HOME > 全文掲載 > 『詳論 相談支援』

「平成13年度障害者ケアマネジメント体制整備推進事業の実施について」

厚生労働省 20010522 障第227号

萩原 浩史 20191210  『詳論 相談支援――その基本構造と形成過程・精神障害を中心に』,生活書院,資料

Tweet
last update:20200719


平成13年度障害者ケアマネジメント体制整備推進事業の実施について

障第227号
平成13年5月22日
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長


 障害者の自立と社会参加を促進するためには、公的サービス等の社会資源の充実とともに、障害者がこれらを有効に活用できる支援体制が整備されなければならない。
 しかしながら、地域で生活している、あるいは生活しようとする障害者にとって、様々な生活ニーズを満たすためのサービス実施主体が区々であることから、必要なサービスを適切に利用することが困難な状況にある。
 そこで、障害者本人の意向(要望)を最大限尊重しながら、一人ひとりの生活に必要な福祉・保健・教育・就労などのサービスを総合的に提供するためには、個々人のケア計画を作成し実施する障害者ケアマネジメントが必要である。
 このため、国においては、障害者ケアマネジメント体制を全国的に整備することとし、障害者ケアマネジメントのあり方等について検討するとともに、障害者ケアマネジャー養成指導者研修(今後、「障害者ケアマネジメント従事者養成指導者研修」に呼称変更する)を実施しているところである。
 また、各都道府県・指定都市においても、検討委員会を設置し、本事業の実施方法等について検討するとともに、障害者ケアマネジャー養成研修(今後、「障害者ケアマネジメント従事者養成研修」と呼称変更する)及び障害者ケアマネジメント推進事業(試行的事業)の実施をお願いしているところである。
 今般、別紙のとおり「障害者ケアマネジメント体制整備推進事業実施要綱」を定め、平成13年4月1日より実施することとしたので、ご了知の上、関係者に対し本事業を周知するとともに、積極的な実施に努められたい。
 なお、実施に当たっては、身体障害、知的障害及び精神障害のケアマネジメントの総合的かつ効果的な推進を図るよう一層のご配慮をお願いしたく、障害者ケアマネジメント推進事業(試行的事業)の実施方法として、新たに地域生活等支援事業の実施機関において3障害合同を含む型での実施も施行することとしたので、積極的な利用を図られたい。
 おって、平成12年7月18日障第555号厚生省大臣官房障害保健福祉部長通知「平成12年度障害者ケアマネジメント体制整備推進事業の実施について」は廃止する。


(別紙)
「障害者ケアマネジメント体制整備推進事業実施要綱」

1 目的
 本事業は、様々な生活ニーズ(需要)を有する在宅の身体障害児(者)(以下「身体障害者」という。)、知的障害児(者)(以下「知的障害者」という。)及び精神障害者の生活を支援するため、福祉・保健・医療・教育・就労サービス等の障害者ケアマネジメントの実施体制のあり方、ケアマネジメント実施主体等と関係諸機関との連携のあり方、各種社会資源の整備のあり方等について検討を行うとともに、障害者ケアマネジメント従事者の養成を行い、ケアマネジメントを試行的に実施することにより、平成15年度からのケアマネジメント体制の本格導入に備えることを目的とする。

