last update: 20200308
■2014/02/02 HANDZ世田谷にて 1時間39分
<この日はお会いして席につくとすぐに重度か軽度か話がはじまった。15分くらい介助者同席>
横山:人とのコミュニケーションが取れない人が重度になる。今までならばCPの人が最重度と言われていたけれども。
介助者 全身性で言語障害があって介助が必要な人が重度だった。
横山:僕もいろいろな講演会をやって来たけれども、15年前までは自分のことを重度障害者ですって名乗っていたわけよ。でも15年たってみたら重度障害者って言えないわけね。
介助者 呼吸器をつけていたりする人に比べたら重度ではない。
横山:だから自分のことを絶滅危惧種だと思っているわけ。おれが調べたいのは、中途半端な障害者ってどこにいっちゃったのって思う。
小井戸:中途半端な障害者って言うのはCPの人たちのこと?私の大阪の知り合いも同じことを言っていたけど...。青い芝をやっていた頃の人のことみたいですが、その話と重なりますか?
横山:重なるよ。最近は...、感じていると思うんだけれど、CPよりかは脊損・頚損の方が圧倒的に多くてさ、DPI でもJIL行ってもCPはほんとに1割ぐらいしかいないの。だから絶滅危惧種なの。CPは残るんだけど、中途半端なCPはいなくなると思うよ。
介助者 CPも二次障害とかで重度化して倒れてリタイアしていく。そうゆう意味では、まだ元気なほう。
小井戸:中途半端なCPっていうのは? 運動が出来ていた人たちのこと?
横山:そう。去年の12月に初めて全国青い芝の総会に出たんですよ。すごかったよ。青い芝の俺も影響をうけているんだけど。だってね、すごいよ。あのね、びっくりしたのはね、駅にエレベーターがついたじゃん、みんな喜んでるじゃない。ところが青い芝の執行部は、それでいいのか、と。
小井戸:どうゆう意味?
横山:要は、エレベーターがついたおかげで駅員が減ってきている。もともと青い芝っていうのは、なんていうかな、24時間の介助をいらないって言っていた人たちだから。要は部分介助なわけでしょ。
小井戸:私、青い芝のそこよく分からないんで。
横山:要するに、もともと軽度だったんだから。むかし軽度、でも今は重度なっているんですよ〜。事情がね。青い芝のほら、行動綱領あるでしょう。自由と愛を否定するとか、 健全者文明を否定するとかさ。で、一番最後に、解決の手段は選ばない。だけどほんとに今ね、僕はいま青い芝の人たちと付き合っていてね、New青い芝を作ろうかなと思っている。一つの考え方としては成り立つんだよね。みんな浮かれて、エレベーターがついて良かったねって言う半面、人との触れ合いが無くなってきてるよね。それが青い芝だから。
小井戸:ん?人との触れ合いがなくなってきているでしょ。てそれで?
横山:だから、それじゃ障害者は生きて行けないよねって。
小井戸:ハード面が整備されただけではい生きていけないよねってこと?人がいなければ。
横山:そうそう。青い芝を復活させようかと僕は思っていたわけ。僕なんか当時、若僧だったから、なんにも知らないわけよ。なんにも知らないって言うのは、青い芝が分かれたわけね。神奈川とか福島とかさ、関西とか北陸とかさ。そのわかれた経緯が俺わからないから、むかし有名だった各ブロックの人に連絡取り合って、「いまどうしてる、New青い芝を作ろうかと僕は思っているんだけどねー」って。それは金子さんに聞いたりしてね。僕は当時のことわからないからさ、怖いもの知らずでさ。福永は金子さんのあとをついで全国青い芝の会の会長になったんだけどね。福永と連絡取り合って、福島の白石さんとか連絡取り合って。あとは神奈川の鈴木次郎さんていう人がいて、
小井戸:あ、神奈川県の助成とかで自立生活センターができたんですよね。設立後のセミナーに参加したとき、鈴木さんにお会いしたことあります。少し話もしたりして。
横山:その人は横田さんの第一の弟子だったのね。尾上さんと金子さんと、町田にもいるだねCPちゃんで僕と同じ年で。全部でね8人くらい集まった。上が67歳で下が23歳。みんなCP。飲み会やったんだよ。みんなね、ほんと思うん。だけどね、同じ時代を生きてた人とかね、同じ目標があった人はね説明いらないんだよね。ほんと話が早いんだよね。たとえばCP以外、こんなこと言ったらわるいんだけどCP以外の人は話あわない。青い芝の人たちとはほんと話しが合うね。
介助者 すいません、お茶とかコーヒーとかどうですか?
