発達支援等の障害児通所支援を受けるために外出することが著しく困難な障害児

支援内容
○障害児の居宅を訪問し、日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与等の支援を実施
【具体的な支援内容の例】
・手先の感覚と脳の認識のずれを埋めるための活動
・絵カードや写真を利用した言葉の理解のための活動
----------

 また、目的として、「在宅の障害児の発達支援の機会の確保」、「訪問支援からの通所支援への社会生活の移行を促進」ということが記載されています。

 社保審・障害者部会で問題となっていたのは、「重度の障害児」を抱えた親がろくに睡眠時間も取れないでいる、という状況だったはずです。それを解決するのは、ヘルパーの派遣を拡充するなどが必要だったはずですが、すり替えられているような感じがするのですが。
 15歳以下の子供には、’重度訪問介護’が適用されません。’重度訪問介護’を子供にも適用して、外出を保障することが先だと思います。
 3月6日に、ばくばくの会(人工呼吸器をつけた子の親の会)の方に聞いてみたところ、新たな制度を作るのはいいが、これにより、ヘルパーの解除時間を減らされることがあっては困る、とか、家の中や外出のための移動の解除はぜひ必要であって、それを軽視されると困る、とのご意見をいただきました。

●「保育所等訪問支援」の拡大

 この制度を、乳児院そのたにも拡大するとしており、養護施設の「障害児」も対象とするようです。
 閣議決定資料では、次のように書かれています。
---------
対象者の拡大
○乳児院、児童養護施設に入所している障害児を対象者として追加
※現在の対象者は、以下の施設に通う障害児
・保育所、幼稚園、小学校 等
・その他児童が集団生活を営む施設として、地方自治体が認めるもの
(例:放課後児童クラブ)

支援内容
児童が集団生活を営む施設を訪問し、他の児童との集団生活への適応のための専門的な支援等を行う。
@障害児本人に対する支援(集団生活適応のための訓練等)
A訪問先施設のスタッフに対する支援(支援方法等の指導等)
------------


★これで何が解決するのか

 今、国会に提出されている総合支援法改定案は、夏の選挙前ということも意識して、露骨な内容とはなっていないと思います。そして、’障害福祉サービス’の充実という形で書き込まれた「就労定着支援」や「自立生活援助」も、これまでの制度を拡充すればできるはずのことを、わざわざ新制度を作るかのように表現しています。これも、選挙対策でもあるのでしょう。

 障害者部会報告書にも、精神科病院では、長期入院者の5万人が退院すると、また、5万人が長期入院する、との内容の記述がありました。審議の過程では、この退院者のうち、1万1千人が死亡退院で、1万9千人が転院や転化だという指摘がありました。
 しかし、完全に病院から退院した人も、自分の意志では外出できず、外部への電話は月に1度だけ、という救護施設に退院させられている、との現実を私は知りました。救護施設のすべてがこのようにひどい処ではないとは思うのですが。
 「知的障碍者」や「身体障碍者」の入所施設利用者を地域に戻す積極的な論議は、障害者部会の報告書にもあまり見受けられません。
 「骨格提言」では、地域に戻していくための計画を立てることが盛り込まれていたのですが、そのようなことは全く無視されているとしか考えられません。
 そして、財務省関係からの指摘を障害者部会報告書も受け止めるような内容が書かれていたのですが、これに沿った政令や省令の改定も気になります。
 4月21日の日比谷集会を大きく成功させ、連帯を広げ、闘う体制を作り上げていかなければならないと思います。


*作成:小川 浩史
UP: 20160418 REV:
障害者と政策  ◇生活・生存 全文掲載
TOP HOME (http://www.arsvi.com)