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2011年度 上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科国際関係論専攻
博士前期課程学位論文


last update: 20160220


農業FDIによる貧困削減効果の再検討
−モザンビークにおけるバイオ燃料作物生産の事例から−

飯田 めぐみ

※ pdfファイルはこちらからダウンロードできます。pdfファイル「農業FDIによる貧困削減効果の再検討」

目次

序章

第1章 農業FDIと貧困削減効果
1−1 アフリカの貧困と農業投資の重要性
1−2 FDIと貧困削減効果
1−3 農業FDIの持つ特殊性
1−4 まとめ

第2章 アフリカにおけるバイオ燃料作物生産の実態
2−1 農地獲得の規模と実態
2−2 バイオ燃料作物生産拡大のプッシュ・プル要因
2−3 バイオ燃料作物生産投資先の決定要因と農地獲得プロセス
2−4 バイオ燃料作物生産の問題点
2−5 まとめ

第3章 モザンビークのバイオ燃料作物生産の実態
3−1 モザンビークの経済と貧困
3−2 モザンビークの農業
3−3 大規模バイオ燃料作物生産と土地紛争
3−4 大規模バイオ燃料作物生産によるマクロ的影響
3−5 大規模バイオ燃料作物生産によるミクロ的影響
3−6 まとめ

第4章 モザンビークの制度的欠陥
4−1 モザンビークの土地法
4−2 制度的欠陥と不公正な農地獲得プロセス
4−3 土地取引における伝統的権力の役割
4−4 まとめ

終章

参考文献



序章

アフリカでは、特に最貧困国 (Least Developed Countries: LDCs) といわれる国々で、バイオ燃料生産の原料となる作物の生産が拡大している。この背景には、地球温暖化問題への国際的な取り組みと、2008年の原油価格高騰による代替エネルギーへの関心の高まりによって、バイオ燃料需要の増大したことがある。バイオ燃料の原料作物は他の地域の途上国でも生産されているが、アフリカ(1)では主にヨーロッパ市場へ輸出することを目的として、多国籍企業がアフリカで大規模農地(2)を獲得し、生産をおこなっている。こうした多国籍企業による動きは農業FDI (Foreign Direct Investment:海外直接投資) とよばれており、これが経済成長を促すものであるとして、アフリカ政府も多国籍企業による農業分野への参入を積極的に誘致している。IFPRI (国際食糧政策研究機関) の試算によれば、アフリカのFDIで大半を占めるのが、農地を含む天然資源分野への投資であり、総じて1000万ha以上の土地に海外投資がおこなわれている(3)

バイオ燃料作物の生産は、停滞しているアフリカの農業生産性を向上させることによって、アフリカの貧困削減に寄与するといわれている。この理論的根拠となっているのが、農業FDIが潜在的に持つとされている貧困削減効果である。アフリカにおいては、総人口に占める農業労働者の割合は51%と半数以上を占めているにもかかわらず、他の地域の途上国と比較すると一人当たり農業生産性、土地1ha当たりの農業生産性がどちらも低水準であるため、アフリカの貧困問題を解決するには農業生産性の向上が不可欠であるとされている。しかし農業への投資には莫大なコストがかかるため、国内資本が不足するアフリカで農業生産性を向上させるには、外国の資本、知識や技術が不可欠であると言われている(4)。国際援助機関や先進国ドナーは、農業成長を促進させるための農業支援を拡大していると同時に、世界銀行ではアフリカの投資環境の改善を促し、外資の呼び込みをサポートしている。こうした文脈の中で、バイオ燃料作物は、今後需要が拡大すると見込まれており、また新たな換金作物としてアフリカの貿易黒字に貢献するとして、期待が高まっている。とりわけ食料作物以外からつくられる「第二世代バイオ燃料」の主な原料となっている「ヤトロファ (jatropha curcas) 」と呼ばれる作物は、旱魃に強く、不毛な土地でも育つとされ、「緑の油田」「黒いダイヤ」として注目されている。このように、バイオ燃料作物生産は、アフリカの農業生産性を向上させ、貧困問題の解決に寄与すると同時に、地球温暖化問題の解決に寄与するとして、先進国、アフリカ政府、そしてアフリカ市民にとって「win-win-win」の関係を構築するものとされている(5)

そのバイオ燃料作物生産が拡大しているアフリカのLDCsのひとつがモザンビークである。モザンビークでは1992年まで紛争が続いていたが、その後は安定的な政治、経済パフォーマンスにより、復興へと向かっている。しかしながら、長期に渡る紛争によるダメージは大きく、モザンビークは現在でも深刻な貧困や飢餓に苦しんでいる。人口の80%以上が農業従事者であるにもかかわらず、農業GDPは30%弱にとどまっており、他のアフリカ農業国と比較すると一人当たり農業生産性が非常に低いのが特徴である。したがって、モザンビークでも、貧困削減において農業への投資増大が不可欠であり、政府は積極的に農業への民間投資の誘致や、そうした動きへの財政的な支援をおこなっている。その流れの中で、バイオ燃料作物の需要が増大していることを貧困削減のための好機ととらえ、2005年から民間企業によるバイオ燃料作物生産プロジェクトに対して農地の割当てをおこなっている。バイオ燃料の生産は、農業成長率を押上げ、雇用を創出し、輸出作物の多様化、さらにはエネルギーの自給につながり、農業分野のみにとどまらず、モザンビーク経済全体に発展をもたらすとして大きな期待が寄せられている。エネルギー省発行の“National Biofuels Policy and Strategy”の序文においては、バイオ燃料の生産と使用が「貧困との闘いの手助けになる」と記述されている(6)。さらにIFPRIは、モザンビークにおける貧困削減政策への提言として、食料部門の生産性を向上させると同時に、バイオ燃料作物のような新しい換金作物の生産を拡大させることが重要であるとしている(7)

しかしながら、多国籍企業による大規模バイオ燃料作物生産によって、アフリカでは貧困者の生活環境がさらに悪化しているという指摘がなされている。 (Prosper et al. 2011) まず、バイオ燃料作物生産を目的とした多国籍企業による大規模農地の獲得が、貧困者の土地へのアクセスを奪うと同時に、食料や水に対する安全保障、エネルギー安全保障を脅かし、彼らの生活水準を悪化させていること、そして土地を失ったことによる損失は、大規模プランテーションの操業による雇用創出などの便益によって埋め合わせされるに至っていない。さらに、バイオ燃料作物生産プロジェクトから企業が撤退する場合も少なくないため、貧困者は土地を失ったまま放置されるということが起きている。

このように、農業FDIとしておこなわれているバイオ燃料作物生産によって期待されるような便益が、実際にはもたらされていないということが指摘されている。なぜ、バイオ燃料作物生産の推進理論と、実態との間には乖離が生じているのだろうか。バイオ燃料作物生産の問題点を指摘している文献で代表的なものはProsper et al. (2011) による“Biofuels, Land Grabbing and Food Security in Africa”である。この中には、各国のバイオ燃料作物生産の実態に関する事例研究が収められており、企業による農地収奪の実態や、バイオ燃料作物生産が持つ特殊な背景などが詳細に記述されている。しかしながら、バイオ燃料作物生産が貧困悪化をもたらしていることに関して説明している先行研究のほとんどでは、その要因をつくりだしている企業や政府の行動や、その行動を決定づけている法制度の分析にとどまっており、農業FDIが本質的に貧困問題に対してどのような影響を与えるものであるのかということに関しては言及されていない。これまでアフリカにおいておこなわれてきた農業FDIと、新たな動きであるバイオ燃料作物生産との相違点ばかりが強調されており、両者が持つ共通点、つまり農業FDIが持つ構造的な問題をふまえた議論がほとんどなされていない。

そこで本稿では、バイオ燃料作物生産をめぐる議論が、農業FDIが本質的に貧困削減をもたらすものであるという仮説に基づいておこなわれていることに対して疑問を投げかけることを出発点とし、アフリカのバイオ燃料作物生産が貧困削減に寄与しないことを、農業FDIをめぐる議論を体系化し、それを分析枠組みとすることによって明らかにしていく。同時に、その他の換金作物の農業FDIとは異なるバイオ燃料作物生産の持つ特殊性や、投資受け入れ国の制度的な側面に着目し、それらの要素が作用し合って農業FDIの持つリスクをより深刻化させやすい構造を作りだしていることを説明する。事例としては、モザンビークでおこなわれているバイオ燃料作物生産の実態を取りあげる。モザンビークを事例として扱う理由は、FDIにおける農業FDIの割合が比較的高く、バイオ燃料作物生産関連のプロジェクトが拡大しているためである。また、土地に関する法制度が未整備であるという点において、アフリカで同様に農業FDIによるバイオ燃料作物生産がさかんにおこなわれている国と共通しているため、モザンビークの事例検証は他の国でも適用可能な部分が多いと考えられる。

本稿の構成は以下の通りである。まず第一章では、まずアフリカの貧困状況にふれ、その解決において農業投資の重要性について確認する。そして、バイオ燃料作物生産が貧困削減に寄与するという理論的根拠となっているFDIによる貧困削減効果について、先行研究をレビューしながら検証していき、農業FDIを含め、FDIによる貧困削減効果は、それが本質的に持つ性質ではないことを示すと同時に、農業FDIでは、大規模な農地の獲得がともなうために、投資受け入れ国にとってのリスクが大きくなることを指摘する。第二章では、アフリカでバイオ燃料作物生産が拡大している背景要因と実態について説明し、バイオ燃料作物生産が他の換金作物生産を目的としてこれまでおこなわれてきた農業FDIと共通した特徴を持つものであること、そして同時に特殊性を持っていることを示していく。第三章では、モザンビークのバイオ燃料作物生産の実態について考察し、それが投資受け入れ先の貧困者にとって実際にリスクをもたらしていることを明らかにする。さらに第四章では、モザンビークの土地に関する法制度を概観し、それらが包含する制度的な不完全性や定義の曖昧さが農業FDIの持つリスクを深刻化させる要因となっていると同時に、それが海外の投資家にとっても都合の良い制度となっていることを示す。本稿の結論としては、農業FDIとしておこなわれているバイオ燃料作物生産は、本質的に貧困削減効果を持たないものであること、そしてアフリカでは特に農業FDIの持つリスクが表面化しやすい環境があること、以上二点を提示している。



第1章 農業FDIと貧困削減効果

この章では、農業FDIがしばしばFDIの議論の延長として論じられていることから、まずFDIと貧困削減についての先行研究をレビューし、そのうえで農業FDIは、FDIにはないリスクをはらんでいるために、両者は区別して論じられるべきであること、さらに、農業FDIによる便益は自然発生的ではないのに対し、そのリスクは自然発生的なものであるために、このリスクを緩和するためには政府による管理、監視が不可欠であることを示したい。まずは、アフリカの貧困を概観したうえでアフリカの発展にとって農業投資が重要であることを確認していく。


1−1 アフリカの貧困と農業投資の重要性

サブサハラ・アフリカでは、国際貧困ラインである一日1.25ドル以下で生活する絶対貧困者数の割合は50.9%にのぼる。さらに、一日2ドル以下の貧困者数を含めると総人口の約72.9%にまで上昇する(8)。この地域では、貧困者のおよそ70%が農業従事者であり、そのうちのほとんどが小規模農家である。「小規模農家」の定義は国や経済によって異なっているため正式な定義というものが存在しない。本稿でも、特別定義しないが、アフリカの小規模農家の特徴と傾向についてふれておきたい。一般的に小規模農家の中でも、生産物を市場で販売して生計を立てている商業農家と、生産物のほとんどを家計で消費する自給農家の二つに分類され、前者は換金作物や食料、後者は主に食料のみを生産している。植民地時代には、小規模農家による換金作物生産がさかんにおこなわれていたが、現在では商業農家は一部の大規模農家に限られ、後者が大半を占めている。こうした農家は生存農家とよばれ、耕地面積が1ha未満である場合が多い。FAO(1997)によれば、アフリカのいくつかの国では1980年から1990年の間で耕地面積が1haの小規模農家は50%から78%に増加している。したがって、アフリカで食料生産を担っているのは主に小規模農家である。さらに、アフリカの農村では伝統的に土地の私有制度がほとんど存在していないところが多い。1980年以降の市場自由化にともなって外資による農地への投資がおこなわれるようになってから徐々に土地所有制度が整備されてきているが、現在でも土地はコミュニティ(村落共同体)に帰属している場合があり、こうした土地制度は共同体土地保有制度と呼ばれ、コミュニティの首長が耕作権や放牧権を個々の独立した農家に保証している。その土地において生産されるのは主に食料であり、家庭労働による自耕自給の、いわゆる生存農業である。灌漑や耕作機械、化学肥料の使用はなく、伝統的な農耕技術によって生産しているため、その生産量は気候的な要因によって左右されやすいことに加え、アクセス可能な土地の面積も限られているため、一人当たりの労働生産性は非常に低いのが特徴である。

このように、労働人口の多くを吸収する農業分野における生産性の低さがアフリカの貧困問題の根底にある。Bates(1987)は、こうしたアフリカの農業生産性の低さと農村の周縁化は、農業を軽視した政府の政策によってもたらされたものであると説明している(9)。西欧依存型経済から脱却し、自立的な発展を目指すため、多くのアフリカ政府は輸入代替政策を採用して工業化を目指した。中間財を輸入し、最終財を自国で生産するというこの貿易政策では、輸入に有利な環境をつくりだす必要がある。そのため、政府は自国通貨を高く設定すると同時に、輸入に必要な外貨は、国内で生産した換金作物を農家から安価で買い取り、それを国際価格で売ることによって得る貿易余剰によって準備されていた。その結果、安価な食料の輸入が増加すると同時に、農家を搾取し、農村部門から工業部門への資源移転の仕組みが、中間流通やマーケティングボードの設置など、買い手市場形成の中でできあがっていった。このようにして農民は政府によって利益を搾取されていき、政治的、経済的力を失っていったという。

このように、貧困が農村に集中していることから、アフリカの発展における農業開発の重要性は1970年代から認識されていた。しかしながら、アフリカ政府は農村投資に注入する財政的余裕がなく、また、政治力の持たない農村への投資は、政治的リターンが少ないためにインセンティブも希薄であった。そのためアフリカでは1980年代後半から国際援助機関や先進国ドナーによって生産性向上を目的とした農村開発プロジェクトがおこなわれてきた。このような農村開発プロジェトでは、近代的な農業を普及させるため、化学肥料や交配種などの使用が推進されてきた。しかし、これらは農業生産性を一時的に上げることには成功したものの、持続性のある発展には結び付かなった。多くの場合、プロジェクトの終了後に農民たちは資本へのアクセスの欠如、さらには国際的な経済自由化の流れによって、先進国ドナーが肥料への補助金を削減するよう途上国政府に圧力をかけたことも影響して化学肥料の使用が減少し、再び農業生産性は停滞した。その結果、小規模農家の生活水準は悪化の一途をたどることになり、他のアジア諸国と比較すると、アフリカでの緑の革命は失敗であったという評価がなされている。このように、多額の投資にもかかわらず成果がほとんど得られない経験から、次第にドナーは「援助」といったかたちでの農業開発にコミットする意欲を失い、いわゆる「援助疲れ」が顕著化した。実際にODAにおける農業投資の割合は、1978年以来10%前後を維持してきたが、1989年以降はずっと10%を下回っている(10)。それを補完するかのように急増し始めているのが、海外投資家による農業部門への参入、いわゆる農業FDIである。