小井戸:ありがとうございます。
横山:そういう緩やかな連合体。あのね、じつはね、いま立川に住んでいるんだけど、尾上って書いて「おのえ」って読むんだけれども、その人23歳。ものすごい運動が好きでね。 重度よ、ほんと重度よ。コミュニケーションができないから自分のパソコン使ってパソコンでコミュニケーションとるんですよ。絶対運動やりますから、付いて行きます。
小井戸:って言ってくれる?
横山:うん。
小井戸:頼もしいというかうれしいですね。
横山:青い芝の人たちは、なんていうのかな、時代に流されない。やっは゜り人を大事にするんだよね。横田さんの偲ぶ会に2回も出たんだ。全国青い芝の総会と神奈川青い芝の総会とあったのね。最初はね、なんで全国統一できないのかなと思ったわけ。なんで神奈川でやるのかなと思ったの。最初の頃は聞けなかったのね、聞いちゃいけないのかと。なんか役割分担があってね、鈴木次郎さんっていうのは横田さんの弟子だからほんとに理論家なのね。で、金子さんが行け行けドンドンのタイプなのね(笑)。今は尊厳死のことあるじゃない。 自民党が出して来てさ、青い芝も声明を出そうと。絶対に優生思想と闘うんだということを表明しようということで4月12日に集会やるんだよ。戸山サンライズの横で。やっとほかの障害団体も乗り気になってきて。あの...4月の25、26で世界大会があるのねアメリカで。イギリスとか西ドイツとか英語圏なんだけどね。13カ国集まって尊厳死を反対しようという会議があってですね、 そこに日本から、さくら会の橋本さんを送り込もうと。日本だけなんだよね青い芝があったから。西ドイツとかオランダとかはさ、尊厳死バンバンバンバンやられてるわけね。アメリカなんかさ自殺幇助は罪にならないと言ってるわけね。日本は尊厳死とかい延命措置っていうかね。むこうはお金がかかるから延命措置はしないと。日本は青い芝の影響があったからね、優生思想と闘うんだということをやりましょうかと。
小井戸:立岩さんが最近お書きになったALSの本でも、オランダは多いって書いたりましたね。
横山:オランダ、ドイツね。 北欧のスウェーデンさえも延命措置をしない。
小井戸:いま、お年寄りも病院で長期の場合、意識がはっきりしている間に臨むかどうか同意書とっているみたいですよね。自己決定ってなんだか...。
横山:自己決定ってことをさ、悪いように使われているんだね、政府がね。思うには、自己決定じゃないんだよね。家族の決定なんだよ。厚生省の人たちは、これ以上家族に迷惑をかけたくないということで、自ら自己決定をしたようなふりをしているんだね。 青い芝の横田さんが「母よ呼殺すな」、それだと思うんだよね。
小井戸:立岩さんの本でも人工呼吸器をつけるかどうか本人に聞いた調査の場合は 50くらいなのに、実際には選択しないで亡くなっているって。
横山:もうこれ以上、家族に迷惑かけたくないと。あのね、そういうことを敏感に感じるのはね、生まれたての障害者なのよ。脊損、頚損て事故とかさあまり感じてないんだね。そこが決定的に違うところ。
小井戸:私は仕事で事故に遭って。もとの障害は先天性ですけれど、だから先天性と後天性があって。
横山:珍しいじゃない。珍し品種だね(笑)。
小井戸:事故に遭って通信で勉強するようになって、卒論みたいなことでCILのことで以前にもお世話になって、ありがとうございました。こんどは修論で、障害のある議員とその周りの人たちにインタビューをするっていうのを考えているんですけれど...。次は無理だよって、ドクターストップかかちゃったんですけど、やりたいので、今回もよろしくお願いします。たとえば、横山さんみたいに運動やってきて議員を目指さない、そうゆう道には行かない人もいるじゃないですか。運動から議員になった人もいますよね。横山さんの話を聞いて書いた自立生活運動のことから、青い芝と自立生活運動はつながっているってことを教授が授業の中で言ってくれるようになったんです。
横山:そう。
小井戸:これからも少しでも伝えられたらと思っているんです。障害者議員の事を書こうと思っているんです。
横山:やってほしいね、僕も。
小井戸:ただ、私の中では、障害のある議員が必要だと思っていたのですけれども、聴き取りしていると、障害者側から「障害者がなっても意味がない」って。横山さんのように議員にならない人もいるでしょ。横山さんはどうしてそうゆう道を選ばなかったのかな?と。運動している中で議員を頼んでというか、つかったりしたことがあったか、とかをお聞きしたい。
横山:実際にあったよ。
小井戸:なにが?