2 実施主体
 事業の実施主体は、都道府県及び指定都市(以下「都道府県等」という。)とする。

3 実施内容

 (1)都道府県等障害者ケアマネジメント体制整備検討委員会
@ 都道府県等は、福祉・保健・医療・教育・就労の関係者及び障害者団体の代表(障害種別に留意すること)等で構成される都道府県等障害者ケアマネジメント体制整備検討委員会(以下「検討委員会」という。)を設置する。
  検討委員会は3障害合同で検討すること。なお、3障害合同の検討委員会の他に障害別の部会を設置することはさしつかえない。
A 検討委員会は、次の事項について検討を行う。
  なお、平成12年度までの都道府県等における検討状況を踏まえ、今後、障害者ケアマネジメント体制整備を整備するに当たって参考となるよう、さらに具体的かつ詳細に検討を行うこと。
ア 障害者ケアマネジメント推進事業の実施に関すること
 ・実施市町村等の選定、ケアマネジメント実施主体等の選定、障害者ケアマネジメント従事者の選定並びに対象者の選定等障害者ケアマネジメント推進事業(試行的事業)のあり方及び実施方法等
イ 平成15年度からのケアマネジメントの実施体制に関すること
(ア)ケアマネジメント実施主体等のあり方
 ・市町村の行政機関及び地域生活支援事業等での障害者ケアマネジメント実施のあり方
(イ)連絡調整会議の設置及び運営のあり方(別途「障害者ケアマネジメントの普及に関する報告書」の12ページ等参照)
 ・ケアマネジメント実施主体と、福祉・教育・就労等の行政機関、サービス事業者、保健・医療機関、障害者団体等の関係諸機関との連絡体制としての連絡調整会議の具体的設置場所及び運営のあり方
(ウ)ケアマネジメントを実施するに当たっての障害保健福祉圏域等のあり方等
(エ)ケアマネジメントにおける相談・支援体制のあり方
 ・相談窓口の設置場所及び障害者ケアマネジメント従事者の配置等
ウ ケアマネジメントを実施するに当たって必要とされる社会資源及び人材に関すること
(ア)障害者ケアマネジメント推進事業(試行的事業)を通じて必要と判断された社会資源の種類と量、都道府県等内における現状の把握、不足する場合における今後の整備のあり方等
(イ)ケアマネジメントを実施するに当たって必要とされる人材の確保に関すること
 ・障害者ケアマネジメント従事者の養成研修、継続研修のあり方又は確保の方法及び障害者ケアマネジメント従事者以外でケアマネジメントに携わる者の確保等
エ 介護保険制度における介護支援サービス実施体制との関連性
 ・ケアマネジメントを実施する際の連携・協力のあり方等
オ 障害者ケアマネジメント利用者に対する権利擁護のあり方
 ・ケアマネジメント開始時の説明・同意の内容・要件等のあり方、ケアマネジメント過程における苦情解決の窓口の設置場所等
カ その他、検討委員会で検討が必要と判断された事項
B また、検討委員会は、障害者ケアマネジメント推進事業(試行的事業)の実施市町村等への助言・指導及び実施結果の評価を行う。

 (2)障害者ケアマネジメント従事者養成研修
@ 研修は、国の研修内容を反映させ都道府県等でのケアマネジメントの普及を図るために、国が実施する障害者ケアマネジメント従事者指導者研修を受講した者が中心となって実施する。
A 研修対象者は、障害者ケアマネジメントに熱意をもち継続して関われる者で、障害者に関する相談等の業務について一定の知識と相当程度の実務経験を有する者で、今後市町村が重要な役割を果たすことから、市町村職員を優先して実施すること。
B 研修期間及び内容は、障害者ケアマネジメント従事者養成指導者研修に準じて実施することとし、障害者ケアマネジメント従事者の養成研修として、十分な内容、質をもったものとなるように留意すること。
C 研修は、できるだけ3障害合同で実施することが望ましい。
D 研修を修了した者には、修了証書を授与することとする。

