last update:20200719
厚生労働省
平成20年5月30日
1.目的
障害者福祉計画に基づく受入条件が整えば退院可能な精神障害者(以下、「退院可能精神障害者」という。)の減少目標値の着実な達成を目指し、病院・施設等と連携し、精神障害者の地域生活への移行に向けた支援を推進する。
2.実施主体
本事業の実施主体は、都道府県とする。
なお、指定都市又は中核都市に事業の一部を委託することもできるものとする。また、事業の全部又は一部を団体などに委託して実施することができるものとする。
3.圏域
都道府県は、本事業を行うにあたり、二次医療圏などを踏まえ、適切な圏域を設定することとする。
4.事業内容等
(1)協議会の設置
都道府県(委託して実施する場合は当該委託先の実施主体を含む。以下同じ。)は、以下に掲げる業務を行うため、都道府県、市町村、精神科病院の医師、福祉サービス事業者、ピアサポーター等で構成する協議会(既存の協議会を活用することも妨げない。)を設置するものとする。
なお、協議会を運営するに当たっては、都道府県自立支援協議会や地域自立支援協議会との連携を図ることとする。
(ア)客観的な視点に立った対象者の決定(病院・施設等と退院・退所について合意を得るなど十分に調整を図った上で行うこと。)
(イ)体制整備のための調整
(ウ)困難事例の解決に向けた調整
(エ)事業の評価(地域における支援体制等に関する課題が明かになった場合には、地域自立支援協議会に報告するなど、課題解消に向けた方策を検討するように努めること。)
(オ)その他本事業の実施にあたって必要な事項
(2)地域体制整備コーディネーターの配置
都道府県は各圏域に1名以上精神保健福祉士又はこれと同等程度の知識を有する者のうち精神障害者の地域生活への移行に必要な体制整備の総合調整の能力を有する者を地域体制整備コーディネーターとして相談支援事業者等に配置し、主に以下のような業務を行う。
(ア)圏域の市町村病院及び福祉サービス事業者等の関係機関に対する周知等、本事業の円滑な実施のための体制整備に向けた調整
(イ)病院・施設等の関係機関に対する本事業への参加等、必要な協力の養成及び、地域の資源に係る情報提供、資源開発等に関する病院・施設等からの要請への対応
(ウ)下記(3)の地域移行推進員(以下同じ。)と連携した各圏域市町村における必要な事業、資源(インフォーマルなものを含む)の点検・開発に関する助言・指導
(エ)地域移行推進員が作成する個別支援計画(以下「個別支援計画」という。)への必要な指導・助言
(オ)個別支援計画に基づき地域移行推進員が実施する支援に対する必要な助言・指導
(カ)複数圏域にまたがる課題の解決に関する助言
(キ)関係者と協議した研修、シンポジウムの企画、調整など地域移行に向けた普及啓発の推進等
(3)地域移行推進員の配置
対象者の個別支援に当たる精神保健福祉士又はこれと同程度の知識を有する者を地域移行推進員として相談支援事業者に配置し、対象者の入院・入所する精神科病院等の精神保健福祉士等と連携を図るとともに必要に応じ当事者による支援(ピアサポート)等を活用しつつ、退院・退所及び地域定着に向けて主に次の支援を行う。なお、個別支援計画については、地域体制整備コーディネーターの助言・指導を受けながら策定及び支援を実施するものとする。
なお、入院・入所中から一定期間関与することとし、退院・退所後の支援期間は原則6ヶ月を上限とする。
(ア)利用対象者に対する退院・退所に向けた相談・助言
(イ)主治医との調整に基づいた医療・福祉にまたがる個別支援計画の作成
(ウ)個別支援計画に基づく院外活動(福祉サービス体験利用、保健所グループワーク参加等)に係る同行支援等
(エ)対象者、家族に対する地域移行に関する情報提供及び相談・助言
(オ)地域体制整備コーディネーターと連携した、退院後の生活に係る関係機関との連絡・調整等
(4)個別支援会議の開催
協議会において選定された対象者について必要に応じ適宜支援内容の検討や地域移行個別支援計画に見直しを行うための個別支援会議を当該対象者を担当する地域移行推進員が中心となって地域体制整備コーディネーター及び必要な支援関係者を集め、開催するものとする。
(5)その他の事業
地域移行支援のため特に必要と認められる事業。実施にあたっては、個別に厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健福祉課に協議すること。
5.留意事項
(1)関係機関への周知
都道府県は圏域の市町村、精神科病院及び福祉サービス事業者等の関係機関に対して広く周知し、本事業の実施に係る対象者の申請、協力施設の拡充及び支援体制の充実等事業の円滑な実施を図ること。
(2)関係機関との連携
都道府県は対象者の円滑な地域移行を図る観点から、相談支援事業者、その他福祉サービス提供者、保健医療サービス事業者等と連携を図ること。また、4.(2)のほか、地域体制整備コーディネーターは、医療観察法に基づく指定医療機関に入院中の対象者について、社会復帰調整官が行う退院に向けた生活環境の調整に必要な協力を行うこと。
(3)精神保健福祉センター及び保健所の役割
精神保健福祉センター及び保健所は、地域体制整備コーディネーター及び地域移行推進員に対して、地域の社会資源等の地域移行のために必要とされる情報や医療機関との連携に必要なノウハウ等を提供するとともに、医療機関への働きかけを行う際などにおいて必要な協力を行うこと。
6.報告
地域体制整備コーディネーターの活動については、就きたいんで都道府県に報告することとする。なお、様式は別途定めることとし、報告については、報告様式を定めた日以降とする。
7.国の助成
国は、都道府県がこの実施要綱に基づき実施する経費については、厚生労働省が別に定める「精神保健費国庫負担(補助)金交付要綱」に基づき、毎年度予算の範囲内で国庫補助を行うことができるものとする。
*作成:坂本 唯