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ANTIBODIES Collective パフォーマンス作品「DUGONG」レビュー

村上 潔 2015/10/25

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last update: 20151130


10.25《ANTIBODIES Collective》元立誠小:[1]表面的には「寺山的」という言辞が与えられることが予想されるが、実際はそのイメージの逆のコンセプトを示していた公演だったと思う。因習性や抒情性は排され、出演者は絶えず移動し、配置を入れ替わり、服を着替える。>続
2015.10.25 23:04

10.25《ANTIBODIES Collective》元立誠小:[2]土着性や固定した役割からあらかじめ解放された存在。つまり(レトロな廃校を舞台にしつつも)「過去」に規定されていない。かわりに彼らは「未来」に規定されている。その証拠に現場の設定では時間は逆に進んでいく。>続
2015.10.25 23:09

10.25《ANTIBODIES Collective》元立誠小:[3]その交差して進行していく時間の流れにおいて、移動・入れ替わり・人と時間の衝突を意識させるのがノイズ・光線といった非自然的・反抒情的なものだったと思う。それは善悪や快不快や秩序を超えたものとして存在する。>続
2015.10.25 23:13

10.25《ANTIBODIES Collective》元立誠小:[4]そうした音・光のもつ「力」は、空間がもつ記憶や感傷などすべて吹き飛ばしてしまう。その怖さと陶酔感。そのあいだを淡々と動き回る演者。彼らとすれ違い、見つめる観客。スペクタクルの尺度の振れ幅が大きく困惑する。>続
2015.10.25 23:18

10.25《ANTIBODIES Collective》元立誠小:[5]そこでは、個人の無力感に苛まれる暇もなく、目の前の動きを純粋に楽しむ余裕もない。つねに所在なく、目的を意識することなく動かされ、音と光に攪乱され、虚構の時間に振り回される。そのような自分にあとから気づく。>続
2015.10.25 23:21

10.25《ANTIBODIES Collective》元立誠小:[6]これこそが、未来から逆算されたスペクタクルのもつ意味なのかもしれない。観客は公演が終わってから、場所・人物・時間の流れを反芻し、しかしそれがまったく「歴史化」されえないことに気づき、困惑し、不安を覚える。>続
2015.10.25 23:24

10.25《ANTIBODIES Collective》元立誠小:[7]その困惑や不安の「痕跡」を残すこと、がこの公演のもっている意味の一つなのではないか。「未来への不安」ではなく、「未来から逆算した不安」。それは現在をどう認識するかというシンプルな問いに否応なく帰結する。>続
2015.10.25 23:27

10.25《ANTIBODIES Collective》元立誠小:[8]現在に対する危機感を、何らかの事象に関する共通認識から「共有」するのではなく、ばらばらの観客の目線そのままに、各自に与えた困惑・不安の「痕跡」から侵入させようという意欲的な試みが本公演ではなされていたと思う。
2015.10.25 23:33


◆ANTIBODIES Collective パフォーマンス作品「DUGONG」
【京都公演】
日時:2015年10月24日(土)19:00 / 25日(日)19:00
会場:元・立誠小学校全域
http://www.antibo.org/


*作成:村上 潔
UP: 20151130 REV:
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