 (3)障害者ケアマネジメント推進事業(試行的事業)
@ 障害者ケアマネジメント推進事業(試行的事業)(以下「推進事業」という。)の実施方法は、次によること。
ア Aタイプ(障害別の従来型)の場合。
(ア)身体障害者についての推進事業は、都道府県が選定した市町村に委託して実施する。(指定都市は、管内の全域もしくは特定の地域において実施する。)
推進事業は、委託を受けた市町村が直接行うほか、市町村が委託している市町村障害者生活支援事業の実施機関等、ケアマネジメントを適切に実施できる社会福祉法人等に市町村が再委託して実施することができる。
(イ)知的障害者についての推進事業は、都道府県が選定した市町村に委託して実施するか、都道府県等から委託を受けた障害児(者)地域療育等支援事業の実施機関、又は都道府県等の福祉事務所において実施すること。(管内の事情を勘案し特定の地域を対象として実施することができる。)
 推進事業は、委託を受けた市町村、障害児(者)地域療育等支援事業の実施機関及び福祉事務所等が直接行うほか、ケアマネジメントを適切に実施できると認められる社会福祉法人等に委託又は再委託して実施することができる。
(ウ)精神障害者についての推進事業は、都道府県が選定した市町村に委託して実施するか、又は都道府県等の保健所、精神保健福祉センター等において実施すること。(管内の事情を勘案し障害保健福祉圏域及び市町村等、特定の地域を対象として実施することができる。)
 推進事業は、委託を受けた市町村、保健所、精神保健福祉センター等ケアマネジメントを適切に実施できる機関を活用して直接行うほか、精神障害者社会復帰施設及び精神障害者地域生活支援センター等を運営する法人等に委託して実施することができる。
 また、精神障害者には、特有の問題として、ともすれば病状の変化をきたしやすいことがあるので、ケアマネジメントを行うに当たっては必要な医療が維持されなければならないことに留意すること。
イ Bタイプ(3障害合同を含む型)の場合。
地域生活支援事業等の実施機関(アの(ア)にあっては再委託先、(イ)にあっては委託先・再委託先、(ウ)にあっては委託先)において、3障害全ての対象者についてケアマネジメントを実施する。
A 推進事業の実施カ所数については、平成15年度の本格導入に向けて、出来るだけ多くの市町村等を選定すること。
 なお、2ヶ所以上で実施する場合については、@のアのAタイプ及びイのBタイプを併用してさしつかえない。
B 事業は、身体障害者については「身体障害者介護等支援サービス指針」、知的障害者については「知的障害者ケアガイドライン」、精神障害者については「精神障害者ケアガイドラン」に基づき、複合的ニーズを有する障害者に対し、総合的かつ継続的なサービスの提供を確保するため、障害者ケアマネジメント従事者を中心として、ニーズを満たす複数のサービスを適切に結びつけ、調整を図り、障害者本人の意思を尊重しつつ、ケア計画を作成し、必要なサービスを提供する。
 なお、精神障害者については、ケアマネジメントを行った結果、提供するサービスとして、ホームヘルプサービスを行うこととなった場合、精神障害者訪問介護(ホームヘルプサービス)試行的事業を活用することも可能である。
C 都道府県から委託を受けた市町村等は、推進事業の実施終了後、ケア計画の作成状況等のほか、ケアマネジメントを実施していく上での必要な事項や問題点等を都道府県に報告すること。

4 事業報告書の提出
 検討委員会で検討された内容及び推進事業の報告・評価等については、別途通知する様式により、平成14年4月30日までに事業報告書を提出すること。

5 事業実施の留意事項
(1)推進事業は、ケア計画の作成を行い、ケア計画に基づくサービス提供を実施することを原則とする。計画に基づくサービス提供が困難な場合には、提供できるサービスとできないサービスを明確にすること。
(2)推進事業の利用者に対しては、推進事業の趣旨を十分に説明し、円滑に協力が得られるようにすること。
(3)検討委員全委員、都道府県、市町村職員、その他推進事業の実施に参画した関係者等は、本事業において知り得た個人に関する秘密を他に漏らしてはならない。

6 経費の負担
 この実施要綱により行う事業に要する経費については、別に定めるところにより国庫補助を行うこととする。ただし、3の(3)のBにおいて、必要なサービスを提供する経費を除く。

7 本要綱の他、別途「障害者ケアマネジメントの普及に関する報告書」も併せて再使用され、平成15年度からの障害者ケアマネジメントの本格実施に向けての周知を図るとともに、体制を整備すること。



*作成:松本 彩見
UP:20191129 REV:20200719
萩原 浩史  ◇『詳論 相談支援』  ◇精神障害/精神医療  ◇障害者と政策  ◇全文掲載

TOP HOME (http://www.arsvi.com)