[注]
1)これまでは、難病は「障害の予防」という枠組みの中でのみ捉えられてきた。同法第三章「障害の予防に関する基本的施策」の第23条3項(「国及び地方公共団体は、障害の原因となる難病等の予防及び治療が困難であることにかんがみ、障害の原因となる難病等の調査及び研究を推進するとともに、難病等に起因する障害があるため継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者に対する施策をきめ細かく推進するよう努めなければならない」)や、2004年の参議院付帯決議(「『障害者』の定義については、『障害』に関する医学的知見の向上等について常に留意し、適宜必要な見直しを行うよう努めること。また、てんかん及び自閉症その他の発達障害を有する者並びに難病に起因する身体又は精神上の障害を有する者であって、継続的に生活上の支障があるものは、この法律の障害者の範囲に含まれるものであり、これらの者に対する施策をきめ細かく推進するよう努めること」)などから、障害者基本法は、難病者も一応対象としながらも、その判断に当たっては病気そのものを見ているのではなく、難病から起因して生じてくる「身体障害」をもって「障害者」としていると解釈されている(大黒 2011)。
2)CRPSとは、採血・手術などの医療行為、事故による骨折・捻挫などによる神経損傷を契機とし、感覚神経や運動神経の病的変化によって発症する慢性疼痛症候群である。運動障害や萎縮性変化などを伴う場合もあるが、最も主要な症状は、「激しく」「持続する」「灼熱の」「深く疼く」痛みである。詳しくは下記HPを参照。
Kirkpatric, A. & International Research Foundation for RSD/CRPS, 2003, “Clinical Practice Guidelines”(=2010,真下節・柴田政彦訳「国際RSD/CRPS研究財団 標準的治療法ガイドライン第3版.」
3)まず、サービスを利用したい本人もしくは保護者が市町村に対して申請を行う。認定には、障害程度(支援)区分認定調査票が用いられ、コンピューターによる一次判定が行われる。介護給付を希望する者に対しては、さらに市町村審査会による二次判定が行われる。二次判定では、一次判定結果の原案、認定調査票の特記事項、主治医の意見書をもとにして、一次判定が適正であるかどうかなどの審査が行われる。このようにして、障害程度(支援)区分の審査・判定が行われ、支給が決定された場合には、支給量などを記載した障害者福祉サービス受給者証が交付される。
4)「買い物」についても同様である。「適切に必要な商品を選び、代金を支払うこと」が判定基準とされているが、CRPS患者のなかで買い物に支障をきたしているという人の多くは、長時間立ったまま商品を探すことが困難である、思い荷物を持っての移動ができないなどを理由としている。
5)もっとも、そうした場合、実際には身体的な痛みが深刻であっても、周囲から様々なサポートを受けられている人はそうでない人よりも日常生活や社会生活がより円滑に行えている可能性が高いため必要な支援の度合いが低く評価されてしまうといった新たな問題が生じることも考えられ得るだろう。