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「平成12年度障害者ケアマネジメント体制整備推進事業の実施について」

厚生省 20000718 障第555号

萩原 浩史 20191210  『詳論 相談支援――その基本構造と形成過程・精神障害を中心に』,生活書院,資料

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last update:20200719


「平成12年度障害者ケアマネジメント体制整備推進事業の実施について」

障第555号
平成12年7月18日
厚生省大臣官房障害保健福祉部長


 障害者の自立と社会参加を促進するためには、公的サービス等の社会資源の充実とともに、障害者がこれらを有効に活用できる支援体制が整備されなければならない。
 しかしながら、地域で暮らす障害者にとっては、様々な生活ニーズを満たすためのサービス実施主体が区々であるため、必要なサービスを適切に利用することが困難な状況にある。
 そこで、障害者本人の意向を最大限尊重しながら、一人ひとりに福祉・保健・医療等のサービスを総合的に提供するケアマネジメントの手法を確立する必要がある。
 このため、国においては、障害者ケアマネジメント体制を全国的に整備することとし、
障害者ケアマネジメントのあり方等について検討するとともに、障害者ケアマネジャー養成指導者研修を実施しているところである。
 また、各都道府県・指定都市においても、検討委員会を設置し、本事業の実施方法等について検討するとともに、障害者ケアマネジャー養成研修及び障害者ケアマネジメント推進事業の実施をお願いしているところである。
 今般、別紙のとおり「障害者ケアマネジメント体制整備推進事業実施要綱」を定め、平成12年4月1日より実施することとしたので、御了知の上、関係者に対し本事業を周知するとともに、積極的な実施に努められたい。
 なお、実施に当たっては、身体障害、知的障害及び精神障害のケアマネジメントの総合的かつ効果的な推進を図るよう特段のご配慮をお願いしたい。
 おって、平成11年4月1日障第249号本職通知「平成11年度障害者介護等支援サービス(ケアマネジメント)体制整備推進事業の実施について」は廃止する。


(別紙)
「障害者ケアマネジメント体制整備推進事業実施要綱」

1 目的
  本事業は、様々な生活ニーズ(需要)を有する在宅の身体障害者、知的障害児(者)及び精神障害者の生活を支援するため、福祉・保健・医療サービス等の障害者ケアマネジメントの実施体制のあり方、ケアマネジメント実施機関と関係諸機関との連携のあり方、各種社会資源の整備のあり方等について検討を行うとともに、障害者ケアマネジャーの養成を行い、ケアマネジメントを試行的に実施することにより、今後のケアマネジメント体制の整備に資することを目的とする。

2 実施主体
  事業の実施主体は、都道府県及び指定都市(以下「都道府県等」という。)とする。

3 実施内容
 (1)都道府県等障害者ケアマネジメント体制整備検討委員会
@ 都道府県等は、福祉・保健・医療関係者及び障害者団体の代表等で構成される都道府県等障害者ケアマネジメント体制整備検討委員会(以下「検討委員会」という。)を設置する。
  なお、障害者団体の構成については、障害ごとにニーズが異なることから、障害種別についても併せて留意すること。
A 検討委員会は、次の事項について検討を行う。
  なお、平成11年度までの都道府県等における検討状況を踏まえ、今後、障害者ケアマネジメント体制整備を整備するに当たって参考となるよう、さらに具体的かつ詳細に検討を行うこと。
 ア 障害者ケアマネジメント推進事業の実施に関すること
 (実施市町村等の選定、ケアマネジメント実施機関の選定、ケアマネジャーの選定、対象者の選定及び障害者ケアマネジメント推進事業の実施方法等)
 イ ケアマネジメントの実施体制に関すること
  ・ケアマネジメント実施機関の設置及び運営のあり方
(都道府県等内におけるケアマネジメント実施機関の具体的な設置場所及び運営方法等)
  ・ケアマネジメント実施機関と関係諸機関との連携のあり方
  (ケアマネジメント実施機関と、福祉・教育・雇用等の行政機関、サービス事業者、保健・医療機関、障害者団体等の関係諸機関との連携体制等)
  ・ケアマネジメントを実施するに当たっての都道府県、障害保健福祉圏域、市町村の役割の明確化と連携のあり方等
  ・ケアマネジメントにおける相談・支援体制のあり方
  (総合相談窓口の設置場所及びケアマネジャーの配置等)
  ・障害者の地域生活を支援する他の事業との連携のあり方
 ウ ケアマネジメントを実施するに当たって必要とされる社会資源及び人材に関すること
  ・障害者ケアマネジメント推進事業を通じて必要と判断された社会資源の種類と量、都道府県等内における現状の把握、不足する場合における今後の整備のあり方等
    ・ケアマネジメントを実施するに当たって必要とされる人材の確保に関すること
  (ケアマネジャーの養成研修、確保の方法及びケアマネジャー以外でケアマネジメントに携わる者の確保等)
 エ 介護保険制度における介護支援サービス実施体制との関連性
  (ケアマネジメントを実施する際の連携・協力のあり方等)
 オ その他、検討委員会で検討が必要と判断された事項
B また、検討委員会は、障害者ケアマネジメント推進事業の実施市町村等への助言・指導及び実施結果の評価を行う。
 