横山:お誘いが。
小井戸:どんなふうに?
横山:世田谷区の議員になってみないかって。世田谷区の議員は4000票必要なんだよ。4000票か、はたして俺とれるかな?って思ったわけ。よくよく考えてみたらさー、こぶしを挙げている方が好きなんだね。みんなから、「お願いしますお願いします」って言われるのはいやなの。いろんな当事者がいてもいいんだよ。議員になりたい人、Dr.になりたい人はなってもいいし、弁護士になってもいいし、当事者がね。それが僕は当事者の文化だと思う。
小井戸:当事者の文化ね。
横山:ただね、当事者の学識経験者が絶対必要だなと思うわけ。
小井戸:それはなんで?
横山:今まで偉そうな顔してさ、私は学識経験者です、私は学者ですって言っている連中はみんな障害無いじゃんか。言ってみれば当事者じゃないわけよ。だからいろんな当事者がいていいんだよ。だって僕らはさ、「障害者のことは障害者にしかわからないよ」って言ってるんだからさ。なんで学識経験者はあんな偉そうな顔しやがって。しかも当事者じゃないからね言いたいこといえるんだよ。
小井戸:言いたいことがいえる。それが当事者から見たら違っていることがある。
横山:そうだよ。当事者の介助をしてるからこそ書けることもあるんだよね。若い時に介助やってたから書けるんですよね。当事者参画といってもさ、いろんなところで参画してほしいんだよ、俺は。 だから頑張ってほしいんだよ。
小井戸:お役にたちたいです。
横山:だから僕はいろいろ考えたんだけれど、僕はこぶしを挙げていたほうが合ってるなと思ったから議員の路はやめたの。僕は自分を誤魔化したくないわけ。
小井戸:私もがまんできなくて、対立したこともあった(笑)。
横山:だからほんとに役割分担があるんだから、自分の役割を全うすればいいと思うんだよね。あのー、大野更紗って会ったことある?広告塔、障害者のいまは広告塔になっているんだよね。難病の女性だよ障害者の。そう、作家。あの人と一回、話したほうがいいと思うよ。大野更紗は利用するだけ利用しようと思っているから。
小井戸:なにを?
横山:周りをさ。大野更紗の講演会を何回も聞きに行ったことあるけど、自分のことしか分かってないんだよね。例えば知的障害者のこととか、精神障害者のこととか、僕らのような身体障害者のこととか、まだ分かってない。
小井戸:分かっているから会ってみてって言うのかと思った。
横山:わかってないから教えてあげるんだよ。おこがましくないよ。それが大野更紗のできることだと思うよ。広告塔なんだから。
小井戸:私が伝えて、その人が書けたらってこと?
横山:そう。そういうのネットワークをつなげた方がいいと思うよ、いま。せっかく友達っていうか、仲間になったんだからさ。
小井戸:横山さんと(笑)。
横山:うん。そういうふうなネットワークを広げて。今の時代に何が必要なのかってことだよね。
小井戸:どこに?
横山:仲間に対して。うん。なんで俺がこんな考えになったかって言うと、この2年間、仲間がだんだんだんだん減ってるわけよ。伝えたいことはあったんだけど、伝えきれないで死んじゃったわけでしょ。いま残された僕たちは、なにが一番だいじなのかということなんだよね。だから非常に僕はショックだけれども、やりがいはあるなと思っている。だってさ、おれも含めて、亡くなった人はなんにもないところから運動を作り上げた。だから、いま僕らができることっていうのは、何を残していくのか。考え方がね少し大変になった、自分で言うのもなんだけどさ。
自立支援法、おれ個人にとってみれば、ふざけるな!っていうことがあるわけ。やりにくい、使いにくい自立支援法。だけど全体から見ればさ、ほんとに介助が必要ない人には少しずつ良かったわけ。昔はさ、俺みたいに声がでかい人とかさ、自己主張できる人が制度を勝ち取ってきたわけだから。そうみれば、自立支援法になってから、ぼくは使いにくいんだけど、全体から見れば少しずつ良い方向になったかなと、思うようになったね。
小井戸:それは、この2年くらいですか?
