Inglis事件
Thomas Inglisさん(22)は07年7月に酒の上の喧嘩で怪我をし、病院に運ばれる途中に救急車から飛び降りて脳に重い損傷を負った。生命維持装置と24時間介護が必要な身となった彼は、その後ナーシングホームで少しずつ改善の兆しを見せていたが、母親のFrances さんには息子の状態が「悲惨」としか思えなかった。その「悲惨から解放してやるため」、彼女はヘロインを大量に入手してナーシングホームを訪れ、看護師らの制止を振り切って息子の部屋に立てこもると、致死量を超えるヘロインを息子に注射した。08年11月のことだった。
彼女は裁判で「心に悪意を持って命を奪うのが殺人。私は心に愛を持ってしたのだから殺人ではない」と主張したが、1月20日、「法には“慈悲殺”という概念はない」として殺人罪で終身刑(最低9年)が言い渡された。