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全国青い芝の会は「尊厳死法案提出」に反対し強く抗議をします。

日本脳性マヒ者協会「全国青い芝の会」→尊厳死法制化を考える議員連盟 2012/02/29


  尊厳死法制化を考える議員連盟 会長 増子輝彦 様 各議員 様

  私たちはこの健全者社会にはびこる障害者差別と長年にわたり闘いつづけてきました。それは、私たち障害者を「本来あってはならない存在」・「間違った存在」と位置付け、この世に生きること自体を否定する優生思想との闘いでもありました。
  それは親による障害児殺しから始まりました。障害者を不幸と決め付け、「死んだほうが幸せなのだ」という思いからの犯行だという事ですが、これに同情し、地域の住民からは減刑嘆願運動が起こりました。
  こういったことを許すことは、私たち自身の存在を私たち自身が否定することだと、社会に対し鋭く問題提起を行なっていきました。
この「子殺し事件」は今も後を絶たないし、減刑嘆願運動という社会現象も後を絶ちません。
  また障害者を合法的に生まれないようにしようとする動きは、旧優生保護法を始めとし、最近では出生前診断がより科学的に着床前診断、遺伝子診断という形で行われています。そして役に立たない人間を一方的に死と決めつけ殺していく「脳死・臓器移植法」の制定です。
  このように人間を社会的な一定の能力で命の価値を決定する社会は、ますます強化されようとしています。それを露骨に現すものとして出てきたものが、「尊厳死法」の法制化の動きです。
  私たち障害者を始めとする社会的に弱いとされる人間を抹殺しようとするこの動きは、正に「姥すて山」的な価値観を是とする社会の到来です。「人間の定義」を「社会的労働力のある者」と一方的に決め付け、それ以外の者は「人間」ではないから今にも死にそうな人を水も飲ませないで殺してもいいのだと言う内容での法律設定です。
  そもそも人間の命を尊厳のある状態と尊厳のない状態に分けて考えること自体が障害者差別につながるものであり、それを「尊厳のある死を」などと他人に死を強要するように考える事自体が正に命の選別にほかなりません。
  今、社会は親子が殺し合い、兄妹や夫婦が殺し合いバラバラにして捨てるなど、人間の命をあまりにも軽視する風潮が強くなってきているし、国は財政難を理由に年金や生活保護や医療費等の財出カットをやり、障害者自立支援法に到っては働けない障害者からまで利用料を取るという暴挙に出てきました。これは「働かざる者に死を」と言って来た事です。
  このような時代の状況の中で、もし、「尊厳死法」なるものが法制化されるならば、拡大解釈され、治る見込みの無い患者、障害者、老人は周りの圧力で死を選ばざるを得なくなることは今まで国のやって来たことを見ると必然です。
  今回の厚生労働省が総合福祉法の問題で福祉部会が出した骨格提言を無視し障害者の存在を認めず何かお可愛そうな者を救済するような原案文を出してきたり、さらにそれを認めるような内閣や政党がある事を見ても明らかです。私たちは絶対に許しません。
  私たちは、このような考えから、どんな例え末期の患者の状態の者であろうと人間として認め、尊重し、命の選別を許さない、そして、どんな人間でも最後の最後まで命の火が燃え尽きるまで見届けられる社会を目指す立場から、また殺される立場に立って、この「尊厳死法」の法制化に強く反対し法制化の動きに抗議すると共に、このような法律を出そうとする国会議員の方がおられる事に日本社会の将来の危なさを感じざるを得ません。こんな事はすぐに止めていただきたいのです。
  国会議員の皆さんの仕事はどんな国民の命を守り安心を与える事にあったのではないでしょうか。

                 2012年2月29日
                 日本脳性マヒ者協会「全国青い芝の会」
                 会長 金子和弘
                 山口県周南市周陽2-2-55
                 TEL 0834-34-5080

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UP: 20120227 REV:20120614
青い芝の会  ◇安楽死・尊厳死 2012  ◇全文掲載 
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