横山:そうですね。(優しく柔らかい言い方)体質が変わったかなって、自分ではね、アハハ(笑)。だから、ほんとに周りがバタバタバタバタ死んでいるからね。何を残したら良いかな〜と思ってさ。
小井戸:横山さん、その、拳を振り上げるほうにずーっといて、運動のある程度の成果を勝ち取るために政治の世界で妥協とか、議員を使うっていうのはあったんですか?
横山:いっは゜い あったよ。いやなこともいっは゜い経験してきた。我慢を強いられるわけね。
小井戸:議員に頼むことによって。通してもらうがために。
横山:そうそう。だから厚生大臣とかさ、文部大臣とか部長とか課長とかに頭下げるわけね。頭下げるのはいいんだけど。もっともっと困っている人たちがいっは゜いいるじゃん。僕たちができるのは微々たることなんだよね。だけど、それを、確実に運動にしていって、確実に広がってきたと。今はこうゆう制度がつくられてきて増えてきて、親元から離れて、施設に行かないで地域でヘルパー使ってある程度の生活ができてきてるということが、それは運動の成果だと思うんだよね。だからね、このあとなんだよ。要するに、なんにも無いところから這い上がってきてさ。みんな施設にぶちこまれてさ、地域で生きたいよということでみんな頑張ってきたわけだ。ある程度勝ち取ってきたわけだ。だから問題はこのあと、っていうのはさ、要するに、自立生活したものの生き方が無いんだよ。だからね、もう一回ね、何をもって自立生活というのかということを、もう一回、障害者運動の仲間が出したほうがいいと思うね。
小井戸:なにをもって自立生活というか。で、いま思ったんですけれど、三澤さんが議長の時に若者育成リーダー研修をしたじゃないですか。そこでわたし研修を受けたいって言ったの。
横山:あ、言ったの。
小井戸:そしたら三澤さんから電話があって、「あのね、自分で勉強したいって思っている人は来なくていい。この研修はそういうんじゃないから今回はダメ、また個人的に来なよ」って。でもDPIの会議に行っても三澤さんの姿なくなって。 三澤さんがいないところでDPIの会議が開かれることがさみしいというか、ほ゜っかり穴が開いた感じもしたんですね。研修のときいろんな分科会があったんですね。育成研修を受けた人がパネラーで出ている会場があって、そこに参加したんです。そしたら会場から、「研修を受けて政策的なこと、政策立案とかはどういうふうに関わって行きたいと思っていますか?」って質問が出たんです。私も聞きたいと思っていた事だったです。受講者からは、「まだそこまでは考えていない」と。「自分のことがいっは゜いだから、これから仲間づくりをしたり、ほかのCILとつながったりして行くところなんです」という話しだったんです。育成のあと、これからどういうふうになっていくのかなと思いました。
横山:あのね、要するに皆さん、地域運動を忘れているの。
小井戸:地域運動?
横山:昔さ、一匹狼だった人が、明日をも知れない生活から自立生活運動をつくって、 ちやほやされて、今では 1億、2億、3億っていうお金を動かしてるわけでしょ。人間ね、金を持つと変わるんですよ。ほんとに代わっちゃうの。ハングリー精神がどんどんどんどん無くなっている。僕、思うに、いまいろんな全国組織がありますよね。いろんな障害者団体、みんな事務局運動なの。僕たちが目指していたのは大衆運動だったわけだよ、それが青い芝だと。でもどんどんどんどん事務局運動になってるわけ、どこもかしこも。DPIもJILも。そのほうが楽だからだよね、早く決まる から。それで、いつもぼくは警鐘を鳴らしているわけ。これじゃまずいよなって。だってさ、当時はね、70年代とかさ80年代のころはさ、労働運動と学生運動と障害者運動が合体していたわけ。それが今は労働運動しょぼいし、学生運動は無いし、唯一障害者運動だけなんだよね。ところが障害者運動も、どんどんどんどんしょぼくなってる。これじゃあ 日本どうするのって。障害者どうするのって。こだわっているのは地域運動なわけでしょ。地域と中央とどう結びつけていけるのかってことが大事なんだよね。まあ、JILはなくなるでしょう。今は、活動家っていわれている障害者は、どこを切っても金太郎あめなのよ金太郎あめ。
小井戸:どうなってるってこと?
