だれもが思い思いに振る舞う自然状態から脱却して,他のすべての人々とともに(相互作用の関係に立つことが避けられない人々とともに),公的法則による外的強制に従うよう統合しあわなくてはならない,したがってだれに対しても,自分のものと認められるべきものが法則によって規定され,十分な力(それは自分のではなく外的な力である)によって配分される状態に入らなくてはならない,つまり何はさておき市民状態に入らなくてはならない.(Kant 1797[1914]: 312=2002: 153)「したがって公法とは,一群の人間である人民のための,あるいは一群の諸人民のための法則の体系」(Kant 1797[1914]: 311=2002: 152)といえる.