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新聞記事「「脳死で呼吸器外す」2%――医師、刑事責任を懸念」

『日本経済新聞』朝刊:34 20091025


「脳死で呼吸器外す」2%――医師、刑事責任を懸念

 日本救急医学会が2007年の指針で治療中止を容認した脳死患者について、「人工呼吸器の取り外しを選択肢としている」とした医師は2%にとどまっていることが24日、東大研究チームの調査で分かった。
 「刑事責任を問われかねない」などを外さない理由に挙げる医師が多く、指針への対応をめぐって混乱する医療現場の実態が浮かび上がった。
 議論が多い延命治療の中止について医師に尋ねた全国調査は異例。東大医学系研究科の会田薫子研究員らが昨年10月〜今年3月、日本救急医学会の医師約2800人を対象に郵送で実施。匿名を条件に約930人が回答した。
 日本救急医学会は、脳死など死期が迫った終末期の患者に限り、呼吸器外しを容認する指針をまとめている。
 回答者の47%は現在、法的脳死判定が必要な臓器提供と関係なく臨床的に脳死の診断をしているとした。このうち3分の2は脳死と判断しても「呼吸器はそのままにする」と答えた。「治療中止に向け呼吸器の設定を下げる」が3分の1弱で、「呼吸器外しを選択肢としている」は残りの20人足らずにとどまった。
 家族が治療終了を望んでも呼吸器を外さない理由(複数回答)では、「医師自身の心理的負担軽減」が63%で、「家族の心理的負担軽減」(55%)を上回った。
 医師の心理的負担の要因は1.現行法では刑事責任を問われかねない 2.マスコミの批判 3.自ら手を下す嫌悪感 4.短時間で心停止するのを見るのが苦痛――などが挙げられた。
 一方。指針策定前も含めて呼吸器を外した経験の有無を尋ねた問いには、「脳死と診断した患者」で18%、「死期は迫ってはいないが、脳に重い障害が残ると予想される患者」では13%が「ある」とした。自由記述には10年以上前の事例が複数あったが、患者の症状、家族の考え医師が判断した経緯などは不明。

b>指針、終末期なら治療中止容認
・終末期医療に関する指針
 日本救急医学会が2007年に策定した。1.脳死など不可逆的な全脳機能不全 2.生命維持が人口装置に依存 3.さらなる治療方法がなく数日以内に死亡することが予測される 4.悪性疾患や回復不可能な疾病の末期だと治療開始後に判明した――のいずれかを「終末期」と定義。終末期と判断すれば、患者や家族の意思を基本とし、医療チームの判断で、人工呼吸器の取り外しを含む延命治療の中止を選択肢として認めている。各医療機関が独自に指針をまとめる取り組みも始まっている。

091025『日本経済新聞』朝刊:34

*作成:岡田清鷹
UP:20091028 REV:
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