横山:地域のボスが中央のボスかなんだよ。同じ顔になっているわけ。だから若い人が育たない。昔の感覚で生きているから先輩たちは。 俺も含めてだけどアハハ(爆笑)。昔のやり方と今のやり方は絶対違うんだよ。(若者育成研修)やったでしょ。まだ運動のイロハのイもわからない人たちが出ているわけよ。どうせやるならね初級、 中級、上級とやったほうがいいんだよ。それだけをやる人材も減ってきているんだよ。悔しいけど。みっちゃん...、塚田って知ってる?
小井戸:あ、はい。
横山:両極端でね。塚田君はマイぺース。中西みたいな運動はしたくないって、それが現実なんだよ。中西は俺みたいになれって言っているけど。そこでギャップが出てるんだよ。だから僕は、中西はもうやめて若手に任せるべきだと思うよ。俺もそうだから(爆笑)。俺はハンズやめますよ、ほんとに。自立生活センターはもう終わってます。
小井戸:前にも言っていたけど...。
横山:ん〜、僕はいま一人に絞ってますよ。やっは゜りね、一人で一人しかできないよ育てるのは。中途半端な育て方をするとどっか行っちゃうの。今度さ飲み会やるから来れば。青い芝の人がいっは゜いいるから。フェイスブックやってる?馬鹿にしていたんだけど便利だよ。福島行ったり大阪行ったりしなきゃなんないかなって思っていたんだけど、フェイスブックやったら行かなくて済んだからさ。
(次世代障害者育成エンパワーメント事業)受けた人が、だからさ、 間違った方向に進まなければいいなと思っているけどね。事務局待機ね、そうそう。どうしてもね、感性が違うんだよね。生まれつきの障害者と中途障害ではね。交通問題一個とってもね、頚損・脊損は免許取れるわけでしょう。免許取れるってことは車持てるわけだ。だけどCPは電車バス使うしかないんだよね。おのずから運転できる当事者と分けられちゃうわけね。運転できちゃえば、どこが問題なのか分からない。自分に誇りがあるわけ、CPでよかったなって。
小井戸:それはどうして?
横山:言葉は悪いけど、脊損・頚損のようにスピード社会にはついていけないわけでしょう。いま、障害をもっていなくても世の中について行けない人、多い。その人たちと連帯を結べるのは僕らしかいないと思っているからね。だから、勝ち組負け組とか、負け組でもいいじゃん。負け組は負け組らしさがあるんだからさ、わざと勝ち組にいくことないよと思っているから。そこが、生まれつきの障害者とそうでない人の違いなんだね。
小井戸:こんなにいろいろ知っているのに...。あの...、負け組も勝ち組もないからさぁ。
横山:それが現実だよ...。
小井戸:だって障害者運動の歴史なんて横山さん実践で知っているじゃない。
横山:はいはい。
小井戸:それって強いよ。
横山:だから僕も、もう長いことないから、そろそろ文書に残さなきゃなと思っているんだけどね(爆笑)。
小井戸:八代さんとか金さんとか議員につながることですけど。あの、
横山:いろんな障害者の考えがあってね。樋口恵子さんは旦那が近藤さんだよね。樋口さんはある意味カリスマだったのね。でも何も伴ってなかったの。ピアカンは樋口さんが作ったものだとみんな思っていたわけだよね、あの当時はね。僕はピアカンていう名前が好きじゃないわけ。ピアカンやって世界は変わらないんだよ。だけども、あのころの樋口さんたちは、ピアカンをやれば世界が変わると信じてたから。障害者の世界、JILも救われると。ピアカンをやっていたメンバーは勘違いしていた。 ピアカンという運動だと思っていたわけ。大きな勘違い。ピアカンは運動じゃないよね。単なる自己解放の手法。ピアカンをやっているってことは運動をやっているって大きな錯覚をしてたわけ。だから僕はJILの中のピアカン委員会には反対なことばっかり言ってたのね。ピアカンは単なる手法だと運動じゃないということを僕はずっと言ってて。樋口さんを***しているからJIL は伸びない。JILでよかったことは当事者主体っていうことだけだ。でもそれはもう、勝手に独り歩きしてるからいいんだよ。
小井戸:樋口さんがカリスマ的存在だと思ったから議会に出たの?
横山:そうだね。 樋口さんが自分でそう思ったんだね。樋口さんが立つんならば応援するかって。
小井戸:さっき言っていた、その場で、どこにでも当事者の「参画」っていうのもあり得る。
横山:はい、そうですね。どっちかっていうと、おれの周りは、こんなこと言うとあれなんだけど、樋口さんはあまり人気なかった。金さんいるでしょ、
小井戸:はい。
横山:こないだここにあいさつに来てね「お世話になりました」と。兵庫に行きますと。兵庫に障害者の特別室ができたんだって。なにかっていうと、兵庫県の市長が民主党の人で、民主党のつながりがあって金さん兵庫に来ないかと。
小井戸:DPIはどうなるん?
