■注
(1)2009 年10 月22 日に立命館大学で行われた「アフター・メタヒストリー──ヘイドン・ホワイト教授のポストモダニズム講義」での、拙報告、NISHIJIMA Kazuhiro“ Who Writes History, Why We Write History and How We Write History?: From the Movement for People’s History and the Movement of Life-Writing Circles in 1950s Japan”をうけての、ホワイトの議論を参照(本報告書収録)。
(2)ホワイトは、例えばアート・スピーゲルマンの『マウス──ある生き残りの物語』というホロコーストを題材にした漫画について論じている。(ホワイト 1994: 65-66)
(3)ホワイト(1994: 79-81)等を参照。バルトを引用しつつ、能動態でも受動態でもない中動態による記述の可能性を論じている。
(4)成田(2001: 69)。成田は三つの流れを、アカデミズム、マルクス主義、ナショナリズムとしているが、本報告の文脈上わかりやすくするため、アカデミズムを実証主義、ナショナリズムを天皇制ナショナリズムと言い換えた。なお、天皇制ナショナリズムの歴史学とは、平泉澄に代表されるいわゆる皇国史観の歴史学をさす。
(5)1987 年にランケの弟子のルードビヒ・リースが東京帝国大学に招かれ、日本の歴史学に多大な影響を与えた。
■参考文献
石母田正 1960「『国民のための歴史学』おぼえがき 啓蒙主義とその問題点の克服」井上清・石母田正・奈良本辰也・竹村民郎共編『現代史の方法上』三一新書(再録:2001『石母田正著作集 第一四巻』岩波書店)
無着成恭 2009 「『山びこ学校』という教育法──無着成恭氏に聞く」西川佑子・杉本星子編『共同研究 戦後の生活記録にまなぶ──鶴見和子文庫との対話・未来への通信』日本図書センター
成田龍一 2001『 歴史学のスタイル──史学史とその周辺』校倉書房
──── 2006『 歴史学のポジショナリティ──歴史叙述とその周辺』校倉書房
澤井余志郎 2009「 紡績工員の生活記録から公害の記録へ」西川佑子・杉本星子編『共同研究 戦後の生活記録にまなぶ──鶴見和子文庫との対話・未来への通信』日本図書センター
杉本星子 2009「鶴見和子と製糸・紡績で働いた「三代の女」たち」西川佑子・杉本星子編『共同研究 戦後の生活記録にまなぶ──鶴見和子文庫との対話・未来への通信』日本図書センター
小熊英二 2002『 〈民主〉と〈愛国〉──戦後日本のナショナリズムと公共性』新曜社
鶴見和子 1961 「生活記録運動のこれまでとこれから」『日本の記録』1(再録: 1998 『鶴見和子曼荼羅U 人の巻──日本のライフヒストリー』藤原書店
鵜飼正樹 2009「 生活綴方からつながる世界」西川佑子・杉本星子編『共同研究 戦後の生活記録にまなぶ──鶴見和子文庫との対話・未来への通信』日本図書センター
White, H 1981 “The Value of Narrativity in the Represention of Reality” W.J.T. Michell ed., On Narrative, The University of Chicago(= 1987 原田大介訳「歴史における物語性の価値」W. J. T. ミッチェル編 海老根宏他訳『物語について』平凡社
──── 1992“ Historical Emplotment and the Problem of Truth.” Saul Friedlander ed., Probing the Limit of Representation: Nazism and the“Final Solution”, Cambridge and Massachusetts: Harvard University Press(. =1994 上村忠男訳「歴史のプロット化と真実の問題」ソール・フリードランダー編 上村忠男・小沢弘明・岩崎稔訳『アウシュヴィッツの表象と限界』未來社)
──── 2009 “Postmodernism and Historiography” Special Public Opening Symposium After Metahistory, Ritsumeikan University