同時に、こうした動きが「貧困削減に寄与する」といった期待が高まっている。特に、FDIが急増し、経済成長を遂げている途上国や新興国では、それに伴って不平等が拡大しており、この問題を克服するために貧困者に親和的な経済成長(Pro-poor growth)という概念が国際援助機関などにおいて重視されるようになっている。実際に、工業部門での成長ではなく農業部門における成長がもっとも貧困削減効果が高いという実証研究(11)も数多く存在しているため、農業FDIでは貧困者に親和的な経済成長をもたらす可能性があると期待されている。世界銀行やIMFなどの国際金融機関は、多国籍企業による農業投資に対する融資をおこなっている。世界銀行グループの姉妹機関であるMIGA (Multilateral Investment Guarantee Agency)は、投資リスクの大きいアフリカでアグリビジネスをおこなう企業に対して投資保証をおこなっており、2007年には9ヵ国のサブサハラ・アフリカでおこなわれた16のアグリビジネスに対して、総額1億6200万ドルの投資保証をおこなっている。このように、アフリカで加速する農業FDIによっていくつかのアフリカの国では高い農業成長率を記録している(12)。しかしながら、こうした成長は果たして理論通りにアフリカ国内の貧困者の生活の改善にむすびついているのだろうか。以下では、雇用創出効果、貧困削減効果、そして技術移転効果を持ち、アフリカの貧困者の生活改善をもたらすとして期待されている農業FDIに関するこれまでの議論を、一般的なFDIの議論を参照しながら体系化していく。


1−2 FDIと貧困削減効果

農業は国家にとって社会的にも政治的にも重要な産業であるため、他産業へのFDIに比べて投資受け入れ国に与えるインパクトが大きいということが指摘されており、農業FDIは慎重に議論されるべきである問題である。しかしながら、農業FDIも他産業のFDIと同様の理論で推進されている傾向にある。したがって、まず一般的に言われているFDIの効果についての議論を概観していく。

FDIとは、Foreign Direct Investment (海外直接投資)のことを指し、これは外国籍の投資家が他国の在住権を与えられ、長期的な関係性、そして継続的な利益、管理を反映した投資であると定義されている(13)。このため、FDIでは投資家に対してある程度の経営に関する影響力の行使権が保証されている。投資家は、法人である場合と個人である場合があり、前者においては、現地に子会社をつくる、海外拠点として進出する、あるいは現地の企業と合弁企業をつくるなどといったような、さまざまな進出形態がある。法人によるFDIは経済のグローバル化を牽引している要素であり、長期的な国際間での資本移動をおこなう法人は多国籍企業と呼ばれている。国際間の資本移動でも、社債や株式の購入などといった短期的なものは間接投資(Portfolio investment)として区別されており、この種の投資では経営権は伴っていない。

したがって、FDIでは単に資本の移動だけではなく、技術移転や雇用創出により投資先の経済成長や貧困削減に貢献するとされている。Blomstrom and Kokko (2003)をはじめとする多くの研究者によれば、FDIは、投資先の必要投資量と国内貯蓄との格差を埋めることによって発展に寄与するものであると広く認識されている。マレーシアや中国、韓国など、アジアのいくつかの国は、FDIの誘致によって経済成長を遂げた成功事例であるとされており、これらの国では貧困削減にも成功している。新古典派経済理論においてFDIの流入が貧困削減に寄与するメカニズムとして論じられているのは、FDIが持つスピルオーバー効果やトリクルダウン効果による貧困削減である。スピルオーバー効果とは、FDIは投資国に技術移転をもたらすことで両国間の技術格差を埋めることができる。それによって全要素生産性が向上し、経済全体のパフォーマンス改善をもたらすことで、一人当たり所得を上昇させるとしている(14)。一方のトリクルダウン効果とは、FDIによる雇用創出や賃金の上昇などによって一部の所得者層の所得が向上することで、すべての所得者層の所得が上昇するというものである。

しかし、FDIによる貧困効果に関しては懐疑的な見方もあり、議論がわかれている。FDIが投資先にもたらすとされているスピルオーバー効果に対して肯定的な論者は、韓国や中国、マレーシアなどの事例をあげ、それらの国においてはFDIによる技術移転がある程度もたらされているとしている(15)。例えばTong et al. (2003)は、中国の事例をあげて、その技術水準の格差が大きければ大きいほど、FDIによるスピルオーバー効果は大きくなると結論づけている。しかしながら、スピルオーバー効果に懐疑的な論者は、それらの効果がアフリカやラテンアメリカなどの国においてはほとんど実証されていないことを指摘し、FDIによるスピルオーバー効果は自然発生的なものではなく、投資先の産業構造や国家の特徴によって影響されるものであると結論づけているものが多い(16)。さらにBorenzstein, De Gregorio, and Lee (1989)は、FDIが投資国に発展をもたらすには、その国家が最低限度の教育や技術、健康水準を満たしており、インフラや金融市場の整備がなされていることが不可欠であることを示している。

一方で、FDIによる貧困削減効果は、スピルオーバー効果よりも、トリクルダウン効果の方がより重要な役割を果たすとする論者もいる。Tambunan (2004)は、FDIが貧困削減に寄与するのは、それが持つ雇用創出効果、つまりトリクルダウン効果であると論じている。貧困者の多い途上国の多くでは、国内貯蓄が不足しているため雇用機会が少なく、経済成長率も低い。その結果、人口増加によって一人当たりの所得が減少することで、負のスパイラルから脱することが困難な状況にある。したがって、FDIによって雇用が創出されれば、国内貯蓄が上昇し、経済成長が促進されるため、貧困のスパイラルから抜け出すことが可能となる。このような経済成長による貧困削減効果は、Dollar and Kraay (2000)によって実証されている。彼らの実証分析では、国民所得が1%増加することで、貧困率が1%減少するという結果が出ている(17)。さらに、多国籍企業によるエネルギーや水へのアクセス向上といった社会サービスの提供が、貧困者のエンパワーメントに寄与するという議論もある(18)。OECD (2002)や世界銀行(2007)は、FDIの増加が受け入れ国の経済成長率の増加や貧困削減と相関関係にあることを実証している。Klein et al. (2001)は、「貧困削減のためには最も効果的なツールの一つ」としてFDIを位置づけている(19)

しかしながら、トリクルダウン効果そのものに対して懐疑的な見方をする論者も少なくない。経済成長による効果が起こるとしたDollar and Kraayの実証分析についても、その方法論に問題があるとしてさまざまな批判的検討がなされている。Ashley (2007)は、彼らの計量手法の問題点を指摘し、彼らのセレクション・バイアスを修正したうえで分析している。その結果、成長率が正の国においては貧困削減の成長弾力性は1よりも小さく、成長率が負である国においては1よりも大きいことがわかった。つまり、貧困層は経済成長によってわずかな恩恵しか得られず、経済の停滞時には大きな負担を強いられることを意味している。同様に、Tambunan (2004)は、貧困削減効果を持つような経済成長がFDIによって達成されるには、多国籍企業のパフォーマンスが向上することが重要であるとしている一方で、それだけでは不十分であり、その企業が持つ新技術や知識、そして実践法が、投資先の経済に根付くことが必要不可欠であると指摘している(20)。つまり、トリクルダウン効果は短期的な貧困削減には寄与する可能性があるけれども、長期的な発展を達成するにはスピルオーバー効果がもたらされる必要があることを暗示している。しかしながら、上記で見てきたように、FDIによるそれらの効果は極めて限定的であることがこれまでの研究によって示されている。また、FDIはしばしば経済全体の成長をもたらすが、トリクルダウン効果はほとんどもたらされず、貧富の格差を拡大させる性質を持っている可能性も指摘されている(21)


1−3 農業FDIの持つ特殊性

このように、FDIによる貧困削減効果をめぐっては議論がわかれており、十分な実証研究も存在しておらず、両者の因果関係は極めて希薄である。しかしながら、FDIが貧困削減効果の潜在性を持つという議論は、農業FDIに関する議論においても適用されている。特に、アフリカでの貧困削減の文脈の中において農業成長の重要性が強調される論拠となっているのが、こうした考え方である。アフリカの貧困問題や食料安全保障の問題を解決するには農業分野への投資が不可欠であることを強調しており、多くの途上国政府は十分な農業投資をおこなう経済的余力がないことを指摘したうえで、そのギャップを埋める役割を果たす農業FDIの重要性を示している。したがって、農業FDIによる貧困削減効果は、FDIと同様のロジックによって議論されている。しかしながら、先述のように農業FDIは通常のFDIと異なる特殊性を持っていることが見落とされている。また、貧困削減において農業分野における成長がより重要な役割を果たすことを実証している多くの研究が抱える問題としては、農村全体における総所得の変化といったマクロ的な側面のみを貧困削減の指標としているためにミクロの影響が捨象されていること、そして農業成長が、大規模農業と小規模農業の主にどちらの分野で起こっているものなのかについて明確に区別されずに分析されていることが問題として指摘できる。以下では農業FDIと通常のFDIとの相違点、共通点を整理していくことで、上記にあげた問題点を考慮せずに農業FDIを論じることが、いかに現実と乖離した結論をもたらすかを示していく。

その前に、まず「農業FDI」という言葉の定義をしておく。多国籍企業が他国の農業部門に参入する形態としては、大きく二種類あり、ひとつはFDIのように実際に多国籍企業が生産活動をおこなう企業主体の経営権を保有している場合と、株式保有といった形式上の経営権は保有していないが、フランチャイズや契約栽培といったかたちで契約を結び、ある程度経営において影響力を保持している場合がある。農業の場合、後者は主に「契約農業」とよばれている。本稿では、農業FDIといった場合には、前者のみを指すものとする。また、農業FDIがおこなわれるのは、研究開発、投入財、生産、加工、流通、小売りといったアグリビジネスのバリューチェーンにおける様々な部分であり得るが、以下では主に大規模農場経営を目的とした農業FDI、つまり生産部門における農業FDIに関して限定的に論じていく。

まず農業FDIの傾向と特徴をいくつか説明しておく。ほとんどの国では、すべてのFDI流入における農業FDIの割合は約1%以下であるのに対し、いくつかの途上国や最貧困国 (LDCs) では農業FDIのシェアは1%より大きい傾向にある。モザンビークとタンザニアでは、2005年から2007年の農業FDIの割合が9.4%となっている。農業FDIをおこなうアクターとしては伝統的に多国籍企業が主流であるが、近年では政府系ファンドや国営企業なども新たに参入し始めている。参入企業のほとんどが先進国企業であり、生産物としては、穀物よりも、野菜やフルーツ、切り花、サトウキビなどといった輸出向けの換金作物である(22)

では、先で論じた一般的なFDIが持つといわれている正の波及効果は、農業FDIではどの程度当てはまるのだろうか。農業FDIにおいても、投資による農業生産性の向上が貧困削減において重要な要素となってくる。まずは、農業FDIが貧困削減に寄与するという理論モデルとしては、まず雇用創出、賃金上昇にともなうトリクルダウン効果による貧困削減効果があげられる。農業FDIによるプランテーションは、大規模な雇用創出効果をもたらすとされている。貧困者が多く、経済への再投資がほとんどおこなわれないアフリカの農村では、多くの労働者を抱えているにもかかわらず、雇用が絶対的に不足しているため、農業FDIによる雇用創出効果は、貧困削減に直接的に寄与するため、もっとも期待されている便益である。FDIの議論においても指摘されているように、雇用創出の規模は作物の生産性、投資先の経済、産業構造によって大きく異なるが、特に切り花や紅茶のプランテーションのように労働集約的産業では特に多くの雇用が創出されており、例えばケニアでは、野菜や切り花などの園芸産業によって約5万5000人の雇用を生み出している。また、アフリカ18ヵ国でおこなわれている紅茶のプランテーションは、2万人の雇用が創出されている。

しかしながら、輸出向け作物のプランテーションによる雇用創出効果は、作物の国際価格が変動することによって影響を受けやすいため、持続性が低いとされている。さらに、農業では大規模化にともなう機械化によって、労働集約的な性格が徐々に変化し、資本集約的な性格を持つようになるため、雇用吸収率は縮小する傾向がある。また、通常のFDIにおいてもしばしば指摘されているように、雇用創出と同時に失業も生み出される。実際に、プランテーションでは雇用が創出されると同時に、多くの小規模商業農家が失業に追いやられている(23)。こうして発生した失業をFDIによって新たに生み出された雇用によって補填することは、先述のように雇用創出効果が限定的である農業FDIでは特に期待できない。「労働の質」という点に着眼すると、多国籍企業によって雇用される労働者は、しばしば劣悪な労働環境や労働条件のもとで雇用されているという実態もある。これは、失業者が多く、雇用機会の少ない農村においては労働者組織が弱く、労働市場が不完全であることに由来するものである(24)。通常のFDIの議論においてもしばしば言われているが、企業がFDIをおこなう動機のひとつであるとされているように、彼らは安い労働力を求めて自由に移動できる。その結果、労働者の立場は相対的に弱められ、雇用者と被雇用者の間には非対称的な関係が形成されている。このため、雇用が創出されたとしても、低賃金で劣悪な労働環境での労働を強いられるという問題が生じる(25)。そして企業が撤退した場合には、多くの失業者が生まれる。

次に、農業FDIと貧困削減について、農業FDIによってもたらされるとされる技術移転に関する議論を見ていく。FDIの議論と同様に、農業FDIにおいても、多国籍企業によって新しい農法や、生産性を向上させるための知識、土壌や水の管理に関する知識、種子や肥料、機械などといった投入財における技術がもたらされることによって、それが小規模農家や現地の商業農家に波及し、農業全体の生産性が向上することによる所得上昇効果があると期待されている。また、大規模プランテーションにおいて使用されている近代的な農業技術が、同じ作物を生産する小規模商業農家にも波及することで、小規模農家の生産性向上にも寄与する場合があるとされている。アフリカでは、多国籍企業によって生産性の高い穀物が導入され、生産性の向上に寄与しているという事例も存在する(26)

しかし、農業という特殊性によってFDIがもたらすとされる技術移転効果が発揮されにくい。第一に、多国籍企業による研究開発は主に換金作物に限定されており、アフリカをはじめとする途上国において重要な作物や、乾燥地帯でもよく育つような作物の開発などにはほとんど研究開発費が投じられていない。Pingali and Traxler (2002)によれば、多国籍企業の予算のうち、途上国で重要とされている作物の研究開発に投じられたのはおよそ1%にすぎない(27)。特に、その消費がアフリカのある特定の地域に限られているような穀物は、「孤児作物(orphan crop)」と呼ばれ、そうした穀物に対する国際的な研究開発への関心はほとんど払われてこなかった。第二に、先進国での研究開発によって創造された技術では、気候や土壌の状態の違いなどによって途上国の土地において適用できない場合がある。したがって、研究開発は現地の試験農場などでおこなわれる必要があるが、これまでその研究開発は多くの場合先進国を拠点としておこなわれていた。近年では徐々にその拠点を途上国に移していく動きが見られているが、予算の制約や研究者の有無などから、途上国での研究開発には課題が多いのが事実である(28)。そして第三に、知的所有権保護制度によって、途上国は、先進国が開発した農業技術へのアクセスが容易にできないという問題が生じている。このように、大規模農業で使用される農業技術は、それが作物に限定的なものである場合や、企業の利益保護のために、多くはプランテーション内で完結するものであるために、小規模商業農家や、小規模農家の食料生産部門に波及することがほとんどないとされている(29)

