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レビュー:酒井エル『スプリーン』

村上 潔 2016/03/15

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last update: 20160315


酒井エル+袋坂ヤスオ+ジェリー・ゴードン『スプリーン』:@人口の浜辺をつたい、海にアクセスしようとするが、その手は届かない。海からも大地(土)からも引きはがされ、疎外された主体(女)は、同じようにさまよう他者を拘束し、自由を奪い、同時に自らの身体を高度化することでその状況を>続>
2016.03.13 19:43

酒井エル+袋坂ヤスオ+ジェリー・ゴードン『スプリーン』:A>乗り切ろうと模索するが、満足を得ず、やがてその不毛さに気づく。失われた海と大地を改めて確認した主体は、自らを解放するには自らの内なる意識をもってするほかないという現実に向き合い、疎外された存在の肯定へと意識を向かわせる。
2016.03.13 19:47

酒井エル+袋坂ヤスオ+ジェリー・ゴードン『スプリーン』:B>空虚さが充満する世界にある静かな暴力性、生命の対峙する不協和音、身体レベルでの存在の肯定、諦念の先にある道筋、といったものを、言語なしで提示した表現。寄り添う音は、その世界の不合理性を圧縮し、合理化し、分散配置したもの。
2016.03.13 20:08

酒井エル+袋坂ヤスオ+ジェリー・ゴードン『スプリーン』:C>おそらくこの公演における(一見わかりづらい)問題設定の一つは、自然秩序からの疎外によって主体に内包された「暴力」を、否定するのではなく、その(他者との遭遇を通した)自律的マネジメントはいかにありえるのかを問うことだろう。
2016.03.14 23:31

酒井エル+袋坂ヤスオ+ジェリー・ゴードン『スプリーン』:D>その意味での明確な「解答」は示されていなかったように見えたが、代わりに「暫定的な秩序」のありようは提示されていた。それは、むしろ後者のほうが重要で、かつ難しいことなのだと、作者/演者たちが考えていた表れではないだろうか。
2016.03.14 23:34


◆酒井エル『スプリーン』
(2016/03/13 at UrBANGUILD)
・酒井エル
・袋坂ヤスオ
・Jerry Gordon
・照明:竹ち代毬也
主催:酒井エル
*KYOTO EXPERIMENT 2016 SPRING フリンジ企画「オープンエントリー作品」
http://www.urbanguild.net/event/events.html


*作成:村上 潔
UP: 20160315 REV:
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