HOME > 全文掲載 >

新聞記事「市民への情報発信不可欠――社会混乱を防ぐには」

松田亮三 『京都新聞』 20090521


市民への情報発信不可欠――社会混乱を防ぐには 松田亮三・立命大教授(医療社会学)に聞く

 新型インフルエンザの感染拡大で日常生活への影響に心配が広がっている。社会の混乱を防ぐため大切なことは何か。立命館大産業社会学部の松田亮三教授(医療者期学)に聞いた。(松尾浩造)

 新しい感染症の流行は、この数百年の間だけでも人類が何度も直面してきた。しかし、今回の新型インフルエンザは、世界がある程度対策を準備してきた中で感染が拡大した初めての例だ。
 社会がどう対応すべきかはまだ手探りの部分が多い。行政に求められているのは、市民と情報を共有するための積極的な情報発信だ。一方、市民はその情報に基づき冷静に行動することが大切だ。
 この間の政府を始めとする行政の対応は、「感染を拡大させない」という政治的な側面が前面に出て、「なぜ検疫や入院措置などの対策を取るのか」「従来のインフルエンザウイウルに比べて新型ウイルスの病原性は強いのか弱いのか」といった説明は、やや後手に回っている印象だ。
 正しく市民と情報が共有されないと、ハンセン病やエイズなどのように患者への差別を生んだり、マスクをしていない市民を過度に避けるような風潮ができる恐れがある。
 学校を休校する措置の意義なども、行政ができる限り積極的に伝えることで、市民への理解や協力が得られるのではないか。
 英米では、医師や研究機関が政策立案に直接携わったり、研究者自身が研究成果を積極的に情報発信している。日本でも市民が情報を利用しやすい社会的なシステムの構築が求められている。

090521『京都新聞』:


*作成:岡田清鷹
UP:20091005 REV:
全文掲載  ◇松田亮三
TOP HOME (http://www.arsvi.com)