このように、農業FDIのような大規模農業が牽引する農業成長による貧困削減効果がほとんど見られないということを示しているのが、Pauw and Shulow (2011)による分析である。彼らは、農業成長率の増加が、どの生産要素によって牽引されているのかによって、貧困削減に与える影響が異なってくることを、タンザニアの事例を使って分析している。ここでの貧困削減効果は、国内貧困ライン以下の貧困者率の変化によって計測している。彼らによれば、タンザニアでは農業成長率の増加を牽引する要素として、小規模農家によって生産される穀物の生産性向上よりも、大規模プランテーションによって生産されるサトウキビや綿花、タバコといった換金作物の生産性向上によるものが強い傾向にあるため、貧困削減効果が低いと説明している(30)

さらに、通常のFDIの議論と分けて考えるべき点として、農業FDIにおいては大規模農地の獲得をともなうということである。製造業やサービス業などの一般的なFDIにおいては、1000ha以上の大規模な土地を必要とすることはまれであるが、農業FDIにいては大規模農地の使用がともなう場合がほとんどである。こうした多国籍企業による大規模農地獲得によって、元々その土地に住んでいた住民が強制退去させられ、土地を失うといった事態がおこる可能性がある。多くの人々、とりわけ農村の貧困者にとって、土地は食料生産や、収入源であるだけでなく、燃料用の薪や、住居の建材を調達する場所であるために、土地の喪失は、生活手段が奪われることを意味し、彼らの生活水準悪化をもたらす。さらに、多国籍企業の獲得する農地は、投資によるリターンを最大化させるためにも高い生産性が見込める肥沃な土地であることがほとんどであり、国土の可耕地が減少することになる。したがって、投資先の食料生産のための土地が減少することとなり、国家全体の食料安全保障を揺るがすことになり得る。また、肥沃な農地を奪われ、新たな土地に移ったとしても、その土地が不毛な土地であった場合、彼らの生産性は低下し、所得が減少するといったことにつながる。したがって、農業FDIによる影響を分析する際には、マクロデータのみではなく、ミクロデータを用いることが特に重要となる。

以上のような議論をまとめたのが、表1である。農業FDIとFDIの両者において共通しているのは、スピルオーバー効果やトリクルダウン効果がほとんど観察されていないということであり、さらに農業FDIは、それらの効果がさらに発揮されにくい性質であるということがわかる。

表1
  FDI 農業FDI
技術移転効果 △ 多国籍企業の内部で完結しており、知的財産権保護により、現地の他企業への技術波及はほとんどおこらない。技術移転には人的資本の質などが影響するといわれている。 × 開発された技術が現地に適用できないことや、導入される技術のほとんどが先進国からの「輸入」であり、知的財産として保護されている。また、一部の換金作物のみに適用できる技術である場合が多い。
雇用創出効果 △ 失業者を吸収するのに十分な雇用が生み出されている場合はまれであり、アジアの一部の地域ではトリクルダウン効果が観察されている。 △ 大規模農業での機械化によって農業が資本集約的によるため、ほとんど雇用は創出されない。また季節労働者が多いため雇用が不安定。
経済成長 ◯ 総生産量は増加するため、GDPは上昇するが、その利益は本国に送還されるためGNPでは変化がほとんど見られない場合が多い。 ◯ 農業総生産が上昇することによって農業GDPは上昇するが、ほとんどは換金作物であるため、本国の食料自給率、食料安全保障の改善には寄与していない場合が多い。
賃金上昇効果 △ 未熟練労働ではほとんど賃金の上昇は見られず、熟練労働者との間の賃金格差の拡大が指摘されている。 × 単純労働であるため、低賃金であり、生産性向上にも限界があることや、国際価格に大きく影響を受けることから、賃金上昇はほとんどおこらない。
社会インフラ整備効果 △ 企業によっては労働者への社会保障を整備している。しかし労働者の力は相対的に弱く、手厚い待遇がなされることは少ない。また、工場周辺のインフラが整備されることによって、それによる正の外部性と同時に、公害などの負の外部性ももたらされる。 × 農地の明け渡しと同時に約束される学校建設などのインフラ整備はほとんど達成されない。逆に大規模灌漑設備によって水利権が脅かされる可能性がある。また、企業はもともと市場へのアクセスが容易な場所を選択するため交通網の整備などの効果はほとんど期待できない。
出典 先行研究の議論を元に、筆者作成

1−4 まとめ

本章では、バイオ燃料作物生産が促進されている論拠となっている農業FDIによる貧困削減効果について、先行研究のレビューによって再検討した。アフリカでは、農業生産生の向上が貧困削減に寄与するものであるということについては意見の一致が見られており、農業成長はより貧困削減効果が高いという実証研究も存在している。このことが農業FDIを推進する根拠となっているが、これらの研究では観察される農業成長がどの分野における成長の結果であるのかということや、農業成長がミクロ経済に与える影響などをほとんど考慮していない。その結果、農業FDIの貧困削減効果をめぐる議論において、現実と乖離した結論がもたらされることになっている。したがってこの章では、農業FDIとFDIの相違点、共通点を整理することによって、農業FDIを議論する際に上記の点を考慮することがいかに重要であるかを示した。まず、農業FDIが貧困削減をもたらすとする根拠となっているFDIによる貧困削減効果はほとんど実証されておらず、農業FDIにおいてスピルオーバーやトリクルダウンによる貧困削減効果は、より限定的であることがわかった。大規模農業が牽引する農業成長では、貧困削減効果がほとんど見られないとする研究も存在しており、上記仮説の裏付けとなっている。また、農業FDIでは大規模な農地の獲得がともなうため、FDIには存在しないリスクをはらんでおり、そのリスクとは、投資先の住民が土地を剥奪されるといったミクロ的なものから、投資先の食料安全保障や環境に与えるマクロ的なものがある。そしてそれらのリスクは投資受け入れ先政府による規制がない限り、自然的に発生するものである。したがって、単純に農業成長が貧困削減をもたらすとする仮説を農業FDIの推進論拠とすること、そしてその影響の分析ツールとしてミクロデータを捨象することは、農業FDIの本質を見誤ることにつながりかねない。

次章では、農業FDIが持つ性質をふまえながら、バイオ燃料作物生産の実態について見ていく。また、これまでの換金作物生産とバイオ燃料作物生産との違いについても触れていき、特にバイオ燃料作物生産においては農業FDIの持つリスクが悪化しやすい構造がつくられていることを示す。


第2章 アフリカにおけるバイオ燃料作物生産の実態

この章では、前章で論じた農業FDIが持つ性質という枠組みから、アフリカのバイオ燃料作物生産の動きについて分析していく。また、その拡大背景が農業FDIによる他の換金作物生産とは異なり、多様な利害が関係しながら推進されている動きであるために、アフリカ政府が適切に管理することが困難な構造ができていることから、バイオ燃料作物生産の場合には、農業FDIが持つリスクがさらに悪化しやすい可能性をはらんでいることを示していく。


まず、アフリカにおける海外投資と農地獲得の動きを概観しておく。世界全体に占めるアフリカへのFDIの割合は、2000年の0.5%から2005年には3.0%近くまで増加している。この増加に寄与している一つの要因としては、アフリカ諸国の投資環境に改善が見られたことである。こうした投資環境の改善は、世界銀行が貧困削減戦略の2本柱として「投資環境の向上」と「貧困者のエンパワーメント」を掲げており、その取り組みが果たした役割が大きいとされている(31)。同様に、農業FDIによっておこなわれている農地取得の動きも2000年代から活発化しており、この背景には世界銀行の方針が少なからず影響していると見られている(32)。世銀の新しい農業に対する考え方は新自由主義的な思想に基づくものであり、2008年の『世界開発報告書』の中で公表された。これは、農業部門への民間企業の参入を促し、幅広い農産物の流通網の中に、貧困層である小規模農家を組み込んでいくことで彼らの所得向上を目指すという考え方である。

農業FDIが過去5年のうちに最も流入している国の一つであるエチオピアやガーナでは、これまで外資により取得された農地面積はどちらも合計で約122万8000haにのぼる(33)。エチオピアでは、2004年から2007年にかけて累積55万haが取得されている一方で、ガーナでは、2007年から2008年のわずか一年間に、累積55万haの土地が外資に渡っている(34)。IFPRIの試算によれば、アフリカ全土で2006年から2009年の間に外国による取得の交渉対象となった農地は、およそ1500万から2000万haであるという(35)。こうした農地獲得の動きは2000年代以前からすでに欧米の多国籍企業による換金作物のプランテーションとしておこなわれていたが、2000年代の農地獲得の動きで特徴的なのは、新たなアクターとして新興国が参入し、多国籍企業以外に政府系ファンドや国営企業が中心となって関与していること、そして新たな生産作物としてバイオ燃料の原料作物が栽培されるようになってきたということである。投資国は主に欧州諸国、中東諸国、そして中国であり、投資先は主にマダガスカル、エチオピア、タンザニア、モザンビークなど、アフリカの「最貧困国(LDCs)」とよばれる農業国に集中している。生産物としては中国、中東が本国への輸出向け穀物や食料が中心であるのに対し、欧州諸国は国際市場向けの換金作物が中心である。特に2008年以降、バイオ燃料市場向けの原料作物の生産が拡大している。The Guardian紙によれば、アフリカでバイオ燃料作物生産プロジェクトをおこなっている計11ヵ国51企業のうち8ヵ国(36)32企業が欧州企業である(The Guardian, 31 May, 2011)。外資による農地獲得が拡大するアフリカ5ヵ国(37)において、2004年から2009年までの累積でおこなわれた投資プロジェクトの作物別内訳は、食料生産が6割、バイオ燃料作物生産が4割で、その農地面積は5ヵ国合計でそれぞれ136万6384ha、110万6300haとなっている(38)


2−2 バイオ燃料作物生産拡大のプッシュ・プル要因

バイオ燃料の原料作物生産がアフリカで拡大している背景には、投資国側と受け入れ国側の利害が一致していることがあげられる。投資国側においては、地球温暖化問題の国際的枠組みである京都議定書による二酸化炭素排出削減要請と、原油価格の高騰によって、各国のエネルギー政策における代替エネルギーへの比重が高まったことがある。先述のように、特に目立った動きを見せているのが欧州企業である。この背景には、EUの環境エネルギー政策が影響している。京都議定書の中で、EUは2008年から2012年までに、90年比で温室効果ガスを8%削減する義務が課されており、さらに2007年の欧州理事会の際には、京都議定書の拘束期間後の環境政策としてEU独自の削減目標を立てることで合意した。その中で、特に二酸化炭素排出量の多い輸送部門におけるバイオ燃料および、他の再生可能エネルギーの使用拡大を目指す具体的な数値目標を打ち出しており、目標達成のための課税インセンティブなどいった制度づくりをおこなっている(39)。このようにEUでは、バイオ燃料の使用拡大が国策となっており、その安定的な供給を確保することが、使用拡大のための優先課題となっているのである。

欧州では、こうした動きにともなって環境エネルギービジネスが興隆している。例えば、エネルギー需要の3分の1をバイオエネルギーによってまかなうといった地域レベルの取り組みを支援することを目的とした「バイオリージョン」というプロジェクト母体が存在しており、そのパートナーとしてドイツやチェコなど約10ヵ国のバイオエネルギー関連企業が協賛している(40)。そのうち、ドイツの環境エネルギー企業であるWIPは、アフリカでのバイオ燃料原料作物の生産促進を目的とするCOMPETE (Competence Platform on Energy Crop and Agroforestry Systems for Arid and Semi-arid Ecosystems- Africa)を立ち上げている。COMPETEは欧州委員会も協賛しており、プロジェクト期間は2007年1月から2009年12月までとなっている。ホームページによれば、その活動目的を以下の4点としている(41)

上記の項目は、主に途上国に対してバイオ燃料作物生産の促進をおこなうための、政策的助言の提供や、財政支援、そして制度づくりの実践として、以下の活動内容の中に具現化されている。

具体的な活動としては、以下の5点である。

このプロジェクトには、欧州18ヵ国と、アフリカ開発銀行やFAOを含む国際機関、そしてアフリカ13ヵ国を含む23ヵ国の欧州以外の国が協賛となっている。

一方の投資受け入れ側であるアフリカにとって多国籍企業を誘致するメリットとしては、まず農業生産性の拡大、そして経済成長への期待である。ミレニアム開発目標(MDGs)の第一項に掲げられている絶対貧困と飢餓の半減を達成するために、アフリカでは継続的な経済成長が不可欠であることから政府は農業分野に限らずFDIの誘致に積極的な姿勢を見せている。また、非産油国にとっては、石油の代替エネルギーとしてバイオ燃料の使用を拡大させることで、石油価格の変動による脆弱性を減らし、マクロ経済の安定化に寄与することも期待されている。特に、2008年の石油価格高騰によって燃料輸入額の増大が財政を逼迫させ、経済成長の足かせとなったことから、燃料の自給が経済成長にとって重要であるとの考えがアフリカ政府の中でより強まっている。このように、アフリカンエリートの間ではバイオ燃料作物生産がアフリカに発展をもたらすものであるという共通認識が存在している。


2−3 バイオ燃料作物生産投資先の決定要因と農地獲得プロセス

ではどのような条件の国が、バイオ燃料作物生産の農地獲得先として好まれているのだろうか。Asiedu (2000)は、アフリカでFDIがおこなわれる際の決定要因を調査分析しており、その中で人的資源や現地の税制、投資法の状況が、投資先を決める際の決定要因となっていることが示されている。また、ほとんどの企業はアフリカにFDIをおこなう際の障害となる要因として、「政治腐敗」を最大の懸念事項としていることが明らかになっている。このため、一般的にFDIは政治腐敗の度合いが著しい国を敬遠する傾向にあり、アフリカに対するFDIが他の途上国地域と比較して小規模にとどまっている原因のひとつとなっている。

ではどのような条件の国が、バイオ燃料作物生産の農地獲得先として好まれているのだろうか。Asiedu (2000) は、アフリカでFDIがおこなわれる際の決定要因を調査分析しており、その中で人的資源や現地の税制、投資法の状況が、投資先を決める際の決定要因となっていることが示されている。また、ほとんどの企業はアフリカにFDIをおこなう際の障害となる要因として、「政治腐敗」を最大の懸念事項としていることが明らかになっている。このため、一般的にFDIは政治腐敗の度合いが著しい国を敬遠する傾向にあり、アフリカに対するFDIが他の途上国地域と比較して小規模にとどまっている原因のひとつとなっている(42)

