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新聞記事「日系人、労組で助け合い――企業と団交、権利確保」

『日本経済新聞』夕刊:15 20091009


日系人、労組で助け合い――企業と団交、権利確保
不当解雇・保険未加入…


 景気悪化で派遣社員らの失業が相次ぐ中、日本で仕事を失った日系ブラジル人らの労働組合を結成、活動を活発化させている。関西でも日系人の雇用機会が激減。雇用保険や失業保険の制度を知らないまま生活苦に陥るケースも少なくない。組合は「生活に不安を抱く者同士で励まし合って逆境を乗り越えたい」と話している。

 大阪府内に住む日系ブラジル人の数は約4500人とされる。自動車メーカーの下請け工場が多い愛知県に比べると人数の規模が約18分の1と少なく、言葉の不自由な日系人を支援する通訳も数えるほどしかいない。こうした中、不況が雇用環境を直撃。派遣切りなどで職を失う日系人が後を絶たず、言葉の壁から国の社会保障を受けることができない生活困窮者が増えている。
 日本で働きたいのに働けない――。そんな日系人を支援しようと立ち上がったのが外国人の労働問題を手掛ける労働組合「ゼネラルユニオン」(大阪市北区)。日系人からの相談件数の増加から5月末、ゼネラルユニオン内にブラジルなどの南米諸国出身の日系人ら17〜57歳の男女約60人で構成する「南米支部」を設置。日系人の権利擁護のため活動を開始した。
 組合員の一人、大津市の日系ブラジル人の男性(36)が突然派遣契約を打ち切られた際には、派遣元が日系人を社会保険に加入させていないなど不適切な行為があったことから、解決金を確保することができた。
 「納得のいく理由なく突然解雇された」として勤め先の向上を相手取り解雇無効を求めて大阪地裁堺支部に提訴した組合員の日系ブラジル人、工藤ジャクソンさん(37)は「言葉も制度も何も分からない自分をゼネラルユニオンや組合員が支えてくれている」と話す。解雇後は収入が途絶え、貯金を切り崩しながら生活を続けるといい、工藤さんは「再雇用などを求めて闘っていく」と意気込む。
 南米支部には設立以降、工藤さんらと同様の相談が途絶える日がないという。
 同支部は組合員を不当に扱うなどした企業に団体交渉を申し込んだり、社会保険や有給休暇に関する勉強会を開くなど、労働者の基本的な権利を守るため活動をさらに強めていく方針。
 ゼネラルユニオンの友延秀雄書記次長は「不況で南米出身日系人の“無権利状態”が浮かび上がった。彼らを労働力の調整弁に使うのではなく、人間らしく働くことができるような制度が必要だ」と話している。

091007『日本経済新聞』夕刊:15


*作成:岡田清鷹
UP:20091009 REV:
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