  (2)障害者ケアマネジャー養成研修
@ 研修は、国が実施する障害者ケアマネジャー養成指導者研修を受講した者が中心となって実施する。なお、本研修を実施するに当たっては、障害者ケアマネジメント推進事業を実施する者に限定せず、要件を満たす対象者をできるだけ多く選定し、幅広い要請を検討されたい。
A 研修期間及び内容は、障害者ケアマネジャー養成指導者研修に準じて実施することとし、障害者ケアマネジャーの養成研修として、十分な内容・質をもったものとなるよう留意すること。
B 研修対象者は、次によること。
 ア 身体障害者についてのケアマネジャー養成
   研修対象者は、介護保険制度における介護支援専門員実務研修受講受験資格者のうち、身体障害者に関する業務に従事しており、5年以上の実務経験を有する者とする。この要件を満たす障害者本人についても、参加できるよう配慮すること。
 イ 知的障害者についてのケアマネジャー養成
  研修対象者は、原則として介護保険制度における介護支援専門員実務研修受講受験資格者のうち、知的障害者に関する業務に従事している者とする。
 ウ 精神障害者についてのケアマネジャー養成
   研修対象者は、精神障害者の保健福祉に関する一定の知識と相当程度の実務経験を有する保健婦、精神保健福祉士、精神保健福祉相談員等とする。
C 研修を修了した者には、修了証書を授与することとする。
 
  (3)障害者ケアマネジメント推進事業
@ 障害者ケアマネジメント推進事業(以下「推進事業」という。)の実施機関は、次によること。
  ア 身体障害者についての推進事業は、都道府県が選定した市町村に委託して実施する。(指定都市は、管内の全域もしくは特定の地域において実施する。)
推進事業は、委託を受けた市町村が直接行うほか、身体障害者更生施設、身体障害者療護施設、身体障害者福祉センター、身体障害者日帰り介護(デイサービス)センター、障害者生活支援事業の実施機関等、ケアマネジメントを適切に実施できる法人等に市町村が再委託して実施することができる。
  イ 知的障害者についての推進事業は、都道府県が選定した市町村に委託して実施するか、又は都道府県等の福祉事務所等において実施すること。(管内の事情を勘案し特定の地域を対象として実施することができる。)
   推進事業は、委託を受けた市町村、福祉事務所等が直接行うほか、ケアマネジメントを適切に実施できると認められる知的障害者援護施設、在宅知的障害者日帰り介護(デイサービス)センター等を運営する社会福祉法人等に委託又は再委託して実施することができる。
  ウ 精神障害者についての推進事業は、都道府県が選定した市町村に委託して実施するか、又は都道府県等の保健所、精神保健福祉センター等ケアマネジメントを適切に実施できる機関を活用して直接行うほか、精神障害者社会復帰施設及び精神障害者地域生活支援センター等を運営する法人等に委託して実施することができる。
   また、精神障害者には、特有の問題として、ともすれば病状の変化をきたしやすいことがあるので、ケアマネジメントを行うに当たっては必要な医療が維持されなければならないことに留意すること。
A 推進事業の対象者は、様々な生活ニーズ(需要)を有する障害者から適宜選定すること。
  なお、単一の障害を持つ者に限らず、重複の障害を持つ者が含まれるようにすることとし、その場合、障害の状態に着目して、関係機関と連携をとりながら、@のア、イ及びウのいずれかの機関で、ケアマネジメントを実施してもさしつかえない。
B 推進事業の実施か所数については、障害種別ごとに、複数の市町村等を選定しても差し支えないこと。
C 事業は、身体障害者については「身体障害者介護等支援サービス指針」、知的障害者については「知的障害者ケアガイドライン」、精神障害者については「精神障害者ケアガイドラン」に基づき、複合的ニーズを有する障害者に対し、総合的かつ継続的なサービスの提供を確保するため、ケアマネジャーを中心として、ニーズを満たす複数のサービスを適切に結びつけ、調整を図り、障害者本人の意思を尊重しつつ、ケア計画を作成し、必要なサービスを提供する。
  なお、精神障害者については、ケアマネジメントを行った結果、提供するサービスとして、ホームヘルプサービスを行うこととなった場合、精神障害者訪問介護(ホームヘルプサービス)試行的事業を活用することも可能である。
D 都道府県から委託を受けた市町村等は、推進事業の実施終了後、ケア計画の作成状況等のほか、ケアマネジメントを実施していく上での必要な事項や問題点等を都道府県に報告すること。

4 事業報告書の提出
  検討委員会で検討された内容及び障害者ケアマネジメント推進事業の報告・評価等については、平成13年4月30日までに別途通知する様式により、事業報告書を提出すること。

5 事業実施の留意事項
(1)推進事業は、ケア計画の作成を行い、ケア計画に基づくサービス提供を実施することを原則とする。計画に基づくサービス提供が困難な場合には、提供できるサービスとできないサービスを明確にすること。
(2)推進事業の利用者に対しては、推進事業の趣旨を十分に説明し、円滑に協力が得られるようにすること。
(3)検討委員全委員、都道府県・市町村職員、その他推進事業の実施に参画した関係者等は、本事業において知り得た個人に関する秘密を他に漏らしてはならない。

6 経費の負担
  この実施要綱により行う事業に要する経費については、別に定めるところにより国庫補助を行うこととする。ただし、3の(3)のCにおいて、必要なサービスを提供する経費を除く。


*作成:坂本 唯
UP:20191129 REV:20200719
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