しかしながら、農地の獲得がともなうという農業FDIの特殊性から、バイオ燃料作物生産においては投資法の整備や税制に加えて、土地市場や土地保有制度に重点がおかれている。Cotula (2009) によれば、アフリカへ農業投資をおこなう多国籍企業は主に、アフリカの土地の価格、そして土地の賃借契約が長期間可能であること、さらに農地獲得手続きが簡素化されているといった点を重視して、投資先を選定している。これは、農業投資に対するリターンを最大化させ、生産物の競争力を高めるためである。また、農地獲得の対象となっているのは、土地の私有制が認められていながらも、実質的には国家が土地を管理しているような国が多い(43)。つまり、正当な土地市場が存在していないということである。土地市場が存在しないということは、土地の値段を政府が自由に決定することができることうことを意味し、農地を明け渡す住民に対しては正当な補償がおこなわれないという問題をもたらすことになる。

さらに、上記のAsieduの分析と大きく異なっているのは、農業FDIでは、比較的政治腐敗の有無に対して無頓着であることが観察されている。一般に、アフリカへのFDIが少ないのは、腐敗や汚職など、政治的リスクが大きいためであると言われている。しかしながら、農業FDIにおいては少し事情が異なっている。アフリカでバイオ燃料作物生産を目的とした欧州の多国籍企業が3ヵ国以上進出しているアフリカ9ヵ国の腐敗指数(Corruption Perception Index:CPI)を見てみると、腐敗が存在しない場合の値が10であるのに対して、9ヵ国のCPIの平均値は2.52と、これらの国では政治腐敗が深刻な状態であることがわかる(44)

上記のように、正当な土地市場が存在せず、国家が土地を管理しているような国が、バイオ燃料作物生産プロジェクトの投資先として好まれる背景には、農地獲得をともなう農業FDIの性質を反映している。農地という稀少な資源の獲得を求めておこなわれている農業FDIでは、石油などの天然資源の採掘を目的としておこなわれているFDIと同様に、レントシーキング活動がおこるリスクが高い。レントシーキング活動とは、非効率的で非生産的な経済活動のことを指している。具体的には、限られた利権をめぐって、公正な競争によらない利権の獲得や、既得権益の維持を目的とした収賄や汚職、ロビー活動などといったものがあり、こうした活動が資源の支配権を持つ権力者の腐敗を生み出すといわれている。レントシーキング活動は、資源が豊富であり、なおかつ独裁的あるいは権威的な権力が存在している場合によりおこりやすい。FDIをおこなっている多国籍企業がその経済力を以て、投資受け入れ国の政治へ介入するといったことも起こり得ることが指摘されており、2009年に発行されたUNCTADの報告書では、Burbach (2008)らの研究を引用して、農業FDIをおこなう多国籍企業が投資受け入れ国の農政に対して、農業官僚との癒着やロビー活動などを通じた影響力の行使をおこなっていることを言及している。さらにこの中では、こうした活動が資源分配構造に影響を与え、場合によっては貧困問題の悪化をもたらす可能性があることも指摘されている(45)

アフリカがレントシーキング活動を生みやすい環境にあることは、上に示したCPIの値によって読み取ることができる。そして農地交渉過程を見てみると、投資国側は、アフリカのこうした環境を上手く利用していることが伺える。農地獲得に至るまでの交渉においては、国によってさまざまであるが、基本的には第一段階として政府間レベルでの交渉がある。農業FDIは、純粋に民間企業による動きであるように見えるが、実際にはほとんどの場合において、投資国の政府が様々なかたちで後ろ盾となって農地取引に関与しており、その関与形態は主に以下の5種類である(46)

  1. 政府機関が直接土地を取得する場合
  2. 政府系ファンドが投資をおこなう場合
  3. 国営企業が経営権を取得する場合
  4. 投資国と受け入れ国両者の民間企業の支援をする場合
  5. 民間企業同士の取引であっても、政府間の投資枠組みを設定している場合

このように、政府介入の度合いに違いはあるが、農業FDIにおいては投資国政府が何らかのかたちで取引に関与している。傾向として、国営企業が多い中国や中東諸国による投資では (1)〜(3) が多く、欧米諸国では(4) (5)のように、交渉は政府レベルでおこなわれ、実際にプロジェクトを遂行するのは政府が後援する民間企業であるというのが、農業FDIにおける主な構図である。したがって、政府の影が見えにくいのが、欧米諸国による海外直接投資の特徴である。

(4)は主に、現地の民間企業との合弁事業を指している。しかし、株式保有率はほとんどの場合多国籍企業が過半数を保有している。タンザニアでバイオ燃料作物生産をおこなっていたスウェーデンとタンザニアの合弁事業では、スウェーデン企業であるSEKABが98.5%、タンザニアの現地企業は1.5%であった(47)。そして(5)の政府間での投資枠組みとは、二国間で取り交わされる、投資に関する取り決めを定めたBIT (Bilateral Investment Treaty)などがある。これは、土地取引の際に投資家を保護する法的論拠を与えるものとなっている。BITでは、農業を含むあらゆる分野における投資に関する取り決めがなされており、私有財産権の保護、差別的待遇に対するセーフガード、政府による外資の排斥行為といった恣意的行為の禁止、本国送金、そして投資に関する紛争解決調停へのアクセスに関する事項が定められている。近年アフリカではBITの締結がさかんになされており、1990年代では新たに結ばれたBITの数が40であったのが、2000年代では倍近くの72まで増加している(48)。また、地域レベルでの経済協力サミットなどにおいても、その中ではすでに二国間において援助や投資がどれだけおこなわれるかといった取り決めがなされている。例えば、EUとブラジルの二国間でおこなわれた協議の中では、モザンビークにおけるバイオ燃料作物生産に対して両者で協力していくことが合意されている。具体的には、バイオ燃料作物生産のノウハウを持つブラジルが、合弁などのかたちでEUによるアフリカでの生産に対して技術や知識の提供をおこない、両者ともにより安価な価格で安定的にバイオ燃料を生産できるというメリットを享受することができるというものである。しかしながら、こうした合意に至るプロセスの中に当事者のモザンビークは参加していなかった。


2−4 バイオ燃料作物生産の問題点

次に、バイオ燃料が持つ特徴によって生じるリスクについて論じていく。バイオ燃料の原料作物は、主に大規模プランテーションか、契約栽培の二つの生産形態によって生産されており、特にバイオ燃料の原料作物においては以下のような理由から、大規模生産が好まれる傾向が強く、実際にアフリカでも前者が主流となっている(49)。大規模栽培は一般的に企業側にとっての利点が大きい生産形態である。特に、バイオ燃料の加工工場への設備投資には巨額の費用がかかるため、バイオ燃料の原料作物は安定的に供給される必要がある。したがって、「規模の経済」が働くうえに生産量の管理が容易におこなえる大規模栽培では、安定的な供給を可能にし、リスクやコストを最小化することができる。

大規模生産による被雇用者側にとっての利点として投資家側が強調するのは、雇用創出効果による地域経済発展への貢献である。受け入れ側の住民にとっても、農業による所得は不安定で不十分であることから、安定的で高所得の労働賃金は魅力的である。ザンビアのバイオ燃料政策の草案においては、バイオ燃料作物生産における雇用創出の可能性について、「これまで従来のエネルギー分野に割り当てられていた投資がすべてバイオ燃料に向かうだけで数百万もの雇用がアフリカにおいて創出されるであろう」という世界銀行による分析を参照している(50)。実際に、多国籍企業によるアグリビジネスによって雇用が創出されたという事例もいくつか存在している。ドイツ技術協力公社の出資によっておこなわれているマリの砂糖生産プロジェクトでは、1600人の立ち退きと引き替えに、直接的、間接的な雇用創出はそれぞれ5000人、2万人になると予想されている。また、ガーナの農業投資では、2001年から2008年の間に18万人の雇用を生み出したといわれている(51)

しかし、第一章でも述べたように、雇用創出効果は限定的で不安定である。またバイオ燃料作物生産においては現地雇用を促すような取り決めはほとんどなされていないのが現状である(52)。Prosper (2011)は、アフリカにおける農業FDIによる雇用創出効果が、その代償として犠牲となる農村コミュニティがこれまで担ってきた役割すべてに取って代われる程の機能を持っていないと論じている(53)。少数の現地労働者が賃金労働者として企業内に取り込まれるだけであって、より高賃金労働は技術や専門知識を持つ外国人に割り当てられている。大規模で商業的な農業形態が求められるバイオ燃料作物生産をはじめとするアグリビジネスにおいては、高度な農業技術が必要となるため、現地雇用では技術指導や訓練の必要性が生じ、企業にとってコストとなってしまう。したがって、企業は投資に対するリターンの最大化のため、より低コストである技術、知識の「輸入」を選択するインセンティブを強く持っている。つまり、現地労働者がアクセスできるのは農場での農作業といった単純な未熟練労働が中心であり、彼らが高賃金労働にアクセスできる機会は、ほとんどもたらされることはないとしている。例えば、タンザニアで大規模バイオ燃料作物生産をおこなっていたスウェーデン企業であるSEKABでは、研究者やプロジェクトマネージャーとして雇用されていたのはほとんどがノルウェーやスウェーデンの援助機関の専門家たちであったことがわかっている(54)

また、バイオ燃料作物生産においては、その持続性の欠如によるリスクが顕著に現れている。採算がとれないことや、経営悪化を理由に多国籍企業のバイオ燃料事業からの撤退が目立っており、2011年までにアフリカ15ヵ国で少なくとも30のバイオ燃料作物生産関連のプロジェクトが撤退している(55)。The Guardian紙によれば、アフリカ20ヵ国において、約100のプロジェクトがおこなわれていると概算しており、これが正しければ、プロジェクトの約3分の1が成功していないということになる。こうした企業の撤退によって、残された住民は失業者となり、生活水準が悪化しているといった状況がしばしばメディアなどによって報告されている。企業の撤退によって生計が立てられなくなるという状況が生み出されることは、大規模農業がもたらすとされている近代的な農業技術の技術移転がおきていないということを示すと同時に、こうした流動的な多国籍企業の行動が労働者にもたらす失業によるリスクを緩和するためのセーフティーネットも不十分である投資受け入れ先の社会環境を現している。一方の多国籍企業側にとっては、プロジェクトの失敗がもたらすダメージはそれほど大きくはない。その理由としては、プロジェクトをおこなっている企業のほとんどが、先進国の大規模エネルギー企業の独立事業や、関連会社、独立会社としておこなわれていることがあげられる(56)。また、複数の企業による共同出資事業であることも、企業側のリスク分散効果を高めている。

こうしたリスクは、政府の政策によってある程度緩和することが可能であるといった論調が主流である。しかしながら、バイオ燃料作物生産においては特に、政府が農業FDIによるリスクを回避するための適切な政策や規制をおこなえる幅が狭くなっていることが推測できる。その理由として、バイオ燃料作物生産の当事者であるアフリカの十分な参加、あるいは十分な協議がおこなわれないままに決定された国際レベルでの政策方針が、アフリカにおいても採用され、進められていることである。つまり、アフリカにとってバイオ燃料作物生産がどのように位置づけられるのかを設定する前に、外部アクターの意向によって生産の行動計画がつくられていることである。例えばタンザニアでは、バイオ燃料作物生産プロジェクトへの投資を希望する投資家の増加によって、ドイツ技術協力公社の助言を得て、投資案件の検証と農地の割当てのための「国家バイオ燃料タスクフォース」を2006年3月に設置している。さらに、2009年にノルウェーとスウェーデンの援助機関からは、バイオ燃料作物生産の「行動計画」作成のために300万ドルの無償提供がおこなわれている(57)。前述した欧州のCOMPETEも、アフリカの政府やアフリカの地域共同体であるSADC (Southern African Development Community)などと連携して、バイオ燃料作物生産の政策立案に関与していた。このように、アフリカ国内のバイオ燃料作物生産スキームは、しばしば欧州先進国の専門機関の助言によって構築されている。また、先にあげたブラジルとEUとの二者協議において、モザンビークでのバイオ燃料作物生産に関して二国間協力をおこなうといった趣旨の合意がなされていたという事例からわかるように、バイオ燃料作物生産をめぐる利害関係者間の協議において、アフリカを抜きにしたかたちで取り決めがなされている場合もある。こうした投資国による投資受け入れ国への政策的、政治的影響力の行使は、FDIの動きにともなって増加することも懸念されている。


2−5 まとめ

以上のように、バイオ燃料作物生産を目的とした農業FDIでは、そのほとんどが輸出向け生産であることから、FDIの性質としては生産物市場の拡大を図るものではなく、生産をおこなうための農地を求めたものであることが如実に示されている。そのため雇用創出効果は持続性がなく、不安定なものである。このため、バイオ燃料作物生産プロジェクトが、貧困削減に寄与するだけの雇用創出効果を持たないものである可能性が高く、むしろプロジェクトの撤退などによって失業者が生じるような場合においては貧困悪化に結びついている場合もある。また、投資先として選ばれているアフリカの国の多くは、国家が土地を管理している場合がほとんどであり、正式な土地市場が存在していない。さらに政治の腐敗が深刻な国に集中してFDIがおこなわれていることが、農業FDIに付随したレントシーキング活動の余地をつくっていることも伺える。こうした活動は、非効率的かつ非生産的なものであるため、場合によっては貧困削減に対して負の効果をもたらし得るものである。そして、そのようなアフリカの環境を上手く利用するかのようにして、政府間交渉を中心とした投資国による農地獲得がおこなわれており、農地獲得交渉を円滑に進めるための国際協定がその背後に存在している。

加えて、農業FDIの中でもバイオ燃料作物生産の特徴としては、その利害関係者が多様であることがあげられる。主なアクターは、通常の農業FDIと同様に民間企業が中心であるが、その背後には「環境ビジネス」を推進する投資国政府や、国際機関による「環境政策」が強く影響している。このため、しばしばバイオ燃料作物生産に関する政策方針は、当事者であるアフリカを差し置いたかたちで決定されていることや、アフリカ政府自身もこの流れの中にステークホルダーとして組み込まれていることなどから、バイオ燃料作物生産を目的としたFDIでは、これらの動きをアフリカ政府が適切に管理することはより困難であることが伺える。

以上のバイオ燃料作物生産の議論をまとめると、バイオ燃料作物生産が貧困悪化をもたらしている要因としては、農業FDIが持つ構造的な問題、つまり貧困削減をもたらすとされているスピルオーバー効果やトリクルダウン効果がほとんどもたらされていないということに加え、大規模農地の取引がともなうことにより生じる貧困悪化のリスクを内包しているということがひとつの説明要因であり、さらにバイオ燃料作物生産の場合には国際関係の問題が絡んでくるために、投資受け入れ先の政府が農業FDIの構造的なリスクを回避するための対策を講じることがより困難であるということが、追加の説明要因として指摘できる。



