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「平成14年度障害者ケアマネジメント体制整備推進事業の実施について」

厚生労働省 20020418 障発第0418002号

萩原 浩史 20191210  『詳論 相談支援――その基本構造と形成過程・精神障害を中心に』,生活書院,資料

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平成14年度障害者ケアマネジメント体制整備推進事業の実施について

障発第0418002号
平成14年4月18日
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長


 障害者の自立と社会参加を促進するためには、公的サービス等の社会資源の充実とともに、障害者がこれらを有効に活用できる支援体制が整備されなければならない。
 また、地域で生活している、あるいは生活しようとする障害者にとっては、様々な生活ニーズを満たすためのサービス実施主体が区々であることから、必要なサービスを適切に利用することが困難な状況にある。
 そこで、障害者本人の意向(要望)を最大限尊重しながら、一人ひとりの生活に必要な福祉・保健・医療・教育・就労などのサービスを総合的に提供するために、個々人のケア計画を作成し実施する障害者ケアマネジメントが必要である。
 このため、国においては、障害者ケアマネジメント体制を全国的に整備することとし、3障害共通の障害者ケアガイドラインをとりまとめるとともに、障害者ケアマネジメント従事者養成指導者研修を継続実施しているところである。
 また、各都道府県・指定都市においても、検討委員会を設置し、本事業の実施方法等について検討するとともに、障害者ケアマネジメント従事者養成研修及び障害者ケアマネジメント推進事業(試行的事業)の実施をお願いしているところである。
 今般、別紙のとおり最終年度の「障害者ケアマネジメント体制整備推進事業実施要綱」を定め、平成14年4月1日より実施することとしたので、ご了知の上、関係者に対し本事業を周知するとともに、積極的な実施に努められたい。
 おって、平成13年5月22日障第227号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部部長通知「平成13年度障害者ケアマネジメント体制整備推進事業の実施について」は廃止する。

(別紙)
「障害者ケアマネジメント体制整備推進事業実施要綱」

1 目的
 本事業は、様々な生活ニーズ(需要)を有する在宅の身体障害児(者)(以下「身体障害者」という。)、知的障害児(者)(以下「知的障害者」という。)及び精神障害者の生活を支援するため、福祉・保健・医療・教育・就労サービス等の障害者ケアマネジメントの実施体制のあり方、ケアマネジメント実施主体等と関係諸機関との連携のあり方、各種社会資源の整備のあり方等について検討を行うとともに、障害者ケアマネジメント従事者の養成を行い、ケアマネジメントを試行的に実施することにより、平成15年度からのケアマネジメント体制の本格導入に備えることを目的とする。

2 実施主体
 事業の実施主体は、都道府県及び指定都市(以下「都道府県等」という。)とする。

3 実施内容

(1)都道府県等障害者ケアマネジメント体制整備検討委員会
@ 都道府県等は、福祉・保健・医療・教育・就労の関係者及び障害者団体の代表(障害種別に留意すること)等で構成される都道府県等障害者ケアマネジメント体制整備検討委員会(以下「検討委員会」という。)を設置する。
  検討委員会は3障害合同で検討すること。なお、3障害合同の検討委員会の他に障害別の部会を設置することはさしつかえない。
A 検討委員会は、次の事項について検討を行う。
  なお、平成13年度までの都道府県等における検討状況を踏まえ、今後、障害者ケアマネジメント体制整備を整備するに当たって参考となるよう、さらに具体的かつ詳細に検討を行うこと。
ア 障害者ケアマネジメント推進事業の実施に関すること
 ・実施市町村等の選定、ケアマネジメント実施主体等の選定、障害者ケアマネジメント従事者の選定並びに対象者の選定等障害者ケアマネジメント推進事業(試行的事業)のあり方及び実施方法等
イ 平成15年度からのケアマネジメントの実施体制に関すること
(ア)ケアマネジメント実施主体等のあり方
 ・市町村の行政機関及び地域生活支援事業等での障害者ケアマネジメント実施のあり方
(イ)連絡調整会議の設置及び運営のあり方等
 ・社会資源についての検討、支援ネットワークの形成及び障害者ケアマネジメントに関する情報交換等の役割を担う連絡調整会議の具体的設置場所・運営のあり方
 ・連絡調整会議より報告された内容
(ウ)ケアマネジメントを実施するに当たっての障害保健福祉圏域等(以下「圏域」という。)のあり方等
(エ)ケアマネジメントにおける相談・支援体制のあり方
 ・相談窓口の設置場所及び障害者ケアマネジメント従事者の配置等
ウ ケアマネジメントを実施するに当たって必要とされる社会資源及び人材に関すること
(ア)障害者ケアマネジメント推進事業(試行的事業)を通じて必要と判断された社会資源の種類と量、都道府県等内における現状の把握、不足する場合における今後の整備のあり方等
(イ)ケアマネジメントを実施するに当たって必要とされる人材の確保に関すること
 ・障害者ケアマネジメント従事者の養成研修、継続研修のあり方又は確保の方法及び障害者ケアマネジメント従事者以外でケアマネジメントに携わる者の確保等
エ 障害者ケアマネジメント利用者に対する権利擁護のあり方
 ・ケアマネジメント開始時の説明・同意の内容・要件等のあり方、ケアマネジメント過程における苦情解決の窓口の設置場所等
オ その他、検討委員会で検討が必要と判断された事項
 また、検討委員会は、障害者ケアマネジメント推進事業(試行的事業)の実施市町村等への助言・指導及び実施結果の評価を行う。

