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「「生存学」創成拠点事業推進担当者より (4)」

天田 城介 20101020 「生存学」創成拠点メールマガジン第7号.

last update:20110801

グローバルCOEプログラム「生存学」創成拠点では、事業推進担当者として教員計17人が活動しています。今回は、2009年12月から本学大学院先端総合学術研究科副研究科長を務める天田城介のメッセージを掲載します。


『生存学研究センター報告』の編集や雑誌『生存学』の編集作業に携わる中で、あるいは先端総合学術研究科や「生存学」創成拠点の教育研究に関わるようになってから、私が切実に感じたことの最も大きなことの一つに、少なくない論文における事実記述、あるいは繋ぎ合わせた論理の道筋が、読み手にとって「些細なもの」「枝葉末節的なもの」に見えて/思われてしまっているのではないかということがあります――それはおそらく読み手の読解力や思想的薄っぺらさに起因する問題でもあります――。

その事実記述の大切さやその論理の道筋を明示することの意味の重さを知っている人が読めばとても面白く大切なものがそうは取られず、しばしばきちんと引き受けていかれないものになっています。あるいは、日本という社会において事実を記述し、論理の道筋を記すことはすでに多くの参照前提のもとに書かれているため、海外では十分には理解されないものになってしまい、捨て置かれてしまうということもあります。当然、その逆も然りです。国内外にかかわらず、「前提」をこそきちんと思考し、記述し、知らしめていく作業が基本になってしまっているのです。「生存学」創成拠点における教育研究の仕組みと機構はそのためにあるとさえ思っています。高飛車な態度は嫌われますが、高みから思考すること自体を決して忌避してはいけないのです。

◇天田城介(あまだ・じょうすけ) 本学大学院先端総合学術研究科准教授。1972年埼玉県浦和市生まれ。専攻は社会学。2010年度中に単著1冊を刊行予定。また、2010年度末には老い研究会メンバーとともに、2011年度前半にはマイノリティ研(略称)のメンバーとともに本を刊行する予定。


◇関連リンク
* 拠点事業推進担当者の一覧 http://www.arsvi.com/a/s.htm
* 個人のページ(本拠点内) http://www.arsvi.com/w/aj01.htm




*作成:大谷 通高
UP: 20110801 REV: 更新した日を全て
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