第3章 モザンビークのバイオ燃料作物生産の実態

本章では、FDIによるバイオ燃料作物生産が投資先に与える影響を、モザンビークのバイオ燃料作物生産を事例にして考察していく。まず、モザンビークの貧困問題について概観したあと、モザンビークで拡大するバイオ燃料作物生産の動きが、投資先の住民たちにどのような影響を与えているのかを、バイオ燃料作物生産企業の活動事例を通して考察していく。


3−1 モザンビークの経済と貧困

モザンビークは、南部アフリカに位置し、インド洋に面した人口約2295万人の国である。面積は80万平方kmで、北部はタンザニア、西部にマラウイ、ザンビア、ジンバブエ、スワジランド、そして西部と南部が南アフリカの国境線に面している。気候は国土の80%が降水量の少ない「半乾燥地帯」に分類されており、15%は「亜湿地帯」とされている。そして国土の2%が乾燥地帯、3%が湿地帯とされている。南部(Maputo州, Gaza州, Inhambane州)では年間平均降水量が600から800mmで、平均気温は沿岸部で23°、内陸部で25°であり、北部と比べて水資源が不足しており、農業生産性も低いのが特徴である。中部(Sofala州, Manica州, Zambezi州)では平均降水量は800から1200mm、平均気温は20°から25°である。この地域は水資源が豊富であり、最も農業生産性が高い地域である。そして、北部の降水量は800から1400mmで、気温は20°から26°の密林地帯である。

1975年にポルトガルから独立した後、モザンビークは社会主義政権体制を築いたが、反共を目指す南アフリカ共和国をはじめとする西側諸国により支援を受けた国内反政府組織との間で1977年から1992年まで内戦が続き、経済は疲弊していった。1989年に社会主義を放棄し、翌1990年に複数政党制と自由主義経済を定めた新憲法を制定した。現在では政治状況は比較的安定しており、近年では周辺の英語圏の国や、ポルトガル語圏との経済的な結びつきを強める動きを見せているが、長期に渡る紛争によるダメージは大きく、モザンビーク経済は現在でも深刻な貧困や飢餓に苦しんでいる。世界銀行の所得別区分においては「低所得国」に分類されており、一人当たりGNIは2010年の時点で440ドル、総人口に占める絶対貧困者の割合は60%となっている。2009年の人間開発指数は0.312と、187ヵ国中184番目に低い値であり、国民の多くが基本的ニーズを満たしてない状況にあることが伺える。2011年の時点において、モザンビークの平均余命は51歳、乳児死亡率は79/1000人であり、乳児死亡率に関しては世界で13番目に高い数値である。また、飲み水や下水道などへのアクセス率は都市においては若干の改善が見られるものの、農村においてはほとんど向上しておらず、2008年の時点では飲み水へのアクセス率が全体の47%、下水設備へのアクセス率が全体の17%にとどまっている(58)


3−2 モザンビークの農業

非産油国であるモザンビークの主な産業は農業である。農業生産がGDPの30%近くを占めており、総人口の81%が農業に従事している。モザンビークの可耕地は合計で3600万haであるが、そのうち実際に耕作されているのは10%にあたる360万haである。耕作されている農地のうち97%が家族経営の小規模農家であり、世帯数は約300万世帯にのぼる。こうした小規模農家の耕作面積は約1.24haであり、灌漑設備もなく、化学肥料を使用しない原始的な農法による生産がほとんどであるため、生産性は天候や雨量によって大きく左右されるのが特徴である。小規模農家は主に食料生産に特化しており、家計で消費する食料の約75%をまかなっている。また、生産した農産物を市場で販売する小規模農家は少ない。一方で大規模プランテーションでは機械や大規模灌漑設備、化学肥料が使用される近代的な農法が導入されている(59)。モザンビークで生産されている主な農産物は、キャッサバ、メイズ、サツマイモ、ソルガムなどの穀物と、カシューナッツ、綿花、サトウキビ、タバコなどの換金作物である。耕地面積のうち80%が食料生産、残りの20%が換金作物栽培に使用されている。

モザンビークでは、2003年から2008年にかけて平均で7.5%の高い農業成長率を記録している(60)。同時期のモザンビークの農業生産の状況を見てみると、穀物生産の成長率が低いのに対して、換金作物の生産性が向上している。つまり、モザンビークの農業成長を牽引しているのは主に換金作物生産であることがわかる。モザンビークではプランテーションによるサトウキビ栽培が国内4つの地域でおこなわれており、2006年には過去30年間で最大の収穫量を記録している(61)。そのサトウキビプロジェクトのひとつは、MIGAの出資によって、中部のSofala州でおこなわれているものである。したがって、モザンビークの高い農業成長率を牽引しているのは、換金作物をはじめとする大規模農業分野であると推測される。一方で、小規模農家をベースとしている穀物生産はマイナス成長しており、キャッサバは-2%、メイズは-0.4%である(62)。先述したように、モザンビークではほとんどの農家が自給農家であり、食料生産に特化していることから、穀物の生産性の停滞が、貧困削減の所得の減少をもたらしているといえる。モザンビークの小規模農家の生産性の低さは、彼らは伝統的農法による生産をおこなっていることに由来する。灌漑や化学肥料は使用していないため、その生産量は天候により生産量が大きく左右される。また、モザンビークの20の地区では旱魃に対する影響を受けやすく、30の地区では洪水による被害が多い。これらのリスクを受けやすいとされている人口は全体の48.2%にのぼっている(63)

このように、食料生産の停滞が貧困削減をもたらさないひとつの要因となっていることがわかる。IFPRI (2009) の試算によれば、モザンビークにおいてもっとも貧困削減において効果的な作物はメイズであるとされており、1%の生産性向上が、国内貧困ライン以下の貧困率の0.73%の減少をもたらすとしている。一方、換金作物では0.29%の減少にとどまるとされている(64)


3−3 大規模バイオ燃料作物生産と土地紛争

モザンビークでは、社会主義政権下にあった1980年代からおこなってきた小規模農家を重視した農業政策から、1990年代初頭の経済自由化以来、農業の工業化、近代化を目指した大規模農業をより積極的に推進している(65)。この背景には、PROAGRIと呼ばれる先進国ドナーによるモザンビーク農業省への支援プログラムや、2002年に採択された世界銀行の「貧困削減戦略計画 (The Poverty Reduction Strategy Plan: PRSP) 」など、いずれも農業成長を重視し、農村への民間企業投資を促す、国際的な農業政策の枠組みがある(66)。その流れの中で、政府は自国の農業部門への民間企業の参加を積極的に受け入れている。

このように、多国籍企業による農地の獲得に対して政府が比較的好意的であることや、投資法制度の整備などによる投資環境の改善、また可耕地の90%が「未使用」で、気候も温暖であるため大規模生産のポテンシャルが高いことから、海外の投資家にとって魅力的な農業FDIの投資先のひとつとなっている。モザンビークでは、原油価格が高騰していた2005年から徐々にバイオエネルギー企業の関心を集めはじめ、2007年の初頭以降からは、多国籍企業による大規模農地獲得の動きが急増しており、FDIの流入に占める農業FDIの割合は、2002年から2004年では6.7%であったものが、2005年から2007年では9.4%と上昇している(67)。投資国としては、バイオ燃料作物生産においてはEU諸国を中心とし、南アフリカやアジアなど多様な国々が参入している。モザンビークの位置する南部アフリカでは、南アフリカ共和国がバイオ燃料生産の拠点となっており、製油されたバイオエタノールは大半がEUや米国などへ輸出されている(68)。また、前章でも言及したように、EUとブラジルの間では、モザンビークでの生産に関して協力関係を構築する合意が取り交わされている。

モザンビークで実際にどれだけの農地がバイオ燃料企業に割り当てられ、どれだけの農地ですでにバイオ燃料作物の生産がおこなわれているのかという統計は時間経過とともに変化しているため資料により誤差が生じているが、以下では2012年時点において最新のものを参照する。Hanlon (2010) によれば、2004年以降におこなわれた大規模農地の割当ては、計11社に対して総面積94万8000haであるとしており、このうちの5社がバイオ燃料作物生産で、これらは2009年末に土地権を付与され、総面積は6万2000haであるという。また、2010年初頭以降、1000ha以上のバイオ燃料作物生産プロジェクトは承認されておらず、その時点において保留とされていたのは少なくとも20の投資案件で、総面積は30万ha以上、投資総額は10億ドル以上となっている。2011年6月15日には、計32万3983haを占める31のバイオ燃料プロジェクトが承認されたと報道されていることから、保留されていたほぼすべての案件に認可が降りたと考えられる(69)

バイオ燃料の原料作物としては、ココヤシ、パームオイルなどがあるが、主に中心となっているのはサトウキビとヤトロファである。ヤトロファは、アフリカの一部の地域に生息する2メートルから6メートルの低木で、その果実からは油分を含んだ種子がとれる。旱魃に強く、不毛な土地でも育ち、また害虫被害にも強いとされていることから、食料生産と競合関係になく、食料価格の変動にも影響を与えないとして注目されている。Ribeiro (2009) らの調査によれば、ヤトロファ栽培プロジェクトに割り当てられている土地面積は約18万haであり、その規模は1000haから6万haとばらつきがある。そして、そのうち実際にヤトロファ生産がおこなわれているのは9,900haである(70)。また、民間企業によるプランテーション生産に加えて、モザンビークの農業生産のほとんどを占める小規模農家に対しても、ヤトロファの栽培が推進されている。2004年からヤトロファ栽培に関するアナウンスが流されるようになり、2005年の中頃から小規模農家の間で栽培されるようになった。このキャンペーンの中で政府は、ヤトロファが他の穀物よりも1kg当たり1.5ドルほど高い値段で買い取られるというアナウンスをおこなった。政府の調査報告書によれば、2007年では3つの州の約1,000haの土地で小規模農家によるヤトロファ栽培がおこなわれたという(71)。しかしながら、そのうちほとんどの農家が翌年には生産を放棄した。理由としては、栽培の難しさと生産したヤトロファの種子の国内市場が存在しなかったことがあげられる。しかし、それ以降には小規模のヤトロファ栽培が増加しており、2007年と比較すると多くの小規模農家によってヤトロファが生産されていると見積もられている。

民間企業による農地取得の動きがはじまると、小規模農家と民間投資家や民間企業との間では、土地をめぐる紛争がおこるようになってきた。広大な「未使用」の農地を保有するモザンビークであるが、その中でも肥沃な農地は限られており、そうした農地は投資家の獲得候補地となりやすいが、そのような土地は、すでに農村コミュニティによってDUAT(72)が獲得されているか、あるいは境界画定がおこなわれている場合が多いため、農地をめぐってコミュニティと企業との間で諍いが生じている。しかし、農地をめぐる紛争は、犯罪などに至らない限り司法による介入や調停はほとんどなく、こうした紛争は海外投資家への大規模農地の割当てが拡大するにつれて発生している。2004年には116件、2008年には76件の土地紛争があり、2009年では34のコミュニティが国家、あるいは民間投資家との間で裁判をおこしている(73)。多くが小規模農家であるモザンビークの貧困者にとって、土地は重要な資源であるため、大規模農業の拡大にともなって土地へのアクセスが奪われることによって、貧困者に直接的なダメージを与えている。

例えば、中部に位置するZambezia州のLiomaでは、小規模農家と多国籍企業との間で農地をめぐる対立がおこっている。Liomaは旧ポルトガル人入植地で肥沃な土地であり、独立後に国営農場となったが、1980年代には内戦が激化したことによって荒廃農地となっていた場所である。2003年からはその場所において、ノルウェーの農業組合と、アメリカの組合連盟 (Clusa) が、当初ノルウェーへの輸出を目的とした大豆栽培をおこなうプロジェクトをはじめ、5000人の生産者、そして112の生産者組合を創出することに成功した。これらの栽培された大豆は、結局現地の鶏肉生産者による需要が多かったために、国内向け栽培となっている。しかし、政府は2009年12月に、旧国営農場であった農地1万haを、ポルトガル企業であるQuifel社に割り当てた。同社は、その農地でバイオ燃料向けのヒマワリの栽培に加え、大豆の栽培をおこなうとしている。これらの土地には、224の農家が栽培をおこなっている490haの農地が含まれており、彼らは所有権を主張しているが、地方政府の役人は彼らの立ち退きを命じている(74)


3−4 大規模バイオ燃料作物生産によるマクロ的影響

モザンビークでバイオ燃料作物生産が拡大していることは、食料生産のための可耕地面積が減少していることを示している。したがって、こうした小規模農家によるヤトロファなどのバイオ燃料作物栽培の拡大によって生じる問題が、穀物を中心とする、食料生産量の減少である。2003年から2008年までの5年間の穀物生産は平均するとマイナス成長である。特に、主要な穀物であり、摂取カロリーの多くを占めているメイズとキャッサバにおいてはそれぞれ-2%、-0.4%である。こうした穀物生産量の減少は、天候や国際食料価格、農村人口の減少など、さまざまな要因が関係していると考えられるが、小規模レベルでのヤトロファ生産が拡大すれば、こうした食料生産に少なからず影響を与えると考えられる。食料生産を担っている小規模農家では、労働集約的な農業生産形態をとっていることや、家計における労働力の制限、また薪や水汲みなどに費やす時間的な制約などから、容易に新たな耕作地を増やすことができない。したがって、ヤトロファ栽培を選択する際には食料生産をあきらめることになるのである。2009年の時点でモザンビークの食料需要に対する供給不足量は、南部地域で567,000トン、中央部地域で222,000トンであり、余剰があるのはもっとも農業生産性の高い北部地域のみである(75)。FAOによれば、2006年から2008年の飢餓人口は総人口の38%に該当するおよそ830万人にのぼるとしている。それ以前の飢餓人口は46%であり、減少が見られるが、未だに高水準である。このように、現時点において、バイオ燃料作物生産が食料安全保障を脅かしているということは断言できないが、その潜在性は高いといえる。

政府レベルの議論においても、バイオ燃料作物生産による食料安全保障への影響が懸念されている。モザンビーク農業省内の組織である「国土森林理事会 (National Directorate for Land and Forestry) の官僚によれば、バイオ燃料作物生産が国家にとって純利益をもたらすかどうかを審議する際の最大の争点となったのが、食料安全保障の問題であったという(76)。政府では、2009年に発行されたバイオ燃料作物生産に関するガイドラインである“A National Policy and Strategy for Biofuels” の作成にあたって、部門を超えて組織された委員会を設置し、モザンビークでのバイオ燃料作物生産の潜在性に関する包括的な調査をおこなった。その調査結果では、バイオ燃料作物生産が雇用創出効果や所得向上の潜在性を持つことが期待されている一方で、食料安全保障や、地方コミュニティの土地権利の侵害などといったリスクを抱えていることが指摘されている。

