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在宅療養、在宅移行支援について(要望)

人工呼吸器をつけた子の親の会<バクバクの会> 2010/12/27


 *MS Word版

2010年12月27日

厚生労働大臣 細川 律夫 様
保険局長 外口 崇 様

人工呼吸器をつけた子の親の会
<バクバクの会>
会長 大塚 孝司

事務局 〒562-0013 大阪府箕面市坊島4-5-20
           みのお市民活動センター内
TEL&FAX 072-724-2007   
E-Mail bakuinfo@bakubaku.org
URL http://www.bakubaku.org/

在宅療養、在宅移行支援について(要望)

 日頃より、人工呼吸器をつけた子どもたちへの医療の充実のためにご尽力いただきまして、心より感謝申し上げます。
 私たち、人工呼吸器をつけた子の親の会<バクバクの会>は、1989年に結成以来、人工呼吸器をつけた子どもたち(バクバクっ子)がより豊かな生活を送れるように医療、福祉、教育などの充実をめざして活動してまいりました。2010年12月1日現在、全国に約500名の会員がいます。
 さて、在宅において人工呼吸器などが必要な人たちに対して、医療機関が、日常の医療上の指導管理の診療報酬として「在宅療養指導管理料」が算定されています。この算定にあたっては、


1在宅療養指導管理料は、当該指導管理が必要かつ適切であると医師が判断した患者について、患者又は患者の看護に当たる者に対して、当該医師が療養上必要な事項について適正な注意及び指導を行った上で、当該患者の医学管理を十分に行い、かつ、各在宅療養の方法、注意点、緊急時の措置に関する指導等を行い、併せて必要かつ十分な量の衛生材料又は保険医療材料を支給した場合に算定する。

7在宅療養を実施する保険医療機関においては、緊急事態に対処できるよう施設の体制、患者の選定等に十分留意すること。特に、入院施設を有しない診療所が在宅療養指導管理料を算定するに当たっては、緊急時に必要かつ密接な連携を取り得る入院施設を有する他の保険医療機関において、緊急入院ができる病床が常に確保されていることが必要である。」

9保険医療機関が在宅療養指導管理料を算定する場合には、当該指導管理に要するアルコール等の消毒薬、衛生材料(脱脂綿、ガーゼ、絆創膏等)、酸素、注射器、注射針、翼状針、カテーテル、膀胱洗浄用注射器、クレンメ等は、当該保険医療機関が提供すること。なお、当該医療材料の費用は、別に診療報酬上の加算等として評価されている場合を除き所定点数に含まれ、別に算定できない。
(保医発0 3 0 5 第1号平成2 2 年3月5日)

とされています。
  しかし、残念ながら、人工呼吸器装着等の在宅療養患者の急激な増加とともに、病院都合によって容態が不安定なままに一方的に退院を勧めたり、家族に十分な退院指導も行わず、安易に在宅生活へと移行させたりしている事例が増加しており、危機感を抱かざる得ない状況にあります。緊急時の連絡・支援体制についても、整備されているとは言い難く、緊急時の受け入れさえ困難な実態があります。
  さらに、当会会員の例に限ってみても、最近では、安全に過ごすためには欠くことのできないパルスオキシメーター等のモニター機器(センサーも含む)やアンビューバッグ、外部バッテリー、バックアップ用人工呼吸器など非常に高額にもかかわらず、ほとんどの場合、病院からの貸与ではなく自費購入させられており、各指導管理に必要な衛生材料や医療材料なども、必要かつ十分な量の支給がされず、自費購入させる度合いが増加しています。各会員が、在宅療養指導管理料算定の留意点を示して、各病院と話し合いを求めても、「病院も赤字だから」「病院の規則だから」「ほかの病院もそうだから」「在宅療養指導管理料だけではまかなえないから」などの理由でとりあってもらえないという声が多く届いています。
  このような状況の下、医療的ケアを理由にヘルパー等が使えず、家族だけで綱渡り状態での介護をすることを余儀なくされ、家族が精神的、経済的に追い詰められることは、何より子ども自身の安全で快適な生活が脅かされることにつながっています。
  つきましては、「在宅療養指導管理料」の取り扱いに関して、以下の要望について善処いただきますよう、お願いいたします。



1.安全に在宅生活に移行できるよう、充分な退院指導(必要かつ十分な回数の外出、外泊の練習も含む)、関係機関への橋渡し、緊急時の連絡・支援体制の整備がなされるように、周知徹底させて下さい
急性期病院で、これらの対応が困難な実態があるのであれば、後方支援の仕組みを整備して下さい。(中間施設の整備、退院初期は訪問看護の支援が手厚く受けられる制度の導入、介護者が介護不能に陥ったときの緊急受け入れ体制の整備など)

2.在宅療養に必要な機器や器具、必要かつ十分な量の衛生材料・医療材料が自費購入させられることなく、確実に貸与・支給されるように、周知徹底させて下さい。
  在宅療養指導管理料では、点数が足りない実態があるのであれば、実態に見合うような点数に引き上げて下さい。
以上


UP:20110827 REV:20110828
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