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特別ではないこと

人工呼吸器の生活

岡部 宏生 2010/10/10
「進化する介護 in 千葉」,重度訪問介護従業者養成研修会
主催:(NPO)リターンホーム 於:千葉市


  こんにちは 東京江東区の岡部です。

  私がALSを発症したのは2006年春、確定は同年9月でした。
  2007年7月より在宅療養開始、2009年2月胃ろう造設、9月に気管切開、人工呼吸器使用開始約1年です。

  今日は先週この会があることを知って主催者の伊藤さんに連絡させて頂いて、つい4日前にお伺いすることになりました。
  10月は、1日にコンサート、2日に難病コミニュケーション講座、4日に通院、8日には看護学校の講義のお手伝い、10日の今日とすでに5回目の外出です。
  自分でも以前は想像もしていなかった忙しくて充実した在宅療養生活です。

  皆さんにお伝えしたいのは気切をして呼吸器をつけても、こんなに行動的な生活が出来るということもありますが、それよりも、もっとお伝えしたいのは私は決して特別ではないということです。

  発病した頃は途方に暮れ、進行していく過程では毎日が不安と焦燥の日々で呼吸器をつける決心もなかなか出来ずに過ごしてきたのです。
  その頃は、呼吸器をつけて活動的に生活している同病の方は特別な人で自分とは違う世界の人達と思っていました。

  また介護が出来る家族も妻しかおらず、その妻は高齢で大病を患って同じマンションに引き取った母の面倒をみながらフルタイムで働き、私の介護をするという様な過酷な状態となってしまい妻本人も身体を壊してしまったのです。そんな中で生きる選択をするのは無理だと思う時期もありました。

  それでも生きたいと思う理由がいくつか生まれ、またそれを支えてくれる人が次々に現れ、時期的にはギリギリでしたが、ある程度の行政の支援と24時間の介護の体制が構築出来て、こうして皆さんにお会い出来るようになったのです。

  決して特別な環境があったのではないことを知って頂き、現在悩んでいる患者さんや、そのご家族に考えるきっかけにして頂ければと思います。

  そういう私も毎日不安と葛藤の日々ですが、生きていて良かったと確信だけは出来ることをお伝えしたいと思います。

  2010年10月10日 岡部宏生


UP:201008 REV:
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