1 背景
1)エチオピアにおけるこれまでの干ばつ
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25年前、大干ばつによりエチオピア一国で100万人を超す餓死者をだした。私たちも緊急救援を行い、約5万人を診療し、500人を見取った。欧米団体は主に国道線横で食料配給を行っていたが、被災地から歩いて一週間かかった。そこで私たちは悪路をわけいり、被災者に接近した。
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飢餓の原因のひとつは森林伐採、土壌侵食などの環境問題であると感じ、一年後、復興活動を行った。他の団体と同様にフードフォアワーク(植林、道作りなどの公共事業を行い、代価として食料を配給する援助方法)を用いた。その是非が検証されぬまま、内戦に入った。
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1980年代の干ばつ、飢饉、復興に対する政府の対応は悪く、革命記念日という国家的行事を優先させた。また、農業最適地では生花を栽培し、外貨を稼いでいた。BBCが飢餓の惨状を暴き、これに呼応して、日本も含めて国際世論が動き、援助が殺到した。しかし、最悪自体は防ぎえず、応急手当(バンドエイド)でしかなかった。早期警報の必要性が強調された。
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その後も何回か干ばつはあったが、90年代に始まる現政権は、早期警報、早期対応をおこない、飢餓を未然んに防いできたといわれる。
2)25年ぶりの大飢饉
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BBC、WFP、UNICEF、オクスファムなどが、最近(10月中旬)東アフリカの干ばつに警報をならしつつある。BBCは25年ぶりの飢饉として、ケニアで400万、エチオピアで620万の人々が飢えつつあることを訴えている。特に気候変動との関係が強調されている。エチオピアの政権は代々、飢餓に対処できないことを理由に転覆している。今回の対応はどうなのであろうか?あるいはBBCなどの警報は大げさすぎるのか?
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地域的な干ばつに限らず、世界全体でみると、ここ2,3年飢餓人口が急速に増え、飢餓人口(食料不足人口?)が10億人を超えた、そのきっかけは食料価格の高騰にあり、食料価格高騰の原因のひとつは食料投機にある。食料を儲け口にするビジネスが世界規模で広がっている。アフリカの都市では新たなそして静かな飢餓が、孤独死が広がっている?
2 目的
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エチオピアの最も飢えやすい地域、かつてのJVCの活動地周辺の視察。道なき道を4輪駆動車で1週間ほどかけて訪問する。
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政府の対応、国連やNGOがどのような対応をしているかを知る。
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援助の是非を考える。
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食料高騰がいまだに続いているかを知る。都市の片隅で孤独死しているのだろうか?
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農村地域でもエイズ治療が行われているのだろうか?を知る。
3 日程(予定)
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東京発11月15日 アジスアベバ着16日
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17日から24日 アジスにて国連、各種NGO、保健省、救援復興委員会など訪問、高度順応、現場への出発準備
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11月25日から12月2日 フィールドトリップ
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12月5日 アディス発ナイロビ着
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6日から13日 スラムおよびNGO活動地訪問、エイズと都市の飢えなどを知る。
4 費用[…]
報告書「エチオピア、ケニア調査 25年目の検証『飢え』『援助』『エイズ』」
アフリカ日本協議会代表 衣笠総合研究機構教授 林 達雄