3.1.5 障がい当事者主義の実現
障害者権利条約の基本精神は“Nothing about us Without us !(私たち抜きに私たちのことを決めるな!)であり、権利条約前文(o)項によると「障害者が、政策及び計画(障害者に直接関連する政策及び計画を含む。)に係る意思決定の過程に積極的に関与する機会を有すべきであることを考慮し、」と明示されている。よって、権利条約は、障がい当事者主義を基盤にしている。障がい当事者主義とは、障がい者こそ障がい者にとって何が一番必要なのか、本人が直面している問題だからこそ障がい者がその解決する方法を一番よく分かっているため、障がい政策の策定過程に必ず障がい当事者の参加が保障されなければならないということである。したがって、障がい者基本法も障がい当事者主義を実現すべきである。
障がい者基本法が障がい当事者主義を実現するということは、一次的に同法を制定する過程で障がい当事者の全面的な参加が制度的に保障されるべきということを意味している。これは、日本の障害者総合支援法の制定過程においての事例を参考にできる。
日本は、障害者総合支援法制定過程で「障害者制度改革推進会議」に障がい当事者を24名のうち14名と、多く参加させ、制定過程において障がい当事者主義を実現させた。したがって今後、韓国も障がい者基本法制定過程において日本のように障がい当事者の多数の参加を制度的に保障すべきである。また、障がい者基本法の内容のうち、政策の立案および決定においての利害当事者の体系的な参加保障や、国の重要な障がい関連基本政策機関での障がい当事者の参加保障が制度的に後押しされるべきである。