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こうして暮らしています+よろしくお願いします

岡部 宏生 2010/08/26
障がい者政策推進議員連盟・難病対策推進議員連盟合同勉強会 於:東京・参議院議員会館
医療的ケア・2010


東京・江東区で在宅療養中の岡部と申します。
本日はこのような機会を頂いて誠にありがとうございます。

発症は2006年春、確定は同年9月でした。
2007年7月より在宅療養開始、2009年2月胃ろう造設、9月に気管切開・人工呼吸器使用です。

この病気(ALS)の過酷なところは病状だけではなく、
生死を自分で選ばなければならないことです。
気管切開をして、人工呼吸器をつけて全身不随となって生きるか、
それとも着けずに死んでいくか。

患者の約7割が呼吸器を着けずに死んでいきます。

過酷な病状以外にも、24時間の介護を要するため、
家族の介護負担や経済的負担を考えて生きることを諦める患者も多いのです。
我々患者はこれを「自死」と呼びます。

これらを乗り越えて生きることを選択した患者には、文字通り24時間365日の介護が必要となり、在宅療養生活には医療・看護・介護の連携が不可欠です。

定期的な経管栄養の注入はもとより、とりわけ痰の吸引は一日中随時必要で、現在の訪問看護体制では、全国いかなる地域においても対応はまったく不可能な状況です。

そこで実際に患者の生命、生活を支えているのがヘルパーさん達なのです。
現在ヘルパーさん達は、病院または訪問看護師から吸引の指導を受けるか、あるいはNPO法人さくら会の重度訪問介護従業者養成研修を受けて痰吸引を含むケアを行ってくれています。

ALSの患者が、自宅で在宅療養を続ける(もちろん受けいれ可能な施設等も極端に少ない)ためには、ヘルパーが一定の知識と実習は受けた上で、患者本人に合わせたケアを在宅で実践しながら行ってくれることが何より重要かつ現段階における唯一の方法です。
いくら多くの時間を座学や実習で受けても、扱うのは個々の患者なので、OJTに勝る習得方法はありません。

ですからALS患者などの在宅療養においては、これまでのように患者・医療関係者・介護者が、協力しながら医療的ケアも、生活の一部として安全に行えるような方針と体制作りをお願いしたいと思います。
また、今回の改定で、医療関係者や在宅サービス事業所や介護ヘルパーに多くの負担がかかり、現在在宅患者をケアしている介護ヘルパーが、介護に支障を来たすような事態にならないよう、充分ご配慮いただきたいと存じます

何卒現在在宅療養している患者およびその生活を支えている介護者にご理解を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

近い将来この病気に罹患した人が、介護者負担を心配して生きることを諦めるようなことがなくなる日が来ることを祈りつつ。

東京都江東区東陽3−21−4−901 岡部宏生


UP:201008 REV:
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