横山:どんどんどんどん右傾化するでしょうね。だから真の運動、青い芝が必要なんだよ。僕はそう思ってるの。
小井戸:今まで育ててくれたDPIとか権利擁護センターとかはどうになる?
横山:アハハ(大爆笑)。だから〜、いろいろあるんですよ〜。話せば長いんだけどね。権利擁護センターは、うちの**がやっているよ金に代わって。うちのやつはものすごくDPIを詳しいからね。いろんな情報が入るわけですよ。*****今のDPIの力関係は健常者に押されてます。******。
スカイプ会議しませんか?出生前診断のこととか、65歳問題とか、尊厳死のことについてとか。このごろ障害者運動おとなしいと思います、過激な運動をつくりましょうって流してるわけね。そしたら反響が多くて、大阪の青い芝の女性が「大いに賛成です。私も参加させてください」って。やりましょうよ。障害者の通信手段としては良いよ。すぐ反応が返ってくるからね。
小井戸:あれ? 前は、横山さん、直接会った方が好きだって言っていたじゃないですか。
横山:俺も変わったよ、だから。
小井戸:体力的なこと?
横山:体力的なこともあるし経済的なこともあるし。ほんとは、僕はまだ会ったほうが良いんだよね。直接会って顔を見ながら。
今の若い人たちっていうのは運動を知らないから、僕らが提案する前に行政が作ってくれたと思い込んでいるわけ。だから俺は、「行政なんかなにもやってくれないよ」と。「俺たちが血と汗を流してここまで勝ち取ってきたんだから、それをあなた方が継承するんだよ」と言ってるけどね。
小井戸:横山さんが、「あなた方が継承するんだよ」って言った時に、その人たちの反応というか、そういう気持ちになっていってくれる感じします?
横山:いや〜。「横山さんにはなれないよ」と。
小井戸:横山さんのようになんなくても良いのにね。
横山:そうだよ。僕はたまたま成功したのはさ、僕の考え方だと時代背景と、あとは先輩方に恵まれたと。それでたまたま成功したんだって。
小井戸:先輩方...今もまだ、今なら、今ならというか...まだなんとかそれができる時代だと思うけどな〜。
横山:その先輩もだんだん減ってきているわけだよ、寂しいけどさ。だからおれの中で、もう一つの時代は終わ ったと言うしかないんだよ。
小井戸:私、書き残さなくちゃ。いま自分が聞ける人にとにかく会って。それをやって残す必要があるんだっていうのことをしみじみ感じる。それが単に研究の一個で終わったとしても何も無いよりは、知ってもらい、知ってくれる人がいたらそれで良いみたいな。
横山:だから、なんでグループホーム ができたのかとかね、ということを伝えないと。いまグループホーム多いでしょ。知的障害者の7割がグループホームに入ってるから。どういう背景でグループホームができたのかとか、みんなわかってないと思うんだよね。わからないまま利用してるんだよね。だからそれは運動をやってきた僕らの責任でやるしかないわけだね。
小井戸:横山さんは、前にもそうだったけれど、「運動をやってきた僕らにも責任がある」とか自分のこともそうにおっしゃる。なかなかそういうことを言う人は少ない気がする。新田さんは同じことを言っていた気がする、本の中で。横山さんと対談しているところだったかな。
横山:新田さんは、俺はほんとに影響を受けた一人だからね。残してよ。 俺、言うことくらいしかできないから。
小井戸:とんでもないです。言ってくれる人がいる、聞ける人がいるっていうのは貴重でありがたい。帰って、今の話を自分なりにまとめて、わかんなくなったらまた教えてもらおう。
横山:楠木さんも亡くなったしね。どんどんどんどん逝っちゃうんだよ。名刺ある?名刺ないの?
小井戸:あー、このあいだ牧口さんにお会いした時も聞かれた。
横山:名刺なくてもいいから、ここ(フェイスブック)に送ってよ。ここに入れておいてよ。 もっともっと話ししたいからさ。
小井戸:ありがとございます。また教えてください。
横山:こんな僕を使ってくださいよ。
*作成:小井戸 恵子・小川 浩史