調査結果では、バイオ燃料作物生産は食料生産を減少させ、また小規模農家の農地に対するアクセスを制限する潜在性があるという懸念から、この調査の結論としてバイオ燃料作物生産の条件付けをおこなっている。具体的には、食料生産に影響を与えることがないように、バイオ燃料作物生産を食料生産に適さない辺境地のみに限定することや、食用農産物からのバイオ燃料作物生産を禁止すること、また、大規模プランテーションによる住民の土地権利の侵害を最小限に抑えるために、小規模農家との協力関係の構築、そして住民の土地権の保護などといった事項は、ガイドラインの中に盛り込まれている。まず、バイオ燃料作物生産の際には、国家の農業ゾーニングに従うこと、食料作物(77)からのバイオ燃料作物生産を避けること、そして単一作付けをおこなうプランテーション面積を最小化することなどが規定されている。加えて、地域発展促進の実現のための規定としては、現地雇用を促しており、その雇用形態はバイオ燃料の原料生産から加工にいたるまでとしている。また、土地割当に際しての規定としては、特に持続性という側面に考慮しながらプロジェクトのメリットをよく勘案すること、そして食料安全保障、居住や自然環境、生態系に与えるリスクが最小限であることが定められている。

次に、モザンビークのバイオ燃料作物生産が人々のエネルギー安全保障問題にどう影響を与えるのかについての議論を見ていく。モザンビークのバイオ燃料作物生産に関するガイドラインである“A National Policy and Strategy for Biofuels” では、バイオ燃料作物生産拡大の目的を以下のように位置づけている。

上記から、モザンビーク政府は国家のエネルギー戦略としてバイオ燃料作物生産の拡大を進めていることがわかり、国家の発展においてバイオ燃料の生産と使用に大きな期待を寄せていることが伺える。モザンビークは非産油国であるため、化石燃料への依存度を減らし、バイオ燃料へ切り替えることによってエネルギーコストを減少させることで資源の蓄積が可能となる。また、モザンビークでは電気へのアクセスを持つ人の割合が非常に低く、農村人口の約1%、全人口の14%となっている(78)。このように、モザンビークでは安定的なエネルギーアクセスの向上が急務であるとされており、バイオ燃料作物生産の生産と使用の拡大は、国内エネルギー自給を向上させると同時に、財政を逼迫している石油輸入を減らすことで、エネルギー問題の解決と経済発展に寄与するとの期待がある。

しかしながらバイオ燃料作物生産の拡大によって、国内のエネルギーアクセスが改善されるといった見通しに関しては懐疑的な意見がある。先述のように、モザンビークでは国民の多くが電気エネルギーへのアクセスを持っていない。モザンビークの総エネルギー消費量のうち、石油や天然ガスが占める割合は8%ほどしかなく、主要なエネルギー源は薪や木炭となっており、エネルギー消費量のうち90%を占めている。その他、水力と石炭が残りの2%となっている。しかし、こうしたエネルギーアクセスの欠如は、モザンビークにエネルギー自給能力が不足していることに由来するものではない。モザンビークでは、電力総生産量は1498億kWhであるのに対して、その総消費量は1018億kWhであり、電力に関しては十分に自給可能である。モザンビークには2つのガス田の他に、開発段階にあるガス田が3カ所存在しており、その埋蔵量は1274億立方メートルと推定されている。また水力発電では2488MWが生産されているが、ポテンシャルとしては14000MWあると推定されている(79)。しかしながら、貧困層が多くを占めるモザンビークでは、電気の使用料を支払う能力がないため、国内の電力供給には回されず、ほとんどが隣国の南アフリカ共和国に輸出されている。2009年の時点では、天然ガスの産出量は36億立方mであったが、そのうち35億立方mが海外に輸出されている(80)

したがって、たとえバイオ燃料の生産が拡大したとしても、貧困層のエネルギーアクセスが改善しない限り、バイオ燃料の国内需要は拡大せず、現在のように生産されたバイオ燃料の大部分が輸出にまわされることが予測される。さらに、貧困者の多くは燃料として薪や木炭に依存しており、バイオ燃料作物のプランテーションのために森林伐採がおこなわれた場合、貧困者のエネルギー安全保障が脅かされることになりかねない。 


3−5 大規模バイオ燃料作物生産によるミクロ的影響

このように、政府や国際金融機関、そして先進国企業によって推進されているバイオ燃料作物生産であるが、果たして彼らの主張するように貧困削減をもたらすものなのだろうか。先述のように、バイオ燃料作物生産によるマクロ的な影響は、現時点で観察することは困難であるが、バイオ燃料企業の進出している地域住民へのミクロ的な影響を観察することは可能である。以下では、モザンビークのバイオ燃料作物生産の実態調査をおこなったRibeiroらの調査をもとに、モザンビークでバイオ燃料作物生産プロジェクトに投資している外資系の企業の活動をいくつか取り上げ、貧困者にどのような影響を与えているのかを見ていく。しかし、事例としてあげる下記の企業の活動は、調査がおこなわれた2009年時点のものである。

まず、モザンビークのGaza州Bilene地区で大規模プランテーションをおこなっているEnergem Renewable Energy, LDAの活動を見ていく。同社はモザンビークの石油会社であるDeluco Mozambique LDAの関連会社であり、このDeluco Mozambique LDAはEnergem Biofuels Limitedというカナダ企業の独立会社が70%出資している企業である。Gazaは、合わせて10ある州の一つで、モザンビークの南部に位置している。その中のBilene地区はインド洋に面する南部に位置し、面積は2719平方kmである。年間の平均気温は24°から26°で、降水量は800から1000mmであり、気候区分では「亜湿」に分類されている。同社はこの地区の約6万haの土地を、コミュニティリーダーとの交渉によって獲得し、そのうちの1447haでヤトロファの栽培をおこなっている。1ha当たりで1716のヤトロファが栽培されており、一日7500リットルの地下水が灌漑設備によって使用されている。したがって、一日に使う地下水の量は合計108,525,500lにのぼる。プランテーションによる地下水利用は短期的には周辺住民への水供給に対する影響はないとされているが、この地区ではいくつかの農家は地下水を利用した生産をおこなっており、また海が近いことから地下水に海水が入り込み、塩害を引き起こす懸念がある。これらの土地では小規模農家が農業や牧畜を営んでいたが、企業は土地の使用権の代償として学校や病院、井戸の建設、奨学金の提供など社会サービスの提供を約束している。

しかしながら、2009年4月9日にRibeiroらが住民にインタビューをおこなった時点においては、井戸のための穴を掘っただけで、ポンプは設置されず、病院建設も2009年末までに完成するとの話が企業から住民に対してなされたが、4月の時点で建設の動きはひとつも見られなかった。このように、約束はほとんど履行されていないが、このプロジェクトによって確かに雇用は創出され、ある程度住民に利益を与えている。季節労働、終身労働を合わせて500の雇用機会が生み出された。労働者の平均賃金は月額およそ60ドル前後であり、労働時間は早朝にはじまり、日中早くに終わるので、労働者は自身の農地での農作業をする時間を設けることができる。しかし、同社は2010年4月の時点において被雇用者数は297人であり、経営悪化のため3月と4月分の給与の支払いを延滞している。給与は翌月に支払われたが、同時に過半数の労働者が一時的に解雇された(81)。同社はこの時点ではまだバイオ燃料を一滴も製油できていない。

次に、ウクライナ企業のESV Group Plcとの合弁会社であるESV Bio Africaの活動を見ていく。同社はInhambane州でコミュニティリーダーとの交渉によって、11000haの土地を獲得し、そのうちの7400haでヤトロファプランテーションをおこなっている。ここでは1ha当たり1250のヤトロファを栽培しており、直接種からではなく、苗圃で育てた苗木を植えている。苗圃には、近くを流れるInhassaune川から1日10000リットルの水が引かれている。プランテーションに移植された苗木には灌漑を使用しておらず、雨水に依存する乾燥農業が取り入れられている。同社もEnergem社と同様に、住民に対して社会サービスの提供を約束し、既存の学校や病院の改修工事をはじめたが、財政難のため中断した。一方で、同社は水の供給場所を一カ所増やすことに成功し、葬儀の財政支援などといった細かい社会サービスを提供した。正規、非正規労働のあわせて1350の労働者を雇い、非正規雇用者には月額46ドル、正規雇用者には月額72ドルの賃金が約束されている。しかし、企業の経営悪化によって9ヶ月に渡って賃金の支払いが遅れたため、多くの労働者は仕事を辞めてしまっている。

聞き取りがおこなわれたこのコミュニティでは、農地の明け渡しに対して比較的好意的であった。インタビューにおいて住民は、コミュニティリーダーの交渉結果に満足していると述べている。彼は企業側との交渉によって、地域経済の活性化に寄与するようなCSR活動をおこなう約束を取り付けることに成功しているためである。小規模農家が、農地の一部を手放しても多国籍企業のプランテーション誘致を選択するのは、安定的な収入が保証されている賃金労働によって、不安定な農業収入のリスクを軽減するためである。賃金労働による収入は、収穫量が多い場合に比べて低いが、凶作であった場合より高い。さらに、農業収入は時期に偏っているため、賃金労働と農業収入を組み合わせることが、もっとも安定的に収入を得られる合理的選択となるのである。しかしながら、ほとんどの小規模農家は労働集約的であるため、プランテーションでの賃金労働に労働力が一単位奪われることによって農業生産性は低下し、農業収入も低下する。さらに、賃金の支払いが延滞すれば、家計の所得は全体的に減少し、結果的には生活水準が悪化するという帰結をもたらすことになる。

最後に、モザンビーク中部に位置するManica州で活動するSunBiofuels社の事例を見ていく。同社はイギリスの企業であり、地域によって運営されていたタバコの企業の施設を買い取ることによって6000haの土地を獲得しているため、住民との間での土地紛争は発生していない。そのうち実際にヤトロアファの栽培をおこなっているのは1000haであり、被雇用者の数は430人である(82)。両社では、ESV社と同様に一度苗圃で栽培された苗を農地に移植する栽培方法がとられている。したがって灌漑設備は使用せず、農地に移植されてからは雨水のみで栽培している。しかし、Manica州がある中部地域は肥沃な土地であるため、ESV社よりもヤトロファの成長状態の傾向としては比較的良好であり、このことは肥沃な土地以外でも育つとされているヤトロファであっても、やはり土壌の状態が生産性を左右する要因であることを示している。SunBiofuels社は2011年になってはじめて、生産したヤトロファから製油したバイオ燃料をドイツの航空会社に対して輸出しており、バイオ燃料事業としては成功事例であるといえる。しかし、Ribeiroらによるインタビューでは、同社の労働賃金は、2009年当時の最低賃金であった1316メティカル (約50ドル前後) であり、労働時間は法的に定められている労働時間よりも多い、週45時間であったということがわかっている。ちなみにモザンビークでは、必要な食料を得るのに一人当たりで一日4.95ドルが必要であるとされていることから、モザンビークの最低賃金では十分に食料を得ることができない(83)

Ribeiroは、フィールドワークによって、大規模農業の特徴を以下のようにまとめている。まず大規模農業では肥沃な土地が使われており、化学肥料や手動の灌漑設備が使用されている。また、そのバリューチェーンにおける主体は国際市場であり、社会インフラの整備などといった約束はほとんど果たされておらず、賃金支払いの延滞や、最低賃金のように労働環境が良好でないことをあげている。そして彼は、同時にバイオ燃料作物であるヤトロファの生産性の問題についても言及しており、アフリカでのバイオ燃料ビジネス、特に第二世代バイオ燃料の原料として注目されているヤトロファによるバイオ燃料作物生産プロジェクトが成功しない背景には大きく二つの要因があると分析している。第一に、バイオ燃料の生産コストが割高であることである。特にヤトロファ栽培の研究開発は発展途上段階にあるため、投資コストが高いのに対して生産性が向上せず採算がとれないのである。これまでヤトロファは、肥沃な土地でなくても栽培可能で、さらに害虫に強いといわれており、したがって食料生産の妨げにはならないとされてきたが、実際には養分を含んだ土地や大量の水を必要とし、さらに安定的に多くの収穫を得られるようになるまでには4、5年かかることがわかってきている(84)。つまり、この事実はヤトロファの栽培によって食料生産が脅かされる潜在性は極めて高いということを意味している。第二に、ヤトロファの雇用創出効果が小さいことである。これまでおこなわれてきたヤトロファ栽培を検証したいくつかの分析調査によれば、ヤトロファの雇用創出効果は10から20ha当たりで1つの雇用しか創出しないことがわかっており、一方のサトウキビでは7ha当たりで1つの雇用を生み出すとされている(85)。そして第三に、バイオ燃料の市場が小さいということである。2008年の石油価格高騰でバイオ燃料に対する需要は一気に増加したが、その後石油価格が下落したことで、今後のバイオ燃料市場の動向は不安定であると指摘している。


3−6 まとめ

本章では、アフリカのバイオ燃料作物生産の実態について、もっとも生産がさかんにおこなわれている国のひとつであるモザンビークを事例にとり、考察してきた。モザンビークでバイオ燃料作物生産が拡大する背景には、先進国や新興国がバイオ燃料をより安定的かつ低コストで原料作物を調達するために必要な生産拠点としての潜在性が高いこと、そしてそれを発展機会と捉えるモザンビーク政府の、両者の利害が一致していることがあげられる。その中でもモザンビーク政府は、バイオ燃料作物生産がもたらすリスクやコストを認識しており、それが政策の中にも示されている。しかしながら、それらの政策が現実に反映されているのかということに関しては疑問が残る。バイオ燃料作物生産がモザンビーク経済に与えるとされるマクロ的な影響に関しては、主に食料安全保障を揺るがすリスクと、エネルギーアクセス改善への期待について、その潜在性を分析した。その結果、食料安全保障に関しては、飢餓人口の多いモザンビークでのバイオ燃料作物生産が食料安全保障を脅かす潜在性は極めて大きいこと、同時にバイオ燃料作物生産がエネルギーアクセス改善に直接結びつく可能性は、極めて低いことが推測される。しかしこれらは潜在性の分析にとどまっているために推測の域を脱していないものである。その一方で、バイオ燃料作物生産の大規模プランテーションによるミクロ的な影響については十分に観察することができた。その中で明らかになったことは、それらが貧困削減とは逆の影響をもたらしているということである。事例にあげた3つの企業のほとんどは経営難に直面し、持続性がないものであった。さらに、研究開発がほとんどおこなわれていないヤトロファの低生産性によって、その持続性が一層揺らいでいる。生産性の低さが影響しているとしても、バイオ燃料作物生産では期待されるような雇用創出効果を持たないうえに、低賃金労働であるため、住民の所得上昇につながっていない。また、住民が企業受け入れを決断するための判断材料となる企業側による約束もほとんど履行されることがない。住民にとって大規模バイオ燃料作物生産企業の受け入れは、農地の損失による生活水準の悪化が、雇用創出効果による賃金収入や、社会サービスへのアクセス向上などによって補填されていない。したがって、モザンビークのバイオ燃料作物生産プロジェクトは、投資受け入れ先の貧困削減に寄与しないばかりでなく、貧困を悪化させるものとなっていることが指摘できる。ここには、農地を剥奪され、生産手段を失った住民が失業によって被る損失と、多国籍企業が経営悪化によって被る損失の間にある大きな格差の存在が見て取れる。

次章では、こうした格差を補填するための制度が存在していないがために、投資家の利益が優遇される環境がつくられ、農業FDIのリスクが表面化している実態を明らかにする。