(2)障害者ケアマネジメント従事者養成研修

@ 研修は、国の研修内容を反映させ都道府県等でのケアマネジメントの普及を図るために、国が実施する障害者ケアマネジメント従事者指導者研修を受講した者が中心となって実施する。
A 研修対象者は、障害者ケアマネジメントを担当する市町村職員及び市町村障害者生活支援事業、障害児(者)地域療育等支援事業及び精神障害者地域生活支援センター等の各相談支援事業に従事している者を優先すること。
この要件を満たす障害者本人についても、参加できるよう配慮すること。
B 研修期間及び研修内容は、障害者ケアマネジメント従事者養成指導者研修に準じて実施することとし、障害者ケアマネジメント従事者の養成研修として、十分な内容・質をもったものとなるように留意すること。
C 研修を修了した者には、修了証書を授与することとする。

(3)障害者ケアマネジメント推進事業(試行的事業)

@ 障害者ケアマネジメント推進事業(試行的事業)の実施方法は、次によること。
ア 連絡調整会議
(ア)都道府県等は、事例に関わる医療機関、保健所、職業安定所、地域障害者職業センター、養護・盲・聾学校、市町村等の職員及び地域の障害者の団体の代表(障害種別に留意すること)などで構成される連絡調整会議を圏域単位で主宰すること。
(イ)連絡調整会議は、当該圏域内における以下の役割を担うこととする。
a 社会資源についての検討
b 支援ネットワークの形成
c 障害者ケアマネジメントに関する情報交換
d サービス調整の実施
e 連絡調整会議で提起された課題の検討委員会への報告
イ 実施主体は、市町村、あるいは都道府県及び市町村が委託している市町村障害者生活支援事業、障害児(者)地域療育等支援事業及び精神障害者地域生活支援センターのうち、ケアマネジメントを適切に実施できると認められる社会福祉法人等とすること。
 なお、それぞれの実施主体においては、可能な限り、障害種別を超えて実施すること。
A 試行的事業は、「障害者ケアガイドライン」を基本に、併せて身体障害者については「身体障害者ケアガイドライン」、知的障害者については「知的障害者ケアガイドライン」、精神障害者については「精神障害者ケアガイドラン」を参考として、複合的なニーズを有する障害者に対し、総合的かつ継続的なサービスの提供を確保するため、障害者ケアマネジメント従事者を中心として、ニーズを満たす複数のサービスを適切に結びつけ、調整を図り、障害者本人の意思を尊重しつつ、ケア計画を作成し、必要なサービスを提供する。
B 都道府県から委託を受けた市町村等は、試行的事業の実施終了後、ケア計画の作成状況等のほか、ケアマネジメントを実施していく上での必要な事項や問題点等を都道府県に報告すること。

4 事業報告書の提出
 検討委員会で検討された内容及び試行的事業の報告・評価等については、別途通知する様式により、平成15年4月30日までに事業報告書を提出すること。

5 試行的事業実施上の留意事項
(1)試行的事業は、ケア計画の作成を行い、ケア計画に基づくサービス提供を実施することを原則とする。計画に基づくサービス提供が困難な場合には、提供できるサービスとできないサービスを明確にすること。
(2)試行的事業の利用者に対しては、試行的事業の趣旨を十分に説明し、円滑に協力が得られるようにすること。
(3)検討委員全委員、都道府県、市町村職員、その他推進事業の実施に参画した関係者等は、本事業において知り得た個人に関する秘密を他に漏らしてはならない。

6 経費の負担
 この実施要綱により行う事業全般に要する経費については、別に定めるところにより国庫補助を行うこととする。ただし、3の(3)のAにおいて、必要なサービスを提供する経費を除く。



*作成:坂本 唯
UP:20191129 REV:20200719
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