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【訳】ライオット・ガール・マニフェスト

[Translation] Hanna, Kathleen, 1991, "The Riot Grrrl Manifesto", Bikini Kill 2 (Girl Power): 44.
訳:村上 潔MURAKAMI Kiyoshi) 2016/06/12
*改訂[Revision]:2018/06/09

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last update: 20180627


ライオット・ガールとは……。

なぜなら。私たち女の子は、【私たちに】向けて語りかけてくれる、【私たちが】その世界に含まれていると感じる、そして自分たちなりに理解できる、そんな本・レコード・ファンジンを強く必要としている。

なぜなら。私たちは、女の子たちがお互いの作品を見たり聞いたりすることを、もっと簡単にできるようにしたい。それによって私たちは、戦略や批評・称賛をシェアすることができる。

なぜなら。私たちは、自分たち独自の意味を創造するために、生産手段を接収(奪取)しなければならない。
*“meanings”(意味)を“moanings”(うめき声/反対意見を表す声)としているテキスト(文字起こしされたもの)もあるが、ハンナ自身は読み上げで“meanings”と発音している。

なぜなら。私たちはいかにして現状に影響を与え/現状を映し出し/永続させるのか、あるいはいかにして現状を【崩壊させる】のか、を理解しようとするならば、私たちの活動をガールフレンドたち・政治・現実生活と結びついたものとして見なすことが必要不可欠となる。

なぜなら。私たちは、即席のマッチョな銃による革命幻想が、私たちに夢を叶えさせることなく、たんに夢見る状態のままでいさせるための実行不可能な嘘であることを知っている。【だから】私たちは、ばかげたキリスト教資本主義者の物事のやりかたに代わるものを心に描き、生み出すことによって、一日一日の生活のなかで革命を創出しようと努める。

なぜなら。私たちはあらゆる不安に直面していて、さらに私たちに楽器を演奏するのは無理だと言ってくるビール腹少年のロックや、私たちのバンド/ジンその他はアメリカで最低だと言い、私たちの成果のいかなる評価/成功も女の子の時流に乗ったハイプだと片づける「権威」に立ち向かう状況にあって、私たちは互いに励まし、励まされることを望んでいるし、必要としている。

なぜなら。私たちは、何が「良い」音楽/パンクロック/書き物かを判断する、他の誰か(男の子)の基準に同化したくない。【だから】私たち自身のヴィジョンを創造・破壊・定義できる場所(フォーラム)を創出する必要がある。

なぜなら。私たちのことを反動的な「逆性差別主義者」で真のパンクロック精神をもった改革運動者ではないとする主張にたじろぎたくない。自分たちこそが真のパンクロック精神をもった改革運動者であることを、【私たちは知っている】。

なぜなら。生きることは身体的生存以上のものであることを、私たちは知っている。そして、パンクロックの「あなたはなんでもできる」という理念は、どこにでもいる女の子たち・女性たちの身体的・文化的な生を――私たちの、ではなく、彼女たち自身の表現によって――守ろうとする、怒れるガール・ロック革命の到来のために決定的に重要であることを、私たちははっきりと気づいている。

なぜなら。私たちは、階層的でない(ヒエラルキーのない)存在のしかたを創造することに関心がある。また、競争や良い・悪いの分類ではなく、音楽・友だち、そしてコミュニケーションと理解に基づいたシーンを作り出すことに関心をもっている。

なぜなら。私たちの妥当性を検証し、私たちに挑んでくるようなクールな物事を、実行する/読む/見る/聞くことは、私たちが強さや共同体意識を獲得することを助けてくれる。レイシズム・健常者中心主義・年齢差別・種差別(speciesism)・階級差別・体型差別・性差別・反ユダヤ主義・異性愛主義のようなくだらないものが、私たちの生活にいかに関わっているのかを解き明かすために、私たちはそれらを必要とする。

なぜなら。あらゆる種類の女の子のシーンと女の子のアーティストたちを育成し、サポートすることは、このプロセスにとって必要不可欠なことだと私たちは考えている。

なぜなら。私たちはあらゆる形態において資本主義を憎んでいる。そして、伝統的規範に従い冷淡であることで利益を得るのではなく、情報をシェアして生き続けることを主たる目標と見なしている。

なぜなら。女の子=物が言えない(ばか)、女の子=悪い、女の子=弱い、と私たちに言い聞かせる社会に対して、私たちは怒っている。

なぜなら。私たちは、自分たちのリアルな正当な怒りを、拡散したり、性差別の内面化によって自分たち自身に差し向けたりしたくない。そうした傾向は、女の子が女の子に対してもつ嫉妬の特性や、女の子型の自滅的行為のなかに目撃できる。

なぜなら。私たちが愛され/望まれていると感じられ、自分の価値を実感できるコミュニティに暮らしていれば、そう簡単に自滅的行為――コンドームなしで男の子と性交する、暴飲する、真の心の友であるガールフレンドを無視する、自分自身や他の女の子たちを軽視する、など――には及ばないだろう。

なぜなら。本当に世界を変えることができる、そして変えるであろう革命的な魂の強さを、女の子たちは構成する。私はそのことを全身全霊で信じている。

*【 】内は原文の強調箇所


■The Original Text (Web Pages)

■Reference Materials


■cf.
◇神戸市外国語大学2016年度前期科目「ジェンダー論入門」“Grrrl/Queer/Feminist Zines”(担当:村上潔)
◇April 2016 - August 2016 "[Serial Publication] Notes on Grrrl/Queer/Feminist Zines" (1)-(15)
◇村上潔:《翻訳》
◇2017/04/23 「[Talk]ジンとフェミニズムの古くて新しい関係」
 17:00〜19:00 於:art space tetra
 *《Garden #07 For Zine》の企画
◇20170111 「【訳】ライオット・ガールはジャンルではない。ましてや歴史上のジャンルでもない。そうではなく、女たちがお互いに感情を喚起するために用いてきた一連の戦術だ。」(Julia Downes)●→Link


*作成:村上 潔MURAKAMI Kiyoshi
UP: 20160612 REV: 20180609, 0627
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