第4章 モザンビークの制度的欠陥

本章では、モザンビークの土地に関する法制度を見ていくことによって、その制度の不完全性が労働者と企業の非対称的な関係をつくりだし、農業FDIの受け入れによるリスクが顕著化する一因となっていることを示す。ここでいう「制度の不完全性」とは、法が公正に履行されるための制度が欠如していることや、法が履行されるための明確な手順が示されていないことなどを指している。投資国は、こうした投資先の不完全な制度を上手く利用しながら農地の獲得をおこなっていることを説明する。


4−1 モザンビークの土地法

1997年に制定されたモザンビークの土地法では、土地の所有権はすべて政府にあるとしたうえで、DUAT (the Right to Use and Develop the Land) と呼ばれる土地の使用権を国民や、外国の投資家に対して付与することを、定めている。このDUATは、土地の取引を容易にするために整備された制度である。まず、DUAT獲得の方法としては以下の3つがあることが記されている。

  1. 個人やコミュニティは伝統的な占拠によって土地の使用が認められる。
  2. モザンビーク国民は、「良き信条」によって少なくとも10年占拠してきた土地の使用権が認められる。
  3. 個人、法人は政府によって土地の使用を保証される。

ここでいう「コミュニティ」とは、一定の地域に住む、自己定義的な集団であるとされており、曖昧な定義しかなされていない。また、ここでの「土地」は幅広く定義されており、農地をはじめ、休閑地、森林、牧草地帯、文化的な重要性を持つ土地、水源、そしてコミュニティの拡張のための土地などを含んでいる。上記のaとbの土地使用権は、政府への申請や正式な許可などを必要とせず、自動的に付与される権利であり、土地使用権の資格書類なども保有する必要がないため、課税義務もない。こうした慣習法によるコミュニティや個人の土地使用権は永久的な権利であり、後世へと引き継ぐことが可能である。一方cの場合は、政府に対して権利を申請し、許可が降りてはじめて付与される権利であり、50年リースというかたちをとっている。cでは、使用権が認められると資格書類(a title document)が発行され、それを保有することが義務づけられている。

このように、DUATは、自動的に付与されるものと、申請によって付与されるものの二通り存在している。前者は、内戦の際に移動し、空き地を占拠した人々や、伝統的に同じ土地で農耕をおこなってきた農民などの土地アクセスを幅広く保証する役割を果たしている。このため、彼らは土地に対して課税されることもなく、生計のための必要最低限の生産活動をおこなうことができる。ただし、第三者への土地賃借は認められておらず、彼らが自動的に使用権を付与されている土地から利益を得るには、その土地を農業や放牧などに「使用」すること以外に選択肢が与えられていない。また、保有する土地を使用して商業活動をおこなう場合や、家、ビルなどの建設をおこなう際の資金融資をおこなう場合には、土地使用資格書類が必要となってくる。

一方後者は、主に投資家に対する土地アクセスを保証するもので、DUAT獲得の際に発行される資格書類を保持していることが必須である。この資格書類を保有することによって、自動的に付与された土地権では禁じられているような土地の賃借が可能となる。しかし、この資格証明書を獲得するには、地図上で土地の境界画定(delimitation)をおこない、実際の土地にその境界線を引く(demarcation)作業をしなければならない。この作業をおこなうにはGPS機器などの装置が必要となり、非常にコストがかかる。一方、地図上の境界画定(delimitation)のみでも、証明書(a certificate)は発行され、法的に土地使用権の範囲が承認される。この作業は比較的低コストでおこなえるものであり、自動的に付与された土地権に対してより法的根拠をもたせることが可能となる。しかしながら、地図上の境界画定のみでは土地を賃借する権利は認められないため、土地利用手段は限定される。たいていのコミュニティは将来的な拡張を見越して現在使用している土地以上の範囲で境界画定をおこなうが、彼らのほとんどは余剰地に投資をおこなうための資源を保有しておらず、また政府からの融資もおこなえないため、余剰地は次世代までの10年から15年の間、未使用のままで放置されることになる。

上記のa、bのDUATの境界画定を申請する場合や、cのように、使用権を新たに申請する際の必要条件については、以下のように規定されている。

また、土地面積によって申請対象となる行政レベルが異なっており、それについては以下のように規定されている。

しかしながら、実際には10000ha以上の土地が、中央政府の許可なしに割り当てられていたことを受けて、政府は2007年に、1000ha以上の土地申請については開発計画書を提出し、農業大臣による承認が必要であると、土地法を改正している。これによって、2007年以降、コミュニティによる境界画定がほとんどおこなわれなくなっていたが、2010年にこの改正が見直され、コミュニティによる境界画定は増加している。


4−2 法の形骸化と不公正な農地獲得プロセス

モザンビークの土地法では、「モザンビーク国民の土地と他の資源の使用権を幅広く保護すると同時に、新たな投資や持続的で公正な資源の使用を促す」と記載されている(86)。このように、伝統的な土地権を保護しながらも、土地の有効利用を促すというのが、モザンビーク政府の土地利用の方針である。a、bの方法で認められているDUATは排他的な権利ではないため、投資家がそれらの土地の使用権を獲得することも可能である。したがって、伝統的な土地権を持つコミュニティと、企業をはじめとする投資家の間には土地の使用権をめぐる対立が発生する潜在性がある。このため、両者間の話し合いを重視し、こうした対立を回避させるために、投資家がコミュニティによってすでに占拠されている土地の使用権を獲得する場合には、彼らとの交渉をおこなうことが、義務づけられている。これは、「コミュニティ・コンサルテーション・プロセス」として、土地法によって規定されている。土地法では、土地保有をめぐる争いを解決するうえで、コミュニティリーダーの存在を重視し、土地をめぐる決定の際には権限を付与している(87)。しかしながら、具体的に相談がどのようにしておこなわれるべきかについての規定がなされていないため、コミュニティ側にとって不利なかたちで話し合いが進められていくといった事態を招いているのである。

前章の事例でも見たように、企業側はプロジェクトに関して住民にとって利益となる部分のみを説明していることが多く、それらのほとんどは履行されないままになっている。Nhantumbo et al. (2010)がおこなったバイオ燃料事業に関連するフィールドワークから、モザンビークの農地取引の実状における問題点として浮上してきたのが、以下の点である。

第一に、住民はプロジェクトに関する詳細情報へのアクセスが制限されているということである。企業側と協議会をおこなう前に、そのプロジェクトがどのようなものであるのかという詳細を教えられる機会がほとんど設けられていない。このため、住民がプロジェクトのリスクを理解する前に、受け入れを同意してしまうことが多い。もし、相談会の事前にプロジェクトに関する情報が与えられていたとすれば、そのプロジェクトが農業や木炭生産、漁業などに与える影響などを正しく判断するために、政府機関やNGOなどが住民に対して情報提供をする余地が生まれるが、実際にはその余地が与えられていない場合が多い。したがって、便益を強調した企業側による説明のみで判断せざるを得ない状況が作られている。これは、モザンビークのManica州で1万8000haの農地を獲得し、サトウキビのプランテーションをおこなっているイギリスのPrinciple Energy社や、Sofala州に進出し、1000haの土地でヤトロファ栽培をおこなっているドイツ企業のElaion Africa社で見られたケースであり、これらの企業に農地を譲渡したコミュニティの住民に対するインタビューでは、プロジェクトに関する詳細情報は、協議会の当日に初めて知らされたと答えている。また、協議がおこなわれるのは一度きりである場合が多く、住民は十分な情報が得られないまま意思決定をおこなわなければならないという状況がある。仮に複数回にわたって企業と住民がコンタクトを取る機会が設けられていたとしても、初めの一回目は、プロジェクトに関する情報の提供ではなく、次回の協議会の日取り調整のみに終わることが多い。

第二に、土地法において相談の際のコミュニティの長に対する権限が尊重されていることを利用し、企業は非民主的なやり方でコミュニティの合意を得ている場合がある。サトウキビのプランテーションのために3万haの農地取得を目指していたイギリスのProCana社の場合は、獲得予定農地のすべてのコミュニティの長たちを一同に招集し、どの程度の土地が必要であるかについての説明をおこなっている。このコミュニティの長とは、伝統的な首長であり、コミュニティの意思決定権を持つ人物たちである。初回の説明会において、彼らのほとんどは農地を譲ることに対して消極的な姿勢を見せていた。それ以降の相談会では、いかにして彼らを説得させ、土地を確保するかに焦点がおかれることとなる。そのため、企業側は事前に各コミュニティの首長らと会い、財政支援の申し出や、インフラ整備などの費用を肩代わりするといった約束をして説得することによって、実際の協議会で投資家側にとって良い結果となるように調整をはかる傾向がある。MotherJones紙の記者であるWelz氏がモザンビーク政府に対しておこなった取材によれば、ProCana社の場合には、その地域においてもっとも影響力を持つコミュニティであるChitarの首長の同意を事前に得てから、協議会を開催したという(88)

このように、投資家はコミュニティリーダーの集権的役割を利用し、農地を獲得している。企業は、コミュニティリーダーらに賄賂を渡し、土地の使用権の申請書にサインさせる。こうしたコミュニティリーダーの権限を利用した海外投資家による農地の獲得手法は、上記の事例にあげたEnergem社でも使用されていたことが、Ribeiroらの調査の中で明らかになっている。調査をおこなったChilengueとよばれるコミュニティの首長が、他の地域の首長と比べて高い生活水準にあることや、住民によるインタビューで、彼が住民に対してEnergem社に土地を譲るように圧力をかけるような発言をしていることから、彼が企業や政府からなんらかの報酬を受けていたことが伺える(89)。さらに、コミュニティリーダーが交渉の過程で得た農地取引に関する情報などは、コミュニティの住民に対して知らされることもほとんどないという(90)


4−3 土地取引における伝統的権力の役割

前節のように、協議会がおこなわれることが法によって義務化されていたとしても、農業FDIによるリスクが回避されるとは限らない。モザンビークの場合は、それらの協議会が公正におこなわれるしくみが欠如しているという落とし穴が存在している。さらに、一見民主的な手続きが整えられているかのように見えるこの協議会も、政治的権力以外に民族、血族コミュニティの長などといった伝統的な権力が存在する複雑な権力構造を持つような地域においては、必ずしもそれが民主的な手続きを保証するものであるとはいえない。一般的に、伝統的な権力者に対して資源分配における権力を付与することは、腐敗の余地を生みやすいとされており、こうした構造は石油による利益分配の事例などでよく見られるものである。例えばナイジェリアなどの産油国では、石油による利益は産油地域のコミュニティの首長によって独占されているために、ほとんどの住民は石油による恩恵を受けることができず貧困が悪化し、場合によってはそうした腐敗が紛争の要因となっていることが指摘されている(91)。したがって、農業FDIの流入に付随する農地分配の問題に関しても、こうした議論が当てはまると考えられるため、本節でコミュニティの首長の政治的性格について概観しておく。

モザンビークの行政区画は、10の州、12の自治都市、112の地区、そして894の地方に分けられており、その下に伝統的なコミュニティが存在している(92)。モザンビークの土地法では、「コミュニティ」を「同じ地域に住む自己定義的な集団」であると定義していることからもわかるように、農村コミュニティは正式な行政区画ではなく、その境界画定は他の周辺コミュニティとの兼ね合いで、地図上での境界画定を地方政府に届け出ることによって決定することができる。行政単位としては地方政府が存在しており、その中でコミュニティを管轄する公式なリーダーは、地方政府によって選出され、コミュニティの人々によって承認されるしくみとなっている。しかし、コミュニティレベルにおいては、そのコミュニティを統括する首長などのように、慣習法によって統治される伝統的な権力構造が存在している。先述のように、モザンビークの土地法では土地取引の際に、伝統的権力に対してある程度の決定権を付与している。しかし、アフリカの伝統的権力は、その非民主的な性格から、資源分配の過程においても私物化が起こっていることが指摘されている。同様に、モザンビークにおいてもこうした伝統的権力が農地の割当てにおいて、腐敗を生む要因となっていることがある。

モザンビークの一つのコミュニティは、複数の村によって構成されており、村は複数の血族から成っている。それぞれ血族の長たちは、村の長によって統治され、それぞれの村の長たちは、コミュニティの首長によって統治されるという階層構造である。そしてコミュニティには議会が存在しており、首長はすべての会議において議長を務める。また、村とコミュニティにはそれぞれ顧問が存在し、村の顧問は村長の親族の年配者が務めている(93)。農村コミュニティの伝統的権力には、公式な政治的権限は与えられていない。その権限は、あくまで「コミュニティの代表」としてのものであり、コミュニティ内部でおこる問題を対処する際に行使されるものであるとしている(94)。1997年の土地法の中では、コミュニティ内部で土地の割当てをおこなう際には、そのコミュニティに存在するコミュニティリーダーの権限が公式に認められているが、Cau (2004)によれば、伝統的におこなわれてきた慣習的な土地分配に関する伝統的権力の権限を、法的に認めたにすぎないものであるという。一方で、土地法では外部からの移住者が新たに土地割当てを申請する場合には、地方政府の公式な承認が必要であることが定められている。同時に土地法では、地方政府が土地を外部者に割り当てる際には、その土地が属するコミュニティの意見を聞くことが義務づけられている。

したがって、コミュニティはコミュニティとしての意見を伝えるための代表者を選出するが、こうしたコミュニティの代表者を選出する手順については明確な法律上の規定は存在しておらず、伝統的権力を保有するメンバーが代表を務める場合がほとんどである(95)。2000年に出された勅令では、その選出方法に関して「それぞれのコミュニティの慣習法に従って」選出するという趣旨のことが書かれている(96)。また、選出されたコミュニティリーダーが、コミュニティ内においてどのような階層に位置づけられるのかについては、コミュニティ内部で定義して良いとされている(97)。さらに、このようにして選出されたリーダーが、その決定に対してどのように責任を負うのかについての明確なメカニズムも規定されていない。選出されたコミュニティのリーダーは、多国籍企業との農地取引においてコミュニティの代表として交渉をおこなう役割を担うことになり、企業にとって農地を獲得するには彼らの同意と署名が必要となる。しかしながら、上記で見たように、彼らは企業や、地方政府などによって賄賂を受け取ったり、圧力をかけられたりすることによって、農地の明け渡しに同意してしまうということが起きている。

こうした問題の背景には、この重要な決定を下すコミュニティリーダーが、公式な政治的権限を持ったものではないということがある。先述のように、選出方法は必ずしも民主的な手続きを得ていない。こうした伝統的権力の持つ正当性をめぐる議論においては、意見が分かれている。Cau (2004)によれば、Lundin (1994)は、伝統的なコミュニティリーダーが民主的で正当性を持ったものであり、その正当性は慣習法によって維持されるしくみができているために、こうした権力には腐敗の余地がほとんどないとしている。これに対し、彼は伝統的権力がほとんど世襲によって引き継がれていることを指摘し、その正当性には限界があるとしている(98)。伝統的権力が持つ正当性に関しては、各コミュニティの慣習法のあり方によってばらつきがあるといえるが、実際にモザンビークにおける農地取引ではこうした伝統的権力による腐敗がおこっており、これは彼らがコミュニティの住民に対して負っている責任が不明瞭であることによって、住民の利益を保護するインセンティブに欠けることに起因するものであるといえる。


