「チョコレートは確かに薬じゃありません。でもソラナックス(抗不安薬)より効きますよ」
2010年の大みそか、ニューヨーク・タイムズの記事で、こんな印象的な言葉と出会った。新年が明けても電子版で「最も読まれた記事」ランキング上位にしばらく留まった、その記事のタイトルは「アルツハイマー病の患者本人の思いのままに、チョコだってあげちゃいます(Giving Alzheimer’s Patients Their Way, Even Chocolate)」。
問題行動が激しく他の施設を断られたり追い出された認知症の高齢者を受け入れ、落ち着きを取り戻すことに成功してきた、アリゾナ州のキリスト教系ナーシング・ホーム、ビーティテューズ・キャンパスは、その優れた認知症ケアで数々の賞を受賞している。研修プログラムには全米から多くの医療関係者が集まってくる。98年開設の認知症ユニットは46床で、認定看護助手(CNA。日本の介護職にあたる)が1:8、看護職が1:22の職員配置。