4−4 まとめ

モザンビークの土地法では、慣習法に基づいた土地の所有が認められ、国民の土地へのアクセスが守られているということ、さらに投資家との農地取引の際にはコミュニティの協議への参加を義務化しているという点において、一見するとモザンビークの法律は農業FDIによるリスクを回避するのに十分な制度が整っているように見える。しかしながら、そうした法制度には、コミュニティと投資家との間の経済力や交渉力における格差の存在を考慮し、それらを埋めるようなしくみが欠如しているために、住民の利益と投資家の利益が対立した場合には、投資家の利益が優先されるような制度となっていることがわかる。また、アフリカの農村社会に特徴的な、伝統的コミュニティにおける権力構造も農業FDIによるリスクを高める一因となっている。伝統的権力はしばしば民主的な手続きを経ずに権力を掌握している場合が多く、彼らが「農地」という資源を管理する権限を付与された場合、腐敗が起こる可能性が生じる。これは、農業FDIが、石油などの天然資源関連のFDIと同様に、資源収奪的な性格を内包しているということが影響している。このように投資家とコミュニティとの協議において、政治的正当性を持たない伝統的な権力者に対して権限を付与することは一見すると民主的な制度であるともとれるが、むしろ農地取引において腐敗を生む余地を広げることとなっており、こうした構造が、投資家の農地獲得を容易にしているという側面もある。



外国資本による大規模農業でのバイオ燃料作物生産は、農業の近代化をもたらし、農業生産性を向上させると同時に大規模な雇用を生み出し、貧困削減に寄与するといわれている一方で、バイオ燃料作物生産によって、貧困者がさらに貧困悪化のリスクにさらされているという事実があることから、本稿ではアフリカでのバイオ燃料作物生産を目的としておこなわれている農業FDIについて、農業FDIが持つ構造的な問題と、バイオ燃料作物が持つ特殊性という観点から、モザンビークの事例を用いながら論じてきた。第一章では、主に農業FDIが持つ構造的な性格を掴むことを目的として、先行研究のレビューを中心におこなった。農業分野以外のFDIによる貧困削減効果をめぐる議論を含めた先行研究のレビューによって明らかになったこととしては、第一にFDIによる貧困削減効果はほとんど実証されていないということ、そして第二に、農業FDIは通常のFDIにはないリスクをはらんでおり、貧困を悪化させる可能性があることである。農業FDIでは大規模農地の取得がともなう場合がほとんどであることから、投資先の食料生産を減少させることや、小規模農家から農地を剥奪することによって、彼らの生活水準を低下させるといった問題を引き起こす潜在性を持っている。したがって、農業FDIによる大規模農業では、それによって農業分野における成長率が上昇していたとしても、そうした成長が貧困削減に結びついている可能性は極めて低いといえる。

そして第二章では、アフリカで拡大するバイオ燃料作物生産の実態について考察した。その結果、第一章で明らかになった農業FDIの特性が、バイオ燃料作物生産においても観察できた。さらに、バイオ燃料作物生産に関しては、通常の換金作物生産のような農業FDI とは異なる特殊性を持っていることを示した。その特殊性とは、他の換金作物生産を目的とした農業FDIよりもそのリスクを深刻化させる可能性をはらんでいるものである。バイオ燃料作物生産においては様々なアクターがステークホルダーとして関与している動きであるため、アフリカ政府にとってその動きを適正に管理することが困難な構造ができあがっているということが、最大の問題点であるといえる。そして第三章、第四章の事例研究では、モザンビークのバイオ燃料作物生産の実態を考察した。その結果、モザンビークではバイオ燃料作物生産プロジェクトによって、モザンビークの貧困は改善しておらず、むしろ農地の喪失や、小規模農家の農業労働者化、さらには企業の事業撤退による失業などによって貧困が悪化するリスクに晒されていることがわかった。また、農地取引の実態について概観し、不完全な法制度によって取引が公正におこなわれておらず、時には腐敗をもたらしていることから、農業FDIにおいても、石油などの資源分野と同様にレントシーキング活動を生み出しやすい性質を持ったものであることを示唆した。

以上のことから、農業FDIは本質的に貧困削減効果を持つものではなく、むしろそれが内包するリスクこそが、農業FDIの構造的性格であることがわかる。つまり、多国籍企業によるバイオ燃料作物や他の換金作物の生産は、そもそも貧困削減を目的としておこなわれているものではなく、利潤最大化のインセンティブによって進められているものである。さらに、通常のFDIとは異なり、農業FDIでは多国籍企業が進出する動機としては、投資先の国内市場ではなく、農地のような資源の確保を目的としていることが多く、資源収奪的な性格であるために、国内における雇用創出効果が不安定で持続不可能であると同時に、レントシーキング活動を生み出しやすいということも指摘できる。こうした状況下では、資源による恩恵を受けるのは、権力を持つ一部の階層にのみ集中し、その分配に失敗することによって貧困削減に対して負の効果を与える可能性がある。

さらにバイオ燃料作物生産の場合は、それが環境エネルギー問題を解決する「環境ビジネス」として、投資先であるアフリカを容易に「win-win」の関係として利害関係の中に組み込むことができる。また、アフリカのバイオ燃料政策の策定にも、先進国のアクターが関与していることから、バイオ燃料作物生産ありきの政策策定を余儀なくされている。このように、バイオ燃料作物生産そのものが問題であるのではなく、バイオ燃料作物生産を貧困削減達成のためのツールとして捉えられていないにもかかわらず、貧困削減効果を謳いながら進められていることが問題である。こうした国際資本の動きに便乗する姿勢を見せているアフリカ政府ではあるが、彼らが国際資本の流れに対して適切に規制をかける余地がどれだけあるのかについては、必ずしも先進国や新興国と対等ではないという国際関係を考慮すると疑問が残る。

このように、アフリカでバイオ燃料作物生産を目的としておこなわれている農業FDIは、二つの点によって貧困削減に寄与しないと結論づけることができる。第一に農業FDIそのものが貧困削減効果を持つものではないということである。つまり、農業FDIが貧困削減の手助けとなるという仮定そのものが正当性を欠いているということである。そして第二に、バイオ燃料の特殊性としてその背景には国際関係が影響力を持っているために、なおさら貧困削減を目的とした動きとはなり得ないということである。モザンビークのように、当事者でありながらもEUとブラジルの二者協議のみによって政策の一部が決められているということは、モザンビーク政府の主体性を軽視し、政策決定の際の選択肢に対して制約を与える可能性がある。ただし、具体的にバイオ燃料作物生産をおこなう多国籍企業や投資国政府が、モザンビーク政府のバイオ燃料や農地分配などに関する政策決定プロセスにおいてどの程度の影響力を、どのように行使しているのかという点については、資料の不足により本稿では十分に考察することができなかったため、今後の課題であるといえる。しかしながら、政府の性質や政策は一夜にして変えられるものではないため、農業FDIに対してアフリカ政府が適切な管理をおこなう能力があることを前提とした議論は、あくまでノルマティブな議論にすぎず、事実に反しているため危険である。本稿でも示したように、政府が適切な資本管理をおこなう能力が欠如している現状である限り、農業FDIはアフリカの貧困問題を解決するものではなく、むしろ貧困を悪化させるものとして捉えられるべきである。



(1)本稿では「アフリカ」と表記した場合は主にサブサハラ・アフリカを指す。 > 本文へ

(2)Cotula (2009)の定義にならい、1000ha以上の農地とする。 > 本文へ

(3)Prosper,2011 > 本文へ

(4)UNCTAD, 2009 > 本文へ

(5)Prosper, 2011 > 本文へ

(6)Republic of Mozambique, 2009 > 本文へ

(7)ReSAKSS, July, 2009 > 本文へ

(8)World Bank, 2005 > 本文へ

(9)Bates, 1987 > 本文へ

(10)UNCTAD, 2009 > 本文へ

(11)Datt and Ravallion (1996)はインドの事例を用いて、農村の成長が、都市よりも貧困削減効果が高く、さらに、第一次産業における成長率の上昇は、第二次産業よりも貧困削減をもたらすことを実証している。また、Gallup, Radelet, and Warner (1997)は、回帰分析によって、農業GDPの1%の上昇が1.61%の貧困削減効果を持つのに対し、工業、サービス部門のGDP1%の上昇は、0.79%の削減率しか持たないことを実証した。 > 本文へ

(12)MIGA, “2007 Annual Report” > 本文へ

(13)UNCTAD, 2009 > 本文へ

(14)Klein et al., 2001 > 本文へ

(15)Tong and Hu, 2003 > 本文へ

(16)JBICI, 2002 > 本文へ

(17)Dollar, Kraay, 2000 > 本文へ

(18)Klein, Aaron, Hadjimichael, 2001 > 本文へ

(19)ibid. > 本文へ

(20)Tambunan, 2004 > 本文へ

(21)Choi, 2006 > 本文へ

(22)UNCTAD, 2009 (p. 130)  > 本文へ

(23)UNCTAD, 2009 (p.143)  > 本文へ

(24)ILO. 2008 > 本文へ

(25)UNCTAD, 2009 (p.144)  > 本文へ

(26)UNCTAD, 2009 > 本文へ

(27)United Nations, 2004 > 本文へ

(28)Parday et al., 2006  > 本文へ

(29)UNCTAD, 2009 (p.139)  > 本文へ

(30)Pauw and Shulow, 2011 > 本文へ

(31)世界銀行東京事務所『成長に向かうアフリカ』 > 本文へ

(32)Prosper, 2011 > 本文へ

(33)Anderson and Belay, 2008 > 本文へ

(34)Cotula, 2009 (p. 45, Figure 2.6.)  > 本文へ

(35)Kugelman, 2009 > 本文へ

(36)スカンディナビア諸国は1ヵ国としてカウントしている。 > 本文へ

(37)マリ、エチオピア、ガーナ、マダガスカル、スーダン > 本文へ

(38)Cotula, 2009 (p.51)  > 本文へ

(39)「バイオ燃料指令」と呼ばれ、EU内の燃料市場に占めるバイオ燃料の市場シェアを、2005年に2%、2010年に5.75%にすることを目標として定めたもの。しかし、2007年に出された経過報告書では、2010年の市場シェアは4.2%にとどまると推測され、目標の達成が困難であるとの結論が出された。 (田中、2007)  > 本文へ

(40)http://www.bioregions.eu/ > 本文へ

(41)http://www.compete-bioafrica.net/index.html > 本文へ

(42)Asiedu, 2000 > 本文へ

(43)Cotula, 2009 > 本文へ

(44)Transparency International (2011) をもとに筆者算出。全178ヵ国のうち、ガーナ (4.1/62位) 、マラウイ (3.4/85位) 、ザンビア (3.0/101位) マリ、モザンビーク、タンザニア、エチオピア (2.7/116位) 、ケニア (2.1/154位) 、ギニア (2.0/164位)  > 本文へ

(45)UNCTAD, 2009 (pp. 157-158) > 本文へ

(46)Cotula, 2009 (pp. 27-28)  > 本文へ

(47)Prosper, 2011 (p. 107)  > 本文へ

(48)UNCTAD World Investment Report online database > 本文へ

(49)Cotula, 2009 (p.86)  > 本文へ

(50)Prosper, 2011 > 本文へ

(51)朝日新聞, 2010/09/06 > 本文へ

(52)Cotula, 2009 (p. 86)  > 本文へ

(53)Prosper, 2011 (pp. 72-73)  > 本文へ

(54)Prosper, 2011 (p. 111)  > 本文へ

(55)The Guardian (May 30, 2011)  > 本文へ

(56)chemicals-technology.com,14June,2010 (http://www.chemicals-technology.com/features/feature87153/)  > 本文へ

(57)Prosper, 2011 (p. 111)  > 本文へ

(58)CIA Factbook, 2011 > 本文へ

(59)Ribeiro, Matavel, 2009 > 本文へ

(60)ReSAKSS, 2011 > 本文へ

(61)http://news.mongabay.com/bioenergy/2007/09/pro-cana-to-invest-510-million-in.html > 本文へ

(62)FAOSTAD, 2011より筆者計算 > 本文へ

(63)FAO, 2007 http://www.fao.org/fileadmin/templates/tc/tce/pdf/Mozambique_factsheet.pdf > 本文へ

(64)ReSAKSS, 2009 > 本文へ

(65)Ribeiro, Matavel, 2009 (p.14)  > 本文へ

(66)Waterhouse, 2010 (p. 8)  > 本文へ

(67)UNCTAD, 2009, Annex table A.III.3. (p.237)  > 本文へ

(68)農畜産業振興機構 http://sugar.alic.go.jp/japan/fromalic/fa_0708a.htm#2 (2011/1/6)  > 本文へ

(69)http://biofuelsdigest.com/bdigest/2011/06/15/31-biofuels-projects-advancing-in-mozambique/ > 本文へ

(70)Ribeiro, Matavel, 2009 (p.30)  > 本文へ

(71)ibid. > 本文へ

(72)政府から付与される土地の使用権 > 本文へ

(73)Hanlon, 2010 (p. 16)  > 本文へ

(74)Hanlon, 2010 (pp.5-6)  > 本文へ

(75)Ribeiro, Matavel, 2009 (p.14)  > 本文へ

(76)Nhantumbo, Salomao, 2010 (p. 18)  > 本文へ

(77)主にメイズ、キャッサバ、ヒマワリ、そしてグランドナッツを含む。 > 本文へ

(78)Ribeiro, Matavel, 2009 > 本文へ

(79)Ribeiro, Matavel, 2009 > 本文へ

(80)CIA Factbook, 2011 > 本文へ

(81)All Africa.com 14, May, 2010. http://allafrica.com/stories/201005140846.html > 本文へ

(82)同社のHPによれば、2011年7月25日の時点で3000haで栽培をおこなっており、1000人を雇用しているとしている。 > 本文へ

(83)Numbeo, “Food Price in Mozambique” http://www.numbeo.com/food-prices/country_result.jsp?country=Mozambique (October, 2011) > 本文へ

(84)Ribeiro, Matavel, 2009 > 本文へ

(85)Hanlon, 2010 (p.15) > 本文へ

(86)Ribeiro, Matavel, 2009 > 本文へ

(87)Land Law of Mozambique, Chapter 6, Article 27 > 本文へ

(88)MotherJones, March/ April, 2009 > 本文へ

(89)Ribeiro, Matavel, 2009 (p. 33)  > 本文へ

(90)Waterhouse, 2010 (p.29)  > 本文へ

(91)川端、落合, 2006 (pp.251-253) > 本文へ

(92)Encyclopedia of the Nations http://www.nationsencyclopedia.com/Africa/Mozambique-LOCAL-GOVERNMENT.html > 本文へ

(93)Junod, 1927 > 本文へ

(94)Cau, 2004 (p.87)  > 本文へ

(95)ibid. (p. 71)  > 本文へ

(96)Decree 15/2000, Article 8, Diploma Ministerial No. 80/2004 of 14th May. > 本文へ

(97)Article 10 (1) . > 本文へ

(98)Cau, 2004 > 本文へ



参考文献

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